来やがったぜ、伏井出ケイ!
ーレムsideー
『ーーーー以上で、コレまでの経緯から、伏井出ケイの攻勢は益々激しくなる事が推察されます』
その日、レムは密かな日課となっているレポート、人間で言えば日記に、コレまでの現マスターである暁月理巧。副マスターであるペガ。そして飛鳥達半蔵学院。焔達紅蓮隊。雪泉達月閃女学館。雅緋達蛇女子学園。ウルトラマンゼロと同化した霧夜先生。彼らと過ごした日々を詳細に、精細に、そして入念に記していった。
そしてふとーーーー。
『人間は、触れ合う事で『絆』を深めていく。・・・・私にも、身体があれば・・・・』
『生身』が欲しいと、自分自身の願望まで記した・・・・。
ー伏井出ケイsideー
「ううっ・・・・! ぐぅぅ・・・・!!」
ヨロヨロと、杖を使ってボロボロの身体を押して進む伏井出ケイ。
「ふーっ・・・・ふーっ・・・・!!」
しかし、その目には獰猛かつ執念と憎悪に染まったギラギラとした輝きは、少しも衰えてはいなかった。
そしてその背中には、漆黒のオーラを纏う眩い光が輝いていた。
ー理巧sideー
『ーーーーずっと昔。僕には『静かな世界』があった。ある日、街が炎に包まれた。全てを失った僕は、暗闇の中で気がついた・・・・』
と、不意に小説のような言葉を呟いたのは、『秘密基地』の管理コンピューターであるレムであった。
唐突にそんな小説を呟いたレムに、調べ物をしていた理巧と内職をしていたペガ。そして、武器の手入れや筋トレをしている飛鳥達が目を向けた。
因みに、焔達は今日はバイト(ティッシュ配)。雪泉達は黒影に伏井出ケイの復活を報告に。雅緋達は鈴音先生に報告に行っていた。後霧夜先生は、最近半蔵学院を中心に頻発する怪獣騒動について、とある『女性記者』が取材に来たのだその対応の為、今は半蔵学院の『一般教師』を装って応じている。
「その小説、レムが作ったの?」
「中々詩的なストーリーですね?」
『はい。簡単に作れるものですね』
「世の小説家とか! 漫画家とかが! 聞いたら! ペンで殴られ! そうな事を! 言いやがって!!」
理巧と斑鳩が称賛すると、レムは何でもないような物言いに、トレーニング器具で腹筋をしていた葛城がそう言った。
『はぁ〜・・・・ペガも小説書きないな〜』
「雲雀にも文才が欲しいよぉ〜」
内職で造花を作っていたペガと手伝っていた雲雀がそう言った。
「レムって、まるで人間みたいに成長しているんだね♪」
『・・・・では、何故飛鳥や雲雀や葛城は成長しないのでしょう?』
『ガクッ!』
『ぷっ!!』
レムの問い掛けに、飛鳥と雲雀と葛城、ペガもガクッと倒れ、理巧と斑鳩と柳生は思わず吹き出した。
そして、そんなリアクションに構わず、レムは淡々と話し出した。
『アレだけ警告したのに、また飛鳥の勉強道具やオヤツ、葛城のトレーニング器具が増えて、更に散乱してますし。雲雀の漫画やライトノベルが入った本棚やぬいぐるみまでがまた増えています』
目を向けると、飛鳥の勉強道具やスナック菓子やチョコ菓子がテーブルに置かれたままになり、葛城のトレーニング器具が床に散乱し、壁には雲雀の本棚がまた一つ、ぬいぐるみは更に増えていた。
最初の頃の『秘密基地』では、理巧の持ってきた3畳の畳に、ソファとベッド、そしてテーブルとペガの内職だけが置かれた質素な空間だったのだが、今では飛鳥達の私物に、焔達の私物が所々に置かれ、雪泉達や雅緋達の私物も少々置かれ始めており、最早忍学生達の溜まり場へと成り果ててしまっていた。
ソレを見て理巧とペガと斑鳩と柳生も、ウンウンと頷いていた。
「い、いやあのなレム、片付けようとは思っているだけどさ・・・・」
「ほ、ほら! 伏井出ケイが復活したから、ソレに備えて色々と忙しくてね!」
「ひ、雲雀もね! 皆大変だからね! 漫画とかを読んで気分をリフレッシュして欲しくてね!」
3人が必死に言い訳を並べるが、レムは容赦なく話をする。
『同じ過ちを繰り返すのは、『学習する意志がない』のか、『記憶力に問題がある』のか、分析してみた所ーーーー』
