閃乱ジード   作:BREAKERZ

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すみません。書いている内に今回の怪獣戦闘は無しになりました。


動くぜ、状況

ーイカルス星人sideー

 

イカルス星人は、空中ディスプレイを展開すると、金で雇っておいたチンピラ宇宙人達に指示を飛ばす。

 

『よし。準備を始めようじゃなイカ。さっさとその地点の怪獣達を起こしておけ』

 

《了解》

 

イカルス星人に雇われたチンピラ宇宙人達は、“指定された場所で眠っている怪獣を起そうとしていた”。

 

 

 

ー霧夜先生sideー

 

同時刻。

目の前に突如として現れたかつての教え子・凛。

ずっと忍務で亡くなっていたと思っていた少女が、妖艶な大人の女性に、それも悪忍達の教師となって、現れた事実に、霧夜先生はしばし呆然となるが。

 

≪霧夜≫

 

「分かっている。・・・・隠れてないで出てこい」

 

霧夜先生が後ろに向かってそう呟くと、物陰から飛鳥達が現れた。

 

「ば、バレてました・・・・?」

 

「流石先生、だね♪」

 

「・・・・俺は部屋で待機してろとい言った筈だが?」

 

「申し訳ありません。先生が尋常ならざる雰囲気でしたので、つい・・・・」

 

「ふぅ・・・・。理巧か? 俺の様子に気を付けろとか言ったんだろう? まったく。勝手に雲雀に付いていって蛇女に潜入までしやがって・・・・」

 

霧夜先生の言葉に、飛鳥達がピクッと肩を揺らした。

 

「霧夜先生。知っていたのか? 理巧が蛇女に行っていると?」

 

「まぁな。アイツの育て親達から、『理巧と連絡が付かない』って連絡があったからな」

 

「それだけで、ですか?」

 

「お前達は知らないだろうが。理巧が育て親からの連絡を無視するなど、絶対にあり得ない。今日1日でまるで姿も連絡も寄越さないから、もしかしてと思ってはいたが。お前達の反応で確信になったよ。さて、何はともあれ、蛇女の居場所が分かった」

 

霧夜先生は、先ほど『凛』、いや、蛇女の教師の『鈴音』から貰った地図を飛鳥達に見せた。

 

 

 

 

 

忍教室に戻った一同は、地図に記された一点を見据える。

 

「ここが蛇女な本拠?」

 

「随分と山ん中だなぁ!」

 

「文化遺産保護の名目で、立ち入り禁止区画となっている場所だ。 おそらくは、悪忍の息のかかった役所か企業の仕業だろう」

 

「霧夜先生! 蛇女子学園に行かせてください!」

 

「おお! 雲雀達を助けるんだ!」

 

「・・・・それはできん」

 

飛鳥達が意気揚々と言うが、霧夜先生は許可しない。

 

「っ何故だ?」

 

「先生!」

 

柳生と葛城に向けて、斑鳩が口を開く。

 

「事は簡単ではありませんわ。悪忍の秘密施設へ、善忍のわたくし達が乗り込めば・・・・」

 

「斑鳩の言うとおりだ。善忍と悪忍の全面抗争に発展する可能性もある。忍はあくまで社会に潜む『影』。『影』が身勝手な抗争を始めれば、この国そのものを揺るがしかねないからな」

 

「どうして善忍だけ遠慮しなくちゃいけねぇんだよ! 悪忍だって攻めてきたじゃないっすか!?」

 

悪忍と善忍の全面抗争は避けねばならない。しかし、葛城の言い分も一理ある。

 

「(確かに、悪忍側が暗黙了解を破るとは思えん。・・・・あの襲撃が蛇女の独断だとすれば・・・・『凛』、お前の目的は何なんだ?)」

 

「このままりっくん達を放ってはおけません!」

 

霧夜先生の熟考するが、飛鳥の声で我に帰ると、斑鳩たちも飛鳥と同意と云わんばかりの視線をし、どうしようかと悩んでいるとーーーー。

 

「陰と陽。これぞ世の理」

 

突如、飛鳥の祖父、半蔵が現れた。

 

「じっちゃんっ!?」

 

「半蔵様・・・・」

 

「陽無くば、陰もまた存在せん。逆もまた然りじゃ」

 

「悪忍との戦いは、無意味だと・・・・?」

 

斑鳩の言葉に、腰を下ろした半蔵が口を開く。

 

「いや、奴らのやり方は非合法、悪じゃ。悪に対抗する力の盾として、我ら善忍の存在は必要不可欠」

 

「そんな難しい事はどうだって良いっす! アタイ達は・・・・ん?」

 

葛城は、立ち上がった柳生を見て言葉を中断した。

 

