今年最初はゼロがバトル。
悪者か、焔達?
ーゼロsideー
深夜の山に囲まれた場所で、2体の怪獣が戦っていた。
『グギャアアアアア!!』
『ギュワァァァァァ!!』
黒い大きな角を持ち、両腕に長いムチを振り回す『地底怪獣 グドン』。
シャチホコのように頭が下で、小さなトゲが並んだ鞭がついた尾を高く上げた怪獣、『古代怪獣 ツインテール』。
生まれたばかりのツインテールは腹を空かせ、近くの町に向かおうとしていたが、生まれたてのツインテールが大好物のグドンが現れ、そのまま交戦状態に陥り、辺りを荒らしながら戦っていた。
『グギャアアアアア!!』
『ギュワァァァァァ!!』
『止めろテメェら!!』
『グギャアア!』
『ギュァァァ!』
グドンに『ゼロキック』を繰り出したウルトラマンゼロはそのまま1回転して、ツインテールにもキックを浴びせ2体は大きく倒れると、土煙を上げて倒れる。
『シャァッ!!』
起き上がった二体がウルトラマンゼロを敵と認識し、ゼロは構えるとグドンに正拳突きを繰り出し、ツインテールにもローキックを浴びせた。
『グギャアアア!!』
『ギュァァァ!!』
グドンは両手の鞭を振り回し、ツインテールも尾の鞭を振り回しゼロへと迫る。
『ちぃっ! 鬱陶しい! 攻撃だぜっ!』
本調子ならば余裕で対処できるが、今の状態では苦戦していた。
『うぉ!?』
『ギュワァァァァァ!!』
回避していたゼロの両腕にグドンの鞭が巻き付き、動きを抑えられ、がら空きとなった背中にツインテールの鞭が叩きつけれた。
『グァアっ!!』
『グギャアアアアア!!』
グドンは頭の角を振りながら、ゼロに攻撃を仕掛けようとしたが・・・・。
≪ゼロ!≫
『分かってる! 『ゼロスラッガー』!!』
頭に装備したゼロスラッガーを遠隔で操作すると、グドンの角を弾き、背後のツインテールを斬りつける。
『ギュワァァァァァ!?』
ツインテールが怯んで後方に退くと、ゼロはグドンに顔を向ける。
『『エメリウムスラッシュ』!!』
『グギャアアアアア?!』
ゼロが額から放たれた光線によって、後ろに吹き飛ぶグドン。
『フッ! シュワッ!』
『ギュワァァァァァ!!』
戻ってきたスラッガーを両手に持って、トゲ付きの鞭を振り回しながら自分に迫るツインテールを迎撃した。
『グギャアアアアア!!』
起き上がったグドンが身体を平身させて、頭の角をゼロに向けて突き立てながら突進してくる。
『「ゼロ!」』
『応よ! シャッ!』
霧夜先生が叫ぶと、ゼロはグドンの角が背中に突き刺さりそうになる寸前、後方に大きく反転し回避すると、グドンはゼロと相対していたツインテールにぶつかり、2体は縺れ合って倒れた。
『グギャア?! グギャアアアアア!!』
『ギュワァァァァァ!! ギュワァァァァァ!!』
2体はそのまま起き上がろうとするが、お互い暴れ合って動き辛くなっていた。
ピコン・・・・ピコン・・・・と、カラータイマーが鳴り響き、ゼロはゼロスラッガーをカラータイマーに合体させてーーーー。
『これで終わりだっ! 『ゼロツインシュート』!!』
『『ギャァァァァァァァァァァァァ!!!!』』
ーーーーチュドォォォォォォォォォォンン!!
