ー理巧sideー
「な、何!? あの怪獣!?」
「(レムのデータベースにも無かった怪獣だと?)」
突然現れた2体の怪獣達が遊園地を火の海と氷の大地に変えていくのを見て、飛鳥と理巧は目の前の蛭沢に悟られないように狼狽えている風に装う。
「ヒャハハハハッ!! どうだ暁月ぃっ!? 早くウルトラマンに変身しないと、み~んな死んじゃうぞ!?」
「アナタは、自分が何をしているのか分かっているのか!?」
「大勢の人達や! 皆の楽しい遊園地を滅茶苦茶にしてるんだよ!?」
「知った事かぁ! 暁月! お前が全部悪いんだ! お前が俺の人生を滅茶苦茶にしたんだ! ソレに比べたら、遊園地の1つや2つ、他人が何人何十人何百人が犠牲になろうが些末な事何だよぉ!!」
蛭沢は自分の行いを省みようとせず、理巧が悪いと一方的に捲し立てるだけであった。
すると、理巧の『装填ナックル』から通信が入り、理巧は蛭沢に見つからない様に通信に応じる。
「(何だレムーーーーえっ?・・・・了解、タイミングは任せるよ)」
そして理巧はコッソリと飛鳥に耳打ちをすると、飛鳥も小さく頷いてみせた。
ー蛭沢sideー
「(ひひひひっ! さぁウルトラマンに変身して見せろ暁月ぃ! すぐに写真に納めてテレビ局に売り捌いてやるぅ! 『地球にウルトラマンなんかがいるから怪獣があらわれるんだ』、『異星人はこの地球のアチコチに潜んでいるんだ』、と吹聴しまくってやる! お前は地球人から迫害される! 俺のバラ色の人生を滅茶苦茶にしたお前には、当然の報いだぁ!)」
蛭沢は使い捨てカメラを構えて、暁月理巧が変身するのを待った。
が、しかし・・・・。
「ーーーー大丈夫ですかお客様!!」
「ーーーーここは危険です! すぐに避難を!!」
「な、何だお前ら!?」
突然、褐色肌の女のスタッフと、一瞬男かと思ったが制服を押し上げる豊満な胸を見て女であろうスタッフが左右から自分の腕をガッチリと掴んで避難させようとしていた。
その一瞬、“暁月理巧から目を離してしまった”。慌てて蛭沢が暁月理巧に目を向けると、相変わらず彼女らしい女と一緒にいるのが見えた。
そして次の瞬間・・・・。
『シュワァァァァッ!!』
何とーーーーウルトラマンジードが現れて、フレムラーとブリザラーと戦い始めたのだ。
「な、何ッ!? な、何でウルトラマンが!? あ、暁月は彼処に・・・・!?」
目の前で、“彼女を連れて避難しようとする暁月理巧”を声を震わせながら誰に問うでもなく呟いた。
ージードsideー
突然現れたウルトラマンジードに、2体の怪獣は頭の鶏冠や角、大きく太い尻尾を振り回して攻撃する。
『ギャァァァ!』
『ゴォォォォ!』
『(レム、この怪獣達は一体?)』
《私》
蛭沢の言葉から、氷の青い怪獣を『ブリザラー』、炎の赤い怪獣を『フレムラー』と呼称されていた怪獣達と戦いながら、ジードがレムに通信して目の前の怪獣達の事を聞くが、レムの『怪獣データベース』にも記載されていない全くの未知の相手であった。
『ギャァァァァ!』
『グゥッ、ヌゥアッ!!』
『ゴォォォォ!』
フレムラーが尻尾を振り回すが、ジードはソレを回避すると、ブリザラが角を振って襲い来る。
『ハァッ!! くぅぅぅぅ・・・・!』
ジードは角を回避し、ブリザラーの頭をヘッドロックして締め上げる。
『ギャァァァァ!!』
次にフレムラーが鶏冠を突き立てるように前のめりになって、ジードに襲い来る。
『ーーーーシュワァッ!!』
『ギャァァァァ!?』
しかし、ジードも両足蹴りをフレムラーに叩き込むと、フレムラーは顔を仰け反らせて後退する。
『ゴォォォォォォォォ!!』
『っ、ウワァッ!!』
