ーゼロビヨンドsideー
『この!!』
ダダ星人が乗るレギオノイド・ダダ・カスタマイズの両腕がドリルになると、ソコから螺旋回転する光線を放つ。
『うおっとぉ!!』
ゼロビヨンドはギリギリで回避した。
『ーーーー宇宙‹そら›で勝負を付けてやる! こい!!』
「くっ! 待て! セイッ!」
空を飛んでいったレギオノイド・ダダ・カスタマイズを追って、ゼロビヨンドも飛んでいった。
ー伏井出ケイsideー
自分を助けてくれた女性に連れられ、車に揺られながら辿り着いたのは、山中にある一軒家であった。
女性は「自分の仕事場」と言い、自分は手を引っ張られながら移動し、女性の仕事場へと連れられ、椅子に座り、コーヒーを淹れてくれている女性の背中を見てから、部屋の壁には新聞記事が貼られていた。
ーーーー『人気小説家脱税』。
ーーーー『危険薬物の売買』。
ーーーー『“伏井出ケイ” 謎の人気作家を追え』。
と、自分の顔写真が載った新聞記事が大きく張られていた。
そして近くにある卓上ミラーで自分の顔を見ると、写真の人物に瓜二つであり、困惑したように顔に手を触れた。すると、女性が声を発した。
「ーーーーソレはアナタの写真」
「えっ・・・・?」
「アナタは『伏井出ケイ』。突然彗星のごとく現れた経歴不明のSF作家。地位と名誉を手に入れ、人気の絶頂にありながらある日・・・・『犯罪者』として指名手配されている」
女性は『伏井出ケイ』の事を説明すると、伏井出ケイ?の脳裏に、『記憶』がよぎった瞬間、鈍痛が頭を襲った。
「・・・・ぐっ・・・・!!」
伏井出ケイ?が、両手で頭を押さえると、服から鉄製のチェスの駒が音を立て床に落ちた。
女性はソレに構わず伏井出ケイ?に囁くように話しかけ続ける。
「ある日突然にアナタは転落した。知的で優雅で上品だった先生が、今はもう見る影もない。どうしてそんな事になったの?」
「・・・・分からない・・・・! 君は、誰・・・・?」
伏井出ケイ?が問うと、女性は自己紹介を始めた。
「私は『石刈アリエ』。ノンフィクションライターよ」
女性、石刈アリエは自分の紹介がされたポスターを伏井出ケイ?に見せた。
「(・・・・・・・・フルフルっ)」
しかし、伏井出ケイ?は首を小さく横に振ってから、顔を石刈アリエから背けた。
ーーーーそれは、自分は何も知らないと必死に訴えいるかのように。
「ーーーーあっそう。まぁ良いわ。この私の仕事場は山中だから滅多に人は来ないの。安心して」
そう言って、石刈アリエは座ったまま怯えている伏井出ケイ?に視線を合わせるように腰を落として問いかける。
「!」
「単刀直入に言う。アナタの身に起こった事を本にしたいの。話を聞かせて」
「・・・・・・・・本に・・・・?」
「アナタの事をただの『悪者』に仕立て上げるつもりはない。アレだけの成功を収めた人だもの。きっと何か『理由』がある。その『理由』を掘り下げて、“アナタの事を庇う”ーーーーとまでは言わない。でも、『真実』に光を充て、世に問いたいの。本を出すまで・・・・ううん、本を出した後も、アナタの事を守るから!」
「・・・・・・・・・・・・」
伏井出ケイ?は、石刈アリエの言葉を聞きながら、床に落ちた『チェスの駒』をチラッと見た。
ー理巧sideー
伏井出ケイに逃げられてしまった理巧達は、捜索を鷹丸とゼナ、そして後からやって来たナリカとスバルに任せ、ハルカが事情説明をしてくれると言い、一度秘密基地に戻り、他の皆も全員集まった。
伏井出ケイの発見を聞き、驚く者、戦慄する者、顔を顰める者と、各々色々な反応を示したが『焔紅蓮隊』と『月閃女学館』のメンバーは特に物騒な気配を纏っていた。道元を使って自分達をコケにし、雪泉達は敬愛する祖父・黒影を弄んだ怨敵が生きていたのだから、当然とも言えるのだが。
