閃乱ジード   作:BREAKERZ

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タイマンだぜ、皆!

ー斑鳩sideー

 

夕暮れの渓谷のような戦闘空間にて、斑鳩と詠は刃を交える。

 

「結界に呼び込んでの一騎討ち・・・・。余程自信がお有りなのかしら? っ! やぁああああ!!」

 

「うっ!」

 

詠の大剣による一撃を、斑鳩が飛燕で防ぐが、あまりの威力に押し飛ばされる。

それでも自分を鋭く睨む斑鳩に、詠は激情を押さえられないように口を開く。

 

「貴女をホント一々不愉快ですわね! ずっとずっとそうでしたわ!!」

 

「ずっと・・・・?」

 

「・・・・あの高い丘のお屋敷・・・・!」

 

「っ!」

 

詠の言葉で斑鳩は察した。

実家となった鳳凰財団の屋敷のある丘の下には、貧しい貧民街が広がっていた。

 

「わたくし達貧しい者達は、ずっとあのお屋敷に見下されながら育ったのですわ・・・・」

 

詠の脳裏に浮かぶのは、ボロボロの衣服、汚れた身体、ボサボサの髪の毛、履き物すらなく裸足で地面を踏みながら惨めに生きてきた。

しかし、その屋敷の人間達が、社団法人に多額の寄付をしているニュースを見かけた時、斑鳩の姿を見た。ちょうど本家に養子として迎えられた時の事。

いかにも自分達と違ってヌクヌクと贅沢な生活をしているような綺麗な姿をした斑鳩が丘の屋敷のお嬢様だと気付いた。

ニュースの中では鳳凰財団の総帥が、「恵まれない子供達を救う」などと言っているが、自分達の足元の貧しい者達に見向きもしない癖に偽善を並べる金持ちの言葉に、激しい怒りを覚えた。

そんな詠を蛇女子学園がスカウトし、この場にいる。

 

「両親は誰の助けを得ること無く! わたくしを育てるために命を削り! 死んでいきましたわ!!」

 

激しい激情がチャクラとなって詠の身体から漏れ出て、大剣を振るうが、斑鳩は防ぎつばぜり合いとなる。

 

「善忍? 笑わせないで下さいませ!『善忍の善』は、『偽善の善』! 貴女と貴女の家族は、その代表ですわ!!」

 

大剣を振り下ろす詠の力に、飛燕の切っ先が折れてしまった。

 

「・・・・・・・・」

 

斑鳩の頭からも、血が静かに流れる。

 

「・・・・『秘伝忍法 ニヴルヘイム』!!」

 

右腕に装備した大筒から砲撃を放ち、斑鳩の足元が砲撃によって土埃が舞い上がる。

 

「・・・・・・・・」

 

土埃が収まると、斑鳩が折れた飛燕を構えて毅然と詠を見据えていた。

 

「なっ!? 直撃の筈ですわ・・・・!」

 

驚く詠に構わず、斑鳩はゆっくりと歩を進める。

 

「命を代償にしてまで貴女を慈しんだ家族の愛・・・・」

 

「・・・・??」

 

「その欠片程でもあれば、わたくしもあれほど苦しまずすんだものを・・・・」

 

周りから見れば、確かに斑鳩は裕福な人生を歩んでいただろう。しかし、裕福でも、そこには『家族の愛』が無かった。

 

「ちょっと! 何を仰ってますの!?」

 

「ですが!」

 

ーーーーデヤッ!

 

斑鳩が『ヒカリカプセル』を起動させると、黄色い光が飛燕の刀身に纏い光の刃となった。

 

「わたくしも、負けるわけには参りません!!」

 

斑鳩は忍装束を脱ぎ捨て、『命駆けモード』へとなり、全身からチャクラを放出した。

 

 

 

 

 

 

ー葛城sideー

 

リングが置かれた宇宙空間にて、葛城と日影が戦う。

 

「へっ! 斑鳩の真似みたいで気にくわないけどな!」

 

「どうでもええ・・・・アンタを、倒すだけやさかい。それにしても、何でそんなにワシと戦いたいんや?」

 

「お前を倒さねえと、アタイはアタイに納得できねぇんだよ! アタイは誰にも負けられねぇんだ!」

 

「1つ、忠告しといたるわ」

 

「忠告・・・・?」

 

「戦いながら喋ると、舌噛むで?」

 

「・・・・余計なお世話だ!」

 

カーン!

