ー伏井出ケイsideー
伏井出ケイは、石刈アリエと名乗る女性の申し出を受けて、覚えている限りの事をポツポツと話し出した。
「ーーーー『空っぽ』だった。ソレを『誰か』が満たしてくれた。なのに、『その人』を思い出せない・・・・!」
「アナタが忘れている事は、アナタに掛けられた容疑に関わる事なのかも知れない。思い出して」
「・・・・・・・・(フルフルっ)」
椅子に座る伏井出ケイの両肩に手を置いて優しく呟く石刈アリエ。しかし、伏井出ケイは顔を俯かせて首を横に振った。
「嫌なの?」
「・・・・恐い・・・・! 思い出すのが恐い・・・・!!」
すっかり怯えきっている伏井出ケイを見て、石刈アリエは何かを察したように話す。
「・・・・“記憶を封印したのね”」
「え?」
「辛い経験をすると、心が壊れないように、記憶を封じる事がある。今のアナタは、きっとそういう状態」
優しく諭す石刈アリエに、伏井出ケイは顔を上げて振り向くと、石刈アリエは跪いて、顔を覗く。
「無理しなくて良い。思い出したくなるまで、私待つから」
そう励ますと、石刈アリエは床に落ちたチェスの駒を拾って、伏井出ケイの手の中に入れて握らせた。
「・・・・すまない・・・・」
「謝らないで、アナタには感謝しているの」
「???」
「アナタの事を書くって決めて、ずっと調べていて、まさかこうして会えるなんて、やっと『運』が向いてきたみたい!」
「・・・・君は、『親切』だ・・・・」
『犯罪者』かも知れない自分に、ここまで献身的に尽くしてくれる石刈アリエに、伏井出ケイは感謝を言った。
「ーーーー本を出して有名になりたいだけ。コーヒーのおかわりどう?」
そう言って、笑顔を浮かべた石刈アリエが立ち上がり、コーヒーのおかわりを持ってくる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
その後ろ姿を、伏井出ケイが眺めていた。
・・・・その時、
ーーーーゴォォォォォォォォンン・・・・!!
「っっ!!??」
突然、外から聞こえる音に、伏井出ケイは身体をビクッと震わせ、外へと飛び出した。
ーダダ星人sideー
『ーーーーグゥゥ!!・・・・ウゥ・・・・』
地上に落下した衝撃でゼロビヨンドは倒れ、そのまま粒子となって消えるのを見て、レギオノイド・ダダ・カスタマイズに乗ったダダ星人が、頭に浮かんだ汗を拭った。
『ーーーー全く、手こずらせやがって。・・・・んん??』
ダダ星人の視界の先には、目的の『ストルム星人・伏井出ケイ』が、地球人の女と一緒にいるのが見えた。
ー理巧sideー
そして理巧の秘密基地でも、ゼロビヨンドが消滅したのを理巧達は見た。
『ウルトラマンゼロです』
「変身が解除されたの!?」
「かなりエネルギーを使ったのじゃな・・・・」
「霧夜先生は!?」
『ウルトラマンゼロが消えた地点で倒れています』
「ソレなら助けに行かないとな!」
レムの報告を聞いて、未来と夜桜が口を開き、飛鳥が霧夜先生の事を聞くと、レムが発見し、理巧は転送エレベーターに乗り込んだ。
ー伏井出ケイsideー
伏井出ケイの目の前に、レギオノイド・ダダ・カスタマイズが立ち塞がり、ソコから声が響いてくる。
『ーーーー伏井出ケイ。ストルム星人如きに、『宇宙の覇権』は握らせん! 『ベリアル』の後は、我々が貰い受ける! さぁ! 持っている『カプセル』と『ライザー』を寄越すならば、苦しまずに一瞬で殺してやるぞ!?』