「場所は分かった。『策』も立ててある。オレは行くつもりだ」

 

「柳生ちゃん」

 

「行くが良い」

 

『っ!?』

 

てっきり止める為に来たのかと思った半蔵の反応に、一同は驚く。

 

「これはあくまで、『学生同士のいさかい』じゃ」

 

「学生同士の・・・・」

 

「では、我々<教師>は関与しないと?」

 

「無論。子供のいさかいに大人が出るわけにはいかんからのぉ」

 

「しかし! それでは・・・・!」

 

「全ての責任は、この半蔵が負う。誰にも文句は言わせぬ!」

 

「半蔵様・・・・」

 

「じっちゃん!」

 

「よっしゃ! 『伝説の忍 半蔵様』のお墨付きだぜっ!」

 

「はぁ、どうして貴女はそう能天気なのでしょう?」

 

「へへへ」

 

呆れる斑鳩の肩を、葛城がポンポンとたたく。

半蔵は立ち上がり、柳生に話しかけ、その頭にポンっと手を置いて撫でた。

 

「ほっほっほっ。『仲間』くらい助けられんで何の忍か。のう? 柳生よ」

 

「はい・・・・」

 

≪どうするよ霧夜? 俺はどちらかと言うと半蔵の爺さんに賛成だぜ?≫

 

「(・・・・しかし)」

 

≪飛鳥達だって、無策に行こうって訳じゃねぇんだ。師匠なら、弟子達を信じて、任せてやっても良いんじゃねぇか?≫

 

「・・・・・・・・半蔵様の御命と在らば、了解致しました」

 

「「先生!」」

 

「そう来なくっちゃ!」

 

「と、言う事で、ワシからの差し入れじゃ!」

 

半蔵が『特性太巻き』を取り出すと、飛鳥達が歓声を上げて頬張る。

がーーーー。

 

「それはそれとして・・・・」

 

「「「「ん??」」」」

 

霧夜先生がニヤリと笑みを浮かべると、飛鳥達は妙にイヤな予感がした。

 

 

 

ー葛城sideー

 

葛城と斑鳩は隣合うように、廊下に逆さ宙吊りになった。

 

「あ~ぁ、理巧の勝手行動を黙っていた事と、勝手に教室を出たからって、何もこんな時まで・・・・」

 

「これも修行の内です」

 

「おぅおぅ出た出た♪」

 

「何です?」

 

「べ~つに~・・・・「葛城さん」ん?」

 

「敵地に乗り込む以上、何が起こってもおかしくありません。頼りにしてますからね」

 

「へぇ、斑鳩もそういう事言うんだ・・・・」

 

初めて会ったときと随分丸くなったなぁと、葛城は内心思った。

 

「お互い、上級生としての責任もありますでしょ?」

 

「アタイなんて、最初から頼りにしてんだぜ?」

 

「え・・・・」

 

「気合い入れていこうぜ。委員長」

 

「ええ!」

 

上級生の二人は手を叩きあった。

 

 

ー柳生sideー

 

上級生二人と別の廊下で同じように宙吊りになっている柳生と飛鳥。飛鳥が柳生に話しかける。

 

「柳生ちゃん」

 

「?」

 

「りっくんに雲雀ちゃん。絶対に助けだそうね!」

 

「・・・・理巧が付いていてくれている。雲雀は安全だろうが、必ず二人とも助けだす。オレだけじゃなく、こんなに頼れる仲間がいるからな」

 

「そうだよね! 私達みんながいれば、絶対に大丈夫だよ!」

 

「・・・・ああ!」

 

下級生達も、それぞれに決意を胸に夜を迎えた。

 

 

 

ー理巧sideー

 

夜の蛇女子学園の廊下。

そこには蛇女の悪忍達が警備に動いており、まさに鉄壁の警備態勢であった。

が、蛇女の居場所は極秘故に、侵入者など現れた事がなく、警備をする忍達には僅かな気の弛みがあった。

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

そしてその真上の天井を這いずる影、ペガの『ダークゾーン』に潜んでいるペガと、春花をマッサージで眠らせた理巧と雲雀の存在に気づく筈もなく、三人は息をひそめて、『強い気配』がいる最上階、『超秘伝忍法書』が隠されていそうな場所に向かっていた。

 

「・・・・うまく行ったようだね」

 

「ペガ君の『ダークゾーン』のおかげだよ」

 

『へへへ♪』

 

ひっそりと小声で会話する一同は、御簾の向こうから声が聞こえ、耳をすませた。

 

「裏切るつもりか!?」

 

「っ!」

 

「・・・・(し~)」

 