が、ソコでヘッドロックが緩んだのか、ブリザラーが頭を振って拘束から脱出すると、尻尾でジードの背中を叩き、ジードを引かせる。
『ゴォォォォッ!!』
すると次に、ブリザラーが両手の大きく鋭い氷柱のような爪をジードに向けて、ミサイルのように発射した。
『フッ! ハッ! タァッ!』
が、ジードはその氷柱を回避し、ブリザラーが連射して攻撃するが、ジードが再び回避しようとしたが・・・・。
『ギャァァァ!!』
『っーーーーグァッ!!』
『ゴォォォォ!!』
『ウァァァァァァァァッ!!』
ジードを中間に、ブリザラーと向かい合っていたフレムラーが、その長く大きな尻尾でジードの背中を叩くと、ジードはバランスを崩してしまい、その隙にブリザラーが氷柱ミサイルをジードに当てていき、ジードは倒れてしまう。
『ギャアアアアアアアア!!!』
『ゴォオオオオオオオオ!!!』
倒れたジードに向かって、フレムラーが口から火炎を、ブリザラーが口から冷凍ガスを吐き出し、ジードの身体を熱と冷気が襲い掛かる。
『熱っ!? 寒っ!? いや熱い!? いや寒い!?』
熱さと寒さの寒暖差の連続に、ジードは身体をブルッも震わせる。
『ーーーーセヤッ!!』
『ギャァァァァッ!?』
すると、フレムラーの横面をーーーーウルトラマンゼロが現れて、『ゼロキック』で倒れさせる。
『っ!!』
『っ、『レッキングリッパー』!!』
『ゴォォォォォ!!?』
フレムラーが倒れたのを見て冷凍ガスを吐くのを一瞬止めたブリザラーに、ジードが攻撃するとブリザラーが倒れ、その隙に起き上がると、ゼロと背中合わせになる。
『助かったよゼロ。おじさん』
『応! しかし、こんな怪獣俺も知らないぜ。・・・・気合い入れろよジード!』
『ああ!』
ジードとゼロは、起き上がったブリザラーとフレムラーに果敢に挑んだ。
ー飛鳥sideー
そして、ジードが倒れ、2体の怪獣に襲われているのを見ていた飛鳥達は。
「ーーーー離せ! 離しやがれ!! 暁月ぃ! お前がウルトラマンジードだろう! 彼処にいるのは、“ウルトラマンゼロって異星人野郎が変装してんだろう”!! 正体晒しやがれこの化物ぉ!!」
飛鳥は理巧(?)と一緒に避難しようとするが、蛭沢が警備員に扮した焔と雅緋に連れられる形で逃げようとするが、蛭沢は理巧(?)をウルトラマンジードであると決めつけ、その正体を見てやろうと、目を真っ赤に血走らせ・・・・否、最早目が真っ赤に染まってしまう程に睨みつけるのであった。
と、蛭沢が喚いていると、ウルトラマンゼロがフレムラーを蹴り飛ばした。
「う、嘘だ・・・・! ど、どうなってるんだ・・・・!?」
「大人しくしろっての!」
「早く避難しろ」
訳が分からず狼狽える蛭沢を、焔と雅緋が連れ出そうとする。
「(・・・・どうしよう?)」
「(・・・・相手にするな。このまま非難するのじゃ)」
アイコンタクトをした2人はそのまま避難しようとすると、ジードがブリザラーの攻撃で倒れ、その時の爆風が飛鳥達を襲う。
『うわぁっ!?』
「っ!」
爆風に煽られ、焔と雅緋が手を離したその瞬間、蛭沢は2人の拘束から逃げ出す。
「っ! 蛭沢が!」
「暁月ぃ! コレで終わったと思うなよぉ! お前がウルトラマンだって周りに言いふらしてやるっ! 地球人に紛れて生活できると思うなよ化け物! 異星人の化け物ぉ!!」
と、理巧(?)を指差して見苦しく喚きながらその場から退散しようとしたその時、
ーーーーガララララ・・・・!!
「・・・・へ?」
ブリザラーやフレムラーが暴れた事によって破壊された観覧車が、不穏な音を立て始め、蛭沢が上を向いた瞬間・・・・。
ーーーーグシャアアアアアアアア・・・・!!
