閃乱ジード   作:BREAKERZ

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急展開だぜ、事態

ー理巧sideー

 

大道寺が起こした『這緊虞』から数日。

半蔵学園の忍達は厳しさを増した霧夜先生の修行を行っていたが、1つの問題があった。

 

それはーーーー柳生が雲雀を甘やかしている事だ。

 

「今日はここまで! 柳生! 雲雀! お前らはここで補修行だ! 理巧! 二人の相手役を命じる!」

 

「は~い・・・・」

 

そう言うと、霧夜先生は煙を巻き上げて修練場から去った。

 

「補修行だって・・・・」

 

「霧夜先生ここんとこ厳しいよな?」

 

「雲雀さんも忍。いつまでも柳生さんに、庇って貰う訳にもいきません」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

柳生が雲雀を過保護にしている気持ちを知っている理巧は、柳生の気持ちも分かるがこのままでは雲雀の成長の妨げになるのもいけないとも思い、どうしたものかと悩んでいた。

 

 

 

ー霧夜先生sideー

 

霧夜先生は自室に戻ると、大道寺と黒猫がいた。

 

「大道寺。理巧につけられた骨折は治ったか?」

 

「不要な心配り。この程度の負傷ならば数日で骨はくっ付く。それにしても、あの5人、各々特質は違えど、鍛練次第では相当の逸材」

 

「理巧はどうなんだ?」

 

「あやつもまた、これからの修行次第で、秘められし潜在能力を開化させる事だろう」

 

「“お前達”がいなくなって、どうなるかと思ったが・・・・」

 

「『真の忍』の気性を持つ者これ希少なり。人材無くば、これ已む無し」

 

「ま、最初は随分難儀したがな・・・・それはそうと大道寺。『蛇女の協力者』について何か掴んだか?」

 

大道寺もまた、半蔵や『AIB』とは違う視点で、『ベリアルの行方』と『蛇女の協力者』の事を調べていたのだ。

 

「不甲斐なし。まるで霧を掴むようにその姿を掴めぬ。師よ。そちらはどうだ? 村雨から何か聞いたか?」

 

斑鳩の義理の兄・村雨。『蛇女の協力者』に唆され、『コピークリスタル』と『エースキラーの怪獣カプセル』を与えられた人物。

現在は退院し、実家の『鳳凰財団』を継ぐために商業の勉強をしながら、時々事情聴衆を受けている。

 

「いや、相変わらず村雨も『協力者』についての記憶が曖昧でなぁ。『コピークリスタル』と『怪獣カプセル』を渡されてから、意識がほとんど無く、ただ斑鳩に対する嫉妬と憎悪でいっぱいになっていたようだ」

 

「おそらく、自らの素性が露見されぬよう、記憶に何らかの措置を施していたか」

 

「その可能性はあるな。『ゼナ』にも聞いてみたが、宇宙人の科学の中にも記憶操作の能力や機械を持っているのもいるらしい」

 

≪やっぱ、情報は蛇女子にしかねぇって事か・・・・≫

 

 

 

ー理巧sideー

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

飛鳥達は先に帰り、二人の補修行を見ていた理巧は少し物思いに耽っていた。

 

『理巧。何かあった?』

 

ダークゾーンからペガが顔を出した。

 

「・・・・この間の戦いでさ、僕は、『ドラコを殺した』よなぁ、って考えてたんだ」

 

『うん』

 

「ピグモンを助けるためとはいえ、ドラコを殺すことは無かったんじゃないかなぁって思ってさ」

 

『でもさ、『スマッシュムーンヒーリング』でも大人しくならなかったし、ドラコは元々狂暴な怪獣だったんだから、あのままじゃピグモン達が殺されていたよ』

 

『アクロスマッシャー』の『スマッシュムーンヒーリング』は、明確な殺意と敵意を持った怪獣にしか効果が無い。

しかし、あのときのドラコには敵意や殺意ではなく、闘争心が暴走した状態だったので通用しなかった。

 

「確かにそうだ。でも、心の何処かでこう思うよ。『他にやりようがあったんじゃないか?』、『殺すことも無かったんじゃないか』ってね」

 

『・・・・なんからしくないね』

 

「あぁまったくだ。僕自身をそう思うよ・・・・」

 

敵対する者には容赦しない、それが理巧のスタイルだったし、その事に微塵も疑問を持っていない。

だがこんな考えを起こしてしまっている。それに理巧は戸惑いを感じていた。

 

 

ー霧夜先生sideー

 

「あの少年に意識の変化が?」

 

「ああ。ドラコを倒してから、物思いに耽る姿が見える。ゼロはこれを、【ウルトラマンがかかる悩み】と言っていた」

 

理巧の意識の変化を、ゼロは察し、霧夜先生と大道寺はその事を話し合っていると、大道寺は少し難しい顔をした。

 

「あの少年の強みは、【敵対する者に対する冷徹さと冷酷さ】。これ忍にとっても重要な素質と判断できる。それに陰りが生まれるのは、今この状況では危惧すべき事だ」

 

