ーゼロsideー
『『ワイドゼロショット』!!』
『ギュワァアアアアアアアアアアアア!!!』
『ワイドゼロショット』をベムラーに放つと、ベムラーはその場で爆散した。
『良しっ! ぐぅ・・・・!!』
しかし、ゼロのカラータイマーが鳴り響いた。
『ここまでか・・・・シャァッ!!』
ゼロの身体が光に包まれると、霧夜先生へと戻った。
「理巧達は、大丈夫なのか・・・・」
ー理巧sideー
雲雀が春花に叩きのめされた瞬間、その事をズバ抜けた感知能力で知ったジードは、ソリッドバーニングにチェンジして、『ブーストスラッガーパンチ』でバラバを切り付ける。
『シュゥアッ!!』
『ギュワァアア!』
バラバが鎌で応戦しようとするが、ジードのスラッガーによって破壊された。
『ピギュゥゥゥ!!』
キングクラブがジードの背後に迫るが、ジードは背面や肩から蒸気を噴射させた。
『ピギュアアアア?!』
キングクラブは蒸気をマトモに浴びてしまい、あまりの熱気に怯んだ。
『ジュゥアアアッ!』
『ピギュアアアアアアアッ!!』
ジードはその場で回転しながら、『ブーストスラッガーパンチ』でキングクラブを連続で斬りつけ、キングクラブは後ろへ倒れた。
『ギュワァアアアアアアアッ!!』
バラバは鎖鉄球を飛ばしてジードの首に巻き付け、引っ張りながら、頭部の剣から光線を放つ。
が、ジードもバラバの方に顔を向け。
『「『エメリウムブーストビーム』」!!』
額から放たれる光線が、バラバの光線を押し返し、頭部の剣を破壊し、さらにバラバの身体を縦一線にビームを浴びせ、右腕の鎖鉄球の鎖を焼き切った。
『ギュワァアアアッ!? 』
『エメリウムブーストビーム』のダメージに悲鳴を上げる。
ジードは腕に装備したスラッガーを遠隔操作で足に移動させると、足にエネルギーを集中させ、スラッガーが赤く発光する。
『ピギュゥゥゥッ!!』
キングクラブが起き上がり、ジードに迫るがーーーー。
『「『ブーストスラッガーキック』・・・・!!」』
『っっ!!』
回し蹴りの要領でキングクラブの首を切り付けると、キングクラブは悲鳴を上げる事なく倒れ、そのまま動かなくなり爆散した。
『「っ!!」』
ジードはふと上空を見ると、結界に包まれた“空の一部が歪んだように見えた”。
『シュゥッ! ハァアアアアアアア!!』
『ギュワァアアアアッ!!』
ジードはジェット噴射でヨロヨロのバラバに接近すると、バラバを『ブーストスラッガーキック』で切り、さらに胸部も上段蹴りで切り付ける。
『ギュワァアアアアアアアッ!!』
頭部の武器も両腕の武器も破壊され、いよいよ後がないバラバに、カラータイマーが鳴り出したジードは右腕のアーマーを展開させると、バラバの腹部にその拳を叩き込んだ。
『「『ストライクブーストォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!』」』
『ギュワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』
腹部からソリッドバーニングの必殺光線を叩き込まれ、バラバは結界上空まで吹き飛び爆散した。
『・・・・・・・・』
ジードは爆散し、火の玉となったバラバの身体の破片を、“歪んだように見えた結界の空に向けて弾き飛ばすと、火の玉が当たった空に亀裂が入った”。
『「あそこか・・・・」』
ジードはすぐさま上空に飛び、眼前に亀裂を捉えると、変身を解除し亀裂に向けて飛び出し、亀裂に向けて拳を叩きつけた。
ビギビキビギビキ・・・・! ガシャーーーーーン!!