そしてハルカが、〈AIB〉の調査記録映像をレムに渡し、ソレを空中ディスプレイに表示させた。日付は理巧が『ウルトラマンジード・ロイヤルメガマスター』となり、『ウルトラマンベリアル・キメラベロス』を撃破した日から翌日とあり、防護服とマスクで全身を覆った調査員が、煙を出して地面に落下していた『怪獣カプセル』を発見した様子であった。
「レム。この『怪獣カプセル』に表示されているのは?」
『かつて、ウルトラマンゼロ達、『『光の国』のウルトラマン達の宇宙』で、宇宙規模の戦争を引き起こし、『光の国』のウルトラマンやその宇宙の悪党宇宙人や怪獣達を『スパークドールズ』に変え、最後は『ウルトラマンギンガ』と『ウルトラマンビクトリー』によって倒された『暗黒の魔神 ダークルギエル』です』
「この他にも、『『光の国』の宇宙』でウルトラマン達の最大の宿敵『暗黒宇宙大皇帝 エンペラ星人』の『怪獣カプセル』が回収されました」
「『暗黒の魔神』とか『暗黒宇宙大皇帝』とか、仰々しい名前だぜ・・・・」
「しかし、そう呼称されると言う事は、そう言われる程の力を有していると言う事ですね?」
「そんな奴等の『怪獣カプセル』だ。恐らく、ウルトラマンベリアルに匹敵するかそれ以上の危険性があると見て、間違いないだろうな・・・・」
焔と雪泉と雅緋が、表示された二つの『怪獣カプセル』を見据えてそう言った。
「理巧くんがベリアルを倒した際、『怪獣カプセル』が飛び散ったんです。幾つかの怪獣や悪党宇宙人のカプセルは回収し、先程、『ダークルギエル』と『エンペラ星人』のカプセルを鷹丸様達が回収しましたが、〈AIB〉の本部に保管しているこの二つのカプセルを狙って、『宇宙マフィア』や『宇宙ギャング』と言った犯罪組織が、本部に色々な形、ハッキングや潜入等でアタックを繰り返しているのです」
「えっ? 何でなんですか?」
「伏井出ケイのように、ベリアルの隠れた配下が動いているのですか?」
雲雀と夜桜が問うと、ハルカはやれやれと言わんばかりに肩を落として話し出す。
「ーーーー恐らく、この二つのカプセルに宿っている強大な力を使って、宇宙を支配する為でしょう」
『支配って・・・・ベリアルは倒されたのに!』
「悪党宇宙人達にとって、ベリアルは『恐怖の象徴』でもあると同時な、『強力な抑止力』でもあった。そのベリアルが倒されたから、今度は自分達がベリアルの『後釜』を狙っているのね」
「まるで死肉を食らうカラスかハイエナのようだな」
ハルカの言葉にペガは驚き、春花と叢がそう言うと、忌夢が気づいたように声を発した。
「それじゃ、さっき襲い掛かってきたレギオノイドは!?」
「ベリアルの配下である伏井出ケイを倒し、彼の持つ『怪獣カプセル』と『ライザー』と『コピークリスタル』を手に入れて、ベリアルの座を奪おうとしていると考えられます」
『・・・・・・・・・・・・』
ハルカの説明に、その場にいた全員が沈黙してしまう。まさかベリアルが倒された事で、ソレまで水面下で大人しくしていた犯罪者宇宙人達が、自分達の預かり知らぬ所で暗躍をしていたのだから。
「・・・・新たな火種が燻っているのです。本来ならば理巧くんを巻き込みたくはないのですが、理巧くんの力が必要になるかも知れません。情けないですが、まだ忍学生である皆さんにも、協力を要請しなければならないでしょう。今や理巧くんも、犯罪者宇宙人達にとって、『ベリアルを倒したウルトラマン』として、賞金が出ている程ですから」
「(・・・・以前会ったメトロン星人もそんな事を言っていたな) 僕も無関係って訳じゃないし。何より、鷹丸さん達からの要請なら、協力は惜しみません」
「わたくし達、半蔵学院もですわ。理巧くんは大切な仲間ですから、お力になりますわ!」
