閃乱ジード   作:BREAKERZ

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早めに投稿です。


奪還
激しいぜ、怪獣騒動。


あの日、伏井出ケイが〈星雲荘〉で治療を終えた日から、怪獣騒動が頻繁していった。

都心の地底から現れた『大蟻超獣 アリブンタ』、そして『ベリアル融合獣 バーニング・べムストラ』と戦う『ウルトラマンジード リーオーバーフィスト』と『ストロングコロナゼロ』。

海から現れた『海獣 サメクジラ』と『ベリアル融合獣 サンダーキラー』と戦う『ウルトラマンジード マイティートレッカー』と『ルナミラクルゼロ』。

田舎の山を根城に、動物や近隣の村の住人や家畜を喰って成長した『宇宙大怪獣 アストロモンス』と『ベリアル融合獣 ペダニウムゼットン』と戦う『ウルトラマンジード フォトンナイト』と『ウルティメイトゼロ』。

石油コンビナートで暴れる『騒音怪獣ノイズラー』と『ベリアル融合獣 ベムゼート』と戦う『ウルトラマンジード ノアクティブザクジード』と『ウルトラマンゼロビヨンド』。

怪獣(野生やコピークリスタル問わず)とベリアル融合獣との戦いは連日のように繰り広げられていった。

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

「た、ただいま・・・・」

 

「フゥゥゥゥ・・・・」

 

やっとたった今、『無双鉄神 インペライザー』と『ベリアル融合獣 サンダーキラー』を倒してきた理巧と霧夜先生&ゼロが〈星雲荘〉に戻ると、理巧はソファーに倒れ、霧夜先生はロッキングチェアに深く座り込む。

 

「理巧くん、霧夜先生にゼロさん、お疲れ様です」

 

「太巻きあるから食べて!」

 

「あぁ、ありがとう」

 

「すまないな・・・・」

 

雪泉や飛鳥が出迎え、渡された太巻きを頬張る理巧と、烏龍茶を飲む霧夜先生。今〈星雲荘〉にいるのは、飛鳥と雪泉、詠に紫とペガである。

 

「(ゴクン)・・・・ソレで、伏井出ケイは?」

 

『現在、斑鳩達が捜索していますが、また逃げられたと思われます』

 

 

 

ー斑鳩sideー

 

山道にある石橋の上にて。

 

「ーーーー見つかりましたか?」

 

「駄目だ。雲雀の探知能力を使っても見つからん」

 

「うぅ、ごめんなさい・・・・」

 

「・・・・おりゃ!」

 

「ひゃんっ!」

 

1度合流した斑鳩と葛城、柳生と雲雀と言った半蔵学院の善忍組。理巧程の怪物じみた感知能力は無いが、(人並みに)優れた感知能力を持つ雲雀でも、伏井出ケイの存在を見つけられず、雲雀は気落ちするが、葛城か瞬時に雲雀の背後に回り込み、80cmのEカップを揉みしだいた。

 

「おりゃおりゃ! 弱気になってるオッパイにはアタイが喝を入れてやるぜぇ!」

 

「や、やめて葛姉ぇ〜!」

 

「ふぅ・・・・しかし、本当にここら辺にいるのか? 伏井出ケイは?」

 

「レムの計算に誤りがなければ、ですがね・・・・」

 

葛城が雲雀にセクハラ(&元気付け)をしているのを呆れ目で見つつ、柳生と斑鳩は話し合う。

彼女達は今日のウルトラマンジードの戦いが終わってすぐ、レムが計算し特定した、伏井出ケイが変身解除するであろう複数の地点の1つに、半蔵学院組がツーマンセルで捜索していた。

他の地点には焔と日影、未来と春花、雅緋と忌夢、両奈と両備の蛇女の悪忍組と、夜桜と四季、叢と美野里がツーマンセルで各々で捜索している。一応斑鳩が定期通信をすると、他の地点でも見つかっていないとの事だ。因みに、飛鳥達はまた伏井出ケイが〈星雲荘〉に侵入して来ても対応できるように留守番である。

 

「それにしても、〈星雲荘〉で『ストルム器官』を修復してから2週間。こうも頻繁に怪獣が現れ、ベリアル融合獣となった伏井出ケイも戦っている。一体ヤツは何が『目的』なんだ・・・・?」

 

「・・・・理巧くんの推測では、あの男、伏井出ケイは理巧くんーーーーウルトラマンジードのデータを集めていると言っていましたが・・・・」

 

「ジードのデータを?」

 

斑鳩が理巧の見解を伝えると、柳生は訝しそうに眉根を寄せた。

 