するとなんと、空が割れ、その先にはーーーー。
倒れている雲雀。
春花と名乗った悪忍の少女。
その春花からの攻撃を受けようとしている柳生だった。
「っ!」
それを見た瞬間、理巧は空かさず柳生の元へ駆け寄り、柳生を春花からの攻撃から庇うように抱き締めた。
そして煙が晴れると。
「なっ!?」
「あぁ・・・・!」
春花が驚愕したように目を見開き、雲雀が顔を嬉しそうに綻ばせた。
「ぅっ・・・・ぁっ、り、く・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・」
倒れそうになった柳生も、薄れ行く意識の中で、自分を支え、爆裂から守って理巧の姿を見据えると、理巧の名前をソッと呟いた。
「・・・・・・・・」
理巧は柳生をお姫様抱っこすると、雲雀の元へ歩を進めようとする。
「ま、待ちなさ「(ギンッ!!)」ひぃっ!!?」
理巧を止めようとした春花だが、理巧が一瞥した瞬間、まるで金縛りにあったかのように動けなくなった。
そんな春花から視線を外した理巧の眼は、いつものどこかやる気も覇気もない眼に戻り、柳生を雲雀の隣にソッと下ろした。
「り、理巧・・・・お前、どうやって、この『連動結界』を破ったんだ・・・・?」
柳生は、なぜ理巧がここに来たのか問うと、理巧はフッと笑みを浮かべて口を開いた。
「『連動結界』か・・・・。柳生さん。君のおかげだよ。この『連動結界』は、精密機械のように構築された結界術だけど、裏を返せば、僅かな歪みでも生まれれば、他の箇所にも綻びが生まれる。柳生さんが外側から無理矢理に結界が破ってくれたから、僕の居た結界に僅かな綻びが生まれたんだ。そしてその綻びを攻撃してみたら、雲雀ちゃんと柳生さんがピンチだったから少し焦ったよ。ありがとう、柳生さん」
「・・・・フッ」
理巧にそう言われ、柳生も笑みを浮かべた。理巧は雲雀の方に視線を向けた。
「雲雀ちゃん。柳生さんを見ていて。それと・・・・こっちは見ないようにしていてね」
「う、うん・・・・!」
春花の方に視線を向けた理巧の目に、一瞬氷のように冷たく鋭い光が走ったが、雲雀はそれに気づかず、柳生の介抱をする。
「・・・・・・・・」
「ーーーーーーーー!!」
理巧に睨まれた瞬間、春花の身体に戦慄が走り、萎縮してしまう。
春花は『自作の薬品』や『傀儡術』などの、所謂搦め手の戦術で相手をなぶり倒すスタイルだが、実は奇襲に来た悪忍達の中では最古参であり、経験も積んである春花は直感したーーーー。
「(私は今、殺される・・・・!!)」
自身が殺されるイメージが明確に、鮮明に、頭に浮かんでしまった。
「ぁ・・・・ぁあ・・・・!!」
「・・・・・・・・・・・・!!」
春花は、撤退しろ、逃げろ、殺されるぞ、と本能が必死に訴えており、思わず足を後ろに引かせるが、理巧が無造作に片手を上げると、その手には細い糸のような物が巻き付いており、糸を握り腕を動かしたその時ーーーー。
シュルシュルシュルシュル・・・・スパァァァァァァァァァァァンン!!
「はぅうんっ!!?」
なんと、春花の身体にいつの間にか細い糸が巻き付いており、春花のその豊満な肢体を縛り上げ、縛られた春花はそのまま地面に倒れた。
「な、どうなっているの!? 何で糸がっ!?」
「気づいてなかったようで安心したよ」
「ひっ!?」
顔を上げた春花の眼前には、冷酷な眼をした理巧が、自分を見下ろしていた。
「あなたが柳生さんに攻撃した時の爆煙に紛れて、僕はあなたの周囲に糸を括ったクナイを投げ、足元に糸による罠を仕掛けていたんですよ」
「あ、あなた! 糸を使う戦法なんて・・・・!」
「簡単に手の内を晒したりはしないでしょう? それに、隠し武器、暗器なんて忍の常套手段って言うしね」
「うぅっ・・・・!」
「あなたは自分が勝ったと言う優位性に酔いしれて、周囲の警戒を弛めてしまった。おかげで糸の罠を仕掛け安かったよ。勝ち誇った時こそ敗北に注意すべき時っていうけど、とんだ『三流』だな、蛇女子学園・・・・!」
「~~~~~~!!」
理巧の冷徹な視線に睨まれた時、春花の身体に戦慄と一緒に、いやそれ以上の甘く痺れる感覚が全身を駆け巡り、春花は身体をゾクゾクッと震わせた。
そんな得たいの知れない奇妙な快感に震える春花を見下ろしながら、理巧は昔、鷹丸から教わった手段が記憶に甦った。
【良いか理巧。戦いとなれば、“女の子と戦う事にだってある”。そんな時、どうやって相手の女の子を無力化する?】
【・・・・・・・・掌底打ちで相手を叩きのめして無力化する、ですか?】
【いや、できれば女の子にあまり暴力を振るう事はするな。その相手がとてつもない悪党女だったら、ある程度の暴力は仕方ないかもしれないがな】
【・・・・では、どうすれば?】
【だから先ずお前にこれから教え授けるのは、相手を拘束と捕縛する為に、『糸や紐や植物の茎とかを使った捕縄術』と、後はーーーー】
理巧は鷹丸の教えて貰った捕縄術を使い春花を拘束すると、春花の身体をうつ伏せにした。
ゴキン! ゴキン! ゴキン!
