ニンジャスレイヤー第一部RTA ネオサイタマの夜明けルート≪参考記録≫   作:暴力・砂場・エネルギー無視

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#4 ニンジャスレイヤー・ネヴァー・ラーフス ④

 

 

 

 

「イヤーッ!」カラテシャウトとともに、ニンジャスレイヤーの姿が消え、ノーティアーの目前に現れる!ナムサン!ノーティアーの視力では、ナラク・ニンジャがジョルリめいて動かすニンジャスレイヤーを捉え切れないのだ!

 

 「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「ヌゥーッ!」しかし、ノーティアーは繰り出された高速のチョップをワンインチ距離で回避!ザンキョウの溜め込んだ交戦経験とのシンクロニシティとノーティアーのニンジャ第六感とが、その回避を可能にしたのだ!

 

 それでもなお、拳の風圧によってノーティアーの皮が剥がれ、血が飛び散る!ニンジャスレイヤーの体から湧き出る憎悪の炎により、その血が焼け散り、ノーティアーの皮膚を焦がす!恐るべき威力!

 (ソウルの能力で痛覚を切っているとはいえ、これ以上の被弾は絶対に避けなければ……)

 

 その内情を知ってか知らずか、ニンジャスレイヤーは壮絶なインファイト距離での乱撃を放つ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」異常スピードのパンチ、パンチ、パンチ!さらに膝蹴りや足払いさえも混ぜ込まれる!強し、ニンジャスレイヤー、強し!

 

 その猛攻を、殆ど無意識状態となり、ザンキョウが提示した感覚的理想解に委ねることでノーティアーは回避する。しかし、ニンジャスレイヤーがもたらすスリップダメージは、着実にダメージを蓄積させつつあった。

 

 「イヤーッ…!?」不意を突くように、ニンジャスレイヤーの速度が落ちる!つられてノーティアーも瞬発的に様子を伺う!

 (((あっ、いかん、その手に乗るな!)))

 その時である!ニンジャスレイヤーの全身から怨嗟の炎が吹き上がり、ファイアーウォールめいてニンジャスレイヤーの姿を覆い隠す!

 

 「しまっ……」明確な不利を悟ったノーティアーは、根本的な恐れからタタラを踏んだ。……怖気(おじけ)付いた者は死ぬ。ニンジャのイクサの鉄則である。

 「イヤーッ!」「ゲボボーッ!?」ブッダ!禍々しいニンジャスレイヤーの右ストレートが、ノーティアーの下腹部に直撃!ノーティアー嘔吐!肝臓、小腸、大腸、膵臓破裂!寛骨、腸骨、腰椎無惨!

 

 更にニンジャスレイヤーは右足をI字めいて高く掲げる!「ヤメロー!ヤメロー!」ノーティアーは咄嗟に右腕を突き出す!「抜かせ!痛みを感じぬだけのサンシタが!それだけ嬲りがいもあるというものよ!」ナムサン!音速に近い速度のカカト落としである!

 

 「アバーッ!」「サツバツ!」ゴウランガ!ニンジャスレイヤーの無慈悲な攻撃が、ノーティアーの右腕を破壊した!トレインにぶつかった哀れなペデストリアンめいてネギトロめいた物体となった右手の残滓が、上腕骨のわずか一部を除いて吹き飛ばされる!

 

 「アイエッ、アイエエエ……」ノーティアーは尻餅をつきながらも、左手で死神から逃れようと身体を動かす!その瞳は、目の前のニンジャに対する恐怖に染まっていた!彼女と一体化したニンジャソウルは、この古代ニンジャに対する本能的な忌避感と恐怖心をもたらしていたのだ!しかし、ニンジャスレイヤーは悠然と彼女に歩み寄る!その手には、ツヨイ・スリケン!

 

 「ほぉう?コロス・ニンジャクランのものどもは冷酷なカラテ戦士にして暗殺者だったが、オヌシのようなブザマな姿を晒す者もいたとはな!ジゴクにて嘲笑われるがいい」そして、ニンジャスレイヤーはスリケンを投げようとし……「イヤーッ!」「グワーッ!?」

 

 おお、見よ!機を窺っていたスキャッターの擬似アンブッシュである!彼のトビ・ゲリは、したたかにニンジャスレイヤーの延髄を打ち据えていた!