「あの男は非常に狡猾です。身体が全開に回復したとは言えすぐに理巧くんに挑まず、理巧くんの『手札』のフュージョンライズ、ソレもウルトラマンベリアルを倒した『ロイヤルメガマスター』のデータを蒐集し、対策を十分に立ててから挑む、と理巧くんは見てます」

 

「けっ! チマチマ怪獣騒動を起こしてネチネチとデータ集めかよ! 男なら正面から挑んで来いってんだ! 卑怯な臆病野郎め!」

 

雲雀の胸を十分揉んだ葛城が吐き捨てるように言った。胸を抑えて腰砕けになった雲雀は柳生に手を貸してもらって立ち上がる。

 

「確かにあの男は『卑怯で狡猾』です。ですが裏を返せば『慎重で用心深い』と言えます。そんな男が自信満々になって理巧くんに挑んで来る時が来たら・・・・」

 

「ソレは、『理巧を倒す算段がついた』、と言う事になるな」

 

「理巧くん・・・・大丈夫かな?」

 

「大丈夫だ雲雀。理巧があんな男に敗ける事などない」

 

「ですわね。取り敢えず、もう少しこの辺りを調べてから、焔さん達と合流して、〈星雲荘〉に戻りましょう」

 

「「「(コクン)」」」

 

雲雀が理巧を心配するように言うと、柳生が慰め、斑鳩が締めると全員が頷き、すぐにシュバッ! と、石橋の上から消えた。

 

 

 

 

 

ー伏井出ケイsideー

 

「小娘共がぁ・・・・!! 好き放題言いおってぇ・・・・!!」

 

つい先程まで半蔵学院の善忍の小娘達がいた石橋の下にて、伏井出ケイが足首を河に浸しながら、『ストルム器官』のバリアを張って、雲雀の感知能力から逃れ、斑鳩達から隠れていた。

そして上の石橋で小娘達の会話も当然耳に入っており、何度『怪獣カプセル』の能力を使ってやろうかと思った。しかしまだ早い。小娘達を始末するのは、あの『出来損ない』を完膚なくまでに倒し、地べたに這い蹲らせた後、忍の小娘達やヤツを育てた親達を1人ずつ確実に、『出来損ない』の目の前で殺し、ヤツに『無力感』と『絶望感』を存分に味合わせてやらねばならない。

 

「その為にも・・・・もっと、強い『カプセル』がいる・・・・!!」

 

最早普通の『怪獣カプセル』のベリアル融合獣では、『出来損ない』と『邪魔物』を滅ぼす事はできない。

ならば・・・・。

 

「手に入れてやるぅ! 必ずぅっ!!」

 

伏井出ケイは、脳裏に浮かんだ『強力なカプセル』の存在を、ベリアルが所有していた『カプセル』を手に入れると誓った。

 

 

 

 

ー石刈アリエsideー

 

そしてその夜。不気味な程に静かで、夜空に浮かぶ月が妖しい紫色に染まった夜。

 

「・・・・??」

 

石刈アリエは自分のアトリエに戻ると、妙な気配を感じで周囲を見回し、後ろを振り返ると。

 

「・・・・・・・・」

 

伏井出ケイが無表情で黙って立っていた。

 

「っ! 何だ、アナタだったのね」

 

「・・・・・・・・」

 

伏井出ケイはゆっくりと石刈アリエに近づき、その頬に優しく手を当てた。

 

 

 

 

 

ー鷹丸sideー

 

そして、その日の朝方。理巧の育ての親である戦部鷹丸と妻のハルカとナリカとスバルが働く〈AIB〉の地球本部。

 

「あぁ〜、疲れるわぁ〜。夜勤を終えて一眠りしたら温泉かマッサージに行きてぇなぁ〜。ゼナ。お前は何する?」

 

『家に戻って他の仕事を片付ける』

 

「お前、仕事ばかりじゃ人生に潤いってものがないぞ?」

 

『俺はコレで満足している』

 

鷹丸はシャドー星人ゼナと夜勤で事務仕事をしており、漸く仕事に終わりが見えると、コキッコキッ、と肩の関節を鳴らし、ゼナの軽口を叩きあっていた。

因みにハルカとナリカは次に出勤し、スバルは昨夜に本部に侵入して撃退した『凶悪宇宙人ザラブ星人』の事情聴取をしている。

と、その時・・・・。

 

ーーーーブー! ブー!・・・・。

 

「ん? 何だ?」

 

『?』

 

鷹丸とゼナが、突然本部に響いた通信に、中央モニタに視線を向けると。

 

