閃乱ジード   作:BREAKERZ

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蛇女子学園の奇襲
どうしたんだ、葛姐さん


ー蛇女sideー

 

『蛇女子学園』。

『悪は善よりも寛大である』と言う理念を掲げ、非合法の忍。即ち、『悪忍育成』を目的とした闇の秘密教育機関。

そんな中、熾烈にして苛烈な修行で上忍へと選抜された悪忍の五人。

商店街の事件で、理巧と飛鳥(飛鳥は気づいていない)と接触した忍、『焔』。

傀儡を操っていた忍、『春花』。

斑鳩を襲撃した忍、『詠』。

島で雲雀や柳生と交戦した忍、『未来』と“上半身に包帯を巻き付けた少女”、葛城と交戦した忍、『日影』。

五人は自分達の上役である、『鎧武者の人物』の前で片膝を付いていた。

 

『集まってもらったのは他でもない。お前らに“新たな指令”が下った』

 

「新たな・・・・?」

 

焔が顔を上げると、鎧武者は真っ赤な眼光を放っていた。

 

 

ー理巧sideー

 

理巧は地下道場で指立て倒立しながら、皆の修行を見ていた。

 

「たぁーーー! オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

体操服&ブルマの雲雀が目を閉じて、手をグルグル振り回して、組手相手の柳生(体操服&スパッツ)に迫るが、柳生は冷静に番傘でその攻撃を防いでいた。

 

「ウリャリャリャリャリャ!!!」

 

「ちゃんと相手を見ろ」

 

柳生が雲雀を押し飛ばした。

 

「キャン! うぅ・・・・、少し休ませて柳生ちゃん・・・・」

 

「このくらいでへばってどうする?」

 

「でも恐いな・・・・またあの人達(悪忍)や怪獣さんが襲ってきたりしたら・・・・」

 

「心配するな。怪獣なら理巧やついでにウルトラマンゼロもいる。そして雲雀は、オレが守る!」

 

「あぁ~~・・・・」

 

泣き言を言う雲雀に、柳生がある意味で男らしいセリフを発し、雲雀も嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

≪俺は理巧の『ついで』かよ・・・・≫

 

「こらそこ! 休むんじゃない! 何を寝ぼけている! 実戦で敵は待ってくれんぞ!!」

 

「は、はい!!」

 

ゼロのぼやきを無視して、霧夜先生が雲雀に一喝すると、雲雀は慌てて訓練に戻った。

それを見ながら、理巧は蛇女子学園の忍、焔と春花、詠と未来、そして葛城と交戦した少女の思惑を考えていた。

 

「(彼女達はまるで挑発行為のような襲撃を仕掛けている。だが、『怪獣カプセル』や『怪獣を具現化する人形』をどこで手に入れた? レムの解析では、あの人形は地球に存在しない材質で造られていると言っていた。“誰か”が・・・・それこそ雲雀ちゃんを誘拐しようとした『ダダ』のような宇宙人が関与しているのかな?)」

 

そう考えていると、葛城が道場に置かれた巨大達磨を一蹴りで真っ二つにした。

 

「葛姉ぇ! 気合い! 入ってる! ね!!」

 

天井に逆さ釣りになって刀の素振りをしている飛鳥に、真剣な眼差しの葛城が目を向ける。

 

「いつ蛇女が攻めてくるか分からねぇんだ。もっともっともっともっと強くならないと!」

 

「えぇ~? 今でも十分強いと思うけどな・・・・あぁ!!」

 

飛鳥の手からポロリと刀が落ちるが、理巧が床に落ちる寸前でキャッチした。

 

「飛鳥さん。刃物を扱って修行しているんだから、扱いには注意してくださいよ?」

 

「ご、ゴメン・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

その場で跳んで、飛鳥に刀を渡して着地した理巧は、葛城の後ろ姿を見る。

 

「(アタイは負けない! 絶対、絶対強くなる! 強くなるんだ!!)」

 

葛城の脳裏には、『幼い自分を抱っこした父の姿と、愛犬であるポメラニアンのチョコを抱いた母の姿』が過っていた。

 

「(なんか、らしくないな。葛姐さん)」

 

理巧は思い詰めたような表情で、鍛練に勤しむ葛城を見ていた。

 

 

 

 

ー蛇女sideー

 

現在、焔達蛇女子学園の選抜上忍達は、半蔵学院の制服を着て、学院に潜入していた。

屋上で眼下にいる一般生徒達を見下ろしていた。

 