「わたし達紅蓮隊もだ。ベリアルにビビっていた腰抜け共なんかに、デカい顔なんてさせるかよ!」
「我々蛇女もだ。元々伏井出ケイには数々の『借り』があるからな。たっぷりと『利子』を付けて返してやらねば気が済まん!」
「伏井出ケイの事に関しては、私達月閃女学館もです。勿論、この地球に災いをもたらそうとする悪の宇宙人達にも、私達も立ち向かいます!」
理巧が、斑鳩が、焔が、雅緋が、雪泉がそう言うと、ハルカはコクリと笑みを浮かべて頷いた。
「それでレム。ゼロと霧夜先生は見つかったのか?」
柳生がレギオノイド・ダダ・カスタマイズと共に地球圏外で戦っている事を聞く。空中ディスプレイに表示されたレーダーでは、既に位置は特定できていた。
『戦闘中のようです』
「大丈夫かな・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・」
雲雀が心配そうに呟き、基地の壁に寄りかかった飛鳥は、何処か心ここにあらずの様子であった。
「あーちゃん」
「っ、りっくん・・・・」
「何悩んでいるの?」
「えっと・・・・その・・・・」
「・・・・当ててやろうか? 伏井出ケイの事は、なるべく穏便なやり方で片付けたいと思っているんでしょう? できれば話し合いで」
「うっ・・・・・・・・うん・・・・」
理巧の言葉が図星だったのか、飛鳥は小さく息を詰まらせ、半蔵学院の仲間達や、焔達紅蓮隊、雪泉達月閃女学館、雅緋達新蛇女選抜チーム、更にはハルカやペガやレムからもジトーっ、とした目で見据えられて、飛鳥は観念したように頷いた。
『・・・・はぁ~・・・・』
すると、他の忍の仲間達の大半が、心底呆れたようなため息を吐いて、葛城がシュンッと飛鳥の背後に回ると、飛鳥の豊満なバストをムニュンっと、揉みだした。
「ひゃんっ!」
「このアホタレ! この90センチのFカップに、脳ミソに回る栄養まで取られてんのかい!?」
「ちょっ、ちょっと葛姐ぇ!」
「ーーーー飛鳥、お前忘れたのか? あのクソ野郎がしてきた数々の悪行をよぉ?」
「っ!」
胸を揉む手を緩めないが、その声は葛城にしては珍しく、酷く真面目な口調に、思わず飛鳥は声を詰まらせた。
「あのクソ野郎は、ゼロを始末するって理由の為に、アタイらとは何の関係もない人達を危険に晒しやがった」
「更に言えば、奴はわたくし達を動きを封じる為に、狙撃手‹スナイパー›を雇って、子供や一般人を狙って狙撃させようとしました」
葛城だけでなく、斑鳩も呆れ半分と怒り半分の語調で、飛鳥に話しかける。
「私達蛇女をタイラントとコピークリスタルの実験の為に利用し、蛇女の学校を壊滅させた」
「私達のお祖父様、黒影すらも利用した。紳士の仮面を着けた最低最悪の悪魔のような、いえ、悪魔そのものの唾棄すべき悪」
「コレまでの怪獣騒動の八割以上が、奴が引き起こして来たのだろう? ソレも、崇拝するウルトラマンベリアルの為に。そんな奴が、『話し合い』に応じるような人間か?」
「・・・・・・・・・・・・」
飛鳥は焔や雪泉や雅緋の言葉を聞いて、伏井出ケイのコレまでやって来た数々の所業を思い出していた。僅かでも『罪の意識』や『ベリアルに命令されたから』と言うやむを得ない理由があるのであれば、まだ擁護しようと思えるだろうが。
飛鳥の脳裏に、残虐に無情に冷酷に、そしてコチラを心底見下して、狂気に染まった目をしながら、狂ったように哄笑をあげる伏井出ケイの貌と声と姿が鮮明に、鮮烈に思い浮かんだ。
「ボクは実際に奴と対峙し、戦ってきたからこそ分かる。奴はベリアルを『崇拝』、いや、アレは最早『狂信』のレベルだな。そして、僕の事は心の底の底から、嫌悪と憎悪と殺意を抱いている。そんな相手が、自分の狂信対象であるベリアルを倒したとあったら・・・・」