その声の主の言っている事が分からず、伏井出ケイは首を横に振った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「『ストルム星人』!? 何の事!?」
「・・・・わ、分からない・・・・! 分からないんだ・・・・!!」
石刈アリエが問い掛けるが、伏井出ケイは泣きそうな声で頭を抱えて髪を掻き出す。
『寄越さないのであれば、散っていった我が同胞の仇だ! 脅えて死ねぇっ!!』
レギオノイド・ダダ・カスタマイズは、右腕をキャノン砲に変えて、ソコから光弾を連射して、伏井出ケイと石刈アリエがいる地点に爆発してきた。
「「あああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーっっ!!!!」」
2人が爆発の炎に包まれた。
しかし、その瞬間ーーーー。
「っっっっっ!!!!!」
伏井出ケイの瞳に、炎に包まれて滅びゆくーーーーウルトラマンベリアルの姿が蘇った。
「ーーーー思い出した・・・・! 私は失ったのだ! ベリアル様を! 『空っぽの器』、虚ろな私を満たしてくれた・・・・あの方はもういない・・・・いないぃぃぃぃっ!!」
そして炎が晴れると、ソコには小動物のように怯えきっていた姿は欠片もなく、まるで今にも襲い掛かろうとする獰猛なケダモノなような雰囲気を纏い佇んでいた。
「どうしたの・・・・?」
石刈アリエが駆け寄り話しかけるが、伏井出ケイは何も答えずに、自分の両手を見るとーーーードス黒いオーラが溢れ出ていた。
「ならば、私が・・・・私がその後を継いでみせる!」
ソレを見て伏井出ケイは確信した。
ーーーー自分には、偉大なるベリアル様の力が宿っている・・・・!
と。
伏井出ケイは両手を握り締めると、狂気と憤怒に染まった瞳で歩み出した。
「・・・・・・・・」
ーーーーヒャァァァァァァァァァァァァッ!!!
石刈アリエはその後姿を見ると、伏井出ケイは『怪獣カプセル』を取り出しスイッチを押すと、怪獣の雄叫びが響き、装填ナックルに入れて、ライザーを押して装填ナックルを読み込ませると、ライザーから漆黒の光が放たれ、ソレをレギオノイド・ダダ・カスタマイズに向けて叫ぶ。
「出でよ! 『ザイゴーグ』!!」
[ザイゴーグ!]
そして、ライザーから放たれた漆黒の光が怪獣を生み出した。
多数の剣山状の背びれが生えた細身の体躯に、前に向いて曲がった刃状の二本角と三対の複眼に加えてその後ろにも点々と並ぶ無数の目を備えた頭部、そして棍棒のような形状になっている右腕をし、見る者に恐怖を抱かせる姿をした怪獣、否、『闇魔獣ザイゴーグ』であった。
『ーーーーヒャァァァァァァァァッ!!』
ー石刈アリエsideー
「怪獣を呼び出した!?」
石刈アリエは、伏井出ケイが怪獣を召喚した事に目を見開いて驚いた。
ーダダ星人sideー
『そうはさせるか!!』
ダダ星人がレギオノイド・ダダ・カスタマイズのキャノン砲を収めて、拳でザイゴーグを胴体わ顔を殴りつける。
『ヒャァァァァァァァァ!!』
ダメージで身体を下げたザイゴーグに、レギオノイド・ダダ・カスタマイズが頭を押さえて、更に拳を振り下ろした。
『ヒャァァァァッ!!』
ザイゴーグが振り払うと、右腕の棍棒『ゴーグレグジス』で殴りつけようとすると、レギオノイド・ダダ・カスタマイズはボクシングのオーソドックスガードで防御する。
『ヒャァァァァァァァァッ!!』
今度はザイゴーグが接近し、レギオノイド・ダダ・カスタマイズの頭を掴むが、レギオノイド・ダダ・カスタマイズがソレを振り払うが、『ゴーグレグジス』で殴りつけ、ヨロけた頭部に振り下ろし、更に叩きつけていく。