「先ずは、善忍達のいる『忍クラス』とか言うのを探さないとな」

 

「でもどうしてわざわざ普通の進学校の中で忍の養成学校なんか、めんどくさいったらありゃしない」

 

「木を隠すなら森、学生を隠すなら学校って事だろう。善忍の奴らは、一々回りくどいやり方が好きなようだからな」

 

「ふん。遠回りしすぎて、迷宮の底に閉じ込められなければいいけど。それで、日影も『標的』の暁月理巧ってヤツと対峙したのよね? どんなヤツなのよ?」

 

ふと、五人の中で『標的』である理巧と接触していない未来が訊ねると、焔は渋面を作り、春花は恍惚とした笑みを薄く浮かべ、詠は難しい顔を浮かべ、そして日影は、無表情の顔の頬に一筋の汗を流しながら口を開く。

 

「アイツ、とんでもないヤツやったで・・・・」

 

日影は半蔵学院の制服の上着を少し捲し上げると、包帯を巻き付けた身体を見せた。

 

「アイツが目の前に一瞬で現れて、後ろに引こうと思うたら、身体が凄い勢いで後ろにふっ飛んでな、木々を薙ぎ倒して飛んで、最後の木に叩きつけられ、地面に倒れて、腹や背中に激痛が走るまで、何されたかまったく分からんかったわ・・・・」

 

普段から無表情と無感情な雰囲気の日影が、まるで戦慄したかのように身体を震わせてそう言って、焔達も息を飲んだ。

 

「そう言えば、焔や春花も交戦したのよね? どうだったの?」

 

未来が他の情報を得ようと訊くが、焔も渋い顔を浮かべて口を開く。

 

「ヤバいヤツだと直感した。必要とあれば拷問も辞さない凄みがあったよ・・・・」

 

「そんなに、ヤバいヤツなの・・・・?」

 

「ああ。とてもじゃないが、善忍とは思えない雰囲気があった。どちらかと言えば、私達悪忍に近いものを感じた・・・・」

 

「私は彼の目が素敵だったわ。炎のように揺らめくような緋色の瞳。でも氷のように冷徹で冷酷な光が宿っていて、今まで感じた事のない感覚が身体を走ってゾクゾクしたわ~////」

 

「わたくしは・・・・あの方は無闇に戦いを起こすタイプではないと思いますわ・・・・」

 

焔は理巧の明確な危険性を説くように言い、春花はその豊満な身体をくねらせ、頬を紅潮させてそう言い、詠は貧民街で会った時に、住民を巻き込まないようにしてくれた理巧を思い出してそう言った。

 

「ふ~ん。つまり、かなり危ないヤツって事ね?」

 

「恐らくな。いずれにしても、慎重に行くぞ。こちらも『カプセル』と『人形』には限りがあるからな」

 

焔と春花は、残った『怪獣カプセル』と『人形』を取り出していた。

彼女達の上役である『鎧武者』から貰ったこの道具。まさか怪獣を召喚する道具とは思わなかった。

しかも、最近現れた『ウルトラマンジード』と、まるで示し合わせたように現れる他の怪獣も気になるが、焔達は忍務へと戻った。

 

 

ー???sideー

 

その頃。蛇女の本拠地である城の屏風やお面が飾られた一室では、『鎧武者』の人物が、『更なる上役』に頭を垂れて報告をしていた。

 

『五人は半蔵学院の潜入に成功致しました』

 

『蛇女子学園の誇る『選抜メンバー』だ。潜入など容易かろう。問題は・・・・』

 

『はっ! 半蔵学院の『隠し校舎』。そして、隠し校舎に眠る、『超秘伝忍法書』・・・・』

 

『そこに秘匿しているのは確実なのだろうな?』

 

『それは間違いありません』

 

『疑っているわけではない。いや、寧ろ貴様だからこそ知り得た事・・・・』

 

『はっ!』

 

『だが悪忍の存在は尚深き闇・・・・。表だって行動する事は、闇を白日の元に晒す事になりかねん』

 

『それはあの子らも、重々承知しておりましょう』

 

『ふん。期待しているぞ。『鈴音』』

 

『はっ! しかし、1つお尋ねしたいのですが・・・・』

 

『何だ?』

 

『鈴音』、と呼ばれた鎧武者が、『上役』に声を発する。

 

『あの子らに、【忍クラス唯一の男子を捕獲せよ】と、命じたそうですが、その少年に何があるのでしょうか?』

 

