閃乱ジード   作:BREAKERZ

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やるぜ、修行

~半蔵学院・忍び教室~

 

「ムグムグ、な~んかここんとこ、怪獣騒動が多くないか?」

 

「そうですね。おかげで忍務も学校も何度休校になったことか」

 

「モグモグ、聞いた話だけど、もう半蔵学院の生徒の一・二割の生徒が家を無くして転校したようだよ」

 

自習や訓練の為に忍び教室に集まっていた葛城、斑鳩、飛鳥は、飛鳥が持ってきた『じっちゃんの太巻き』を頬張りながら、このところ頻発している怪獣騒動の話をしていた。

 

「柳生ちゃんはどう思う?」

 

飛鳥がみんなから少し離れた位置で腰かけている柳生に話しかけるがーーーー。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

太巻きを頬張る柳生の顔はいつもの通りのクールな貌だったが、その全身からは不機嫌なオーラを放ち、近寄りがたい雰囲気になっていた。

 

「柳生のやつ、ここのところスッゲェ不機嫌だよな・・・・?」

 

「普段から愛想の無いところがあったクールな性格でしたが・・・・」

 

「ここ数日話しかけづらい感じだよね・・・・」

 

「まあ原因は分かりきっているけどな。アタイは面白いけど♪」

 

「悪趣味ですよ葛城さん・・・・」

 

飛鳥達も柳生の様子に困りながらひそひそ話をしていた。葛城だけは面白半分だったが。

そして、忍び教室の壁が回転し、そこから絶賛柳生を不機嫌にさせ、飛鳥が気が気でない様子で見つめ、葛城の密かな楽しみで斑鳩の頭痛の要因となっている二人が入ってきた。

 

「理巧君! ほら早く!」

 

「はいはい」

 

雲雀に腕を引っ張られながら、理巧が登校するのを見ると、柳生の目付きが鋭くなり、飛鳥が何か言いたげな顔となり、葛城はまるで昼ドラを楽しむようにニヤニヤと笑みを作り、斑鳩はまた騒動が起きそうだと言わんばかりに小さくため息をついた。

 

「あっ! みんなおはよう!」

 

「おはようございます・・・・」

 

元気いっぱいに挨拶する雲雀と違って、理巧はダウナーな気持ちで挨拶した。完全に対照的な二人だ。

 

「お、おはよう雲雀ちゃん・・・・。さ、最近、りっく、理巧くんと、よく一緒にいるね?」

 

「うん! 雲雀と理巧君はお友達なの! ね!」

 

「うん、まぁ・・・・」

 

「そ、そうなんだ・・・・」

 

飛鳥としては、初恋の人が友人の女の子と仲良く一緒にいることに複雑な感情があるのだが、理巧も雲雀もその事に気づいていなかった。

 

「あっ! それ飛鳥ちゃんのおじいちゃんの太巻きだね!」

 

「う、うん。雲雀ちゃんと理巧くんも食べる?」

 

「うん! 理巧くんも」

 

「あ、うん」

 

理巧も床に座って太巻きを頬張った。

 

「(あれ? この太巻き、どこかで食べたような・・・・)」

 

「理巧君、美味しい?」

 

「・・・・まあ悪くないな」

 

「美味しいって飛鳥ちゃん!」

 

「う、うん。じいちゃんの太巻きだからね・・・・!」

 

理巧の感想をにこやかに飛鳥に伝える雲雀。しかし飛鳥は理巧と雲雀の仲睦まじい雰囲気に複雑そうな笑みを浮かべ、そんな雲雀の様子を見て、柳生の不機嫌なオーラがさらに出ていた。

 

「(お~お~。これはこれはおもしろい展開だなぁ♪)」

 

「(く、空気が重い・・・・!)」

 

葛城はワクワクと状況を面白がるが、斑鳩は空気の重圧におののいていた。

 

「そ、そう言えば! 暁月くんと雲雀さんも、このところ頻発に起こっている怪獣騒動をどう思いますか?」

 

耐えかねて斑鳩がさっきの怪獣騒動の話に戻そうとした。

が・・・・。

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

「あら?」

 

理巧は普段通りだが、雲雀の纏う雰囲気が少しムッとなっているように感じた。

 

「まぁ迷惑ですよね。今までのバイトが無くなるし、せっかく面接まで行ったバイト先が破壊されて無くなるし、おかげで無職&無収入になっちゃいましたよ」

 

「バイトの事しか言ってないぞ?」

 

「高校生なのだから、無収入はともかく無職ではないでしょう」

 

「あ、後ついでに何度も学校が休校になりますし」

 

「学校の事はついでなんだね・・・・」

 

ウンザリしたように答える理巧に、葛城と斑鳩と飛鳥がヤンワリとツッコミを入れる。

 

「むぅ~~~~~~っ!!」

 

「雲雀・・・・?」

 

柳生は、何故か理巧をジッと見つめて、頬を膨らませている雲雀に首を傾げていた。

 

ドロンッ!