観覧車が蛭沢に向かって倒れてきた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああーっっ!!!!」
人間、思い寄らない突発的な状況に陥ると脳がパニック状態になると金縛りにあったかのように動けなくなる。
そんな状態になった蛭沢が悲鳴を上げた。
「っっ!!ーーーー!!」
とその時、飛鳥の脳裏にーーーー“石刈アリエの死んだ時の姿が過った”。
飛鳥はダッと駆け出し、服のスカートが裂けるがソレに構う事なく、蛭沢をドンッと突き飛ばした。
『(っ! あーちゃん!!) ジードクロー!!』
と、ジードがジードクローを投げ飛ばした。
ーーーーゴシャァアアアアアアアアアアアアンンッッ!!!
「「「飛鳥ァァァァ!!」」」
観覧車が盛大に倒れ理巧(?)と焔と雅緋が声を張り上げるが、土煙で周りが見えなくなる。
そして、煙が晴れると・・・・ジードクローがギリギリ支えとなり、倒れている飛鳥の身体に観覧車の鉄柱が乗っかっている状態であった。そして、その傍らでは、ズボンの股を濡らした蛭沢が腰を抜かしたのかガタガタと震えていた。
《焔! 雅緋! 急いであーちゃんを!》
「「っ、了解!」」
一瞬、飛鳥が無事なのが分かりホッとした焔と雅緋は、インカムからのジードの連絡にすぐに正気に戻ると、先に行っていた理巧(?)に付いていき、ゴゴゴゴ・・・・、と不穏な音が鳴る観覧車から、飛鳥の身体を慎重に、ソレでいて迅速に救出した。
ーゼロsideー
『っーーーーゼロ! 怪獣達はボクが相手をするから、あーちゃんを頼む!』
『ジード!』
『シュワァッ!!』
ジードは再びヘッドロックをしていたブリザラーをフレムラーの方へと投げ飛ばし、2体はもつれ合うように倒れる。
『早く!』
『分かった!』
そう言って、ジードは2体の怪獣をなるべくここから離れさせようと戦い、ゼロは飛鳥の元へと向かった。
ー理巧(?)sideー
「・・・・うっ、うぅっ・・・・!」
救出された飛鳥は衣服はボロボロになり、意識は微睡んでいるようである。急いで他の地区で避難誘導をしている葛城か叢に連絡をしようとすると。
『俺にまかせろ。ーーーールナミラクルゼロ!』
フレムラーとブリザラーをジードに任せたゼロが、ルナミラクルゼロとなって、治癒の光を飛鳥に向けて放つ。
すると、ガタガタと震えながら蛭沢が起き上がり、その場から逃げようとしながら、倒れている飛鳥に向けて指差す。
「こ、コレで恩を売ったつもりか!? お前らは異星人なんかと手を組んでいる『地球の裏切り者』だ! 恩着せがましい事をしたって、俺はお前らを擁護なんてしないからなぁ!!」
「! テメェ!!」
「っ!!」
焔が目を鋭くすると、雅緋が一瞬で蛭沢の前に移動してその胸元を掴み上げる。
「ぎゃぁぁぁぁ!! た、助けてくれぇ!! コイツら俺を殺そうとしているぅ!! 暴力をふるおうとしているぅ!! 助けてぇ!! 人殺しだぁあっ!!」
「!!」
今度は泣き出して喚き散らす蛭沢に、雅緋はお望み通り殴り殺してやろうと拳を握る。
が・・・・。
「ーーーーやめろ。雅緋」
「「!!」」
「へ?」
が、背を向けている理巧(?)から、低く重く、そして厳かな声が発せられ、焔と雅緋は身体を硬直させ、蛭沢はキョトンとした。
「ーーーー殴った所でお主の手が汚れるだけだ。そのような『地球のゴミ』、殴る価値すらない」
「・・・・・・・・・・・・」
「ぎゃぁっ! ひっ、ひひっ、うひひぃいいいいいいいいいいいいっ!!」
理巧(?)にそう言われ、雅緋は蛭沢から手を離すと、蛭沢は地面に尻餅をつくと、そのまま腰砕けになりながらも惨めに逃げ出した。
「・・・・ぅっ・・・・」
「飛鳥!」
と、ソコで飛鳥が意識を取り戻した。
「ぁっ・・・・焔、ちゃん、あの人、は・・・・?」
「・・・・飛鳥に感謝せず、我先にと逃げ出しやがった」
蛭沢の事を心配する飛鳥に、焔は不快そうに眉根を寄せて吐き捨てる様に言った。すると、雅緋が飛鳥に話し掛ける。