 だが、ニンジャスレイヤーは倒れない!「舐めた真似を!イヤーッ!」センコめいた瞳が赤い軌跡を残し、瞬発的にニンジャスレイヤーは横なぎのカラテチョップを放った!

 

 「グワーッ!」スキャッターのニンジャヘルムに直撃!しかし、そのヘルムは凹みもしない!

 「グググ、中々に頑丈な肥溜桶(こえだめおけ)だ」ニンジャスレイヤーの変形したメンポが、凶悪な笑みを浮かべる!

 「ならば、中身はどうかな?イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!ゴボボーッ!」ニンジャスレイヤーの無慈悲なパンチ・ラッシュ!左右に激しく揺さぶられたスキャッターは嘔吐!

 

 「イヤーッ!」前後不覚になったスキャッターに襲いかかるは、無数のスリケンである!「アババーッ!!」スキャッターは、訓練用木人めいて全身にスリケンを受ける!大量出血!

 「ハイクを詠め、スキャッター=サン!」ダメ出しにニンジャスレイヤーが投げたツヨイ・スリケンは、スキャッターの心臓を破壊し、頭部を切り離した!

 「アバババババーッ!ノ、ノーティアー=サン、サヨナラ!」空中の頭部が叫ぶと、その身体は爆発四散!ナムアミダブツ!

 

 

 ……ガゴーン。スキャッターの吹き飛ばされた頭部が落ちた音だ。暫しの間、ゼンめいた静謐さがその場に降りる……。「ス、スキャッター=サン……」弱々しい声で、ノーティアーが呟く。ニンジャスレイヤーは、ゆっくりとした足取りでノーティアーに近づいた。

 

 「ワンソーの玩具よ、オヌシが何をしているのかは知らんが……オヌシとてわかっているだろう?オヌシのようなニンジャが時空を歪めているのだ……異なる次元より、知らぬニンジャが流れ込んできているのを感じているだろう?」

 ノーティアーは、フルフルと首を横に振った。「オヌシに取り憑いたソレに聞いている。共に殺すがな。ニンジャ殺すべし」ニンジャスレイヤーは、スリケンを構えた。

 

 (((全ては私のシナリオ通り)))

 ノーティアーのニューロンにザンキョウの声が響くと同時に、鋭い何かが、ニンジャスレイヤーを狙って空から放たれた!ヤリだ!

 「増援とな!」ニンジャスレイヤーはバク転を繰り返しながらこれを回避!しかし、その着地地点に青く輝く何かが投擲される!「グワーッ!?」カザグルマめいて回転するそれの名はエメイシ!特殊スリケンの一種であり、回転により敵の肉を削り取るのだ!

 

 「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ドミナントです」

 「同じく、ヘルカイトです」

 ゴウランガ!戦場に新たにエントリーしたのは、シックスゲイツ入りも有力視される手練れのニンジャ二人である!ヘルカイトの鶴を模したグッドルッキングな凧には、 「キリステ」「囲んで棒で叩く」「逃げ場は無い」などの威圧的ミンチョ体ショドーが!コワイ!

 

 アイサツを終えると、ドミナントのニンジャ装束は機械仕掛けめいて変形し、顔を覆うメンポを作り出した!それを見たニンジャスレイヤーもまた、憎悪の炎を纏い……しかし、首を押さえた!スキャッターのアンブッシュが、今になって効いてきていたのだ!そして、ドミナントとヘルカイトが現れたのも、スキャッターが逐一戦場の状況をIRC経由でソウカイ・ネットに伝えていたためである!死してなお、スキャッターは活躍していたのだ!サイオー・ホース!

 「何人来ようと同じことよ!ニンジャ殺すべし!」

 三忍の苛烈なイクサが始まり、そしてノーティアーから遠ざかっていく。

 

 (((はい勝ち〜〜〜!!!ノーティアーがナラクを倒すと思ったか?馬鹿め!そんなん無理に決まってんじゃん。だから、ソウカイヤにおいて、ラオモトのお眼鏡に叶おうと出世を狙うあの二人がやって来るのを待っていたんですね。彼等に任せるのが一番いい。

 