御簾の向こうから聞こえる野太い男の怒鳴り声に、雲雀が小さく悲鳴を上げそうになるが、理巧が雲雀の口を人差し指で抑えて止め、静かにするようにジェスチャーすると、雲雀が小さく頷き、再び三人は耳をすませ、続いて『鈴音』らしい女性の声が聞こえた。

 

 

ー鈴音sideー

 

鈴音は喚き始めた“オーナー”の態度など意に返さず答える。

 

「仰る意味がわかりません」

 

「半蔵側にこの蛇女の位置を教えた事が、裏切りではなくてなんだと言うのだ!?」

 

「・・・・『超秘伝忍法書』は、入手しただけでは無意味。『選ばれし者』が有ってこそ、その意味を成すと申した筈です。この私は、その手助けをしたまで・・・・」

 

淡々と説明する鈴音だが、オーナーの声は苛立ちを隠そうとせず声を張り上げる。

 

「わざと半蔵の生徒を呼び込み、戦うように仕向けた、というのが?!」

 

「御意。忍の学生は未完成、故にその力も未知数だからこそ、“『超秘伝忍法書』を継承する器”になり得るのです。『陰』のみならず、『陽』の秘伝書もこちら側にある以上、『陽の継承者』、即ち善忍の忍学生を呼び込むのは必然」

 

ーーーーガシャァンッ!!

 

『「「っ!」」』

 

御簾の向こうから、ガラスを床に叩きつけ壊れる音が響くと、オーナーがヒステリーを撒き散らすように、また怒鳴り声を響かせた。

 

「正気かっ!? ここを知られた事が、“上層部”の耳に入れば・・・・!」

 

明らかに保身の為の責任逃れを喚くオーナーの醜態に、鈴音は毅然とした態度で返す。

 

「自らの功を焦り、独断専行したのは貴方でしょう」

 

「なにっ!」

 

「首を晒すなり、逃げるなり、ご自由に為されば良い。止めは致しませんゆえ」

 

鈴音は、もはや問答する相手ですらないと云わんばかりに、その場を去ろうとする。

 

「~~~~!! こやつめ、ヌケヌケと! 裏切り者の鈴音を捕らえよ!!!」

 

オーナーが叫ぶと、鈴音の周りを何人もの忍生徒達が現れ、手に持った棒で鈴音を抑えた。

 

「(・・・・・・・・ふっ)」

 

しかし鈴音の口元には、ニヤリと笑みが浮かんでいた。

 

 

 

ー理巧sideー

 

「(みんながここに来るのかな?)」

 

「(そのようだね。ペガ、みんなに内部の情報は?)」

 

『(バッチリだよ!)』

 

「(良し。とりあえずここは一旦引こう。忍教師である鈴音さんと、蛇女のオーナーの間に亀裂が生まれた。これで蛇女の統制は僅かに乱れる。僕たちはその隙を見て、『超秘伝忍法書』を奪取しよう)」

 

「『(了解)』」

 

ハンドシグナルで会話を終えた三人は、再び『ダークゾーン』で部屋から脱出した。

 

 

ー飛鳥sideー

 

飛鳥達は半蔵学院訓練場の合宿所にて、盃を地面に割る出陣式をやった。

もっとも、片付けが大変だからプラスチック製の盃なので割れず、なんとも締まらない出陣式だったが。

改めて、横一列に並んだ四人に霧夜先生が声を発する。

 

「斑鳩!」

 

「はい!」

 

「葛城!」

 

「おう!」

 

「飛鳥!」

 

「はい!」

 

「柳生!」

 

「はい・・・・!」

 

「理巧と雲雀とペガくんの救出と、『超秘伝忍法書』の奪還の為、秘立蛇女子学園に潜入せよ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「ただし最重要忍務は、全員生きて帰ってくる事だ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

霧夜先生の言葉に、四人は笑みを浮かべて返事をすると、近くにいた半蔵が声を発する。

 

「あくまで、『子供のいさかい』、じゃからの」

 

「総員! 転身せよ!」

 

「「「「はい! 『忍転身』!!」」」」

 

「出動!!」

 

転身した四人に霧夜先生が叫ぶと、四人は合宿所の近くの小滝からハングライダーで飛んでいった。

そして最後に残った飛鳥は、焔に惨敗した時の事を思い返していた。

 

「(敵地、か・・・・。まともに勝てた事も無いのに・・・・)「飛鳥よ」っ! じっちゃん!」

 

「忘れるでないぞ。『本当の強さ』を」

 

それを言われ、飛鳥は胸の谷間から、以前の『這緊虞』で勝ち取った半蔵の巻物に記された『力即刀盾』を見ると、半蔵がそれを得たのが飛鳥だと言う事に喜んだ事を伝え、飛鳥はその巻物を半蔵に預かってもらって、飛んでいった。

 