「飛鳥。何故ヤツのような『クズ』を助ける? ヤツが怪獣達を呼び出して死ぬ事になっても、ソレはヤツの自業自得だ」
「・・・・ソレでも・・・・目の前で、誰かが死んじゃうのを見るのは、もうイヤだったから・・・・」
『ーーーー飛鳥。お前は間違ってねぇよ』
ルナミラクルゼロは飛鳥に優しく諭した。
「今はゆっくり休めーーーー飛鳥」
そして、小さく笑みを浮かべる理巧(?)の声が・・・・老人の声に変わった。
「ありがとう・・・・じっちゃん・・・・」
ージードsideー
《ーーーー理巧。飛鳥は大丈夫ですよ》
「(よし!)」
そして、レムから飛鳥の無事を聞いたジード、理巧は自分を挟むように包囲するブリザラーとフレムラーを見据える。
『(伏井出ケイの目的は、ボクの持つ『手札』を探る事。ならもうーーーー見せてやるよ!!)ーーーー融合!』
インナースペースにいる理巧は『ジードライザー』を構え、カプセルホルダーから『ゾフィーカプセル』を持って起動させると、白色の光の線が幾つも放たれ、『ウルトラマンゾフィー』の姿が出現した。
ーーーーシュワッ!
次々に『ウルトラマンメビウスカプセル』を取り出して、起動させた。
「アイ・ゴー!」
ーーーーセヤッ!
カプセルから銀色の光の線が幾つもの放たれ、『ウルトラマンメビウス』の姿が現れ、カプセルを装填ナックルにいれてジードライザーのスイッチを押して起動させた。
「ヒア・ウィー・ゴー!!」
装填したナックルを取り外し、ジードライザーにスキャンさせる。
ーーーードクンッ! ドクンッ!
ジードライザーの中央のカプセルに、白色と銀色の光が交差するように交わる。
[フュージョンライズ!]
「示すぜ、未来!! ハァアアア・・・・っ!」
理巧はジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押した。
「ハァッ! ジイィーーーーード!!」
ライザーのカプセルが回転し白色と銀色に輝き、理巧の身体も光り輝く。
[ゾフィー! ウルトラマンメビウス! ウルトラマンジード!! ファイヤーリーダー!!]
ウルトラマンゾフィーとウルトラマンメビウスの姿が合わさり、理巧の姿が変わっていく。
『セワッッ!!』
炎と吹雪の嵐の中から、新たなウルトラマンジードが飛び出した。
『フゥゥゥ・・・・!』
右半身が燃えるような赤、左半身が凍てつくような青の左右非対称のカラーとなり炎と氷の戦士『ウルトラマンジード・ファイヤーリーダー』である。
『ギャァアアアアアアアアッ!!』
『ゴォオオオオオオオオオッ!!』
再びフレムラーとブリザラーの間に入るように着地したファイヤーリーダーに向けて、ブリザラーが冷凍ガスを、フレムラーが火炎放射を放った。
『フンッーーーーハァァァァァァァァ・・・・!!』
ファイヤーリーダーは赤い右半身の手を伸ばしてフレムラーの炎を受け止め、青い左半身の手を伸ばしてブリザラーの冷凍ガスを受け止める。
すると、ファイヤーリーダーの半身が真っ赤に燃えたり、凄まじい冷気を纏い始める。
『ーーーーーーーー!!!』
『ーーーーーーーー!!!』
ブリザラーとフフレムラーは、吐き出す冷凍ガスと火炎の出力を上げてるが、ファイヤーリーダーの半身が力強くなるだけであり、そして・・・・。
『ゴォォォォ・・・・』
『ギャァァァァ・・・・』
2体の怪獣の身体がヨロヨロになった。体内のエネルギーを使い切ったようだ。
『エネルギーをくれてありがとう。ーーーーお返しだ!!』
ファイヤーリーダーは2体の怪獣に向けていた身体を半身を逆にし炎をブリザラーに、冷気をフレムラーに浴びせた。
『ギャァァァァ・・・・!!』
『ゴォオオオオオオオオ!!』
フレムラーは凍り付いてしまい、ブリザラーは全身燃えてしまって倒れてしまう。
『ハァァァァ・・・・『バーニングフロスト』!!』
凍ったフレムラーに向けて、ファイヤーリーダーは巨大な火球をぶつけると、凍ったフレムラーは火球に呑み込まれ・・・・。
ーーーードゴォオオオオオオオオンン!!