「~~っ!?」
握るように指を動かし、関節を鳴らした理巧に、春花は倒れたまま器用に後ずさる。
「さて、“お仕置き”、かな?」
理巧はゆっくりと掌を開くと、春花に向けて手を伸ばしてーーーー。
ー雲雀sideー
「・・・・・・・・」
柳生を介抱したまま、理巧達に背を向けた雲雀は、少し耳を澄ませるとーーーー。
「んん! あぅ! はぅあっ! ううん!! や、やめあぅんっ!! だ、ダメェ~・・・・! こ、こんなぁぁ!・・・・う、ウソ! ウソよ!!・・・・い、いや!・・・・あうんっ!! わ、わたしが、こんな、こんなぁああああああああああんんっ!!!」
何やら春花が艶っぽい嬌声を上げているが、雲雀は何をしているのかなぁ? と、振り向くと。
「良し。これくらいで良いかな?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・///////」
一仕事終えた後のように額の汗を腕で拭う理巧と、顔を紅潮させて激しい運動をした後のように、その豊満な肢体を激しい呼吸で揺らし、口元に一筋のヨダレを垂らした春花だった。
「理巧くん? 一体何をしたの?」
「ん~? ちょっと“お仕置き”をしただけだよ・・・・っ!」
理巧はいつもの無表情でそう言うが、すぐに春花から離れると、春花は身体を縛っていた糸から逃れて、口元を拭って立ち上がる。
「よ、よくもこのわたしに! あ、あんな激しい事を・・・・!///////」
まだ顔を紅潮させた春花が怨めしそうに理巧を睨んだ。
「まだ、やるの?」
「♥️♥️♥️っっ!!////////」
が、理巧がジロリと鋭く睨むと、春花は身体を抱き締めるように身悶え、先ほどまでの怒りと裏腹に、心に奇妙な恍惚感が渦巻き、体の芯が燃えるように熱くなる。
すぐにハッとなって理巧と雲雀を睨む。
「ふ、ふん! 今日の所は、これで終わらせてあげるっ!」
春花は耳に着けていたイヤリングを、雲雀に投げ渡した。
「えっ?」
「それは“お友達の証”。大事にしてよね」
「・・・・一つ、聞いておきたいんだけど」
「っ! な、何よ・・・・」
「アンタ達は、どこで『怪獣のカプセル』と『怪獣を具現化させる人形』を手に入れた?」
「・・・・『オーナー』から支給されたのよ」
「『オーナー』? 誰だそれは?」
「~~~~~! い、言える訳、無いでしょう・・・・!」
春花は理巧の視線に悶えながらそう言って、結界から消えようとしていた。
「この屈辱は、必ず晴らさせて貰うわよ・・・・!」
「その時も、“お仕置き”、してやりますよ」
「~~~~~!!」
理巧に言われた“お仕置き”の一言に、また身悶える春花は、そのまま姿を消した。
「・・・・雲雀ちゃん。少しここを離れるね。他のみんなの所に行ってみる」
「理巧くん」
「大丈夫。すぐに戻るよ」
理巧は、他に見つけた綻びを攻撃すると、そこから別の結界に出た。
するとそこには、黒いゴスロリの衣装を小柄な女の子、未来が目を回して倒れていた。
「ふにゃふにゃふにゃふにゃ・・・・」
「・・・・・・・・見た感じ、どうやら柳生さんが交戦した相手のようだ。ここはハズレか・・・・」
理巧は落胆したが、未来を見下ろすと怪我をしている様子が見え、捕虜として捕らえようかと、春花を拘束した糸の残りを取り出すが、その時ーーーー。
「無視、するなぁ・・・・アタシを、無視、するなぁ・・・・!」
「・・・・・・・・」
未来が呟いた寝言を聞くと糸を懐にしまい、未来の手当てをした。
「ん?・・・・んんん!!?」
と、ようやく未来の目が開くが、パチパチと瞬かせた。
何故なら、標的である暁月理巧が、自分の怪我を手当てしていたからだ。
「な、なにしてんのよアンタ?!」
「あっ、起きた」
「起きた。じゃないわよ! 何で手当てなんかしてんのよ!!」
