閃乱ジード   作:BREAKERZ

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第三章スタート。

ヒロインは柳生。


ティーチャーゼロ
現れたぜ、ゼロ!


~宇宙空間~

 

理巧達のいる地球近くの宙域の空間にトンネルのような『穴』が開くと、そこから一人のウルトラマンが現れた。

顔から胸まで銀色のプロテクターが覆っていき、残る腕と胸から下の赤と青と銀のハイブリッドカラーの体色。頭には二本の刃を付けたウルトラマン。

 

『無限の可能性を秘めたウルトラ戦士』ーーー『ウルトラマンゼロ』だ。

 

ウルトラマンゼロは、かつて平行世界の銀河で帝国を作り、カイザーとして君臨していたベリアルとの戦いで、『ウルトラマンノア』から授けられた白銀の鎧・『ウルティメイトイージス』で時空を越え、あらゆる平行世界に赴く事ができる。

 

『ぐっ! ああ・・・・っ!』

 

だが、実は別の平行世界では『クライシス・インパクト』から、それほどの時が流れてはおらず、ゼロも『ウルティメイトイージス』も、まだ『クライシス・インパクト』の時の戦闘の傷が完治していなかった。

『ウルティメイトイージス』は鎧からゼロの左手首に装着されたブレスレットに戻り、故障したのか火花が散っていた。

 

『ありがとよ、ウルティメイトイージス。調子が戻ったらその内直してやるからな・・・・』

 

ゼロの脳裏に、“この銀河では十数年前に起きた『クライシス・インパクト』”の情景が浮かんだ。

 

 

* * *

 

 

ウルトラマンゼロの不倶戴天の宿敵、ウルトラマンベリアルがこの平行世界の地球で猛威を奮っていた。

ゼロと父である『ウルトラセブン』。

セブンの弟子でゼロの師匠である『ウルトラマンレオ』と弟の『アストラ』。

光の国の筆頭教官『ウルトラマンタロウ』。

同じく光の国の教官『ウルトラマン80<エイティ>』。

そして光の国のウルトラ戦士候補生達(カラータイマーを持っていない)が燃え盛る炎に包まれた地球の街でベリアルの戦っていた。

他のウルトラ戦士達は、ベリアルの直属の配下である『ダークネスファイブ』と交戦しており、この宇宙の地球に来られなかった。

 

【『超時空消滅弾』、起動!】

 

【なにっ!?】

 

【ハァッ!!】

 

ベリアルが金棒状の武器・『ギガバトルナイザー』を天に突き出すと、巨大な爆弾、『超時空消滅弾』を召喚した。

 

【フハハハハハハハハハハハハハハ! 精々足掻くが良い! アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!】

 

そう言ってベリアルは、燃え盛る炎の中に消えた。

ようやく駆けつけた他のウルトラ戦士達に救出されたゼロ達は、成す術もなく地球から脱出すると、地球がひび割れて爆散する姿を見る事しか出来なかった。

 

【何とかしないと!】

 

【行くな!・・・・この宇宙は、もうもたない・・・・!】

 

【親父・・・・そんな・・・・!】

 

そしてゼロ達の目の前で、地球は砕け散り、そこから生まれた時空断層に、宇宙全体を消滅しかけた。

 

 

* * *

 

 

ゼロは光の国・M78星雲のウルトラ戦士達にとって、最大の屈辱的敗北の事件である『クライシス・インパクト』の時に爆裂した筈の地球に目を向けて呟く。

 

『この平行宇宙では、あれから少し時間が経ったみてぇだ・・・・。“キングのジーさん”、久しぶりだな。俺の声が聞こえているか?』

 

 

 

ー霧夜sideー

 

そして今、逃げ惑う人達の波から、近くビルの壁に映し出されたニュース速報が放送されていた。

 

《現在台東区で巨人同士の戦闘が行われています! 皆さん、慌てず、速やかに避難してください》

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ニュースから放送を聞き流しながら、半蔵学院忍び兼教諭・霧夜先生は、眼前に繰り広げられる巨人達の戦いを見据えていた。

 

『シャァッ!』

 

『ーーー』

 

片方は、最近現れる怪獣達と戦っている『クライシス・インパクトの元凶』とされている、ウルトラマンベリアルに似た巨人、『ウルトラマンジード』。

そのジードと相対しているのは、ブロンズと黒の体色、赤いゴーグルの中心にある単眼の目をし、胸にはカラータイマーを付けた、頭には二つの刃を付けたウルトラマンに良く似た巨人、『ダークロプスゼロ』だった。

 

『シャアっ!』

 

『ーーー!』

 