ー石刈アリエsideー
「ーーーー伏井出ケイ!!」
「っ・・・・・・・・」
石刈アリエは近くの木の陰に隠れて、伏井出ケイの方を見ていると、緋色の髪と瞳をした少年と、4人の女の子が伏井出ケイに近づいているのが見えた。
ー理巧sideー
ゼロビヨンドが消えてしまい、霧夜先生を探す為に別れて探す事にした理巧は、飛鳥と焔と雪泉と雅緋を連れて、伏井出ケイを見つけた。
「ーーーー伏井出ケイ!!」
「・・・・・・・・」
伏井出ケイはゆっくりと、理巧の方に目を向けると、飛鳥が理巧の隣に立って、伏井出ケイを説得しようとする。
「ベリアルはもう死んだんだよ! こんな戦いをする必要なんてないんだよ!!」
しかし、伏井出ケイはそんな飛鳥の言葉なんて耳に入っていないと言わんばかりに、ニンマリと口角を上げて口を開く。
「暁月理巧! ベリアル様が紡ぐ『悪夢』は私が継承した! 貴様を、貴様らを・・・・! このちっぽけな星のゴミのような人間達だけではない! ベリアル様を否定したこの世界の誰一人、安心して眠らせるものかぁっ!! 私こそ! ベリアル様の『後継者』だぁっ!!!」
そう宣言した伏井出ケイの目には、今まで以上の『狂気』の炎が、業火のように燃え上がっているのが見えた。
ーダダ星人sideー
レギオノイド・ダダ・カスタマイズは右腕をドリルに変えてザイゴーグと突き立てようとするが、ザイゴーグはそのドリルを横から咥えて動きを封じると、『ゴーグレグジス』を叩き込んでいく。
『馬鹿な! 何と言う強さだ! コレが、『闇魔獣ザイゴーグ』の力か!?』
怯むダダ星人だが、ザイゴーグが渾身の力を込めて『ゴーグレグジス』を叩き込むと、火花を散らせる。
そしてーーーー。
『ヒャァァァァァァァァァァァァ!!』
ザイゴーグの剣山状の背びれからエネルギーが迸ると、口から血のように真っ赤な破壊光線『ブラッディフラッディング』を放った。
ーーーーチュドオオオオオオオオン!! バチバチバチバチバチバチ・・・・!!
破壊光線をマトモに受け、レギオノイド・ダダカスタマイズの機体が動かなくなり、ダダ星人のいるコックピットにも小さな爆発が起こった。
『まさか・・・・! この、この私が! 折角、あの『怪獣カプセル』を手に入れたのに! やられるだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!???』
ダダ星人の悲鳴と共に、レギオノイド・ダダ・カスタマイズは仰向けに倒れそして・・・・。
ーーーードガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!
巨大な火柱を上げて爆散した。
ー理巧sideー
『ヒャァァァァァァァァァァァァァ!!!』
「っ!!」
レギオノイド・ダダ・カスタマイズを撃破したザイゴーグが、理巧を見据えて雄叫びを上げると、コチラに向かって猛進してきた。
「ーーーー伏井出ケイ!!」
「次は貴様だぁぁっ!! 『造物主』であるベリアル様に歯向かった、愚かな『失敗作』めっ!! ベリアル様から受け継いたこの力で、貴様に報いを与えるっっ!!」
理巧が伏井出ケイの名を叫ぶと、伏井出ケイは憎悪に満ち満ちた声を張り上げ、ライザーと装填ナックルを出し、『怪獣カプセル』を取り出した。
「ーーーーゴモラ!!」
ーーーーキシャアァァァァァ!!
ゴモラの鳴き声が響き、『ゴモラカプセル』を起動させて、装填ナックルに入れた。
「ーーーータイラント!!」
ーーーーヒャアァァァァァァッ!!