 

空間からゴングの音が鳴り響くと、葛城が日影を捕まえ、力比べに入る。

 

「くっ・・・・!!」

 

「(・・・・この目ぇや)」

 

自分に闘志を向ける葛城の目を見ながら、日影の脳裏に浮かぶのは、明くる日も明くる日も行う忍として訓練の日々。恐怖も悲しみも怒りも、そんな感情は命取りになる故に、感情を捨て去り、ただ冷静に標的を仕留めれば生き残れる世界だった。

 

「(あぁ・・・・そう言えば、暁月さんが言うてたなあぁ・・・・)」

 

それは、理巧との模擬戦後に、ふと出た会話の内容だった。

 

【暁月さん。アンタは“感情って分かるか”?】

 

【・・・・昔の僕は、“感情なんてまるで無かった”】

 

【ほう・・・・】

 

【ただ命令されるまま標的を仕止める。そこに恐怖も悲しみも怒りもなく、只々命令されるがままに動くお人形さんだったよ】

 

【アンタ、儂と似とるなぁ】

 

【確かにね、だけど日影さん。アンタはただ、“忘れているだけだよ”】

 

【“忘れている”?】

 

【そう。貴女は僕と戦っている時、自覚は無いかも知れないけど、“楽しそうに笑っていたよ”】

 

【え?】

 

その後他の仲間達に聞いてみるとーーーー。

 

【お前、楽しそうだったぞ】

 

【ええ。楽しそうでしたわよ】

 

【あんなに楽しそうに戦う姿、初めて見たわよ】

 

【ウフフ♪】

 

仲間達も、“自分は理巧との模擬戦を楽しんでいる”、と言われた。

 

「(暁月さんとの模擬戦。何や、またやりたいなぁって思うてたなぁ・・・・。それに、この目ぇを見とると、忘れてしまったモンが・・・・)(ドゴンッ!!) ぐぅっ!!」

 

呆然とした日影に、葛城の蹴りがお見舞いされ後ずさる。

 

「何ボヤッとしてんだ!」

 

「・・・・なんや、暁月さんとやり合った時とは違った、“気に入らん感じ”・・・・。気に入らん? 儂にそんな感情まであったんやな・・・・」

 

「何をブツブツと言ってんだ! かかってこい!」

 

「言われんでも、やったるわ・・・・! 『秘伝忍法 ぶっさし』!」

 

「来やがれ!!」

 

影が射した笑みを浮かべた日影が『秘伝忍法』を放つが、葛城も迎え撃つ。

 

「「くぅ・・・・!」」

 

ぶつかり合った二人は、衝撃で忍装束が引き裂かれ、下着姿となる。

葛城はリングロープに、日影はコーナーポストに叩きつけられる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

息も絶え絶えの二人は、お互いを見据える。

 

「儂は敗けへん・・・・! 暁月さんにも、まだ勝ってへんからな・・・・!」

 

「はぁ、そうか、理巧と戦ったのか、あの気まぐれ坊主、アタイ達との模擬戦は、のらりくらりと逃げてやがった癖に・・・・!」

 

二人は立ち上がり、『命駆けモード』となってぶつかり合う。

 

 

ー霧夜先生sideー

 

昨日の2体の怪獣との戦闘の後、突然の奇襲で負傷した霧夜先生とウルトラマンゼロは、大道寺先輩に肩を貸して貰いながら、蛇女の天守閣が一望できる場所で状況を見ていた。

 

 

 

ー柳生sideー

 

雨が降りしきる空と御神木のような木が置かれた湖がある空間で、傘のマシンガンを乱射する未来と、その弾幕を回避する柳生。

 

「ふん! 漸くアタシを無視できなくなった訳ね!」

 

「・・・・オレは守りたい者を守る。それだけだ」

 

「っ! 『守りたい物』が、アタシに無いと思ってるのっ!?」

 

「?」

 

「アタシだって・・・・!」

 

未来は柳生に自分の過去を話した。

元々は未来は立派な善忍の家系だったが、中学の頃にイジメを受けていた。

机には暴言が刻まれ、自分は泣いてるにも関わらず、皆から笑われ、無視されていく悪質な行為を受け、見て見ぬ振りをされて生きてきた。

未来はそれが許せず、もう二度とあんな思いはしたくない、見たくない。だから見なければ良いと思い、未来は眼帯をし、悪忍の道を選び蛇女にやって来て、自分に仲間が、居場所ができた。

