気づけばそこに立っていた 自分が何を言ってるのか全く理解できないがそれが現実であり我が身に起こった事実である
おかしい 確かに先ほどまではいつも通りの日常を送っていたはずだ いつも通りに悪人を懲らしめる依頼を受けいつも通りに悪行を重ねる馬鹿共を更生させるために愛剣を手に戦い数人を叩き切ったところで後ろから頭を勝ち割られ、その後何度か死んだり殺したりして...やはり何度思い出してもいつも通りだ
戦っている最中のことは覚えている だがその後の事は不思議なことに全く覚えていない 頭からすっぽり記憶が抜け落ちている 物理的にはいつものことだが記憶がどうこうは聞いたことがないし自分も初めてだ 確か戦っていた場所は暗い洞窟の中の盗賊のアジトだったはずだが ふと気づいた時には周りを草木で囲まれた森の中だ
どういうことだ?
頭を抱えたくなる気持ちを抑えながらどうしたものかと考える 普段そこまで物事を考えないのでどうにも頭が茹で上がっている気がする いくら考えても自分の一般より劣ったと考える頭で出る答えは無い
とりあえず歩こう、そうすれば何か分かることがあるかもしれない このまま見知らぬ場所 足りない頭で考えたところで答えが出るはずがない、動けば人なり生物なりに遭遇するだろう 考えることを辞め歩き出す
数分 見知らぬ森を観光気分で歩いていると少し離れたところから自分が最も聞いた そして許すことのできない人の叫び声 怒声が聞こえてきた勘違いであってほしいと思いながら声のほうに駆け出す、平和のために
成程、やはり見知らぬ土地であろうと人は変わらないようだ
目の前に広がる光景は数々の悪行の現場を見てそしてすべてを解決してきた自分にとってもそれは凄惨な光景だった
ズタボロにされたいかにも冒険者という格好の4人 一番前で仲間であろう3人をかばうように立っている男に至っては 顔がぼこぼこである それはもう本当にぼっこぼっこである 後ろの三人も腕があらぬ方向に曲がっていたり痣だらけだったりと目も当てられない状況だった
なんてひどい 荒事の現場に慣れている自分でも思わず顔をしかめてうわぁ…ともらしてしまうほどだ 自分のいた土地でもここまでする奴はいないだろう 自分のいた土地も治安が悪いといわれていたが世の中上には上があるとはこういうことか
この惨状はいかにも盗賊といった格好をしている8人の集団がやったのだろう
これ以上は見ていられない また襲い掛かろうとしてる集団の先頭にいた他に比べいい装備を付けている恐らくリーダー格であろう奴の前に飛び出てその手に持つ短刀を自分の愛剣ではじく
「!? 誰だお前! こいつらの仲間か?!」
その言葉を無視して改めて盗賊(仮)の獲物を見る 見た目は完全に短剣だしかし刃となる部分が潰され刃物としての意味をなくしている あれでは鈍器のような使い方しかできないだろう 用途は拷問用?痛めつける様か? なんておぞましい武器だ、彼はどうやら異常者ともいえるほど精神が病んでいるようだもしくは破綻者か あのような拷問まがいのことをする奴は自分は聞いたことがない 彼らにはいったん死・ん・で・も・ら・い・その後に話をしよう なに、精神が通常と判断できるまで何度でも付き合うし今までもそうしてきた
「無視してんじゃねぇ!俺は天下の大盗賊!グ」
名前は後で聞くので今はいったん退場願おう リーダー格の首を一太刀で撥ね返す刀で近くで呆然としていた下っ端1 2の首を撥ねる
どうしたことか周りの反応がおかしいなぜここまで呆けているのか まるで首が飛ぶのを見たことがないような反応だ 少し疑問に思いながら呆然として動けないでいる残りの首も撥ねる
やることも終わったしこれでようやく話を聞けると思い笑顔で後ろの4人に話しかけようと振り向くと何故か全員が意識を失っていた
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