「・・・・そう言うタイプは、奪った相手を絶対に許さないでしょうね。ソレこそ・・・・世界を破壊し尽くしても、有り余る程の『憎しみ』を以て『狂気』に走るでしょう」
理巧と、経験豊富なハルカが断言するように言った。
「飛鳥。人を信じる心は立派だが、奴がソレを向けられる人間だとは、俺には思えない」
「雲雀、あの人の事は恐いし嫌いだよ・・・・! いつも酷くて卑怯な事ばかりしてきて・・・・!」
「自分の目的、ウルトラマンベリアルの為なら、あの男は人の命を奪うのに、欠片も躊躇しないでしょう。ソレこそ、嗤いながら真綿で首を絞めて嬲り殺しにする危険性すらあります」
「アタイらは『忍』だ。時には感情という心を刃に潜めて、忍務にあたらなければならないんじゃあねぇのか?」
「・・・・・・・・・・・・」
柳生に雲雀、斑鳩に葛城からも言われ、飛鳥は押し黙ってしまう。
「私達『忍』。時に心を鬼にしなければならなければ、自分だけではなく、『家族』や『仲間』を危険に晒してしまいます」
ハルカからも言われ、飛鳥は黙ってしまうが、ソレでも顔は納得していない事が丸分かりであった。
「・・・・だから、伏井出ケイを見つけて、もう一度奴を見定めてみよう」
「えっ?」
仕方ないと言わんばかりに、理巧が話し出した。
「奴が『話し合い』に、『信じる』に値する人間かどうか、奴を見つけて見極める。ソレなら、あーちゃんも納得できる?」
「りっくん・・・・うん!」
「でも、忘れないで。奴が、“そうじゃなかったら躊躇しないでやる”って事を。ボク達の判断の誤りが、多くの人達の生命を危険に晒してしまうって事を」
「っ・・・・うん!」
理巧の緋色の瞳に宿る力強い『覚悟』の光を見て、一瞬言葉を詰まらせるが、飛鳥は力強く頷いてみせた。
ーゼロsideー
そして、地球圏外でレギオノイド・ダダ・カスタマイズと交戦しているゼロビヨンドは・・・・。
『これでもーーーー喰らえ! 『レギオビーム』!!』
『『エメリウムスラッシュ』!!』
レギオノイド・ダダ・カスタマイズが目から光線を放つと、ゼロビヨンドは額から光線を放って相殺した。
『これならばどうだ!!』
次に、レギオノイド・ダダ・カスタマイズの身体から、無数のミサイルが発射された。
『フン!』
が、ゼロビヨンドは4つのゼロスラッガーを巧みに操作してミサイルを撃破し、宇宙空間にいくつもの小さな爆発を炸裂させていく。
『ーーーー中々やるな』
『「無理をするなゼロ。いくら宇宙空間なら地球にいるよりもエネルギー消費の心配がないからって、いい加減エネルギーを使い過ぎだ。一旦退却するんだ!」』
一体化しているからこそ、霧夜先生は分かってしまうのだ。ウルトラマンゼロはまだまだ本調子ではなく、エネルギーも消費している事に。
『だが、このまま退く事はできない! 奴の目的が伏井出ケイならば、理巧達の邪魔になる! せめて理巧達が奴を捕らえるまでの時間を稼ぐ!』
そう。ゼロビヨンドも無謀に戦っている訳では無かったのだ。
『フンっ!』
ゼロビヨンドがレギオノイド・ダダ・カスタマイズに肉薄し、その機体て組み合うと、レギオノイド・ダダ・カスタマイズを盾にして、地球に向かって落下していく。
『霧夜! 落ちるぞ!!』
『「なんと!?」』
そしてそのまま、大気の摩擦熱に二人の巨体が包まれ、赤く染まっていくが、ゼロビヨンドはレギオノイド・ダダ・カスタマイズを盾にして無事である。
『ここでやられる訳にはイカン!』
コックピットに乗っているダダもまた、摩擦熱で燃え尽きないように、レギオノイド・ダダ・カスタマイズの冷却装置をフル稼働させた。
飛鳥は忍に向かない所は、『人を簡単に信用しすぎる所』ですね。人間としては美点ですが、忍としては致命的欠点です。