「「「分析しなくて良いから!!」」」
『『秘密基地』を管理する、レポート、マネジメントは義務ですから』
「これに懲りて、少しは遠慮したらどうですか?」
「「「あうぅ〜」」」
『宝刀・飛燕』の手入れを終えて鞘に納刀した斑鳩がそう言うと、飛鳥達はガックリと肩を落とした。
「・・・・ふと思ったんだが、いつまでここを『秘密基地』なんて呼び方にしているんだ?」
と、柳生が不意にそう言ってきた。確かに、忍として『秘密基地』と言うものに慣れていたせいか気にしなかったが、そろそろこの場所に、ちゃんとした『名前』を付けようと思えた。
「よぅし! 『暁月理巧のハーレム宮殿』なんてどうだ!?」
『いかがわしい感じがするから却下』
葛城の基地名を、満場一致で却下された。
「はい! ウルトラマンジードで、忍の理巧くんの基地だから、『ウルトラ忍基地』なんてどうかな?」
『安直過ぎ、ダメ』
雲雀の基地名も、満場一致でダメと断じられた。
「『半蔵学院・忍基地』ではどうでしょう?」
『そのまま過ぎだし、もう他の学校の忍学生も来てるから無いわ〜』
斑鳩の基地名だと、『半蔵学院の物』になってしまいそうだからと却下された。
「ウルトラマンジードの基地だから、『ジードベース』なんてのはどうだ?」
『う~ん、イマイチ』
柳生の基地名も駄目とされた。
「う~ん・・・・ここはやっぱり、りっくんが決めるべきなんじゃないかな?」
「えっ? 僕?」
どんな名前にするか悩んでいた飛鳥だが、ここは基地の責任者である理巧が決めた方が良いと言い出した。
『私も賛成します。私のマスターである理巧が決めた名前ならば、私も異存はありません』
「・・・・うぅん、そうだなぁ・・・・」
理巧が思案を巡らせるように、眉根を寄せて熟考していた。
「因みに飛鳥さんはどんな名前を?」
「えっと・・・・『風雲ジード城』、とか・・・・」
『・・・・・・・・・・・・』
「何かコメントしてよぉ!」
飛鳥自身もセンスのない基地名を言ってしまったが、皆が無言になってしまった。
と、その瞬間ーーーー。
ーーーーファァァァンン・・・・! ファァァァンン・・・・! ファァァァンン・・・・!
『っ!!?』
突如、基地から警報がけたたましく鳴り響き、赤いサイレンがアチコチから光を放った。
今まで、この基地でこんな事が起こった事がなく、全員が身体を強張らせた。
すると、『転送エレベーター』が起動し、エレベーターの扉が開き、誰かが姿を現した。ソレは・・・・。
「・・・・・・・・・・・・!!!」
『なっ!!?!?』
全員が、エレベーターから出てきた人物を見て、驚愕に目を見開いた。
何故なら出てきたのはーーーー満身創痍の伏井出ケイであったからだ。
「伏井出、ケイ!?」
「嘘でしょうっ!?」
「テメェこのクソ野郎!!」
「遂にこの基地にまで来たか!!」
「雲雀さん! ペガくんを!」
「う、うん! ペガくん、コッチに!」
『う、うん・・・・!』
突如現れた伏井出ケイに、理巧と飛鳥、葛城と柳生と斑鳩は臨戦態勢となり、雲雀はペガを連れて下がる。
「フ〜〜〜〜ッ! フ〜〜〜〜ッ! フ〜〜〜〜ッ!!」
ボロボロの身体である筈なのに、その目はまるで手負いの野獣ようにギラついた殺気に満ち満ちていた。
「単身で乗り込んできたか・・・・!」
「わたくし達だけなら、脅威でも何でもないと思ったのですか!?」
「クソ野郎だが、良い度胸じゃねぇか!」
「ここで仕留めます!!」
「ま、待って皆!!」
『忍転身』しようとする斑鳩達だが、満身創痍の伏井出ケイを攻撃するのに躊躇ったのか、飛鳥がストップをかけた。
「飛鳥さん! この男は!!」
「分かってるよ! この人が危険だって事くらい! でも、でもね! 怪我している人を攻撃するなんて、そんな卑怯な真似を皆にして欲しくーーーー」
飛鳥がそう言って伏井出ケイを庇おうとする。
がーーーー。
「・・・・・・・・」
伏井出ケイはニンマリと口角を上げて醜悪な笑みを浮かべると、何処からか『球体型偵察機ユートム』が二つ程飛んできて伏井出ケイの側で止まると、そのカメラを自分を庇おうとする飛鳥に向けたその瞬間ーーーー。