爆散した。
『ゴォオオオオオオオオッ!!!』
弟怪獣が倒され、全身が焼けたブリザラーは起き上がって頭の角を突き立てて、ファイヤーリーダーへ向かって突進してきた。
『フっ! ハァァァァーーーー『メビューム87光線』!!』
右腕に炎を、左腕に冷気を纏い上に伸ばし、両の掌を合わせてブリザラーに向けて振り下ろすと、炎と氷の螺旋光線が発射され、ブリザラーの身体を貫通した。
『っっ!?!?!?』
ーーーードゴォオオオオオオオオンン!!
貫通された箇所から亀裂が広がり、ブリザラーの身体を爆散させた。
『・・・・・・・・っ!』
2体の怪獣を倒したファイヤーリーダーは、ほんの少しだけ身体を硬直させた。
『どうしたジード?』
『・・・・いや』
飛鳥の治療を終えたゼロと合流し、2人は空へと飛んでいった。
ー???sideー
「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ・・・・!! 畜生、怪獣共め! とんだ役立たずばかりだ!!」
蛭沢はウルトラマン達の戦いの場から離れ、倒されてしまった怪獣達に悪態をついた。
「まだだ・・・・まだ逆転できる! 暁月が異星人である決定的な証拠を掴めば、まだ俺にも・・・・!」
と、ブツブツ言いながら歩き出そうとした瞬間ーーーー5人の黒服にサングラスを掛けた男女が現れた。
「な、何だよ、アンタら・・・・!?」
狼狽える蛭沢に、5人の内の1人が歩み寄り、サングラスを外して素顔を見せる。
「・・・・久しぶりですね、『蛭沢先生』?」
「な、何だよ!? お、俺の昔の生徒か!? だ、だったら少し金を貸してくれ! 今、ウルトラマンって異星人の正体を探っているんだ! こ、コレをネタにすれば金になる! 俺に協力してーーーー」
「その異星人と呼んでいる元生徒の親の顔すら、知らないんだなアンタは?」
「へ?ーーーーま、まさか(バキッ!!)ベブバァッ!!?」
目の前の男が何者なのか知り、逃げようとするがソレよりも早く、その男の拳が自分の横面に深く深く突き刺さり、蛭沢は白目を剥いて気を失った。
「鷹丸様・・・・」
「コレは理巧の親として、息子のイジメを見て見ぬフリどころか、参加していたクソ教師に対しての1発だ」
鷹丸の言葉に、ハルカ達はコクリと頷いた。
「ゼナ。コイツが伏井出ケイの事を知らなかったら・・・・」
『安心しろ。〈AIB〉には『記憶を読み取る装置』がある。ソレを使って調べれば分かる。まぁ、伏井出ケイがこんな愚か者にそんな事を教えているとは思えんがな。調べ終わったら、ジードの事に関する記憶だけを消去しておこう』
そして、〈AIB〉が気絶した蛭沢を連行していった。
ー理巧sideー
「あーちゃん!」
理巧と霧夜先生が飛鳥達の元に戻ると、2体の怪獣が暴れた影響で少し崩れたホテルの前にやってくると、横になった飛鳥を中心に、斑鳩達と焔達と雪泉達と雅緋達、そしてーーーー“理巧と瓜二つの姿をした少年がいた”。
ソレと、葛城と春花が飛鳥の手を取って何かしていたが、ソレは無視しておく。
「無事なの?」
「ええ。ゼロさんの治療で傷はなくなりましたわ」
「そう・・・・ありがとうございました。“半蔵さん”」
「よっと!・・・・なぁに。お化け屋敷で滅茶苦茶したお詫びじゃよ♪」
斑鳩から飛鳥の無事を聞くと理巧は、『理巧に変装していた半蔵』にお礼を言った。
「あっ・・・・りっくん」
「あーちゃん、気がついた?」
「うん。でも・・・・ウェディング体験は・・・・」