 

すると、小さく煙が上がり、そこから忍び教室の担任、霧夜先生が現れた。

 

「みんな、自習なのに登校するとは感心だな」

 

『おはようございます!』

 

「霧夜先生、じっちゃんの太巻きですが、一緒に食べませんか?」

 

「ああ、いただこう」

 

飛鳥達が挨拶し、霧夜先生も飛鳥に進められ、『じいちゃんの太巻き』を頬張ろうとする、が・・・・。

 

「・・・・っっ??!!」

 

霧夜先生は突然身体をビクッ! と強ばらせると、バッ!と、理巧を見つめ、次に雲雀の方を見た。

 

「霧夜先生・・・・?」

 

「どうしました?」

 

「い、いや、すまない・・・・」

 

しどろもどろで理巧から視線を外す霧夜先生だが、その目には驚きと戸惑いが混じっており、改めて太巻きを頬張り、少し黙ると、理巧に顔を向けて話しかける。

 

「理巧、最近怪獣による騒動が起こると巨人が現れるが、お前はヤツをどう思う?」

 

「・・・・・・・・別に、興味有りませんね。ただ怪獣が現れるからあの巨人が現れるようですから、怪獣が出てこなくなれば巨人も出てこなくなると思いますよ」

 

「そう、か・・・・」

 

「ムゥ~~!」

 

巨人、ウルトラマンジード本人である筈なのに、自分は無関係と云わんばかりの態度の理巧に、霧夜先生は戸惑いがちに頷き、頬を膨らませる雲雀。

 

「でも、あの巨人が私達を守ってくれたよ」

 

飛鳥はジードを擁護するように口を開くが、葛城と斑鳩、そして柳生は、飛鳥に同意しかねるような顔色だった。

霧夜先生が意を決した様子で、理巧に話しかける。

 

「理巧。これから格闘訓練をやるが、お前も参加してもらうぞ。前回<雲雀との組手>はアクシデントで中断になったからな」

 

「・・・・分かりました」

 

ウルトラマンにも、忍者にも興味皆無の理巧は、嫌々ながらも承諾した。

 

「んで、誰が組手の相手をするんですか? また雲雀ちゃんですか?」

 

「あっ・・・・! 柳生ちゃん!」

 

「ん?」

 

「柳生ちゃん! 理巧くんの組手相手をしてくれないかな?」

 

「・・・・やる」

 

『えっ?!』

 

雲雀に頼まれ、すぐさま柳生は立ち上がり、理巧の前に仁王立ちした。

 

「暁月。俺と組手をしろ」

 

「・・・・・・・・霧夜先生」

 

「(柳生と組手か。・・・・前から二人の組手を見たかったし、ちょうどいいかもな) 良いだろう。理巧、柳生と組手をしろ」

 

「はぁ・・・・了解」

 

ため息は吐いた理巧は渋々と立ち上がり、霧夜先生と雲雀も立ち、飛鳥と斑鳩と葛城も立って、道場に向かった。

その際、霧夜先生はコッソリと呟く。

 

「(ゼロ、本当なのか? 理巧が、“あのウルトラマンベリアルに良く似たウルトラマンだ”ってのは?)」

 

『(ああ、間違いない。あの時、あのウルトラマンが倒れた先で、あの少年が倒れていた。それにその時あの雲雀って女の子も一緒にいたんだ)』

 

「(と言うことは、雲雀も理巧がウルトラマンだって知っていると言うことなのか・・・・)」

 

霧夜先生は、現在自分と同化している『ウルトラマンゼロ』からウルトラマンジードの正体を知らされ、どうやら雲雀もジードの正体が理巧であると知っており、ジードの仲間であると教えられた。

そうこうしている内に道場に到着し、理巧と柳生は服装を運動着に着替えて、向き合っていた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・あのさ。なんで君、僕に殺気を放っているの?」

 

柳生は凄まじい殺気を放ちながら理巧を冷徹に睨み、理巧も柳生の殺気には以前から気づいており、いい加減鬱陶しく感じたので訊いてみると、柳生はボソッと呟く。

 

「お前、雲雀とどういう関係だ?」

 

「どういうって、まあ、一応・・・・友達、かな?」

 

「そのわりには、よく雲雀と一緒に下校したり、二人きりで何処かに雲隠れしたりしているな?」

 

実は雲雀が秘密基地の事を知ってから、雲雀はよく理巧と一緒に下校して、その度に基地に行っていた。

そして柳生は二人の事をここ数日尾行しようとするが、毎度見失ってしまうのだ。

 

「へぇ~、最近僕と雲雀ちゃんを尾行しているヤツがいるなぁと思ってたけど、君だったんだね」

 