 

「アタシにだって、あるんだからっ!!」

 

話を終えると、未来は身を翻して柳生に蹴りを放つが、寸前で回避され、柳生は未来に話しかける。

 

「・・・・分かった」

 

柳生は静かに、チャクラを放出する。

 

「なに? 何が分かったって言うの・・・・っ!」

 

「ォォォォ・・・・はぁっ!!」

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

 

柳生の一撃に、未来は装束が少し破れる。

 

「お前が何を守りたいのか分からん。知るつもりもない。だがその為に、お前が戦っていると言うのなら・・・・」

 

「アタシを、無視しないって、事・・・・?」

 

「でなければオレ自身を否定する事になる」

 

「そうこなくっちゃ!・・・・って喜んでどうするのよ!!」

 

ヨロヨロと立ち上がった未来は柳生の言葉に喜んだ自分自身にツッコミをいれた。

 

「・・・・1つ聞いておきたい事があるのだが?」

 

「ん? 何よ?」

 

「お前は、雲雀や理巧に何か良からぬ事をしていないか?」

 

「雲雀って子の方は、春花お姉様の方が何かしてるかも知れないけど、理巧の方は・・・・まぁ、一緒にお風呂に入ったくらいぃっ!!?」

 

未来は顔を赤らめながらの発言を途中で止めて、顔を青ざめた。

何故なら柳生の身体から漏れるチャクラが、途端に黒いモノに変わったからだ。

 

「そうか・・・・一緒に、風呂か・・・・!!」

 

柳生の片方の目から、殺気が放たれる。

 

「な、何かヤバそう・・・・ひ、『秘伝忍法 ヴァルキューレ』!!」

 

スカートから機関砲を出して、掃射する。

柳生は番傘で防ごうとするが、あまりの威力に番傘を撃ち抜き、柳生の装束も破られる。

 

「っ!」

 

ダァー!

 

『ウルトラセブンカプセル』を起動させ、障壁で防御する。

 

「なにそれっ!?」

 

未来は機関砲を消すと、ナイフを取り出し、傘の先にくっつける。

柳生もその隙に、飛んでいった番傘を掴み、仕込み刀を取り出す。

 

「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

二人の刃がぶつかり合う。

 

「やるな・・・・!」

 

「貴女こそ・・・・!」

 

 

 

ー理巧sideー

 

その頃の理巧はーーーー。

 

「ふぅ・・・・少し時間をくったかな」

 

余裕の態度で地面に倒れる悪忍達を見据えながら、パンパンと爆弾で舞い上がり、衣服に付いた土埃を払っていた。勿論、爆弾を放った忍達は全員仲良く気を失っているが・・・・。

 

「ん?」

 

理巧はピクッと、肩を震わせ振り向くと、槍を持った3人の鎧武者達が近づいてきた。

 

「コイツか?」

 

「オーナーのご所望だ」

 

「必ず捕らえよう」

 

近づく鎧武者達の姿に気づいた忍生徒の一人が、顔を青ざめて声を発する。

 

「さ、『三鬼者<サンキシャ>』っ! 脱走した生徒を始末する死神部隊が動いた!?」

 

驚愕する忍生徒を無視して、三鬼者と呼ばれた鎧武者達は、懐から煙玉を取り出して地面に叩きつけると、ボワンッと、煙が周囲に蔓延した。

 

「ケホッ! ケホッ! ケホッ・・・・グゥッ!!」

 

忍生徒は咳き込むと、急に苦しそうに悶える。

イヤ、その生徒だけじゃない。他の生徒や教官達も咳き込んだ後に、苦しそうに悶えた。

 

「・・・・・・・・“毒か”」

 

理巧は匂いと身体の痺れから“毒物”であると判断するが、鎧武者達は理巧に目掛けて槍を突き刺そうと迫る。

 

「っ・・・・!」

 

理巧は痺れる身体を何とか動かして回避するが、僅かに切りつけられ、傷口から血が流れる。

 

「本来なら動けなくなる即効性だが、まだ動けるか」

 

「だが、我らが調合した痺れ毒は、傷口からも染み込む」

 

「やがて貴様の身体は動かなくなる」

 

「・・・・・・・・(状態確認。呼吸ならびに傷口から身体の内部に毒物が侵入。手足の痺れを確認。春花さんの調合した“薬物”とは違う製法で精製された“毒”と断定・・・・)」