ジードがダークロプスゼロの拳が顔に当たるギリギリでかわし、カウンターでダークロプスゼロのプロテクターに拳を叩きつけるが・・・・。

 

『グゥッ!(痛って。なんて硬い身体だ・・・・!)』

 

『ーーー!』

 

あまりの防御力に後ろに下がるジード、ダークロプスゼロがジードに向かって、人差し指を立てて、クイックイッと動かし、かかってこいと挑発する。

 

『(見え透いた挑発だが・・・・)シャアっ!』

 

ジードが蹴りを繰り出すと、ダークロプスゼロは足を上げて防ぎ、ジードが拳を繰り出すとその拳を払う。

 

『(っ! こっちの動きが読まれ始めたか・・・・!)』

 

対峙して分かったが、ダークロプスゼロは格闘能力に優れているとジードも見抜き、一気に片をつけないとこっちの動きを完全に読まれて不利になると理解した。

 

『ーーー!』

 

『クッ! ウワアッ!』

 

ダークロプスゼロが蹴りを放つが、ジードは腕を交差して防ぐが、蹴りの威力に押し飛ばされ、体制を崩す。

 

『ーーー!』

 

ダークロプスゼロは体制が崩れたジードの一瞬の隙を見逃さず、ゴーグルが赤く発光し、ゴーグルから発射される破壊光線・『ダークロプスメイザー』を放った。

 

『(しまった!)グワァアアアアアアアアッ!!!』

 

ジードは『ダークロプスメイザー』をマトモに浴びてしまい、仰向けに盛大に倒れ、アスファルトを砕いて巻き散らかした。

 

ピコンッ! ピコンッ! ピコンッ!

 

カラータイマーが赤く点滅し、タイムリミットを告げる警告音が鳴り響いた。

 

『ーーー!』

 

ダークロプスゼロは、頭の二本の刃・『ダークロプスゼロスラッガー』を持ってジードにとどめを刺そうと構えようとした、次の瞬間ーーーーーー。

 

『デャッ!』

 

ダークロプスゼロの後ろに、ダークロプスゼロと似た姿をした巨人が空から着地した。

 

『(なんだ?)』

 

ダークロプスゼロと違い、身体は赤と青と銀のハイブリッドカラーをしたウルトラ戦士、ウルトラマンゼロだ。

 

『っーーー!』

 

ダークロプスゼロは、ウルトラマンゼロに向き直り。ゼロもヨロヨロと立ち上がりながら、かつて戦った強敵、ダークロプスゼロを睨む。

 

『なんでテメェがいる・・・・! ベリアルは生きているのかっ!?』

 

『ーーー!』

 

『シュッ!』

 

ダークロプスゼロは『ダークロプスゼロスラッガー』を構えてゼロに切りかかるが、ゼロはその攻撃を防ぎ、かわし、カウンターで回し蹴りを浴びせた。

 

『シュアッ!』

 

『ーーー!』

 

ダークロプスゼロは、右腕をグッと腰に構え、左腕を横に伸ばしてL字のに構えて放つ紫色の必殺光線・『ダークロプスゼロショット』を放つが・・・・。

 

『シッ! 『ワイドゼロショット』っ!!』

 

ゼロも同じ構えからエメラルドグリーンの『ワイドゼロショット』を放ち、両者の必殺光線がぶつかり合い、一瞬拮抗するが、すぐにゼロの『ワイドゼロショット』が押して、ダークロプスゼロに当たった。

 

『ーーー!』

 

ダークロプスゼロは戦況が不利と思ったのか、ゼロに背中を見せて空高く飛び去っていった。

 

『アッ、グゥッ! いつもなら余裕なんだが・・・・!』

 

追いかけたくても、本調子でないゼロは追撃を諦めた。

 

『クッ! ウゥッ!』

 

『おい、大丈夫か・・・・?』

 

すると、ジードが顔をうつむかせながら起き上がろうとしており、ゼロが近づこうとする。

 

『ウッ、ああ・・・・』

 

『ッ!?? その目は・・・・!』

 

顔を上げたジードの顔を見て、ゼロは戦慄する。何故なら、ジードのその目は、ゼロの『永遠にして宿命のライバル』、ウルトラマンベリアルと同じだったからだ。

 

『ベリアル・・・・! いや・・・・』

 

『っ! ア、アンタは、知っているのか? ベリアル、を・・・・うっ・・・・!』

 

だが、立ち上がろうとするジードは、タイムリミットが来たのか、後ろに倒れるようにその姿を水色と紫の光に包まれ、消えた。

 

『あっ、おい待てっ!』

 

ゼロはジードが倒れた先を見ると、緋色の髪と瞳をした少年・暁月理巧が倒れていた。

 