ゼロが必殺光線を放つと、2体は仲良く爆散してしまった。
『ぃ良し! これで終わりーーーー『ギュグワアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』 ん? ウォアアアアアアアアアアアアアッ!!!!?』
『「ぐぁあああっ!!」』
一瞬気が抜けたゼロに、何処からか雄叫びが聞こえると、渦を巻くように回転する青い光線がゼロに当たり、ゼロと霧夜先生は叫び声を上げて倒れた。
『な、なにが・・・・!?』
『「ゼロ・・・・あそこだ・・・・!」』
薄れいく意識の中、ゼロと霧夜先生が目を向けると、暮明の中に大きな影がおり、背を向けてその場を去ろうとしていた。
『あの影は・・・・? くぅ!』
『「ぬぅ・・・・!」』
ゼロはカラータイマーが鳴り終えると、光に包まれ霧夜先生に戻り、霧夜先生は上体を起こすと、巨大な影を見上げようとするが、その影は忽然と消えていた。
その影は、以前交戦した“『宇宙怪獣ベムラー』にそっくりだった”ーーーー。
ー雲雀sideー
夜が明け、雲雀は蛇女の制服に着替えると、ちょうど理巧が入室してきた。
「雲雀ちゃん」
「理巧くん」
理巧は少し不安そうに震える雲雀の身体をソッと優しく抱き、雲雀も理巧の身体を抱き寄せる。
そんな中、理巧は雲雀に静かに耳打ちする。何処に監視の目があるか分からない故の伝達方法だ。
「(もうすぐ飛鳥さん達が来る。いざとなったらこっちも派手に暴れる準備をしておこう)」
「(・・・・・・・・)」
「(恐い?)」
「(うん・・・・)」
生来争い事を好まない雲雀は、この状況に恐怖を抱いている。しかし理巧はその事を咎めようとせず優しく声を囁く。
「(雲雀ちゃん。どうしても恐くて堪らないって時に、自分を奮わせる魔法の言葉を教えるね)」
「(えっ?)」
「(それは、ーーーーーーー)」
「(それって・・・・)」
「(本当に駄目だと思ったりしたら、この言葉を使って)」
そう言って理巧は、雲雀から身体を離す刹那の瞬間、素早く雲雀の襟元に、『あるモノ』を潜ませて雲雀と部屋を出ると、ちょうど春花がやって来て蛇女子学園を案内された。
相変わらず空は淀んだ雲に覆われ、昼間なのに夜のような暗さがある不気味な雰囲気で、灯籠の明かりが屋外を照らしていた。
そこで見せられるのは、少しでもミスをすれば血を流してしまう蛇女の苛烈にして壮絶な修行内容に雲雀を戦慄するが、理巧は冷静に眺めていた。
「な、仲間が、あんな怪我したのに誰も介抱しないなんてーーーー「何を言ってるんだ?」えっ!」
背後の声に振り向くと、焔と詠が立っていた。
「“仲間とは忍務を遂行する為にいるんだろう”? 故障した者など、なんの役にも立たんだろうが」
「ウフ。ヌクヌクと育ったお嬢様はこれだからいけませんわ」
焔は仲間は道具と言わんばかりに、詠はお淑やかに微笑みながら嘲笑するような物言いをする。
背後から聞こえる教官の怒号と生徒の悲鳴のような声に雲雀は辛そうに俯くと、焔は理巧を見据える。
「暁月理巧。お前もソイツと同じ意見か?」
「・・・・・・・・昔は、“仲間”って概念すら持ってなかったですね。コレはまだ動くのか? コレはもう動かないのか? それぐらいとしか考えてなかったですね」
「理巧くん・・・・」
「ウフフフフフフ。やっぱり暁月理巧様はこちら側の人間のようね? 蛇女の修行は厳しいわ。だからこそ、上を目指して必死になるの。一流の忍になるためにね。午後は校舎内で座学よ」
そう言って、春花は屋外に設られた木に隠したカラクリを起動させて、校舎内に入る扉を開けた。
「(どう思う雲雀ちゃん?)」
「(考え方は違うけど、この人達も目標に向かって頑張っているんだと思うよ・・・・)」