 

理巧は身体の状態を調べると、春花の調合した薬ではない事を確認するが、そんな理巧に構うことなく、三鬼者は理巧に槍を突き出す。

 

「お前はオーナーから、捕らえよ、と命令が下っている」

 

「しかし、ただ捕らえただけではこちらの面子が立たん」

 

「たっぷりと恐怖を刻んでやる」

 

「拷問好きか・・・・。いいんですか? アンタらの毒で他にも被害が出てますけど?」

 

理巧は足元で苦しんでいる忍達の事を言うが、三鬼者の3人は同時に鼻で息を吐く。

 

「問題無し」

 

「無様に敗北したのだ」

 

「どちらにしろ、命は無い」

 

3人は、たった1人に全滅させられた忍達を気にせず、迫ってきた。

 

「・・・・これは、面倒だな」

 

理巧はフゥと息を吐き、痺れる身体を引き摺って攻撃を回避する。

 

 

 

ー雲雀sideー

 

「私の父は大病院の院長でね」

 

「お父さん・・・・」

 

「世間的な評判は兎も角、多額の脱税によって残したお金で、幾つもの医療ミスを揉み消すような、最っ低な人間・・・・」

 

その声と表情からは、父親への侮蔑の感情が現れていた。

 

「父はたまにしか家に帰って来ない人だったわ。理由はよくある話・・・・」

 

家庭ではなく仕事、それもお金を稼ぐことしか興味がない人間であったようだ。

 

「母はその不満をぶつけるように、私を溺愛したの。・・・・“溺愛”、イイエ違うわ。私は母の、単なる着せ替え人形だったのよ。中学生になっても、母の異常な溺愛は続いたわ。私は黙って耐えていたけれど、次第に私自身も、何処か壊れてしまったんだと思う。『全て消せば自由になれる』。そう思って自暴自棄となった私を、スカウトするつもりで見張っていた鈴音先生に救ってもらって、私はここにいるの」

 

「・・・・・・・・」

 

あまりの話に、雲雀は愕然となり、春花は牢屋の鍵を開ける。

 

「私達は死ぬのなんて怖くないの。だって、既に一度死んでるような物だもの」

 

「っ! どうして?」

 

「貴女達が本当に勝てるかどうか、先ずは私で試してみたらどう?」

 

春花はゆっくりと牢屋の中に入ってきた。

 

「どうしたの? さぁ、かかってらっしゃいな!」

 

「・・・・『忍転身』!」

 

雲雀の姿は、蛇女の制服から忍装束へと変化する。

 

「(柳生ちゃん。雲雀、頑張るから!)『忍結界』!!」

 

牢屋から、ファンシーな戦闘空間へと変わる。

 

「あらあら」

 

「春花さん達に掛けられた術って、戦いに負けちゃうと直ぐに発動しちゃうの?」

 

「う~ん。ちょっとニュアンスが違うわね」

 

「え?」

 

「“術を掛けた者が負けたと認めた時に発動するの”。ほら、勝ち負けって以外と微妙な時ってあるじゃない?」

 

「じゃぁ、その人に術をかけさせなければ良いんだ!」

 

「どうやって・・・・さっきも言ったけど!」

 

雲雀の言葉に、春花は好戦的な笑みを浮かべて身構えて、一瞬で雲雀の頬を張り、蹴り飛ばす。

 

「あぁっ!」

 

「貴女! 私達に勝てること前提で!」

 

「きゃぅっ!」

 

「物を考えすぎじゃない?」

 

蹴り飛ばされた雲雀は転がり倒れるが、ヨロヨロと立ち上がる。

 

「でも、理巧くん、なら・・・・」

 

「まぁ確かに、理巧様なら私達全員を倒せるかも知れないけど、貴女じゃねぇ」

 

「ううん・・・・大事なのは、“勝つ事じゃない”、“負けない事”、相手にも、そして・・・・自分にも!!」

 

「っ!!」

 

顔を上げた雲雀の目に、気圧される春花。

その一瞬の隙に、理巧に渡された『レオカプセル』を起動させる。

 

「レオさん! 力を貸して!」

 

イャー!

 

「(理巧くんから教えてもらった、魔法の言葉)・・・・『燃やすぜ、勇気』!!」

 

ボォォォォォォォォォォォォォォォ!!!