 しかし、彼等にもニンジャスレイヤーは倒せません。深追いをやめて撤退するか、あるいは一転攻勢されて爆死します。いずれにせよ、ニンジャスレイヤー本体は逃げ延び、ケンドーソーに拾われます。これが、無数のサンシタの死の上に築かれたうまテイストな作戦なんですね。ナラクウィズインしていないニンジャスレイヤーも倒せたので、経験点もウハウハ、【名声:ソウカイヤ】もそれなりにウハウハです。腕は……とりあえずテッコでも付けときましょうか。どうにでもなります、ネオサイタマだからね。

 

 取り敢えず、マルノウチ抗争は理想的な動きが出来ましたね!あぁ、やっと……ニンジャスレイヤーが始まるんやなって……)))

 

 (今日の一日だけで、あまりにも多くのことが起こってしまった……私は、これからどうなってしまうのだろう……)

 喧しく喋るザンキョウの声を聞きながらも、イクサから離れた安堵感と全身の疲労感により、ノーティアーは泥のような眠りに落ちていった。家族、失われた右腕、スキャッター、フユコ。意識が暗転し、すべてが蕩けていった。

 

 

 

 【ニンジャスレイヤー・ネヴァー・ラーフス】おわり。

 

 

 

 

 

 ズンズンズンズーン。クリスマスを迎えた、ネオサイタマのある路地裏。誰かの家の窓が開けっぱなしになり、旧時代の音楽が垂れ流しになっていた。ブンブブブーン。ギャガーン。曲が終わり、新たな曲が始まる。……『Tear of the Pierrot』という曲であった。

 

 

 

A circus came to town

The lonely town colored

A circus came to town

Also,a fantastic night begin!

 

 

 

 

 その曲を、男は聴いていた。男の右手は、無彩色、すなわち黒色の義手となっている。巧妙に着崩された、モータルのようなニンジャ装束を纏った彼は、背後に立ったニンジャ……ヘビめいた赤い目を持ち、インテリジェント・モーターバイクルに跨った男……の気配を感じ取ると、僅かに口角を上げた。

 

 「ドーモ、バジリスクです。ソウカイヤのニンジャでも、ザイバツのニンジャでもないな。貴様、何者だ?」

 「ドーモ、バジリスク=サン。トリムルティです」義手のニンジャは、アイサツを返した。その顔には、隠しきれないほどの純粋な喜びが溢れていた。

 

 「気味が悪いな。何がそんなに嬉しい?」

 「いや、いや、久しぶりにニンジャに出会ったからさ。なぁ、バジリスク=サン。オレが異世界から……ニンジャが滅ぼされた世界から来た最後のニンジャだ、なんて言ったら……信じるかい?」

 

 「胡乱な男だな」トリムルティの言葉を切って捨てると、バジリスクは肩に背負った波状刃ニンジャソードを引き抜いた。

 

 「イクサか。ニンジャとやるのは初めてだな」トリムルティの表情が真剣なものに変わる。

 「アンタを倒せば認めてくれるかなぁ?オレはこのニンジャに溢れた世界を守りたいってこと」そう言うと、トリムルティの義手が変形し、オーディンのトライデントめいた、一メートル半ほどの三叉のヤリがその内部から現れる!

 「サヴァイバー・カラテ・コルセスカスタイル……八景用意!舞踏開始!」

 

 

 

 

 

 

A lion jumps through the fire

A beautiful woman walks on rope

Roll of the snare drum sounding

Grown-ups are intoxicated

 

 

 

 

 

 

 遠い。

 遠い、遠い、遠い、寒い、寒い、寒い。

 辺りは一面の海である。汚れて冷たいそれは、トリガーコートの肌を刺激する。

 

 だが、だが。それでも、止まるわけにはいかぬ。

 トリガーコートは、オヒガンが吸い尽くされ、人間性の根幹たる想像力や認識能力が失われた世界から現れた異次元のニンジャだ。彼女のニンジャ細胞は、そのソウルとは無関係に動き続ける……いわば、ズンビー・ニンジャの一つの完成でもある。ソウルなくして駆動し続ける身体。

 

 こちら側の世界のオヒガンから流れ着き、彼女に憑依したニンジャソウルは、古代ローマカラテの使い手であった。得意とするは、ヤリ・ジツ。ピラムという投げヤリを扱うものだ。

 

 そして、トリガーコートの身体はおよそ五十メートルもある。カイジュウ・ニンジャクランが生み出したものを、更に巨大化させた……ウドの大木、そういっても過言ではない。そのような巨大なだけのニンジャに対抗できうるテックなど、山のように存在する。