『お前が、今のウルトラマンなのか?』

 

「・・・・・・・・」

 

「理巧君っ!」

 

『理巧っ! 大丈夫?!』

 

起き上がろうとする理巧に、雲雀とペガに手を貸されて起き上がった。

 

『・・・・仲間がいるのか?』

 

ゼロは、地球人の雲雀とペガッサ星人のペガに目を向ける。

 

『ね! 行こう!』

 

「あぁ・・・・雲雀ちゃん」

 

「う、うん・・・・!」

 

理巧達は急いでその場所を離れた。

 

『・・・・・・・・』

 

ゼロは理巧達を見据えると不意に、ビキビキッ!と建物が崩れる音が響き、そこに目を向けると、ゼロの左右にある二つのビルが崩れた。

 

『っ!』

 

 

 

ー霧夜sideー

 

霧夜先生は、自分がいる場所の近くのビルの一部が崩れ、少し大きめの破片が、避難しようとしていた黒の長髪に、天辺がパイナップルのように髪を結わえた小学生位の少女の頭上に落ちていく姿を捉えた。

 

「危ないっ!」

 

「きゃっ!」

 

忍びである霧夜は、その健脚で少女に近づき、突き飛ばすが・・・・。

 

ガシャァアンッ!

 

霧夜の回避が僅かに遅れ、霧夜は破片に押し潰されてしまった。

 

 

ー???sideー

 

そしてもう1つのビルでも、1人の少女の上に二メートル位の大きさの破片が落ちてきた。

 

「っ!!」

 

少女は咄嗟に破片に向けて手を伸ばすと、“少女の手から障壁が現れて破片を防いだ”。

 

「?!」

 

少女は自分の手を見て愕然となるが、少女が破片から離れようとすると“障壁”も動き破片から離れた。

 

「・・・・・・・・」

 

その少女は、“眼帯に隠されていない方の目”で、自分の手を呆然と見つめていた。

 

 

 

ー理巧sideー

 

《データベースを参照しました。後から現れた巨人の名前は『ウルトラマンゼロ』。ベリアルと敵対するウルトラの星の戦士で、ベリアルの永遠のライバルとも呼ばれています》

 

レムからの報告を、ソファーに座っている雲雀に膝枕してもらいながら横になり、氷袋を額に当てていた理巧と、ソファー近くで座っていたペガが聞いていた。

 

「ベリアルの永遠のライバルなんだね、あのウルトラマンさん」

 

「ウルトラの戦士って事は、僕を捕まえに来たのか・・・・?」

 

「えっ? なんで?」

 

「ベリアルの息子だから、かな?」

 

「でも、理巧君はベリアルって悪いウルトラマンさんとは違うよ」

 

「でも、ウルトラマンゼロがそう思ってくれるかな?」

 

雲雀も理巧がウルトラマンベリアルと、“遺伝子上の親子”である事は聞いていたが、ペガと同じように、「理巧君は理巧君!」と言って気にしなかった。

 

『あっ、あれは? ウルトラマンゼロに似てる。親戚かな?』

 

話を変えようと、ペガが交戦していた巨人の方をレムに聞く。

 

《『ダークロプスゼロ』。かつて、ゼロを模して造られた、ロボット兵器です》

 

「通りで硬いと思った」

 

「どうするの理巧君? あのウルトラマンさんのコピーのロボットなら、凄く強い筈だよ?」

 

雲雀が少し不安そうに、膝枕した理巧を見下ろそうとする。が、80センチのCカップが邪魔で見辛そうであった。

 

「・・・・・・・・見方を変えればさ。これからはあのウルトラマンゼロってヤツが戦ってくれるから、僕がジードにならなくて済むって事だよね?」

 

「えぇっ!? 理巧君、もうジードにはならないのっ!?」

 

「元々ジードには成り行きで変身して戦っていたようなものだからね」

 

「そんなの駄目だよ! 理巧君が今まで戦ってきたのに、途中で投げ出すなんて!」

 

ウルトラマンに興味が無い理巧は、これ幸いとゼロに任せる気だったが、雲雀は理巧、ジードをヒーローと思っているのようで、理巧がジードをやめようとするのを反対する。

 

「ま、あのダークロプスゼロってヤツは格闘能力もさることながら、技もかなり多彩のようだ。今のままじゃ、どうする事もできないから、とりあえず寝る」

 

「ムゥ~!」

 

『ヤレヤレ・・・・』

 