『それはお前が気にする事ではない』

 

『・・・・・・・・はっ!』

 

『鈴音』は頭を下げてその場を去った。

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

『“ヤツ”への“交渉材料”として、あの少年を狙っているのがバレそうになったな?』

 

『上役』の側に、『異形の生命体』が現れたが、『上役』は動じた様子を見せなかった。

 

 

 

ー葛城sideー

 

「チェ、居眠り位で廊下に下がらせなくて良いじゃん・・・・。しっかし良い天気だねぇ! こんな日は外で思いっきり走り回りたいよなぁ!(そう。あの頃のように、思いっきりね・・・・)」

 

座学の授業で寝ていた葛城は、忍教室のある半蔵学院旧校舎の廊下で、水の入ったバケツを両手に1つずつ持って逆さ宙吊りしていた。

 

「や、葛姐さん」

 

「ん? 理巧??」

 

宙吊りになっていた葛城に、両手に水の入ったバケツを持った理巧が現れた。

 

「何だ? お前も廊下に立ってろって言われたのか?」

 

「まぁね。座って目を開けたまま寝ていたのがバレちゃってね」

 

「お前、結構器用な居眠りしてんだな・・・・」

 

妙な感心をする葛城と向かい合うように宙吊りになった。

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

二人はそのまま無言で宙吊りになっていたが、葛城が口を開いた。

 

「なぁ理巧。お前、ウルトラマンベリアルの事、どう思ってんだ?」

 

「どうって?」

 

「いや、その、なんだ・・・・一応とは言え父親の事だからよ。気になったりは、してんのか?」

 

「・・・・顔も声も何も知らないヤツが、『遺伝子上の父親』って言われても、実感湧かないですよ。正直、僕にとってベリアルは、『他人』って考えの方が強いんですよね」

 

「そっか・・・・」

 

「僕の方も、聞きたい事があるんですけど?」

 

「ん?」

 

「今日はどうしたんですか? 技が少し荒かったし、気合いが入っていると言うよりも、がむしゃらにやっているって感じで、葛姐さんらしくなかったですよ?」

 

「っ!・・・・・・・・お前になら、良いかな?」

 

理巧に見抜かれた事に息を詰まらせる葛城だが、観念したかのように口を開こうとするがーーーー。

 

「あ、ちょっと待って葛姐さん」

 

「ん??」

 

「・・・・・・・・・・・・・(ギンッ!!!)」

 

理巧は、窓の方に鋭い視線を向けた。

 

 

 

ー焔sideー

 

理巧が視線を向ける少し前、焔達は旧校舎へと到着した。

 

「他は調べ尽くしたし、後は此処<旧校舎>だけ」

 

「随分古ぼけた建物ですこと」

 

「今は使われておらず、特定文化財として残っているらしい」

 

「【関係者以外ノ立リヲ入禁ズ】。・・・・ふん。臭いわね、プンプンするわ。怪しい善忍の臭い・・・・!」

 

未来が眼帯をしていない方の目をキラリとさせ、旧校舎に向けて歩を進めようとしたその瞬間ーーーー。

 

ギンッ!!!

 

「っっ!!!?」

 

「「「「っっ!!!?」」」」

 

未来は足を止めた。いや、未来だけではない。焔も春花も詠も日影も、全員が足を止めた。

理由は分からない。しかし、分かっているのは、この先を進めば、『大口を開けた猛獣の口の中に、無防備に頭から突っ込むような危険な気配』が、全員の足を止めたのだ。

 

 

 

ー理巧sideー

 

「(少し大人しくなったか)・・・・ゴメン葛姐さん。続けて」

 

「あ、ああ」

 

突然鋭い視線を窓に向けた理巧に少し困惑したが、葛城は幼い頃に起こった事を理巧に話した。

自分の両親は、『とある重要忍務』の失敗の責務を負い、『忍の掟』によりその命を持って償う事を命じられたが、両親は自害よりも、『抜け忍』として生き延びる道を選んだ。そして幼い葛城を自分達の罪に巻き込まないように残していった。

 

「じゃ葛姐さんは、自分が優秀な忍になって、両親の罪と逃亡を許してもらおうって考えて忍に?」

 

「まぁな。柄でもねぇと思うだろう?」

 

「・・・・立派ですね」

 

「あん?」

 

「僕は、ベリアルが過去に行った悪行の数々を聞いて、【あぁ録でもないヤツの遺伝子を継いだなぁ】って思ったのに、葛姐さんは両親を取り戻すために努力をしているんだから、本当に立派ですよ」