 

 だが、その膂力だけは素晴らしいものだ。故に、彼女は、仲間のため……単身、ハワイを目指し、海底を潜航している。

 (ジャスティスホリック=サン、キャロルザパッチ=サン、マッドジャンク=サン、コープスソロリティ=サン……アタシ、やるよ。カツ・ワンソーを殺して、オヒガンが食い潰される未来を消し去るんだ)

 ハワイからの、128発の大陸弾道ピラム投擲によるキョート城の破壊。一人の狂人が到達した、ICBS(大陸間弾道スリケン)思想のある種の再現。それこそが、トリガーコートの役目であった。

 

 

 

 

Merry-go-round go-round

The glow of the neon light shines

The triple beat of the waltz

Children dancing cheerfully

 

 

 

 じ、と男は空を見た。

 夜空には厚く鼠色の雲が広がり、天を衝くような建造物と広告看板の蛍光が下品に乱れ散らかっている。「安い、安い、実際安い」「おマミ」「アカチャン、オッキクネ」などの、ネオサイタマ市民ならば見慣れたものであろう文章群。しかし、男は、驚愕の目線でそれらを見ていた。理由は単純、日本語として歪であるからだ。

 

 「ここが、徳川の威光すら届かぬ世界の在り方か」男は呻く。その身なりは、時代劇からそのまま出てきたかのような、不釣り合いなものであり、さらに男は帯刀していた。如何にこの都市の住民が異様なものに見慣れていようと、その男は明らかにおかしかった。世界観が違う、とでも言うべきか。

 

 「もし、そこの御仁」男は、不意にすれ違った若者に声を掛けた。若者の名前は銀一と云う。学習塾を抜け出て、遊戯場に向かう最中のことであった。

 「あっ、はい」狂人を見る目である。構わずに、男は問いかける。

 「拙者、霧島丹波守実継(きりしまたんばもりさねつぐ)と申すもの。安徳天皇が霊を慰めんがため、三種の神器を求め、光転移(たいむしふと)によってこの地に参った次第である。

 して、ここは何処か?」

 

 「えー、あー、ネオサイタマです」銀一は、目を逸らしながら答えた。狂いなど、この都市では珍しくもない。

 「では、ねおさいたまから京に至るには?」霧島は続ける。「……新幹線に乗っていけばいいと思います、それじゃ!」逃げるように銀一は去っていったが、しかし彼は追わなかった。

 

 「降りられよ」背後、高層建築物の上から見下ろす視線に、霧島は気付いていた。その存在は、そこから飛び降りようとして……見事に着地に失敗した。ぐわぁ、という呻き声。

 「貴様、何者だ!忍者ではないのか!?」足首を砕いた男……獅子(レオパルド)という名前の忍者であった……は悲鳴に近い声を上げた。彼の忍者としての半神的な能力が、突然にして霧散したが如き異常事態であった。

 

 「拙者、不毛な命の奪い合いはせぬ。さらば、さらば」霧島は、その獅子には目もくれずに、踵を返した。彼は、()である。侍とは即ち、胆にかの家康公が手懐けた特異点(シンギュラリティ)を埋め込んだ存在のことであり……忍者の半神性を掻き消す存在である。

 

 「しかし……」顎を掻きながら、霧島は独り呟いた。「新幹線とはいかなるものか」

 

 

 

The circus leaving tomorrow

People of town remains here

Let's lock up the sorrow into the tear of pierrot

 

 

 

 

 「だから、違うんですって!」

 キョート・リパブリック、アッパーガイオンの一角に立つソバ屋。一人の客とソバ屋の店主、ゼンダが口論を起こしていた。

 「お客さん、こんな古いコーベインなんか出されても困るんですよ!わかってくださいよ!」

 「どうして?……キッチリ500円よ。古いコーベインってどういうこと?」客……日焼けした若い女性は、訝しげにゼンダを見る。

 

 「これさ、2010年代のコーベインでしょ?2035年のキョート・リパブリックじゃあ流通してないものなんです」「ハァ?」女性は頭に手を当てた。「……アー、そういう事ね。時間転移したって訳……風魔忍軍め……ごめんなさい、店主さん。お代は払えないわ」

 

