ー理巧sideー
理巧はゼナが運転する〈AIB〉の車で、伏井出ケイが指定した廃工場に到着し、車から降りた。
『「「「・・・・・・・・」」」』
車から降りたのは理巧と雅緋(忍転身状態)、ゼナとアタッシュケースを持った鷹丸であった。雅緋が選ばれたのは、飛鳥は未だに伏井出ケイとの戦いに覚悟ができていないし、焔と雪泉だと伏井出ケイに対して感情的になり、冷静に対応ができないと判断されたからだ。
『「「「・・・・・・・・」」」』
周囲を警戒しながら歩く一同。その中で、理巧は周囲に感知領域を限界ギリギリまで広げていた。
飛鳥達は〈星雲荘〉に残り、雅緋が着けている通信インカム(緋色)から救援連絡が来た次第、飛鳥の『ウルトラマンゼロカプセル』で向かってくる手筈なのだ。
「ーーーー時間通りだなぁ?」
『「「「!!」」」』
声がした方に目を向けると、伏井出ケイが廃工場の中からゆったりとした足取りで現れた。
「・・・・・・・・」
『「「「・・・・・・・・」」」』
両者の間で、凄まじい緊張感が広がっている。
『・・・・人質は?』
「先ずは銃を捨ててもらおうか、シャドウ星人」
『・・・・・・・・』
ゼナは懐から『AIB製の光線銃』を取り出して、地面にソッと置いた。
ソレを見て伏井出ケイは、鷹丸と雅緋、そして理巧にもジロッ睨見つける。
「お前達も武器を捨てろ。余計な事をすると、あの女の命はない」
「「「・・・・・・・・」」」
鷹丸も懐から銃を、雅緋は黒刀を、理巧は苦無を取り出して地面に置いた。
「・・・・例のモノは?」
伏井出ケイが淡々と声を発すると、鷹丸が持っていたアタッシュケースを開き中身を見せた。
『超合体怪獣』ーーーー『ファイブキングカプセル』。
『根源的破滅天使』ーーーー『ゾク第2形態カプセル』。
『大魔王獣』ーーーー『マガオロチカプセル』。
『超銀河大帝』ーーーー『アークベリアルカプセル』。
『暗黒の魔神』ーーーー『ダークルギエルカプセル』。
『暗黒宇宙大皇帝』ーーーー『エンペラー星人カプセル』。
最悪にして最凶の怪獣と宇宙人の力を宿す『怪獣カプセル』であった。
「・・・・・・・・」
その凶悪な6本の『怪獣カプセル』を見て、伏井出ケイはニンマリと口角を上げて不気味な笑みを浮かべる。
「・・・・良いだろう」
『・・・・ソレで、石刈アリエは?』
「・・・・・・・・」
笑みを浮かべていた伏井出ケイは、ゼナの言葉で無表情になり、廃工場に置かれた鉄塔に向けて指を指しとソコには、眠っている石刈アリエが縄で縛られて空中にぶら下げられていた。
『「「!」」』
「っ! アリエさん!」
「!」
ーーーードシュ・・・・ドォォン!!
