ー飛鳥sideー
「奮っ!!」
「おっと」
大道寺は理巧に向けて拳を突き出すと、拳からの風圧が迫るが、理巧はサッと回避した。
「暁月理巧。貴様の覚悟が真の物か、コヤツらを相手にしてから確かめさせてもらう」
「そうですか」
理巧は大道寺の言葉を聞くと、飛鳥達から少し離れる。
それを見た大道寺が岩柱から飛び降りると、飛鳥達を見据えて声を発する。
「単独では肩慣らしにもならぬ! まとめて来るが良いっ!!」
「「「「「っ!!」」」」」
飛鳥達はお互いを見ると、一斉に頷き、大道寺に向かって行く。
「渇っ!!!」
「「「「「うわぁっ!」」」」」
が、大道寺が気合いを放った衝撃波で全員吹き飛ぶ。
「笑止千万なり!」
なんとか起き上がろうとする飛鳥達を見て、大道寺がそう呟く。
「この力・・・・!」
「次元が違う・・・・!」
「ここまで来て、負けてたまるかっ!!!」
葛城と斑鳩と柳生が大道寺に果敢に挑むが、大道寺は再び気合いで吹き飛ばさ、装束がボロボロとなった。
「浅はかな! 忍の名が泣いているぞ!」
「皆の攻撃が掠りもしないなんて・・・・!」
「私なんかじゃ、敵うわけ無い・・・・。けど! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
飛鳥が大道寺に向けてクナイを投げるが、大道寺は難なくそれを指で掴んで防ぐ。
「ふん・・・・ぬ?」
が、自分に向かってきていた飛鳥の姿が消えて、一瞬の隙が生まれた。
「(逃げたら自分に負ける!)」
飛鳥は大道寺の頭上から刀を突き下ろすが、大道寺は紙一重で回避した。
「ふっ!」
ドンッ!!
「あぁああああっ!!」
大道寺は飛鳥の腹部に掌底打ちを叩き込み、飛鳥が吹き飛ぶ。
「飛鳥!」
「飛鳥さん!」
「飛鳥ちゃん! しっかりして飛鳥ちゃん!」
雲雀が倒れた飛鳥に駆け寄る。
「忍学科の生徒も落ちたものだ」
「「「「っ!!」」」」
大道寺の言葉に、全員が目を向けるとーーーー。
ボワアアアアアアンンン
突如、煙玉が炸裂し、煙が晴れると霧夜先生が現れた。
「その辺にしておけ大道寺」
「ケホッ、ケホッ、霧夜先生!?」
「これはどういう事だよ?!」
「今回の『這緊虞』を企画したのは、この大道寺でな」
霧夜先生の言葉に、全員が「えっ!」と驚く。
「後輩達の修行に、一役買ってくれたのだ」
「『伝説の先輩』が、なぜ?」
戸惑う斑鳩達に構わず、大道寺は悠然と倒れた飛鳥に近づく。
「ううっ」
「未熟な一撃なれど、我に一矢報いたこと。此れ評価に値するものなり」
大道寺は目を覚ました飛鳥に、巻物を手渡した。
「飛鳥が優勝って事か・・・・」
「ま、仕方ありませんわね」
「うん」
「飛鳥ちゃん、おめでとう」
「ありがとう! みんな!」
飛鳥達が喜ぶが、大道寺は再び目を鋭くし、柔軟体操している理巧に目を向けた。
「さて、待たせたな。暁月理巧」
「・・・・・・・・」
大道寺の言葉に、理巧もいつものやる気の無さが嘘のような眼差しで大道寺を睨む。
「奮っ!!」
大道寺が理巧に向けて気合いを放つが、理巧はその衝撃波にまるで臆することなく毅然と立っていた。
「ふっ。流石だな」
「大道寺」
「師よ。我はこの少年が己が運命に立ち向かっていけるか、その覚悟か真なるものであるのか、それを確かめたい。暁月理巧よ。貴様の身体に刻まれし『悪の遺伝子』に屈しない事を、己が力を持って示せ!」
「・・・・・・・・面倒くさいです。けど、やるしかないですね」
理巧と大道寺は、お互いを睨み、霧夜先生は飛鳥達を連れて後ろに引いた。
ーピグモンsideー
『キュワッ!! キュワァッ!!』
ピグモンは、麓の洞窟から這い出てくる生物に、洞窟の中に戻れ、と訴えるように鳴き声を出しながらピョンピョンと跳ねるがーーーー。
『ギュァァァァァァァァ!!』
しかし、その生物は這い出て来た。
黒い身体に白い線が走り、頭頂部に小さな角が生え、両手は鎌のような爪が伸び、背中にはしなやかそうな翼を生やした怪獣ーーーー『彗星怪獣 ドラコ』であった。
『キシャァァァァァァァ!!』
『キュワ?・・・・キュワァァッ?!』