ダークロプスゼロとジードの戦闘力は互角。だがあの頑強な装甲を破るパワーが無いジードでは勝てないと、理巧は早々に理解し、そのまま眠ってしまった。

雲雀は眠る理巧の顔を頬をプゥッと膨らませ、ペガは理巧の様子に肩をすくませるが、すぐに内職に取りかかった。

 

 

ー霧夜sideー

 

病院に担ぎ込まれた霧夜は、生死の境をさ迷っていた。周りでは医師や看護師達がストレッチャーに横たわる霧夜に呼び掛けていた。

すぐに手術室に入れられ、医師達が準備を進めて霧夜から離れると、横たわる霧夜の上に、“光”が現れ、ウルトラマンゼロの姿となった。姿は緑色のオーラに包まれた半透明状態、地球上で3分しか活動できないウルトラマンの少エネルギー状態だ。

 

『見てたぞ。アンタは自分の身を犠牲にして女の子を助けた。このまま死なせるのは惜しいオッサンだ。ちょうど俺も本調子じゃねえからな。少しの間、アンタの身体に居させて貰うぜ』

 

そう言って、ゼロの姿は霧夜の身体に重なるように倒れ、霧夜と一体になった。

 

「ん? んん??」

 

手術を始めようと準備していた医師達は、突然目を覚まして起き上がった霧夜を見て、騒然となった。

 

「不味い!」

 

忍びとして目立つのは良くないと思った霧夜は、すぐに手術室を抜け出して、病院から立ち去った。

 

「とりあえず鷹丸達に連絡を・・・・ん?」

 

病院から離れた霧夜は、“理巧の育ての親達”に連絡しようと懐をまさぐると、見覚えの無い物を取り出した。

曲線的で赤、青、銀のカラーリングがされ、額部分にはビームランプと思われるパーツがあるゴーグルのようなデザインの『ウルトラゼロアイNEO』。

 

「こんな妙な物を、持っていたか?」

 

≪妙な物ってなんだよ。それは俺にとって大事な物なんだぜ≫

 

「っ!」

 

突然頭に響いた声に霧夜は周囲を見渡すが、誰もいなかった。

 

「誰だ・・・・」

 

≪誰だとはご挨拶だなオッサン。一応アンタの命の恩人なんだぜ、俺はよ≫

 

「っ、まさか、俺の中から聞こえるのか?」

 

周囲に誰もいなく、耳ではなく頭に響いている声に、霧夜は戸惑いがちに口を開くと、声の主、ウルトラマンゼロは感心したような声を上げた。

 

≪結構勘が良いな、俺はゼロ。ウルトラマンゼロだ。瀕死の重症だったアンタを助ける為に、身体を一体化させたんだ。ついでに俺も、前の戦いで深いダメージを負っちまってな、まだ治っていない。アンタの身体に入らなければ、俺はこの惑星で長時間の活動ができないんだ。あぁだからそのつまり、お互いにウィンウィンの関係で、今はアンタの身体を借りている≫

 

ゼロの説明を聞いて、霧夜は一瞬戸惑うが、すぐに気持ちを切り替える。

 

「・・・・お前は、先ほどの巨人の一体か?」

 

≪ああ。途中で見慣れないウルトラマンと、ダークロプスゼロの戦いに参戦したのが俺だ≫

 

「・・・・ウルトラマンゼロ。ウワサに聞いたウルトラマンベリアルの永遠のライバルか?」

 

≪まぁな。・・・・ん? ウワサに聞いたって、おいオッサン≫

 

「オッサンではない。俺の名は霧夜だ」

 

≪んじゃ霧夜さんよ。なんでアンタは、“ウルトラマンを知っている?”≫

 

会話の中にあった不可解な単語に、ゼロは声を上げる。この平行世界の地球は、まだ異星人と交流が盛んに行われている訳でもないし、当然ウルトラマンの存在も知らない筈、なのに何故この男性はウルトラマンの事を知っていたのか。

 

「フッ、合縁奇縁とはまさにこの事だな。ゼロ。これからお前を、“ある組織”に合わせる」

 

≪“ある組織”?≫

 

「そうだ。おそらくお前がこの地球で活動する為にも、協力を仰いでおいて損は無い筈だ」

 

≪(ひょっとしたら俺は、運良く協力者を得たのかも知れねぇな)・・・・分かった、霧夜さんよ≫

 

「霧夜で良い。お互いこれからは持ちつ持たれずの関係だからな」

 

≪分かったぜ“霧夜”。それで、その“組織”の名称は?≫

 

「『クライシス・インパクト』後の宇宙の治安維持の為に結成された宇宙人による連合組織、その名も、『AIB』だ」

 




はい、ゼロ登場。ゼロと一体となった霧夜先生。中の人的に霧夜先生が適任と思いました。
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