《ーーーーこのメッセージは、〈AIB〉本部に向けて送っている》

 

「なっ!?」

 

『!!』

 

モニタに映されたのは何と・・・・伏井出ケイであった。

 

「逆探! できるか!?」

 

《・・・・無理です! コレは唯のメッセージです! 送信先も探ってみましたが、特定できません!》

 

鷹丸が他の局員に送信先の逆探知ができるかと聞くが、局員は首を横に振って不可能と言った。

そして映像の伏井出ケイは構わず話を続けていた。

 

《ーーーー『ファイブキングカプセル』と『ゾク第二形態カプセル』。『アークベリアルカプセル』と『マガオロチカプセル』。そして『エンペラー星人カプセル』と『ダークルギエルカプセル』。この6つのカプセルを渡せ》

 

『っっ!!』

 

その場にいた〈AIB〉のメンバーが肩を震わせた。ソレらは全て、『ベリアル融合獣 キメラベロス』との戦いで回収した、『強力な怪獣カプセル』であったからだ。

 

《貴様らごときには『不要な物』だ。アレらは元々ウルトラマンベリアルの『所有物』。ベリアル様のご意思を継ぐ『後継者』である私にこそ、手にする『資格』がある・・・・》

 

コチラの意見等全く聞く耳を持たないと言わんばかりに、『要求』をしてくる伏井出ケイ。

 

《応じない場合を想定して・・・・》

 

そして伏井出ケイが映った場面が切り替わりーーーー1人の女性が椅子に括り縛られていた。

 

「あの女の人は・・・・?」

 

《この女を預かった。6つなカプセルと引き換えに返してやる。カプセルの『引き渡し役』にはーーーー『暁月理巧』を。今日の13時、○△町の廃工場に来い。もしも要求に応じなかった場合、この女は私の方で・・・・『処分』する》

 

そう言って、伏井出ケイはニンマリと口角を上げて嘲りに満ちた笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

《ーーーーーーーー『暁月理巧』を。今日の13時、○△町の廃工場に来い。もしも要求に応じなかった場合、この女は私の方で・・・・『処分』する》

 

『ーーーー今朝、〈AIB〉本部に届いた映像だ』

 

時刻は朝の9時。

〈星雲荘〉にやって来たゼナと鷹丸とハルカとナリカとスバル。そして霧夜先生(&ゼロ)と大道寺先輩と鈴音先生が、今朝伏井出ケイから送られてきたメッセージを理巧達に見せた。

 

「おのれぇ! 遂に無関係な一般市民を『人質』に使ってきおったか!!」

 

「いや、あの男は以前から無関係な市民を人質に使っていたから」

 

義憤に燃える夜桜達月閃女学館だが、春花がやんわりとツッコミを入れた。

 

「6つの『怪獣カプセル』は?」

 

「『ファイブキングカプセル』と『ゾク第二形態カプセル』は、ベリアルが『ベリアル融合獣 キメラベロス』にフュージョンライズする時に使う組み合わせだね」

 

「では、残りの『アークベリアルカプセル』と『マガオロチカプセル』と『エンペラー星人カプセル』と『ダークルギエルカプセル』が、新しいフュージョンライズの組み合わせかも知れないな」

 

雅緋が『要求されたカプセル』を指差しと、理巧がそう話し、鷹丸が補足した。

 

「この『アークベリアルカプセル』と『マガオロチカプセル』って『怪獣カプセル』は、そんなに危険なの?」

 

ーーーーデュォォォン!

 

「ーーーーあぁ。『マガオロチ』は、かつて『ウルトラマンオーブ』が戦った凶悪かつ強大な力をもつ怪獣、『魔王獣』の王、『大魔王獣マガオロチ』。ベリアルの野郎が『別の平行世界』にある『エメラル鉱石』を大量に取り込んだ事で生まれた『超銀河大帝アークベリアル』。『ファイブキング』や『ゾク第二形態』もだが、一匹だけでも地球を滅ぼせる程の力を持ったとてつもない怪獣達だぜ」

 

美野里が問うと、霧夜先生と入れ替わったゼロがそう話した。

 

「奴め・・・・下手をすれば地球どころかこの『平行宇宙』すらも破滅させかねん『怪獣カプセル』を『要求』するとはな」

 

「ウルトラマンベリアルが死んだ今、ヤツにとって世界がどうなろうが知った事ではないと言った所だな」

 

大道寺先輩と鈴音先生がそう言った。

 

「ソレで、この人質にされている女の人は?」

 

ーーーーデュォォォン!