ドラコを説得しようとしていたピグモンが、背後に大きな雄叫びが聞こえたので振り向くと、ドラコに向かってくる怪獣が現れた。
三日月型の大きな角に鼻の上に小さな角、腹部はゴツゴツしており、長く太い尻尾が特徴的な恐竜のような怪獣ーーーー『古代怪獣 ゴモラ』だ。
『キシャァァァァァァァ!!』
『ギュァァァァァァァァ!!』
野生の本能か、ドラコとゴモラはお互いを“敵”と認識したのか、戦闘を始めようとしていた。
ー理巧sideー
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そしてその頃、理巧と大道寺はお互いを見据える。
「・・・・っ!」
「フッ!」
理巧が一瞬で大道寺に眼前に迫り、拳を振るうが、大道寺は難なくその拳を掴んだ。
「温い!!」
大道寺は空いているもう片方の拳を理巧の腹部に叩きつけようとするが、理巧は地面を踏み締めて、バッ、と跳んで回避した。
「しっ!」
「ぬっ!」
がら空きになった大道寺の横面に蹴りを繰り出す理巧。しかし大道寺はギリギリ回避し、掴んでいた拳が緩んだのか、理巧は掴まれていた拳を引っ込め、大道寺の拳から離れ着地すると、再び大道寺に迫る。
「同じようなやり方では!」
大道寺は理巧の動きを見切ったように、顔面に向けて拳を向けた。
「何っ!?」
確実に大道寺の拳が理巧の顔を捉えた筈なのだが、なんとーーーー“理巧の姿がブレて、幾人にも増えた”のだ。
「(高速移動による分身! 素の身体能力だけでこれだけの分身を作り出すとは・・・・!)」
大道寺は迫りくる理巧の分身達の攻撃を回避するが、分身の理巧達は次々と大道寺に迫る。
「ええい! 鬱陶しいっっ!!」
大道寺は気の衝撃波を周囲を放出すると、理巧の分身達が消えたが、空中にただ1人残った本物の理巧を、大道寺は捉えた。
「そこかっ!!」
大道寺が、気を込めた拳を振り向けると、理巧は空中で身体をひねって大道寺の拳を回避し、大道寺の腕を捕まえ、さらに身体を捻らせて大道寺の足元に足払いをかけるため、大道寺の右足に蹴手繰りを叩き込んだ。
「くっ!!」
大道寺の身体が僅かによろけると、理巧は大道寺の腕を足場に跳び、空中で縦に回転すると、大道寺の頭部目掛けて踵落としを繰り出す。
「はっ!」
「舐めるなっ!!」
しかし大道寺は体勢を崩した状態にも関わらず、理巧の踵落としを片腕で防ぐが、あまりの威力に大道寺の足元の岩場に亀裂が走った。
「・・・・期待通り、イヤ、期待以上にやってくれるな」
「そっちも以外とやりますね・・・・」
大道寺は理巧を見据えると、ニヤリ、と笑みを浮かべ、理巧も肩を竦めながら声を発した。
ーーーーちなみに、二人が戦闘を始めてここまで、ざっと1分しか経っていなかった。
ー飛鳥sideー
「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」
飛鳥と雲雀と柳生と斑鳩と葛城は、理巧と大道寺先輩の戦いを唖然とした表情で見ていた。お互いに自分はおそらく、仲間達と同じくらい、間の抜けた顔を晒している事が容易に想像できた。
何故なら、先程自分達があれほど苦戦した大道寺先輩に、“まだ正式に忍となっていない理巧が、互角に戦っているのだ”。
しかも『速さ』ならば、今いる半蔵学院チームの中で最速の斑鳩ですら、二人の動きを僅かにしか捉えられない速度で。
「あ、アタイらが五人がかりでも敵わなかった大道寺先輩に・・・・」
「理巧くんは、1人で互角に・・・・」
「り、理巧くんって、あんなに強かったんだ・・・・」
「流石、と言ったところか・・・・」
「す、凄い・・・・!」
飛鳥達も、理巧が強い事は十分知っていた。しかし、伝説の先輩、大道寺先輩と互角に渡り合えるとは思いもしなかった。
二人の戦いを目に焼き付けようと思ったのか、瞬きせずに見据える。
「流石は大道寺。理巧が“師匠達”以外で本気を出す所なんて初めて見たな」
≪ハルカ達、相当鍛えたようだな?≫
霧夜先生とゼロも、感心した気持ちで二人を見ていた。
ー大道寺sideー
「・・・・!」
「っ! くっ・・・・!」
再び迫り来る理巧を迎え撃とうとしたその瞬間、大道寺の動作が僅かに遅れ、理巧の掌底打ちが自分の腹部に叩きつけられそうになった。