「(やり方は違うが、目指す物は同じって事か)」
二人は春花に呼ばれ、校舎内へと戻っていった。
ー飛鳥sideー
そして夕方。飛鳥達は、蛇女子学園を遠くから見渡せる場所から、敵の本拠地を見下ろしていた。
「あそこが、秘立蛇女子学園ってわけか!」
「二人があそこに・・・・!」
「ここで日が沈むのを待ちましょう。飛鳥さん。奇襲には貴女の力が必要ですが・・・・」
「大丈夫です! やって見せます!!」
飛鳥達は、理巧が残しておいた『ウルトラカプセル』をそれぞれに握った。
ー理巧sideー
そして理巧と雲雀は、何故か蛇女の露天風呂に入っていた。
「何で男の僕まで?」
「ウフフ、裸の付き合いって言うのも必要なのよ♪ それでみんなはまた惨敗って訳ね」
湯船に浸かる春花は、疲れきった焔と詠と未来と日影を見てそう言う。座学の後で再び理巧に模擬戦を挑み、物の見事に敗北したのだ。
「な、なんで、あんなに強いのよ・・・・!」
「ホンマに、敵わんわ・・・・」
「あ、暁月さん、本当にこの間まで一般人だったんですの・・・・?」
「動きや、技やら身のこなしやら、相当高度な修行を積んでいたのが分かるぞ・・・・!」
ボロボロの身体をほぐす四人は理巧を見てぼやく。
「(みんなが来る前に、『秘伝書』を取り戻さないと・・・・)」
「なんやぁ? 暗い顔して」
「あ、あのね! 鈴音先生ってどんな人なのかなぁって・・・・」
「ま、ええ先生やな」
「とっても厳しいけど、私達の力を信じてくれてるし」
「モヤシに興味が無いのが玉に傷ですけど、このわたくしを、ここまで立派に育ててくれたんですもの」
蛇女子のメンバーは鈴音先生を信頼しているようだが、鈴音先生が“裏切り者”として捕らえられた事を知らされていないようだ。
「なんだお前。半蔵学院の先生が恋しくなったのか?」
「お戻りなってもいいんですのよ。ですが、暁月さんは流石に無理ですわね。オーナーがご要望ですもの」
「そんな・・・・!」
「ま、そりゃそうだ」
理巧はオーナーが捕獲せよと命じたターゲット。おいそれと逃がすわけがなかった。
「みんな。私の可愛い雲雀と暁月理巧様をイジメないで。まだ新人さんなんだから・・・・」
「ふわっ!」
「はい春花さん調子に乗らない」
春花が雲雀の胸に手を回そうとするが、理巧がアイアンクローで止めた。
「あら、理巧様、ちょっと過激ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・//////」
ギリギリと音を鳴らし、苦しそうだが、どこか恍惚としたような声を漏らす春花。
「・・・・思ったんだけど、春花お姉さま。理巧と一緒にいるときキャラ変わってない?」
「そうですわね。基本Sな方なのに暁月さんが相手だとMになっているような・・・・」
「・・・・そう言えば、暁月と初めて会った時からヤツに対してあんな風だったな・・・・」
「・・・・アホくさ」
四人は集まって春花の変貌にヒソヒソと会話をする姿を、雲雀は横目で見据える。
「(春花さんも、根っからの悪い人とは思えない。他の人達だって、悪忍になるしか選択肢が無かったから悪忍になっただけで本当はーーーー)」
◇
『理巧。飛鳥達が来たよ』
「良し。それじゃ雲雀ちゃん。“こっちはみんなが潜入し易くしてくるね”」
「うん。気をつけて」
風呂を上がってしばらくすると、焔達はオーナーに呼ばれた為に天守閣へと向かったのと同時に、ペガからの報告をうけた理巧は、『ダークゾーン』に入り影の中を移動し、雲雀もこっそりと春花達の後を追った。
ー雲雀sideー
『焔以下4名、御呼びによって参上つかまつりました』