鷹丸が声を上げると、伏井出ケイは指差していた手を広げて
、ソコから火炎弾を放つと、鉄塔を破壊した。
『「「「「!!」」」」』
鉄塔は今にもへし折れそうになり、その揺れで石刈アリエも揺れ動く。
「?ーーーーっ! 助けてっ!!」
目を覚ました石刈アリエは自分の状況を見て助けを求めるように声を上げた。
「ーーーーさぁ、カプセルを渡してもらおうか?」
「・・・・・・・・・・・・」
伏井出ケイは理巧に持ってこさせるように手を伸ばした。
「理巧様、ヤツは危険だ」
「大丈夫。鷹丸さん、ボクが行きます」
雅緋が危険だと理巧は大丈夫と言い鷹丸に近づき、自分が持っていくと言うと、鷹丸は小さく頷き、アタッシュケースを手渡される。
「・・・・気をつけろよ、理巧」
「(コクリ・・・・)」
アタッシュケースを手渡す際に、コッソリと話すと理巧め頷き、伏井出ケイに近づき、因縁の2人が対峙する。
「ーーーーこの『厄介なカプセル』を6つも手に入れて、どうするつもりだ?」
「フフッ・・・・何故、お前を指名したと思う?」
「・・・・何だ? 今更『宣戦布告』でもしようって言うのか?」
嘲弄の笑みを浮かべる伏井出ケイに、理巧はやれやれと言いたげな態度と声で応える。
「・・・・この物語の決着を着けるのはこの私か。ベリアル様の子であるお前のどちらかだ。ーーーーベリアル様に選ばれし者が、この物語にエンドマークを打つ」
「(うわっ、別にボクはベリアルに選ばれたいなんて思っていないよ・・・・)」
伏井出ケイは理巧に対して、表面上は重く静かな態度を取るが、理巧はここまでベリアルに執着する伏井出ケイにゲンナリしそうになる。
「『ベリアル様の意志を継ぐ者』。ソレはお前じゃない。・・・・私だ」
「『ベリアルの意志』なんてモンを継ぎたいのなら、アンタが勝手に継いでくれ。ボクに取っては、“1毛の価値の無いモン”だ」
『1毛』、つまり『1円』の1万分の1程度でしか無いと、理巧は心底ウンザリしているように言った。嘘偽りの無い、理巧の本心からの言葉である。
「ハハハハッ・・・・所詮このチッポケな地球にいつまでも這いつくばっている低脳な地球人に感化された出来損ない、か・・・・」
「『ベリアルの使いっ走りの三下ふぜい』のような存在の方が、地球人より上等とは思えないけどね」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」
理巧と伏井出ケイ。2人の間に凄まじい闘気と殺気がバチバチと飛び散っていた。
「この物語の決着の『鍵』は、私の手の中にある・・・・!」
ーーーーギギガゴゴゴゴ・・・・。
伏井出ケイがそう言った瞬間、石刈アリエを吊るしている鉄塔が更に傾き、石刈アリエは落ちそうになってしまった。
「ーーーーお願い助けて!!」
「・・・・・・・・アンタの物語云々は心底どうでも良いが、いい加減決着‹ケリ›を付けたいのはこちらも同じだ。お前はさっさと蹴散らしてやるよ」
「はっはは、ほざけ。さぁ、カプセルを渡せ」
理巧がカプセルの入ったアタッシュケースを伏井出ケイに手渡そうとした、その時ーーーー。
「ーーーーふっ!!」
「「!」」
「はっ!」
「うっ!!」
霧夜先生(inゼロ)が2人の間に降り立ち、伏井出ケイに蹴りを叩き込むと、伏井出ケイが後退した。
「ナイスタイミングだ、ゼロ!」
「理巧、ここは俺に任せろ!」
「頼む!」
理巧はアタッシュケースを抱えてバックジャンプで雅緋の所に飛んだ。
「〜〜〜〜!!」
伏井出ケイは忌々しそうにゼロを見据える。
「ーーーーはぁっ!!」
「っーーーーゼロ! 止まれ!」
「!」
ゼロが伏井出ケイに向かおうとしたその時、理巧が『妙な気配』を感じて声を上げると、ゼロは一瞬動きが止まった。
その瞬間、
ーーーーババババババババババババッッ!!!