 

「ウソ・・・・!? きゃああああああああああああああああああああああ!!!」

 

雲雀が突きだした掌から炎が放出され、春花の身体を呑み込んだ。

 

「春花さん!!」

 

雲雀が炎を消すと、装束がボロボロに焼け、身体も少し焼けた春花がフラフラと立っていた。

 

「か、火遁の術を、隠していたなんて、ゆ、油断、したわ・・・・」

 

そのまま倒れる春花を見て、雲雀は念話を送った。

 

『みんな! 聞いてみんな!!』

 

 

 

 

「雲雀!?」

 

『戦っちゃ駄目!』

 

「戦うなですって?」

 

『蛇女のみんなは戦いに負けちゃうと命を失っちゃうの!』

 

「命を・・・・!」

 

「失う、だと?」

 

『そういう術を掛けられてるの! だから、戦っちゃ駄目!』

 

 

 

ー飛鳥sideー

 

「そんな!!」

 

「(なんて強い念話だ。本当にあの雲雀なのか?)」

 

「焔ちゃん! 負けたら、命を失って!?」

 

「正しくは、『軛の術』って言うんだがな」

 

「っ!! 焔ちゃん達は、それを承知の上で戦っているの!?」

 

焔の言った術に、飛鳥は愕然と聞くが、焔は当然と言わんばかりに続ける。

 

「当然だろ。“失敗すれば死”。これぞ忍として有るべき姿だ」

 

「そんな・・・・! そんな事・・・・!」

 

飛鳥の持っていた二刀にチャクラが放出される。

 

「間違ってるよ!!」

 

刀だけでなく、全身からチャクラを放出する飛鳥。

 

 

ー斑鳩sideー

 

「なんと言う非人道な・・・・!」

 

「大丈夫ですわ。わたくし達が負ける事なんてあり得ませんし」

 

斑鳩もチャクラを放出する。

 

 

ー葛城sideー

 

「マジかよ・・・・」

 

「気にすな」

 

「そんなやり方有るかよ!? 冗談じゃねぇ!!」

 

葛城も。

 

 

ー柳生sideー

 

「全く、あの子ったら余計な事を・・・・ん?」

 

「雲雀・・・・雲雀が無事だった!」

 

「ちょっと! 私へのリアクションは!?」

 

雲雀優先の柳生に、未来はツッコミを炸裂させる。

 

「無視しないって言ったばかりじゃない!」

 

「(キッ!)」

 

「っ。な、なに?」

 

「お前達と、戦う訳には行かなくなったな・・・・」

 

柳生もまた、チャクラを放出した。

 

 

ー雲雀sideー

 

雲雀は忍兎を召喚し、その背に乗って駆ける。

 

「一番上にいる人を捕まえて! 術を解けるのは、その人だけなの! 忍法書もソコに・・・・あっ!」

 

なんと、先ほど倒した春花が追ってきて、前方に回り込んだ。

 

「全くお喋りさんね。『秘伝忍法 DEATH・KISS』!!」

 

「うあああああああああ!!」

 

ハートマークの爆弾を浴びて忍兎と忍結界が解け、牢屋に戻る。嗜虐的な笑みを浮かべる春花は倒れた雲雀に近づく。

 

「今度こそ、本気でお人形にしてあげる。ウフフ」

 

 

 

ー斑鳩sideー

 

「『秘伝忍法 飛燕鳳閃・壱式』!!」

 

「あああああああ!!」

 

赤と黄色が混じった十字の斬撃が詠の装束を破った。

 

 

ー葛城sideー

 

「『秘伝忍法 トルネードシュピンデル』!!」

 

「ぐぁっ!!」

 

カンカンカーン!

 

独楽回転し竜巻を起こし、その遠心力を込めた蹴撃を日影に叩み、終了のゴングが鳴り響いた。

 

 

ー柳生sideー

 

「『秘伝忍法 薙ぎ払う足』!」

 

「またコイツかぁぁぁぁぁ!!」

 

召喚された烏賊に叩きのめされる未来。

 

 

ー斑鳩sideー

 

「いつの間に、こんな力を・・・・」

 

斑鳩の攻撃浴び、ボロボロとなり、直ぐに戦うことはできなくなった。

 

「忍術とは心の技。私達が戦うべきは、貴女達に外法を掛けてまで戦わせようとする。もっと邪悪な何か。おそらくそれこそ、理巧さんが追っている存在・・・・」

 

「理巧さんが、追っている?」

 