「(っコイツ、俺の尾行に気づいていたのか?!)」

 

柳生は理巧に対する警戒心を高めた。

そして対峙する二人から離れた位置で見ている飛鳥達は。

 

「どっちが勝つと思う?」

 

「柳生だろ」

 

「柳生さんですね」

 

「柳生、ちゃんかな?」

 

「みんな柳生ちゃんが勝つと思うんだね・・・・」

 

間髪いれずに柳生の勝利を断言する仲間達に、飛鳥は苦笑いを浮かべるが、飛鳥自身も柳生が勝つと思っていた。

 

「当然だろ? 聞いたところ、あの暁月ってヤツ、段位も何にもないド素人じゃねぇか」

 

「こう言ってはなんですが、柳生さんは間違いなく“天才”です。ド素人の暁月さんが敵うとはとても思いません」

 

「雲雀ちゃんは、どうして理巧くんの組手に柳生ちゃんに頼んだの?」

 

「うん、理巧くんって、忍びに興味が無いから、柳生ちゃんと組手をすれば忍びに興味を持ってくれるかなって思ったの」

 

飛鳥達は柳生が勝利する事を確信しており、理巧が倒されて怪我しないか心配していた。

 

『(霧夜。アイツとあの柳生って子を戦わせる理由はなんだ?)』

 

「(理巧はああ見えて、“全国のくノ一達の憧れのお姉様達である三人の忍び”から師事を受けているからな。天才と呼ばれている柳生との戦い方を見れば、実力を知ることができるし、ゼロ、お前も理巧の戦いを見て、アイツの人となりを見定めて見たらどうだ?)」

 

『(なるほどな。戦い方を見ればソイツの人となりを知ることができるって事だな)』

 

「(そう言うことだ)」

 

ゼロとの話を終えた霧夜先生は、理巧と柳生の間に立つ。

 

「それじゃ組手を始めるぞ。理巧。面倒だからと手を抜こうとするなよ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

目を背ける理巧に向けて、霧夜先生は理巧に向けてアイコンタクトをする。

 

「(理巧。マジメにやらないと、鷹丸達に報告するぞ?)」

 

「(っ! 霧夜おじさん・・・・! それちょっとズルいですよ・・・・!)」

 

「(何がズルいだ。鷹丸達からも、お前の学校生活がどうなっているのか聞かれているんだよ)」

 

「(えっ?)」

 

「(一応雲雀って友達ができたって伝えたら、それはもう嬉しそう喜んでいたぞ。だがこのままマジメに修行をしなければ、アイツらに報告しなければならないぞ? 鷹丸をガッカリさせたいのか? ハルカがまた心配するぞ? ナリカもきっと悲しむぞ? スバルを失望させたいのか?)」

 

「(ぐぅ・・・・・・・・!)」

 

霧夜先生は理巧に“やる気”を出させるために意地の悪い問答をした。理巧にとって鷹丸達を心配させるのは絶対に拒否する事だ。

柳生とマジメに組手をするか、鷹丸達を悲しませるか、理巧にとって、どちらがイヤなのかは火を見るよりも明らかだった。

 

「(マジメにやらせていただきます・・・・!)」

 

「(よろしい)」

 

霧夜先生は理巧が承諾するのを確認すると、片手を上げて、組手の開始を告げようとする。

 

「それでは、いざ尋常に、始めっっ!!」

 

ビュンッ!

 

ヒュンッ!

 

霧夜先生が勢い良く振り下ろすと、柳生と理巧は一瞬で飛んでぶつかり合った!

 

 

 

ー???sideー

 

黒い服を着た男性は、複数個も持った『ダークロプスゼロカプセル』の握り、ほくそ笑みを浮かべる。

 

「『ダークロプスゼロ』。“あのお方”がお造りになられたウルトラマンゼロを模して創られたロボット戦士。かつては自らの科学力を過信した愚かなサロメ星人達が、身の程知らずに利用しようとした超兵器。これで新たな実験を始めましょうか・・・・!」

 

その男性は口元に歪んだ笑みを浮かべた。

 

 

 

 

ー飛鳥sideー

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・嘘?」

 

飛鳥達は信じられないものを見たように唖然となっていた。

 

「ほぉ、まさかここまでとは・・・・」

 

『(なかなかやるな、アイツ・・・・)』

 

霧夜先生もゼロも驚嘆したようなため息を吐き出した。

 

一同の視線の先にはーーーーーー。

 

「くっ・・・・! かはっ! ま、まさか・・・・! こんな・・・・! ぐっ! うぅっ・・・・!!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

息も絶え絶えの状態で、うつ伏せに倒れる汗まみれの柳生と、その柳生を見下ろしながら、息1つも乱れておらず、汗も流れていない理巧だった。




次回、柳生との対話イベントです。
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