ゼロの足元に光線が放たれ、白い煙を上げた。
「っ! お前は・・・・!?」
『ーーーーフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ!!』
突如、ゼロと伏井出ケイの間に、『異形の形』が現れた。
セミの口吻や複眼に似た器官のある顔を持ち、2足歩行の身体の各所に体節のような箇所があり、まるで昆虫めいた印象があるが両手の先は大ぶりな金属的質感のあるハサミ状の手をしている宇宙人であった。
「『バルタン星人』だとっ!?」
そう。『宇宙忍者 バルタン星人』である。
『何故ここにバルタン星人が!?』
「っ、伏井出ケイ、お前か!」
「ハッハッハッハッハッハッハッハッ!! 貴様らのチャチな作戦など、この私にはお見通しだ! バルタン星人! あの小僧の持っているアタッシュケースに、強力な『怪獣カプセル』があるぞ!! 私か貴様、早い者勝ちだぁ!!」
『シャーーーー!!』
どうやら伏井出ケイが呼んだ、『怪獣カプセル』を狙う宇宙人のようである。
伏井出ケイが理巧の持つアタッシュケースを指差すと、バルタン星人は蝉の鳴き声のようなノイズ音を鳴らすと、複数体の『分身体』を生み出し、理巧に向けてハサミを向けると、『白色破壊光弾』を撃ち出した。
「ちぃっ!!」
が、理巧が片手を上げて、5指の指をワキワキと動かすと、事前に“糸で繋いでいた皆の武器”が宙を浮き、それぞれの手に戻った。
「理巧様!」
雅緋は黒刀を持ち、飛んでくる光弾から理巧を守りながら後退する。
「バルタン星人!」
『フォッフォッフォッフォッ!!』
『鷹丸! 暁月は彼女に任せ、お前は石刈アリエを!』
「ああ!」
ゼロもバルタン星人達の攻撃を躱し、ゼナは光線銃を持ち伏井出ケイへ、鷹丸はバルタン星人よ攻撃を回避しながら石刈アリエの元へ向かった。
「ふん!ーーーーはぁっ!!」
ーーーードシュ・・・・ドォォン!!
が、ゼナが伏井出ケイに近づくて、伏井出ケイは倒れかかっている鉄塔に再び火炎弾を放つ。
「ーーーーきゃぁあああああああああああああ!!」
倒れる振動で石刈アリエを縛っていた縄が引きちぎれ、石刈アリエは空中に放り出された。
「ーーーーアリエさんっ!!」
『っ! 飛鳥!』
空中の石刈アリエの直ぐ側にワープホールが現れ、ソコから飛鳥が飛び出して石刈アリエを抱き締めて救い出した。
「はぁっ!!」
「おらっ!!」
「ふっ!!」
「えーい!!」
「そらっ!!」
「ふんっ!!」
「っ!!」
「おりゃー!!」
「それ!!」
「はいっ!!」
「しゅっ!!」
「ていっ!!」
「よっと!!」
「うりゃー!!」
「アチョーっ!!」
「え、えい・・・・!!」
「このっ!!」
「えへへ!!」
すると今度は、飛鳥が出てきたワープホールから忍学生達が飛び出し、バルタン星人と交戦を始めた。
「鷹丸様!」
「ハルカ! 皆も来たのか!」
「飛鳥のヤツがフライングしちゃった時は焦ったけどね!」
「取り敢えず、このバルタン星人を片付けるぞ!」
ハルカとナリカとスバルも駆けつけ、バルタン星人と戦う。
「りっくん! アリエさんを助けたよ!」
石刈アリエをお姫様抱っこした飛鳥が、理巧達に近づく。
「理巧! 飛鳥と共に彼女とアタッシュケースを持って脱出しろ!」
「はい! 雅緋さん! 皆と一緒に伏井出ケイを!」
「了解!」
鷹丸から指示を受け、理巧はアタッシュケースを持ち、飛鳥は石刈アリエを抱えて車へと向かった。
ー伏井出ケイsideー
「〜〜〜〜!!! っ!」
忌々しそうに顔を歪める伏井出ケイの横顔に、ゼナが放つ光線が横切る。
『伏井出ケイ!』
「ちぃっ!!」
伏井出ケイは廃工場へと向かい、ゼナは雅緋と共に追った。
「野郎!!」
「待ちなさい!!」
そして、焔と雪泉、伏井出ケイに利用された者達も。
ーゼナsideー
『・・・・・・・・』
「・・・・・・・・」
「・・・・はぁっ!!」
廃工場で伏井出ケイと対峙するゼナと雅緋。
少しの間だけ無言であったが、伏井出ケイが2人に向かって火炎弾を放つ。
「フンッ!!」
が、雅緋が黒刀でその火炎弾を一刀両断し、2つに分かれた火の玉は後ろで爆裂して消えた。
「ウアァァァァ!!」
「ハァッ! セイッ! ツァッ!!」
『フッ!!』
伏井出ケイが火炎弾を撃ちまくり、雅緋が黒刀で次々と斬り捨て、ゼナは光線銃で応戦していった。
『ハッ!』
「ギャァッ!? グゥゥゥゥ・・・・!!」
そして、ゼナの放った光線が、伏井出ケイの火炎弾を放つ掌に当たり、伏井出ケイは僅かに火傷を負った掌を抑えてゼナを睨みつける。
「「伏井出ケイ!!」」
と、ソコで、焔の6本の刀と雪泉の鉄扇が迫ってきた。
「『秘伝忍法・紅』!!」
「『秘伝忍法・樹氷扇』!!」
焔は両手に3本装備した刀に炎を纏わせ振り回し、雪泉は回転しながら自分を中心に冷気の渦を巻き起こす。炎と冷気が伏井出ケイに迫る。
「蛇女子を利用した借り!」
「お祖父様を利用した借り!」
「「ここで返してやる(ます)!!」」
「!!」
ーーーーギュワァアアアアッ!!