「貴女達に『怪獣カプセル』と『コピークリスタル』を譲渡した人物。それこそ、理巧さんが危険を犯してまでここに来た理由なのです。そしてそれを感じた時、持てる力が、善忍としての矜持に応じたのです」

 

「ふん。要するに善忍はお人好しって事ですのね」

 

下を向いて、吐き捨てるようにそう言う詠に、斑鳩は真っ直ぐな目で見つめる。

 

ドゴォォォォォン

 

「「っ!」」

 

突如床が破壊され、ソコから理巧が飛んできた。

 

「「理巧さん!」」

 

「あ、斑鳩姉さん。詠さんも」

 

「り、理巧さん、貴方、死神部隊は?」

 

「ああ、大したことない奴らだったよ。毒は少し効いたけど、ちょっと我慢すればなんて事なかったしね」

 

毒に強い体質をしている理巧は、三鬼者の毒をすぐに体内で解毒し、三鬼者を瞬時に制圧したので駆けつけたのだ。最短コースで床を突き抜けるやり方で。

理巧と合流できた事に微笑む斑鳩は、改めて詠を見据える。

 

「貴方が見たというあのテレビ番組・・・・あれは、父が『養子』を迎えた事を世間に知らせる事が目的でした・・・・」

 

「っ!? 『養子』って、まさか貴女は・・・・!」

 

「身寄りを無くした不幸な子を引き取った篤志家としてのアピール。・・・・その実は、適正に欠ける『息子の代わり』として、忍の家系を引き継がせる為・・・・。私にあるのは、忍として生きる使命のみ! そこに、家族との愛情など露ほども無かったんですが、半蔵学院の皆様が、家族となってくれました」

 

斑鳩は隣にいる理巧を見ると優しく微笑む。 

 

「っ!!」

 

詠は罪悪感が湧く。憎んでいた金持ち偽善者。今までずっとそう思っていた。

だが彼女は養女だった真実に、詠に衝撃を与えた。

理巧が詠に近づき、詠に視線を合わせる。

 

「詠さん。誰にだって、貴女のように辛い思いをして生きてるんだ。裕福に生きてる人、貧しく生きてる人、平凡に生きてる人、だが、その裏では辛く苦しい物語があるんだ」

 

「だから、何ですの・・・・?」

 

「だから、貴女がまた、辛く苦しい思いをしているときは・・・・僕が助けにいく」

 

「え?」

 

緋色に輝く眼差しはとても透き通っており、嘘や虚言を言っているようには思えなかった。

 

「貴女の根っこは、口だけの偽善を放つ奴らと違う。本物の気高い優しさがあった。でなければ、貧民街の人達の為に、身銭を切ることなんてしないだろう?」

 

「なぜ、その事を・・・・」

 

「あの時、詠さんと出会った街で、住んでいる人達が教えてくれたんだ。詠さんは忍務で得た給金を、貧しい人達の為に使ってくれているってさ。そんな善行をしている人間が救われず、影に隠れてそんな人達の命を利用しふんぞり返っている塵クズ野郎が美味しい思いをするだなんて、許せる物じゃない。だから、貴女や貴女の仲間達が助けて欲しい時、救って欲しい時、絶対にその手を掴む。約束するよ・・・・!」

 

理巧の言葉を聞き、詠は真剣な目で理巧の瞳を見つめる。

その緋色の瞳には、今まで耐えてきた苦しみや、自分で自分を縛ってたものが、少しずつ剥がしていく神秘な輝きがあった。

 

「僕達は進む。貴女達を、助ける為に」

 

立ち上がった理巧は斑鳩と顔を見合わせて頷くと、そのまま駆け出していった。

 

「どうして・・・・どうしてそんな話をするのよ・・・・どうして助けるなんて言うのよ・・・・そんな事、言われたら、貴女を・・・・貴女達を、憎めなくなっちゃうじゃない!!!」

 

今まで堪えていたものが溢れ、涙が頬に伝わり、詠の慟哭が廊下に響いた。

 




『三鬼者<サンキシャ>』
モデルは『戦国BASARA』の『三好三人衆』。実力は殺人経験豊富の為、焔達よりも上。ただし、あくまで三人&オリジナル毒物を使えば上だが、一対一だとそれほど脅威ではない。
理巧はすぐに解毒を終えると三人の顔面を殴り飛ばし、中和薬付きの面を砕き、三人は自分たちの毒物で痺れて動けなくなった。
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