「・・・・確かにな。だが、鷹丸達は、理巧に【他者への思いやり】を学ばせるために、この学院に転校させたんだ。ある意味では、これは僥倖とも取れるがな。とにかく、『問題児』だった理巧が、皆に馴染んで来ている。ま、『問題児』って意味じゃ大道寺、お前を含めて全員そうなんだがな」

 

「フッ。我が卒業せぬ理由。それは師が一番理解している筈」

 

大道寺が卒業しない理由。

ーーーーそれは、『凜』と呼ばれた、霧夜先生の教え子にして、大道寺の先輩だった少女に、一度も勝利できていないからであった。

 

「だが、我が卒業する前に、凜先輩は・・・・」

 

「・・・・難度の高い忍務だった。俺は反対したんだが」

 

卒業して間もない彼女は『スーパー忍者』になると言って忍務をやらせてほしいと嘆願し、その熱意に押されて、霧夜先生は了承してしまった。

 

「あの時俺は、力ずくでも止めるべきだったんだ」

 

「故、我の卒業も無期延期とな成りし・・・・」

 

「この戦いは、ただの悪忍との抗争じゃない。最近頻繁している怪獣騒動。十数年前に起こった『クライシス・インパクト』を発端とするウルトラマンベリアルの意図が絡んでいる」

 

「そこに、ウルトラマンジードである暁月理巧との何かしらの因縁。しかし我は決着を・・・・」

 

「そして俺は、救わねばならん」

 

「我の卒業。そして、旅の終わりも近いのかもしれん」

 

そう言って、大道寺は黒猫と共に姿を消した。

 

≪・・・・霧夜、あんまり思い詰めんなよ≫

 

「・・・・分かっているさ、ゼロ」

 

 

 

ー悪忍sideー

 

そして『蛇女』ではーーーー。

 

『それで、指揮官の私を無視して、春花に指示を出したと?』

 

『善忍側の『超秘伝忍法書』の奪取は、最重要忍務。『カプセル』も『クリスタル』も底を尽きてきた以上、仕方あるまい』

 

『しかし、『超秘伝忍法書』は、『選らばれし者』がいなければ意味を成さないため、半蔵学院の生徒を、『選らばれし者』として成長させ、然る後、こちら側へ篭絡する。これぞ最善の策・・・・』

 

『奪ってからこちら側で『選ばれる者』を、育てればいい』

 

『こちらにある『忍法書』ですら、まだ『選らばれし者』が現れておりませんが・・・・!』

 

『『成果』が欲しいのだ。形としてでもな。それに、もはや手遅れだ』

 

『っ!!』

 

オーナーの言葉、鎧武者は目を見開いた。

 

 

ー雲雀sideー

 

「はぁ、柳生ちゃん、怒ってたかな? また迷惑かけちゃったし・・・・」

 

保修行が終わり、そっけない態度で帰っていった柳生に、不安そうに顔を俯かせる雲雀の頭を、理巧は優しく撫でる。

 

「大丈夫。柳生さんが雲雀ちゃんに怒ってたりしないよ」

 

「そうかなぁ・・・・」

 

「柳生さんも、おじさんに【庇う事が雲雀ちゃんの為になるのか】って言われから、ちょっと気にしているだけだよ。明日、柳生さんとちゃんと話し合おう。僕も一緒に行くからさ、ね」

 

「理巧くん・・・・うん!」

 

ようやく笑顔になった雲雀はシャワールームについて、理巧と別れ、服を脱ごうとしていると、足元に『春花のイヤリング』が落ちていた。

 

「あれ? 机に置いておいたのに・・・・」

 

不思議そうに首を傾げた雲雀は、制服を入れた籠の中に、イヤリングを置いた。

 

 

 

 

「・・・・はぁ、理巧くんはああ言ってくれたけど、雲雀、このままずっと落ちこぼれなのかな?」

 

熱いシャワーで汗を流している雲雀は、今のままじゃダメだと、自分自身も自覚し、少し涙が流れた。

するとーーーー籠の中のイヤリングが妖しく光り、雲雀の耳元に“春花の声が響いた”。

 

《あなたに“お願い”する時が来たわ。よろしくて? 私の“可愛いお人形”・・・・》

 

「・・・・・・・・!!」

 

その時、雲雀の目から光が失ったーーーー。

 

 

 

ー春花sideー

 

「ウフフ、可愛いお人形が動いてくれるわ。・・・・さぁ、あなたはどう動いてくれるのかしら?・・・・暁月理巧様♥️」

 

春花は胸の谷間から、理巧の写真を取り出すと、恍惚とした表情を浮かべ、写真の理巧の顔を撫でた。

 

 

 

 




ー次回予告ー

僕が自分自身の気持ちの変化に戸惑っていると、『超秘伝忍法書』が何者かに盗まれる事件が起こった。一体誰が盗んだのか? 正直忍法書には興味ないけど、盗人はさっさと捕まえないとな。
と、思ってたら、雲雀ちゃんの様子がおかしい。これは何かあったかも知れないな。


次回、『閃乱ジード』

【秘立蛇女子学園】

遂に来たぜ、蛇女子!
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