「しまっ・・・・!」
「っ!・・・・!!」
「なにっ!?」
が、その時、理巧は攻撃の手を止めて、大道寺の正面から横に走り、頂上から飛び降りた。
「何が・・・・!! これはっ!?」
一瞬理巧の行動が読めなかった大道寺だが、耳に微かに聞こえた“2つの雄叫び”で、理巧の意図を理解した。
ー飛鳥sideー
「りっくん!?」
「おい理巧! 何処に行くんだよ!?」
《大変だよみんなっ!!》
「ペガさん?」
斑鳩が胸の谷間に入れていたインカムを取り出すと、ペガの慌てた様子の声が響いた。
《今みんなのいる山の麓で、怪獣が2体現れたんだ!》
「な、なんですってっ!?」
ペガからの通信で、飛鳥達も驚愕したように目を開き、霧夜先生とゼロ、大道寺も目を鋭くした。
ー理巧sideー
「ジーッとしてても、ドーにもならない!」
頂上から飛び降り、落下しながら理巧はジードライザーを起動させ、ホルダーの中からヒカリカプセルを起動させた。
「融合!」
デャッ!
カプセルからウルトラマンヒカリのビジョンが現れる。
「アイ・ゴー!」
フワァッ!
カプセルからウルトラマンコスモスのビジョンが現れる。
理巧は2つのカプセルを装填ナックルに装填した。
「ヒア・ウィー・ゴー!!」
ジードライザーのスイッチを押して、装填ナックルを取り出し、二つのカプセルをスキャンするとライザー中心のカプセルに、黄色と白の光が放たれる。
ドクン! ドクン!
[フュージョンライズ!]
「見せるぜ! 衝撃!! ハァアアアアアア!! ハァッ!! ジィィーーーーーーードッ!!!」
ヒカリとコスモスのビジョンが重なりあい、理巧と合わさる。
[ウルトラマンヒカリ! ウルトラマンコスモス! ウルトラマンジード! アクロスマッシャー!!]
折り重なる光の直線と水流の煌めきを抜け、黄色い光と青い結晶の螺旋の中から、アクロスマッシャーが飛び出した。
ーピグモンsideー
『キュゥッ! キュワッ! キュワァッ!』
ピグモンは、ドラコとゴモラの戦いはやめさせようと、2体の足元で跳ねながら声を発していた。
が、2体が地面を踏みつけた風圧で吹き飛び、岩を蹴飛ばして、その岩がピグモンに襲いかかる。
『キュワァァァァァァッ!?』
ピグモンは迫り来る岩に脅えて目を瞑り、衝撃に備えるとーーーー。
『・・・・・・・・・・・・キュワ?』
しかし、いつまでも襲いに来ない衝撃に、訝しそうに目を開けると、光が自分を庇っており、頭上を見ると、ウルトラマンジード アクロスマッシャーがピグモンを守ってくれていた。
『キュワッ・・・・』
『「大丈夫かい、ピグモン?」』
『キュ、キュワァァァァァァッ!』
ジードの登場に、ピグモンは嬉しそうに跳び跳ねた。
ジードはピグモンが無事なのを確認すると、ドラコとゴモラを見据える。
『(彗星怪獣ドラコ』に、『古代怪獣ゴモラ』か・・・・) シュワァァァァァァッ!!』
ジードは『スマッシュムーンヒーリング』を2体に向けて放ったーーーー。
『ギュァァァァァァァァ!!』
『キシャァァァァァァァ!!』
が、2体からは敵意が消えず、敵と認識したのかジードに襲いかかる。
『クッ! シュァッ!!』
ジードは2体の怪獣に向かって駆け出した。
ー飛鳥sideー
「あ、あの子って・・・・」
頂上から秘密基地に移動した一同は、モニターに映し出された戦況を見ていると、飛鳥は、昨夜理巧に食料をくれたピグモンだと気づいた。
「(デュォォン!) レム。俺を理巧の近くに転送しろ」
「ならぬ」
「何?」
ジードに加勢しようとする霧夜先生(ゼロ)を大道寺が止めた。
「あの少年が、本当に己の運命に立ち向かえるか、この戦いで見定めるのも一興。手出しは無用だ、ウルトラマンゼロ」
「・・・・だが、理巧は今かなり戦い辛そうにしているけどな」
ゼロが見据える先を飛鳥達も見ると、ジードは足元にいるピグモンを気にかけて、戦いに集中できていない様子だった。
「(りっくんは、ピグモンくんを気にして戦えないんだ。・・・・私も、りっくんの力になりたい。だって、私、りっくんの事が・・・・大好きなんだもん!)」
コーーーン・・・・!