 

「っ! ばっ、バカ野郎! そんな小っ恥ずかしいセリフを真顔で言ってんじゃねぇよ!!///////」

 

顔を赤らめた葛城の顔を、理巧は小さく笑みを浮かべるが、その視線はソッと静かに、窓の、と言うより、この建物に近づいてくる連中に向けられていた。

 

 

ー焔sideー

 

「何、今の? 凄い殺気を感じたんだけど・・・・!」

 

「あぁ、あかんわ。向こうの男子がわしらの存在に気付いとるわ・・・・」

 

「このまま進めば命は無いぞ。と、気配だけで警告してるわね。まぁこのままあっさり入れるとは思ってないけど」

 

「ではどうされますの? あの殿方はわたくし達に勘づいておりますわよ?」

 

未来を除いた四人は、標的である暁月理巧からの警告だと察し、その場から先に行けなくなったが、春花が薄く笑みを浮かべる。

 

「ウフフフ。先ずは、“一番の邪魔者”を排除するのが先ね」

 

「おいおい回りくどいのは勘弁だぜ? それにどうやって排除するんだ?」

 

「大丈夫。すぐに奴らも丸裸よ。・・・・フフフフフフ」

 

 

 

ー理巧sideー

 

プゥオオオオオ~ン!!・・・・プゥオオオオオ~ン!!・・・・。

 

突然聞こえてきた法螺貝の音色に、理巧は訝しそうに目を細める。

 

「ん? これって?」

 

「あぁ、『侵入者の合図』だけど、また普通科の生徒が授業をサボって来たんだろ」

 

「そう言う事だ」

 

「「あっ、霧夜先生」」

 

二人の前に、霧夜先生が出入口へと向かって歩いて行った。

 

「葛城、理巧、もう戻って良いぞ」

 

「はい」

 

「・・・・」

 

理巧は、他の侵入者達の気配を探ろうとしていた。

 

 

ー霧夜先生sideー

≪おい霧夜、コイツらまさか・・・・!≫

 

「『傀儡』・・・・! まさか!?」

 

侵入者の生徒二人が襲い掛かって来たので迎撃した霧夜先生だが、侵入者が傀儡であると知り、旧校舎を見ると、旧校舎が結界に包まれていた。

 

 

ー理巧sideー

 

「『忍結界』か。旧校舎、いや、学院全体を結界が包み込んでいる?」

 

「理巧!」

 

「っ、柳生さん、みんな」

 

理巧が振り向くと、柳生を先頭に、飛鳥達と合流した。

 

「斑鳩姉さん。『忍結界』って、学院全体を覆い尽くせる程の規模ができますか?」

 

「・・・・1人では無理ですが、複数の忍が同時結界を張り、それを束ねれば不可能ではありませんわ」

 

「・・・・ペガやレムとも連絡が着かないか」

 

理巧は装填ナックルで基地にいるペガとレムに連絡しようとするが、『忍結界』によって遮断されているようだった。

 

「斑鳩。結界を束ねるだなんて、そんな事出来るのか・・・・?」

 

「そう言う能力を持った忍がいると、わたくし、以前書物で読んだ事があります。例えば・・・・『傀儡使い』も、その1人・・・・!」

 

「はっ! 『傀儡使い』って、もしかして、私達を襲った・・・・」

 

雲雀が驚愕したように呟く。

 

「じゃあ、これは蛇女子学園の攻撃って事?!」

 

「先ほどの侵入者も、おそらくは・・・・」

 

「霧夜おじさんを、排除する為か。随分と手の込んだ奇襲をしてくれるな・・・・!」

 

理巧は蛇女子学園の動きに、苦虫を噛んだような声を上げた。

 

「何処かに結界を束ねている忍がいるはずですわ。その忍さえ倒せば・・・・!」

 

「カチコミかよ! 上等じゃねぇかぁ!!」

 

斑鳩が状況の打破を言うと、葛城は手の関節をゴキゴキ鳴らす。

 

「皆さん! 戦闘準備を!!」

 

「「「「(コクン!)」」」」

 

斑鳩が言うと、四人は頷いた。

 

「「「「「『忍転身』!!!」」」」」

 

五人は転身して、戦闘姿になった。

 

「・・・・・・・・」

 

理巧は周囲を見渡していた。先ほどの気配から分かっている。今まで現れた悪忍の少女達が攻めてきたと。

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