 「そんな、困りますよ」ゼンダは、チラリと彼の妻の方を見た。妻もまた、困った顔をしている。このような珍妙な客は、ネオサイタマならまだしも、アッパーガイオンでは非常に珍しい。

 

 「だから、出世払いってことで!」そう言い放つと、女性は店の前に出た。そこには、二人のニンジャが。

 「ドーモ、アノマロカリスです」「ドーモ、チェインボルトです」ティピカルニンジャと、オマツリ衣装めいた派手なサイバネニンジャ装束のニンジャである。「して、貴様は何者だ?モータルのようだが、しかしニンジャソウルを感じるぞ」チェインボルトのサイバネ兜が、『奇妙』のLED文字を照らし出した。

 

 「ほーう?アンタらがここらの風魔忍軍ってワケ?なら一つ聞きたいんだけど」言いながら、女は懐から何かを引っ張り出す。それは古びた巻物であった。「アイサツを返さぬか、無礼者めが!イヤーッ!」一方で女の無作法に怒ったチェインボルトは、腕からサイバネ高圧電流を発射!モータルならば惨死確実である!しかし、巻物が広がり、その雷撃を受け止めたのだ!「ナニッ!?」アノマロカリスが目を見張る!その勢いのまま巻物は展開し続け、女の身体を包み込む!ALAS!瞬間的にまばゆい光が放たれ、二忍は反射的に目を庇った!

 

 『サーチガイ!ザットガイ!サッツガーイ!』巻物……否!サツガイマキモジュールから音声が流れるとともに、女の身体には異様なカラテが漲り、そして天使の如き羽を背に持つ、中世ナイトめいた全身鎧を纏った姿に変貌していた!

 「ドーモ!令和・忍者ブレイカー、カノープス!コウ・リン!です!」KABOOOOM!更なる輝き!忍者ブレイカー・カノープスは、カブキめいて大見得を切る!

 「さて、改めて問いたいんだけど……マスラダ・カイという男を知っている?」

 

 

 

 

 

A circus came to town

The lonely town colored

A circus came to town

Also,a fantastic night begin!

 

 

 

 

 フジ・サン中腹。ネオサイタマ知事の秘書たるシバタ・ソウジロウが、私費を投じて極秘裏に建設した秘密天体観測施設。そこは、今やアビ・インフェルノ・ジゴクめいた有様となっていた。モータルの研究者はその殆どが発狂状態になり、ニンジャとて眼前に現れた宇宙的ニンジャ真実に恐怖し、怯えていた。

 ひとり、ただひとり、シバタ・ソウジロウのみが、宇宙望遠鏡『清涼院』が捉えた恐るべき光景に対し、深い憎悪の念でもって睨みつけていた。

 

 それは、木星の衛星軌道上に存在していた。四聖獣がひとつ、ドラゴンめいた外骨格を無数に結び付けて作り上げたかの如き歪な衛星は、胎児めいた形であり……ニンジャであった。その姿勢は、まさしくオジギのそれであったからだ。眼のように見える部分は、モニターを介して、シバタの事をしっかりと見つめていたのだ。探偵を名乗る奇妙な男がもたらした情報は、絶望的に正しかった。そして、更に悪いことに、その物体から観測された波長には、ニンジャのジツめいたものまでもが存在していた。この巨大ニンジャが、地球に対して何らかの干渉をしているのは、疑いようのない事であり……ALGOSとの連絡が途絶しているのもこれに一因がある、とシバタは推測していた。

 

 「か、解析成功しました」モータルの研究員が、半狂乱のありさまで、シバタに解析用紙を渡した。その物体から発されたガンマ線バーストには、一定の規則性があり……モールス信号であることが分かったのだ。

 『ド』『ー』『モ』『エ』『コ』『ー』『ズ』『デ』『ス』。シバタはその紙を握り潰す。

 「ドーモ、エコーズ=サン。アガメムノンです」そして、アイサツを返した。

 

 

 

 

 

 

惨劇の夜は終わり 哀れな走者は勢いづく

されど 錯乱は留められぬ 混沌(ケイオス)は止められぬ

街は崩れ 人は斃れ

無為がやってくる 残酷がやってくる

……そして そこに一片の涙もなし

 

 起の巻、おわり。翔の巻につづく。




やっと起が終わったぞ徳川君

ニンジャ名鑑を投稿したのち、翔の章に取り掛かります。コンゴトモヨロシク……

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