 

「ーーーー『石刈アリエ』。以前〈星雲荘〉が伏井出ケイに奪われた日に、半蔵学院の取材に来て俺が応対したフリーのノンフィクションライターだ」

 

「そんな人を人質にしたん?」

 

「どうやら、伏井出ケイの事件の失踪事件も追っていたみたいです」

 

「ソレでヤツに捕まり、『人質』として利用している、と言う事だ」

 

雲雀が人質にされた女性の事を聞くと、ゼロと替わった霧夜先生が話し、四季が訝しげにその女性、石刈アリエを見ると、ハルカと大道寺先輩が補足した。

 

「・・・・・・・・」

 

「理巧? どうした?」

 

「・・・・妙だな」

 

「何が、ですか?」

 

焔と雅緋が聞くと、理巧は石刈アリエを見据えながら口を開いた。

 

「何で伏井出ケイは、こんな僕と『何の関わりのない人』を人質になんてしたんだ?」

 

「えっ? そんなの、りっくんを誘き出す為に・・・・」

 

「ソレなら、確実に僕を誘き出せる鷹丸さんやハルカさんやナリカさんやスバルさん、ペガやあーちゃん達や焔達や雪泉さん達や雅緋さん達の内の誰かを人質にした方がより効果的でしょう? 僕の性格を考えれば、『愛を語り合った恋人』、みたいな関係性の人とかならいざ知らず、こんな顔も知らなければ会って会話もした事も無いような見ず知らずの『他人』を使って、僕を誘き出せると思っているのかな?」

 

「いや理巧、アンタねぇ・・・・」

 

暗に、『石刈アリエがどうなろうが知った事じゃない』、みたいな事を言っている理巧にナリカが呆れるが、確かに妙だと全員が思った。

理巧は『家族』や『友達』や『仲間』のカテゴリーに入っていない『他人』に対してはかなり淡白と言うか、ドライな性格をしている。そんな理巧を誘き出したいのなら、この場にいる誰か1人でも人質にすれば確実性が高い。

 

「〈星雲荘〉の事件以来、単独行動をせずにいたから、わたくし達の誰かを狙わず、一般の人を狙った?」

 

「あの男は『怪獣カプセル』の能力も使えるのに?」

 

「向こうは1人やからな。無謀な戦闘は諦めたんやないか?」

 

斑鳩と両備と日影がそう話し合っていると、なんだか人質の石刈アリエに対して、奇妙な『違和感』を感じてしまう。まさか、『本当の目的』は『カプセル』ではなく、理巧の生命なのでは・・・・?

 

「・・・・でも、助けないと・・・・!」

 

と、場の空気が疑心暗鬼になる中、飛鳥が口を開いた。

 

「確かに、会った事も、話をした事もないような『他人』だよ! でも、だからって見捨てて良い筈が無いよ! 例え伏井出ケイの『罠』でも、助けなくちゃ!」

 

「・・・・あーちゃんならそう言うと思ったよ。しゃーない、色々気になるけど助けるか。『カプセル』か僕の『生命』かは分からないけど、出たとこ勝負でやってみるしかないね!」

 

やれやれと飛鳥の言葉に頷きながら、伏井出ケイの『罠』に挑むつもりのようだ。

 

『あのさレム。送信先は?』

 

『特定できませんでした』

 

ペガが聞くが、レムでも特定できなかったようだ。

 

『君を巻き込むのは本意ではないが、人命には代えられない。我々に協力してくれないか?』

 

「ま。いい加減アイツとは決着‹ケリ›をつけないといけないって思ってましたから」

 

「勿論。わたくし達も協力します」

 

理巧だけでなく、忍学生達も同意のようだ。

 

 

 

ー鷹丸sideー

 

〈星雲荘〉を出た〈AIB〉は、ミニバンに乗り込む。

 

『ーーーーすまないな。またお前達の息子を巻き込んでしまって』

 

「気にするなよ。俺達もコレ以上、伏井出ケイの『八つ当たりのような復讐』のせいで、誰かが傷付くのは見たくない」

 

「理巧くんも変わりましたね。少し前のあの子なら、『関係無いから知らない』って切って捨てるのに」

 

「んで、私達に叱られて渋々動くんだよね」

 

「しかし今は、飛鳥の言葉を受けて仕方なくだが、自主的に動いた。コレは大きな成長だ」

 

ゼナが謝罪するが、鷹丸達は笑みを浮かべる。

 

『ーーーー彼だけを危険な目に合わせない。私にも『策』がある』

 

「頼りにしてるぜ、相棒」

 

『ああ』

 

助手席に座る鷹丸とグータッチをしてから、ゼナはミニバンを走らせた。

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