その時、飛鳥の胸元が光輝く、それは正に、『リトルスター』の輝きだ。
「飛鳥ちゃん!」
「それは、『リトルスター』・・・・?!」
「うわぁっ!!」
他のみんなが驚いているのを尻目に、飛鳥の背後の空間にワームホールが開かれ、飛鳥の姿を飲み込むと、飛鳥が基地から消えた。
「あれはワームホール!? まさか、飛鳥に宿った『リトルスター』は・・・・!」
「これは、予期せぬ僥倖だな・・・・」
ゼロは飛鳥の『リトルスター』を察し、大道寺もニヤリと口角を上げた。
ー理巧sideー
『ウワァッ!!』
ジードはすぐ近くにいるピグモンを巻き込まないように、ドラコとゴモラの相手をしているが、ドラコの空中からの奇襲、ゴモラの突進と尻尾での攻撃に、次第に追い詰められていく。
『『スマッシュビームブレード』!』
ジードは手首から光の剣を出現させると、それを駆使して怪獣達を斬りつける。
『ギュァァァァ!!』
『キシャァァァ!!』
斬りつけられた2体は後ろに引く。
『(この隙に、ピグモンをどうにかーーーー)』
「りっくーーーーん!!」
『(っ!? 飛鳥さんっ!?)』
突然声が聞こえた方に目を向けると、ピグモンの隣に、飛鳥の姿が立っていた。
「りっくーん! ピグモンくんは私が守るから! 思いっきりやっちゃってーーーー!!」
『(・・・・委細了解!!)』
ジードはジードクロウを取り出すと、トリガーを二回押し、全身に青いエネルギーを纏い、ジードクロウを切っ先にして回転しながら2体の怪獣に突っ込んだ。
『(コークスクリュージャミング!!)』
片方の手でジードクロウを、もう片方からは『スマッシュビームブレード』を伸ばした青い螺旋が、ゴモラの尻尾とドラコの翼を斬り捨てた。
『キシャァァァァァァァ!!』
『ギュァァァァァァァァ!!』
痛みに悲鳴を上げる2体。
『『アトモスインパクト』!!』
『キシャアアアアアアアアアアッッ!!』
『アトモスインパクト』を浴びたゴモラは、そのまま爆散した。
『(決めたぜ、覚悟!!)』
ジードはプリミティブに変身すると、ドラコの首に腕を回し、ジャイアントスイングで投げ飛ばしーーーー。
『ハァァァァァァァァっ!・・・・『レッキングバースト』!!!』
『ギュアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』
ジードが放った『レッキングバースト』が、ドラコを暗雲の中まで吹き飛ばし、爆散した風圧で暗雲が吹き飛び、夕焼けに染まり始めた大空が広がった。
「やったぁ!!」
『キュワ! キュワ!!』
飛鳥はピグモンと手を取り合って、ピョンピョンと跳ねて喜んだ。
◇
「ええっ!? この山って、ピグモンくん達の保護区だったんですかっ!?」
転送エレベーターからやって来た霧夜先生達は、ピグモンの仲間達が大勢いるピグモンの棲み家にやってくると、ピグモンの仲間達に歓迎された。
「ああ。ピグモンは『友好珍獣』と呼ばれるほど気性の大人しく心優しい生き物でな。しかしその手の好事家に狩猟される事もあって、国立半蔵学園で保護していたんだ。しかしまさか、ドラコのような怪獣までいたとは思わなかったがな」
霧夜先生もピグモンと戯れながら説明した。
そして飛鳥達から離れた大道寺が、理巧に話しかける。
「暁月理巧。貴様はなぜ我への攻撃をやめて、ピグモンの元へ駆けつけた?」