「あーちゃん!!」
「えっ? うわっ!?」
理巧が飛鳥を引き寄せて離れるのと同時に、ユートムからピシュンッ、と光線が発射され、今さっき飛鳥のいた床に大きな焦げ跡が生まれた。
『警備用の戦闘用ユートムのコントロールを奪われました』
「っ!・・・・伏井出、ケイ・・・・」
「何処までも、愚かで甘い小娘だ。・・・・だが、お陰で助かったよ!」
伏井出ケイが飛鳥を嘲弄に満ちた笑みで嘲笑しながらそう言うと、戦闘用ユートムがまるで機関銃のように光線を発射し続ける。
「うわっと!?」
「ああっ!?」
「くっ!」
「うぁっ!」
「ちぃっ!」
「わわわ!」
『うひゃぁっ!!』
理巧は飛鳥、斑鳩達もその光線を回避する。その際、飛鳥の懐から『ウルトラマンゼロカプセル』が零れ落ち、何処かに転がっていった。
「あははははははは!! 逃げろ逃げろ! 逃げ惑え虫けら共ォッ!!」
その様子を見て、伏井出ケイは高笑いをあげた。
「ちっ! 調子乗んなよ!」
「葛城さん! 柳生さん!」
「あぁっ!」
ーーーーデャッ!
ーーーーダーッ!
斑鳩が伏井出ケイの左側に、葛城と柳生が右側回り込むと、同時に駆け出し挟撃しようとする。
斑鳩が『ヒカリカプセル』を起動させ、飛燕の刀身を光に包み光刃にしてユートムからの光線を防ぎながら進み、柳生は『セブンカプセル』を起動させ、バリアを張りながら葛城を連れて走り出す。
「「「もらった!!」」」
3人は伏井出ケイの近くに来ると、散会して三方向から飛燕と蹴りと番傘で攻撃する。
がしかしーーーー。
「ーーーー甘いわぁあっ!!」
ーーーーピギィィィィィっ!!
ーーーーーーーー!!
伏井出ケイは片手に『エレキングカプセル』を、もう片方の手に『ダークロプスゼロカプセル』を起動させると、両手から電撃を放ち葛城と柳生に浴びせた。
「うぁああああああああああああ!!??」
「あぁあああああああああああっ!!!?」
「っ!ーーーーはぁ!!」
「なっ!? っっっ!!!」
更に、正面から伏井出ケイに向けて飛燕の刃を振り落とそうとした斑鳩には、目から何とダークロプスゼロの技である『ダークロプスメイザー』のような破壊光線を放つ。
寸前で斑鳩は光刃で受け止めるが、ジリジリと後ろに後退していく。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
「ーーーーかぁぁぁぁっ!!」
「っっ・・・・あぁぁぁぁっ!! かはっ!」
何とか防いでいた斑鳩だが、伏井出ケイが更に力を込めると光線の威力が上がり、その衝撃で壁に叩きつけられる。
「斑鳩姉さん!」
「葛姐ぇ!」
「柳生ちゃん!」
『どうなってるの!? まるで『リトルスター』みたいだよ!?』
理巧達が目を見開き、ペガが『怪獣カプセル』を持って起動させ、まるでその怪獣の能力を使う姿が、まさに理巧や『リトルスター保持者』だった飛鳥達のようで驚いていた。
「・・・・ハハハハ・・・・! 貴様ら如き虫ケラができた事がぁ! この私にできない筈がないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ーーーーギュワァアアアアッ!!
次に『バラバカプセル』を起動させると、右手にエネルギーでできた鉄球を生み出し、ソレを周りに遮二無二に振り回す。
「うわっ!?」
「わわわっ!!」
『見境ないよコイツ!』
「ーーーー皆、一旦退却だ!」
『ーーーー緊急避難を実行します』
両手に葛城と柳生、背中に斑鳩を背負った理巧がそう叫ぶと、レムが転送エレベーターを出現させると、伏井出ケイに向けて、牽制に手裏剣を投げる飛鳥と雲雀が、ペガと共に乗り込み、斑鳩達を抱えた理巧は、斑鳩達を飛鳥達に渡す。
「逃がすかぁっ!!」
伏井出ケイが戦闘用ユートムを向かわせようとしたその時、理巧は素早く振り向いて印を結び『秘伝忍法』を放つ。
「ーーーー『秘伝忍法 雷龍・電光閃覇‹ライリュウ・デンコウセンハ›』!!」
ーーーーバシュウウウウウウウウッ!!