「・・・・・・・・ちょっとした気まぐれだよ。戦うって言うなら、相手になるよ?」
「ひっ・・・・!!」
冷徹に自分を見据える理巧に、未来はビクッとなり、コンディションも最悪な状態だから仕方なく手当てを受けた。
「・・・・・・・・無視されるって、結構堪えるよね?」
「えっ・・・・?」
「僕も経験あるよ。何もしていないのに。何もやってないのに。ここにいるのに。何で無視するの? 何でこんなことをするの? ってね。無視されるって、まるで自分が必要の無い存在。居ない者扱いされているようで、辛いよね・・・・」
「・・・・・・・・」
未来は理巧の言葉が虚言ではないと、何となく理解した。それは、語っている理巧の眼差しが、先ほどの冷酷なモノではなく、“当時の自分と同じ瞳”をしていたからだ。
ー飛鳥sideー
飛鳥と焔の戦いも、佳境に来ていた。
飛鳥は、六本の刀を巧みに扱う焔の戦法に、次第に追い詰められていった。
「その程度か?!」
「くっ、まだまだぁ! 『秘伝忍法 二刀繚斬』!!」
「くぅ! なかなかの攻撃だな・・・・!」
飛鳥の放った斬撃で、焔も下着状態になった。
「『秘伝忍法』が通じてない!? そんな・・・・!」
「お前達とは鍛え方が、違うんだよ!!」
「あああああああああああああ!!」
焔は炎を纏った三本の刀の斬撃で、飛鳥を斬りつけ、飛鳥は倒れた。
「良く分かったろ! お前らみたいな甘い奴らが敵うはずないのさ!!」
「うぅ・・・・みんなは、大丈夫なの・・・・?」
「お前に仲間の心配をする余裕があるのか? それが甘いって言うんだよ! 頼れるのは自分だけだ!!」
焔の言葉に、飛鳥はヨロヨロと立ち上がる。
「それで、良いの・・・・?」
「何?」
「それじゃ、ずっと独りぼっちだよ・・・・焔ちゃん、本当にそれで良いの?」
「今度は私に説教か!? お前どこまで私を!」
その時、結界が歪んだ。
《撤退よ》
そして、他の結界にいる一同に、春花の声が響いた。
《未来や未来が相手をしていた忍のせいで結界が不安定になったわ。目的もある程度果たしたし、撤退よ》
ー理巧sideー
「どうやら、ここまでのようだね? 未来さん、で良いかな?」
「・・・・ええ」
春花の声は、理巧と未来のいる結界にも響いていた。
「次に会ったらまた敵同士になるけど、その時は容赦しない。振り掛ける敵は必ず潰すからね」
「・・・・望むところよ」
未来は立ち上がると、結界に向かって歩こうとするが、立ち止まり。
「・・・・礼は言っとくわ。手当て、ありがとう」
そう言って、未来は足早と歩を進めていった。
「さて、結界がそろそろ崩れるか・・・・」
ー飛鳥sideー
「ちっ、ここまでか・・・・!」
「焔ちゃん!」
「お前のような甘い奴が、忍を名乗るだなんて私は認めない! お前に比べれば、あの暁月理巧って男の方が忍に向いている!」
「理巧くんが・・・・!」
「お前に『伝説の忍の孫』を名乗る資格はない!」
「え・・・・」
それだけ言うと、焔は背を向けて去っていった。その時、結界が解け、飛鳥の隣に斑鳩と葛城が現れた。
「結界が解けたようね・・・・」
「逃げやがったのか?」
「斑鳩さん! 葛姉ぇ!」
そして柳生を抱えた雲雀と少し離れた位置に理巧がが現れた。
「柳生ちゃん・・・・柳生ちゃん・・・・!」
「「「柳生(ちゃん)(さん)!?」」」
「柳生!!」
「っ。ん?」
飛鳥達が驚きの声を上げ、霧夜先生もその場にやって来た。
すると、理巧が駆け寄ろうとした瞬間、カプセルホルダーから光が漏れ、開いて光の発生源のカプセルを手に取る。
「なるほど・・・・葛姐さん!」
「ん?! これは・・・・!」
理巧に投げ渡されたそれは、『コスモスカプセル』だった。
「カプセルを起動させて! 早く!」
「わ、分かった!」
ファッ!