「・・・・ピグモンには、食料をくれた恩がありましたから。あのまま続けていたら、ピグモンは怪獣達に踏み潰されると思ったんで」
「我を倒せる状況であったにもか?」
「・・・・もしピグモンを見捨ててたら、僕は、“かつての自分に戻ってしまう気がしたんです”」
飛鳥達に聞こえないように、大道寺だけに聞こえるように呟く理巧。
目の前の消えそうな命を見捨てる。
それはかつて、“感情のない人形だった自分”。
“目の前で命が消える事に何の感慨を持たなかった自分”。
「僕は、目の前の命を見捨てるような人間にはなりたくない。それをしてしまえば、こんな僕を“家族”として受け入れてくれた人達と、“仲間”となってくれた人達と、向き合えなくなるから・・・・」
「ふっ、そうか・・・・」
理巧はそう言うと、飛鳥達の方に歩き、霧夜先生が大道寺に近づく。
「あの少年、そしてあの娘<飛鳥>、ともに相当な潜在能力を秘めている。本人達はまだ気づいていないが」
「やはり分かるか」
「潜在する強さは無意識の強さ。ゆえに諸刃の剣、ゆえに道を誤れば、二人は“あの人”と、そしてウルトラマンベリアルと同じ道を行くだろう」
「そうはさせんさ。・・・・(デュォォン!) それで大道寺。理巧にやられた足はどうだ?」
ゼロの質問に、大道寺は無言でズボンの裾を上げると、理巧が攻撃された右足に青黒く腫れていた。
「この通り“折れている”。正直あのまま続けていれば、我が立っていたかは分からん」
大道寺とゼロがそんな話をしていると、試験に合格した飛鳥が、巻物に書かれていたモノを読んでいた。
「【力即刀盾】。力は刀と盾である。とーーーー」
「それこそ、半蔵様が御自ら直筆下すった、忍の極意」
「えっ?」
飛鳥が大道寺に目を向けると、大道寺はにこやかに頷いた。
「飛鳥さん?」
「そういえば、じっちゃんが言ってた。【力とは刀と盾の対でなければならん】って・・・・」
「ふ~ん・・・・」
「さて、暁月理巧よ。我からお主に渡す物がある」
「えっ?」
「目の前の勝利よりも、足元の命を救う事を優先としたその心意気。此れ評価に値する物とする! 受けとれ! 『さすらいの風来坊』の光!!」
「飛鳥。お前もだ」
「えっ? は、はい! りっくん! 受け取って!」
飛鳥と大道寺の胸元から、『リトルスターの輝き』が飛び出し、理巧が受け取った。
セリャッ!
シュワッ!
飛鳥からはなんと、『ウルトラマンゼロ』のカプセル。大道寺からは『O-50』のウルトラマン、『ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン』のカプセルだった。
「ゼロと、ウルトラマンオーブか・・・・!」
「飛鳥ちゃんのリトルスターって、ゼロさんの!?」
「うへぇ~、スゲェ偶然だな・・・・」
「大道寺先輩からは、理巧くんと同じように“二人のウルトラマンの力を1つとするウルトラマン”ですか」
「ある意味これも凄い偶然だな」
「・・・・ゼロ」
「俺に気遣いなんて不要だぜ。俺の力、存分に生かしてくれよ」
「・・・・・・・・ああ」
「(理巧くんも頑張ってる。自分の『運命』に負けないように・・・・。私も、もう弱音なんか吐かない! じっちゃん! 私、頑張るよ!)」
「(この先どうなる分からない。“僕がベリアルと同じになるか”。それとも・・・・)」
理巧はゼロとオーブのカプセルを握りながら、飛鳥やみんなとともに、沈む夕陽を見つめていた。