理巧から放たれた黄色い雷が龍の形となり、戦闘用ユートムを破壊して伏井出ケイに向かう。
「〜〜〜〜!!」
ーーーーピポポポポポ、ゼットーンッ!
しかし『伏井出ケイ』は『ゼットンカプセル』を起動させ、バリアを張って雷龍を防いだ。だが、雷光によって視界が遮られている隙に、理巧は転送エレベーターに乗り込み、扉が閉まろうとした瞬間、装填ナックルに手を付けてレムに向けて伏井出ケイに聞こえないように声を発する。
「ーーーーレム。必ず戻ってくるから」
《・・・・了解しました。私もすぐにーーーー“合流します”》
「?」
レムの言葉が分からず首を傾げる理巧だが、扉は閉ざされ、理巧達は『秘密基地』から脱出した。
ー伏井出ケイsideー
「〜〜〜〜! 余計な事をしてくれたなぁ・・・・! あぁっ!!」
理巧達に逃げられた伏井出ケイは、レムに向けて怒気を込めてに呟いた。
が、身体に激痛が走り、床に倒れ込んでしまった。
「あぁぁぁぁ〜・・・・!! ぐぅぅぅぅ、あぁぁぁぁ!!」
伏井出ケイはヨロヨロと起き上がると、乱雑に置かれた本やらトレーニング器具やらを忌々しげに見据えた。
「〜〜〜〜!! アイツはいつも私が『大切にしている物』を滅茶苦茶にする・・・・!! 私が全てを与えてやったと言うのにっ!!」
まるで理巧の人生の全てを自分が操ってきたと言いたげに、伏井出ケイはテーブルに置かれたペガの内職を腕で乱暴に払った。
『警告です。やめてください』
「うるさい奴め・・・・!!」
『アナタの言っている事には『正当性』がありません』
「何だと・・・・!?」
『先ず、この基地にある私物は9割以上は飛鳥達忍学生達の物であり、理巧の持ち込んだ物は必要最低限の物しか置かれてません』
「黙れ・・・・!」
レムの担々と告げる言葉を煩わしいと言わんばかりに吐き捨てる。
『次にアナタは先ほど、『与えてやった』と言いました。と言う事は、この『基地』の所有権は既に理巧の物です。アナタが理巧の所有物をとやかく言う権利はとっくに喪失しています』
「黙れ・・・・!!」
苛立ってきたのか身体が小刻みに震え、声にも段々怨嗟を交じってくる。
『そして、アナタのコレまで理巧に対する言動から、アナタは理巧にーーーー『恨み』や『憎しみ』や『悪意』。その他にも『嫉み』、『妬み』、『羨望』・・・・つまる所アナタは理巧に対してーーーー『嫉妬』をしていると推察されます』
「〜〜〜〜!! この私が『嫉妬』しているだとぉ!? あんな『出来損ないの創造物』なんかにぃぃぃぃっ!!」
レムの言葉を否定しようと声を荒げる。まるで、“図星を突かれているかのように”。
『その『出来損ない』に何度も負けて、そのようなボロ雑巾になっているアナタは・・・・『出来損ない以下』と言う訳ですね?』
「〜〜〜〜!! 黙れぇーっ!! 黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れェェェェェェェェっっ!!! (ビキビキィッ!!)ぐがああああぁぁぁぁ!!」
完全にキレた伏井出ケイは、レムに向けて『怪獣カプセル』を起動させようとしたが、全身の激痛に身悶える。
そして、空中にコンソールを出現させると、乱暴に操作する。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!! プロテクト解除!!」
ーーーーピッ!!
「お前の役目は終わった! 消えろ!!」
レムに向けて嘲弄の笑みを浮かべる伏井出ケイ。
すると、レムの球体が光り輝き、伏井出ケイがその目映い光に両手を使って光を防いだ。
『(ーーーー感謝します。伏井出ケイ。『時間稼ぎ』に付き合ってくれて)』
光り輝きながら、レムは伏井出ケイに、内心感謝を述べた。
次回、遂にレムの人間モード登場。
『秘伝忍法 雷龍・電光閃覇‹ライリュウ・デンコウセンハ›』
稲妻の龍を放ち、相手を攻撃(電圧の調整可能)や痺れさせる事もできる。
『伏井出ケイの特殊能力』
怪獣カプセルに内包されている怪獣のエネルギーを使って、怪獣の能力を使う事ができる。