雲雀は『秘伝書』があると思うオーナーがいる部屋につづく階段に身を潜め『コモリ緞帳』と言う特殊加工された布で景色に同化して隠れ、聞き耳を立てていると焔の声が聞こえた。
ー春花sideー
「鈴音先生が裏切った・・・・!?」
「どういう事ですの?!」
驚いたような声をあげる焔と詠に、オーナーの野太い声が響いた。
「鈴音は半蔵学院にこの場所をもらした」
「どうして、先生がそんな事を?」
「(アラアラ、私の真似って訳?)」
驚くメンバーと違って、春花は含み笑みを浮かべていた。
「不覚だった。“鈴音が半蔵学院出身だった”のを忘れていたのではなかったのだが・・・・」
「やっぱり・・・・」
「あの噂は本当だったのですわね・・・・」
「・・・・・・・・」
「先生が・・・・(善忍だった・・・・)」
驚く焔達に、オーナーはさらに言葉を紡ぐ。
「ここを知った半蔵の奴らは、おそらく奇襲を掛けてくるだろう。お前達の手でこれを迎撃し、一人残らず殲滅せしめるのだ!」
「「「「「御意!!」」」」」
「これは我が学園だけでなく、悪忍存亡の戦いと心掛けよ! 敗北は許さん!」
「無論!」
焔の返答にオーナーは、フッと笑みをこぼす。
「しかし、“標的である暁月理巧は必ず捕獲するのだ”。生きておれば良い。手足を引きちぎってもここに連れてこい」
「はっ!」
「その意気やよし。これぞ忍としての本懐である。仮にもお前達が敗北した折りには、即『軛の術』を発動させる!」
ー雲雀sideー
「(『軛の術』って、確か術者の意のままに術を掛けられた人の精神を操る下法だって、前に霧夜先生に聞いた・・・・!)」
雲雀はさらに耳をすませる。
ー焔sideー
「誇りある秘立蛇女子学園を代表する忍衆。よもや不満はあるまい?」
「“背水の陣”。と言う訳ね」
「ふん! お戯れを。我らが敗ける事などですあり得ません!」
「せやな」
「むしろ、多少張り合いがあると言う物ですわ」
「所詮。私達は『軛の術』からは逃れませんものね」
オーナーの言葉に頷く焔達。
ー雲雀sideー
みんなに知らせねばと考えた雲雀が駆け出すと、柔らかく弾力のある塊にぶつかり、ボヨンッ! と音を鳴らして下がると、目の前に立っている人物を見て驚愕した。
春花だったからだ。
「っ!」
「あら、どうしたの。こんなところで?」
「あ、あの・・・・その・・・・り、理巧くんがトイレから戻らなくて探してたら、道に迷っちゃって・・・・」
「へぇ~。こんな最上階にまで迷い込むなんて。雲雀、そんなに方向音痴だった?」
「あ、あはははは・・・・そうなんです」
「ウフフ、そう。それで・・・・全部聞いちゃった訳?」
「っ!」
春花が暗い笑みを浮かべると、縄で雲雀を縛り上げた。
「ごめんなさいね。貴女に邪魔されると、色々困るの」
「やっぱり貴女、敵のスパイとして送り込まれたのね。わざわざ標的の暁月まで連れてきて」
「あらあら、随分と手の込んだ作戦だったのですわね。これは拷問物かしら?」
「最初に言ったろ。“全ては、自己責任だ”」
「うぅ・・・・」
雲雀の考えは最初からお見通しだったようだ。
「そんで、暁月さんは何をやってんや?」
「ま、大体想像付くけど」
『何っ!? 何者かが警備の忍達を倒しているだと!!?』
オーナーの金切り声が響くと同時に、焔達は理解した。その“何者か”が誰なのかを。
ー理巧sideー
「ぐぁっ・・・・!」
「あっ・・・・!」
「うぁ・・・・!」
理巧は、屋外で警備に当たっている蛇女の教官や生徒達を次々と当て身で気絶させると、持っていた武器を全て抜き取り、両手を後ろに回して裏で両指を合わせて結束バンドで拘束した。
「・・・・・・・・・・・・ペガ」
『うん!』
瞑目して集中した理巧は他の忍達の居場所を探知すると、ペガの『ダークゾーン』に再び入って、次の場所に向かっていった。