葛城がカプセルを起動させると、葛城の手が淡く光った。
「これって、もしかして・・・・!」
葛城が光る手を柳生に添えるとーーーー。
なんと、柳生の身体の傷が癒されていった。
「これって!」
「リトルスター能力・・・・!」
「ぅっ・・・・!」
「柳生ちゃん!」
柳生の意識が少し覚醒した。
「どうやら、それぞれの宿主となったカプセルの力を、発現できるようになったようだね」
「なるほどな。へへへ、柳生。アタイに感謝しろよ? お礼としてその85のDカップおっぱいを揉みまくってやるぜ~!」
「あぁ、感謝する、理巧・・・・。それに、ウルトラマンコスモス・・・・」
「おい! アタイにも感謝しろよ!!」
ー雲雀sideー
それから柳生は大事をとって、善忍の非公式の国立医療機関である『国立忍病院』に入院した。
ベッドの上で横になる柳生に、付き添いの雲雀が話しかけた。
「ゴメンね、ゴメンね柳生ちゃん・・・・。雲雀の為に・・・・」
柳生は雲雀の手をとる。
「気にするな雲雀」
「柳生ちゃん、でも・・・・」
「もうケガは癒えている。心配は無い」
「うん・・・・あ、雨だ」
ふと窓の外の雨を見た雲雀は、入学式で柳生と初めて会った時の事を語り合った。
「そう言えば、理巧やみんなは?」
「今ね、今日の事を話し合っているよ。後で理巧くんも見舞いに来るって!」
「そうか・・・・」
雲雀の言葉に、柳生は口元に笑みを浮かべた。
ー理巧sideー
ペガも加えた理巧達は、本日の反省のような話し合いをしていると、蛇女子の強さに己の不甲斐なさで沈んでしまう飛鳥と斑鳩と葛城。
「ならば、もっと強くなればエエんじゃ」
すると突如、飛鳥の祖父、半蔵が現れた。
「じっちゃん!」
「「半蔵さまっ!?」」
「いらしてたんですか?」
「唐突ですね」
「うむ。『猫』が、騒ぎを知らせに来たのでな」
「(『猫』?)」
≪あの時の『猫』か≫
「ほれ、ペガくん。今日は主も太巻きを食するとええ」
『わーい!!』
それから一同は太巻きを頬張るが、飛鳥は焔に言われた事を、祖父に切り出せなかった。
ー霧夜先生sideー
そして解散した後、霧夜先生と半蔵はゼロも交えて話し合いを始めた。
「『秘伝忍法』すら敵わなかったか・・・・」
「敵は相当な修練を積んでいるものと思われます」
「蛇女子学園の生徒は、修行中に大怪我どころか死人も出ていると言う」
「っ! まさか・・・・!」
「未確認の情報じゃがな・・・・」
「しかし、彼女達が身を削り、文字通り生き残った者達だとしたら、あの年齢で理巧にも匹敵するかもしれない力も・・・・」
霧夜先生も、勿論理巧の実力は鷹丸達から聞いている。
すでに上忍級の理巧に匹敵する忍が五人もいるとなると、飛鳥達では荷が重い。
半蔵もそれを察したのか、声を発する。
「霧夜よ。『超秘伝忍法』の『継承者』を選ぶ時が来たのやも知れん」
「『超秘伝』・・・・」
≪『忍法』・・・・?≫
霧夜先生は神妙に、ゼロは訝しそうに呟いた。
◇
ー理巧sideー
翌日。柳生が退院し、みんなで喜んでいると、霧夜先生が神妙な顔で口を開いた。
「全員揃った所で、話がある」
『???』
首を傾げる生徒達に、霧夜先生は『超秘伝忍法』の事を説明した。
それを聞いて理巧とペガを除いた女子陣は、自分が『継承者』になると騒ぎ出すが。
「今のお前らでは誰もその資格を有しておらん」