目を覚ました飛鳥は、ウェディング体験の会場だった筈のホテルを見上げて、コレでさもう駄目だと落胆しそうになった。
が・・・・。
「理巧くん。コレだけですが、ホテルで避難誘導をしている時に失敬してきましたわ」
雪泉が持っていたのは、ウェディング体験用のショートウェディングベールであった。
「ありがとう。あーちゃん」
「え? コレって、ウェディングベール? で、でも私、こんなに汚れてるし・・・・」
蛭沢を助ける時に汚れて、少し破れてしまった衣服を見下ろして、飛鳥がションボリしたように言うが、理巧は構わずウェディングベールを飛鳥に被せた。
「誰かを助ける為に行動したあーちゃんのその姿は、どんなドレスよりも素敵だと思うよ。ボクはね」
「りっくん・・・・!」
そして、理巧は飛鳥をお姫様抱っこすると、その姿に皆が笑みを浮かべ、拍手を送ってくれた。
◇
そしてここは『半蔵学院・男子寮』の理巧の部屋。他の部屋からかなり離れ、防音設備もされた一人部屋に、理巧と飛鳥がベッドの上で並んで座っていた。
「りっくん・・・・」
「あーちゃん・・・・」
二人はウェディング体験をし、そのままいい雰囲気となり、他の皆は退散し(半蔵は「曾孫が生まれる日が楽しみじゃな〜♪」と言っていた)、月明かりに照らされた二人の影が、1つとなったーーーー。
そして翌日・・・・と言っても、日が昇っていないの時間。
「・・・・・・・・」
身支度を理巧を整えると、机に『手紙』を置いてから部屋を出ようとした。
「りっくん・・・・♪」
「あーちゃん・・・・ゴメンね」
ーーーーチュッ♡
と、その時、ベッドの上で生まれたままの姿でグッスリと眠る飛鳥のおデコに、ソっと口付けをしてから外に出ると、
「・・・・・・・・っ!」
トンッ、と地面を踏むと、近くの3階建てビルの屋上に軽く到達し、ソコから他のビルの屋上に飛び移りながら、街を一望できるくらいのビルの屋上に到達すると、眼下の景色を見渡しながら、ブリザラーを倒した時の事を思い返した。
* * *
【・・・・・・・・】
《・・・・やはり、あの程度の怪獣達では相手ならないか?》
【(っ! 伏井出ケイ・・・・!?)】
ブリザラーを倒した直後のジードに、伏井出ケイからの念話が送られた。
《暁月理巧。コレ以上周りの人間達に被害が及びたくないなら、明日、私が指定する場所に1人で来い。ウルトラマンゼロや〈AIB〉、忍の小娘共や他の誰にも話さずに、な。来ない時は、他の者達の姿が少しでもあったら・・・・分かるな?》
悪意に満ちた声で言う伏井出ケイに、ジードは腸が煮えくり返る気持ちだが、ソレを抑えて応じる。
【(ーーーー・・・・場所を言え。1人で行ってやる)】
《ははははっ・・・・! 場所はなーーーー》
* * *
「・・・・・・・・」
理巧はビルの屋上から、『半蔵学院』、『星雲荘』がある場所を見据える。
すると・・・・太陽が昇り始め、夜の闇に支配されていた街を、光が照らし始める。
「ーーーー皆・・・・必ず、帰ってくるから」
理巧はそう言い残し、シュンッ、と、ビルの屋上から消えた・・・・。
飛鳥は『大人の階段』を駆け上った・・・・。
さて、次の話で遂に伏井出ケイとの最後の戦いが始まります。
ー次回予告ー
伏井出ケイがボクを呼んでいる。ボクはウルトラマンとして、ヤツに運命を弄ばれた者の1人として、ヤツと決着をつける。美しく哀しい光が振り注ぐ地にて、禍々しく邪悪な魔獣と、金色に輝くジードが今ぶつかる!
次回、『閃乱ジード』
【ストルムの光】
目指すぜ、天辺!