「(怖くなんかない! 私は、じっちゃんの孫! そして、半蔵学院の忍なんだ!!)」

 

空で仲間達と合流し、編隊を組んで空をかけていった。

 

 

 

ー霧夜先生sideー

 

それを見届けた霧夜先生(&ゼロ)と半蔵に、大道寺が現れた。

 

「事は単純ではない・・・・」

 

「大道寺」

 

「凜の事じゃな? 蛇女の位置を我らに教えたのは、おそらく凜の独断。事が知れれば、処分は免れぬ。じゃからこそ、お主らも追って蛇女に向かうのじゃろ?」

 

「っ! お見通しでありましたか・・・・」

 

「お主ら二人が揃い、凜が絡んでおると有らば、せんない事じゃ。ほうっておく訳にはいくまいて」

 

「ご慧眼の限り。我、他にも不穏な事実を入手せり」

 

「不穏?」

 

「悪忍の忍学生。これ、すべからく『外法』が掛けられている由!」

 

「っ!?」

 

「外法じゃと!?」

 

「然り。さらに、怪獣達の活発な動きと融合獣なる異形の怪獣。これ即ち、『ウルトラマンベリアルの配下』の仕業なり」

 

「なに!?」

 

≪ベリアルの配下?!≫

 

「左様。その正体は掴めなんだが、おそらく、その『配下』が蛇女に手を貸し、尚且つ『光の国』より暁月理巧が『ジードライザー』と名付けた道具と、『ウルトラカプセル』を盗み出した下手人と推察する」

 

「これまでの蛇女による怪獣召喚は、やはり『異星』の力、それもベリアルの手の者か・・・・」

 

半蔵の脳裏に、かつての記憶が鮮明に甦る。

十数年前、孫の飛鳥が生まれる少し前に起こった、宇宙崩壊の危機である『クライシス・インパクト』の記憶が・・・・。

 

「っ鷹丸?・・・・失礼」

 

と、そこで霧夜先生が、内ポケットからスマホを取り出すと、画面に理巧の育ての親である『戦部鷹丸』の名前が表示され電話に出た。

 

「鷹丸。どうした・・・・・・・・・な、何だとっ!?」

 

「「っ!」」

 

霧夜先生の様子から、半蔵と大道寺も何事かと目を向けた。

 

「分かった。すぐに向かう(ピッ!)・・・・たった今、鷹丸から連絡があり。『AIB』の怪獣監視地区で、“卵の状態だった『古代怪獣ツインテール』が突然孵化したようです”」

 

「なんじゃと?!」

 

「師よ。確かその怪獣がいる地区の近くには、それなりに大きな町があったな?」

 

「ああ。それに、“孵化したツインテールに釣られて、『地底怪獣グドン』も現れました”」

 

「確かグドンの好物は、“孵化したばかりのツインテール”であったな」

 

「孵化したばかりの怪獣は餌を求めて町に向かう、好物の餌を求めて向かっているもう1体の怪獣。もし2体が町で出くわせば、町や町民達に甚大な被害が出るぞ・・・・!」

 

半蔵の言葉を首肯しながら、霧夜先生は『NEOウルトラゼロアイ』を取り出す。

 

「はい。俺はこれからゼロと、2体がかち合う前に、ツインテールを町から遠ざけ、グドンもまとめて倒します」

 

「うむ」

 

「師よ。この時期に突如2体の怪獣の出現。何か策略めいた臭いがするが・・・・」

 

「それでも行くしかない。行くぞゼロ! (デュォォン!) ちゃちゃっと片付けてやる。シャァッ!!」

 

『NEOウルトラゼロアイ』を装着してウルトラマンゼロに変身し、空を飛んで行った。

 

「・・・・大道寺よ。この状況も、主の申した『ベリアルの配下』が関わっているのう?」

 

「おそらく」

 

「やれやれ。どうやら理巧くんと飛鳥達は、ベリアルと関わる運命のようじゃな」

 

半蔵は顎髭を撫でながら、“瞳を金色に光らせると、その瞳に理巧の状況が映し出されていた”。

 

「この少年は、とてつもなく険しい宿命の道を進まねばならぬようじゃな・・・・」

 

半蔵は瞑目した。

年若い少年の先行きにせめてもの幸運が在らんことを祈るようにーーーー。




ー次回予告ー

遂に半蔵学院と蛇女子学園の最終決戦が幕を開いた。果たして、僕たちはこのいさかいを終わらせる事ができるのか? でも、鈴音先生・・・・いや、凜さんの目的は一体何なんだ? そして蛇女子のオーナーこと道元も動き出す。

次回、『閃乱ジード』

【決戦 半蔵VS蛇女子】

決戦だぜ、みんな!
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