伏井出ケイは『バラバカプセル』を起動させると、右手にエネルギーでできた鉄球を生み出し、ソレを焔と雪泉に向けて放り投げると、2人の身体が鉄球の鎖に巻き付かれ縛られる。
「うああああっ!!」
「「っ!!」」
縛られた2人は地面に倒れると、伏井出ケイは倒れる2人に向けて手を上げる。
「あぁぁ〜っ、五月蝿い虫けら共めェ・・・・!」
伏井出ケイが火炎弾を生み出そうとしたその時、
「『秘伝忍法・善悪のPurgatorio』!!」
「!!」
雅緋が5連斬で伏井出ケイに斬りかかるが、寸前で回避した。
『伏せろ! はぁ!!』
「!」
雅緋が身体を屈めると、ゼナが飛び蹴りを伏井出ケイに叩き込むと伏井出ケイも後退する。
『ーーーー鷹丸! 早く行け!』
ー鷹丸sideー
「応! 皆、逃げるぞ!!」
ゼナからの通信を受けて、鷹丸は助手席にアタッシュケースを乗せ、後部座席に飛鳥と石刈アリエを乗せて、この場から離脱した。
『フォッフォッフォッフォッ!』
「させるかよ!」
「鷹丸さんとあーちゃんを追わせない!」
バルタン星人が追おうとするが、ゼロと理巧が立ち塞がる。
ー伏井出ケイsideー
「ーーーーやはり簡単には終われないと言う事か・・・・!」
伏井出ケイは息を切らせながら、『怪獣カプセル』を起動させる。
「ーーーーキングジョー!」
ーーーーグワン!
『キングジョーカプセル』を装填ナックルに入れる。
「ーーーーギャラクトロン!」
ーーーーキュォォン!
次に『ギャラクトロンカプセル』を装填してから、ライザーの握り手のスイッチを押す。
『マズイ! 離脱しろ!!』
「はいっ!」
「くっ!」
「ちぃっ!!」
ゼナがそう言うと、雪泉と雅緋と焔もその場から離れる。
「これでエンドマークだぁっ!!」
ライザーで手に持ったナックルをスキャンする。
ーーーードクンッ! ドクンッ!
ナックルのカプセルのエネルギーを読み込んだライザー中央のカプセルが目映く発光して、音声が流れる。
[フュージョンライズ!]
「ぬぅぅぅぅ、あぁぁぁぁっ!!」
ライザーを胸元に持ってきて、起動スイッチを押した。
「ハァアッ!!」
伏井出ケイの姿が『ウルトラマンベリアル』の姿へと変わり、ベリアルの前に『キングジョー』と『ギャラクトロン』の姿が現れると、2体はベリアルの口の中へと吸い込まれ、ベリアルの姿が変貌した。
[キングジョー! ギャラクトロン! ウルトラマンベリアル! キングギャラクトロン!!]
『ーーーーピィアアアアッ!!!』
バルタン星人って、令和でも見ませんね(泣)。