半蔵にそう言われ、口を紡ぐが、葛城は頑張って修行すればと言うが。
「そう簡単な話ではないぞ。『超秘伝忍法』の秘技を記した『秘伝書』は自ら、『使う人』を選ぶのじゃ」
「『秘伝書』が・・・・?」
「人を選ぶ・・・・?」
「・・・・・・・・」
「理巧くん」
「はい?」
「敵の目的は、もしかすると君に宿る、『ベリアルの細胞』なのかもしれん」
半蔵の言葉に理巧はピクッと反応し、飛鳥達も霧夜先生&ゼロも驚いた顔を浮かべた。
ー焔sideー
その頃焔達は、本拠地で上役の鎧武者に経過を話していた。
『奴らに『秘伝忍法』を使わせたのだな?』
「「「「「はっ!」」」」」
『そしてその力より、お前達が優れているのを、分からせた?』
「「「「「はっ!」」」」」
『よし。ご苦労だった』
「しかし、奴らを全員倒せず、標的の少年も確保できず、残った『カプセル』と『人形』も失い、その上、こちらも一人、イエ、二人が・・・・」
焔の言葉に、未来と春花はバツが悪そうに顔を俯かせた。
『此度の忍務は敵の殲滅に在らず。少年の方も急がなくても良い』
「ですが!」
『弁えよ焔』
「っ!」
『忍は与えられた忍務を確実に果たす事。それだけの存在』
「・・・・承知しております」
鎧武者の言葉に、焔は渋々と声を発する。
それから解散した広間に焔だけが残り、飛鳥の言葉が脳裏に浮かんだ。
【ずっと独りぼっちだよ・・・・焔ちゃん、本当にそれで良いの?】
「・・・・・・・・」
ー未来sideー
「この屈辱、あの娘! あの娘!! 絶対許さない!!・・・・・・・・それに、アイツも・・・・」
鏡に写った自分の怪我を見て、柳生への怒りを燃やすが、同時に理巧の顔が浮かび、若干顔を赤らめた。
ー日影sideー
「・・・・・・・・やっぱり、分からん」
日影も夕焼けを眺めながら、額の傷を擦った。
ー詠sideー
「あの高慢なお嬢様! 次は必ず! モヤシの味を教えてあげますわ!!」
自室でモヤシの栽培をしていた詠も、斑鳩への憤怒を燃やす。
ー春花sideー
「ウフフ、面白くなりそう・・・・ウフフ」
春花はもう片方の耳飾りと、理巧の写真を眺めがらほくそ笑んでいた。
ー???sideー
そして、霧夜先生と話をした黒猫が、着古した学ランと、豊満な胸にすすけたサラシを巻いた、ごわごわした黒髪の女性の足にすり寄った。
ー伏井出sideー
「♪~♪~♪~♪~♪~♪・・・・」
伏井出ケイは鼻歌を口ずさみながら、チェス盤の盤上にこれまで集まった『怪獣カプセル』を並べ、その中からどす黒いオーラを放つカプセルを並べた。
『バラバ』。
『キングクラブ』。
『ハンザギラン』。
『ベムスター』。
『シーゴラス』。
そして『レッドキング』の『怪獣カプセル』だ。
「さて、次はどんな展開になるかな?」
まるで、全てが予定通り、全てが自分の意のままに動いているのと謂わんばかりの笑みでそう言った。
さて、今回の話で理巧は、春花と未来とフラグを建てました。
ー次回予告ー
『超秘伝忍法』を体得できる『継承者』となるために、飛鳥さん達は更なる修行に打ち込む。
しかし、僕達の前に昭和の番長みたいな格好の女性が現れて攻めてきた。一体何者なんだ?
そんな面倒な状況で、またもや怪獣が出現した。
この女の人も、蛇女子の忍なのか? そして、蛇女子の狙う僕の中の『ベリアルの細胞』って・・・・?
次回、『閃乱ジード』
【戦慄のハイキング】
決めるぜ、覚悟!