「タイラントっ!? まさか!!」
焔が、自分達紅蓮隊と因縁のある『怪獣カプセル』を見て、嫌な予感を感じるが、伏井出ケイはソレに構う事なく、『タイラントカプセル』を起動させて、装填ナックルに入れ手に持ち、ライザーの握り手のスイッチを押してからライザーで手に持った装填ナックルをスキャンする。
ーーーードクンッ! ドクンッ!
「コレで・・・・エンドマークだぁぁぁぁッッ!!!」
ライザーを胸元に持ってきて、起動スイッチを押すと、ナックルのカプセルのエネルギーを読み込んだライザー中央のカプセルが目映く発光する。
[フュージョンライズ! ゴモラ! タイラント! ウルトラマンべリアル! ストロング・ゴモラント!!]
『ーーーーキヒャァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!』
『ーーーーヒャァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!』
現れたのは、始めて伏井出ケイの正体を知った際に、奴が変身したベリアル融合獣『ストロング・ゴモラント』が、ザイゴーグと共に雄叫びを上げた。
ー飛鳥sideー
「・・・・飛鳥さん」
「雪泉ちゃん・・・・」
「これでもアナタはあの男と・・・・伏井出ケイと話し合えば分かり合えると言うのですか・・・・!?」
「っ・・・・」
ストロング・ゴモラントに変身した伏井出ケイを見上げる飛鳥に、雪泉は険しい顔で問い掛けるが、飛鳥は言葉を発しようとするが、言葉が出てこなかった。
「理巧様。どうするのですか?」
雅緋が理巧に話し掛けると、理巧はその篝火のように燃え輝く緋色の瞳を鋭くする。
「決まっている!」
ー石刈アリエsideー
「っ・・・・!?」
怪獣へと変身した伏井出ケイを見て、石刈アリエは言葉を失い愕然となる。
「ーーーージーッとしてても、ドーにもならない!」
先程、伏井出ケイが憎悪の視線を向けていた少年が、伏井出ケイの持っていたのと『同じアイテム』を取り出していた。
ー理巧sideー
「(どうなっているんだ・・・・? 何故奴は、伏井出ケイは・・・・ベリアル融合獣に変身したんだ・・・・?)」
色々と疑問が残るが、今はストロング・ゴモラントとザイゴーグを倒さねばならないと、思考と気持ちを切り替えた。
「ーーーージーッとしてても、ドーにもならない!」
理巧はジードライザーを構えると、カプセルホルダーからウルトラマンのカプセルを取り出し、スイッチを押して起動させる。
「融合!」
ーーーーシャアッ!
カプセルから青い光の線が幾つもの放たれ、ウルトラマンの姿が現れ、カプセルを装填ナックルにいれる。
「アイ・ゴー!」
すぐにベリアルのカプセルを取り出し起動させ、ベリアルの姿が出現した。
ーーーーウエェェッ!
『ベリアルカプセル』をナックルに装填し、ジードライザーのスイッチを押して起動させた。
「ヒア・ウィー・ゴー!!」
装填したナックルを取り外し、ジードライザーにスキャンさせる。
ーーーードクンッ! ドクンッ!
ジードライザーの中央のカプセルに、青と紫の光が交差するように交わる。
[フュージョンライズ!]
「決めるぜ、覚悟!! ハァアアアっ!」
理巧はジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押した。
「ハァッ! ジイィーーーーード!!」
ライザーのカプセルが回転し赤く輝き、理巧の身体が青く輝く。
[ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード!! プリミティブ!!]
ウルトラマンとベリアルの姿が重なり合い、理巧は2人のウルトラマンの姿を合わさり、ウルトラマンジード・プリミティブへと変身した。
『シャァッ!!ーーーーハァ!』
『ーーーーキヒャァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!』
『ーーーーヒャァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!』
ジードを見て、ザイゴーグとストロング・ゴモラントめ雄叫びを上げて、迫ってきた。
トチ狂った狂信者は、最も始末の悪い。