閃乱ジード   作:BREAKERZ

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見つけたぜ、悪党!

ー理巧sideー

 

ドゴォォォォン!!

 

「うわっ! なんだ!?」

 

「っ! 理巧、斑鳩?」

 

斑鳩と一緒に最短コースで屋根をぶち抜いた理巧は、ちょうど戦闘を終えた葛城と柳生と合流し、二人に倒された日影と未来もそこにいた。

 

「あ、葛姐さん。柳生さん」

 

「お二人とも、ご無事でしたか?」

 

二人と合流したタイミングで、釣り階段が下りた。

 

「・・・・一体、誰がや?」

 

「(鈴音先生か。何の思惑があるかはこの際置いておこう・・・・)柳生さん。雲雀ちゃんはおそらく地下の牢屋にいるから、僕が開けた穴から降りていけるよ」

 

「っ良いのか?」

 

「雲雀ちゃんが心配なんでしょ? ここから先は、僕達でどうにかなるからさ」

 

「柳生さんは雲雀さんの元へ」

 

「心配すんなよ! 行ってこい!」

 

「・・・・恩に着る」

 

仲間達の言葉に少し瞳を潤う柳生は、その顔を隠すように踵を返して、雲雀の元へ向かった。

 

「・・・・暁月さん。あんたまで、なんでや? 善忍だからか?」

 

「・・・・“僕は忍じゃない”」

 

「えっ? あんた、忍じゃないって? じゃ何で半蔵学院の忍学科にいるのよ?」

 

忍として高い戦闘技術を持つ理巧が『忍じゃない』、それに二人は疑問を感じた。

 

「そんな事はどうでもいいさ。僕はただ、気に食わないから。それだけだよ。焔さんの命を、春花さんの命を、詠さんの命を、日影さんの命を、未来さんの命を、隠れてコソコソしているだけの臆病者ごときが握っている。それがとてつもなく気に入らない。だから、ソイツをぶっ飛ばしに行く・・・・!」

 

そう言った理巧は、斑鳩と葛城を引き連れて、上へと向かった。

 

 

 

 

ー道元sideー

 

その頃、蛇女子学園のオーナー・道元は、怪しい光を放ち始めた『超秘伝忍法書・陽』と『超秘伝忍法書・陰』を見据えて、ほくそ笑みを浮かべる。

そんな道元の隣に、イカルス星人が現れる。

 

『上々といった所カ?』

 

「フフフフ。ああ上々だ。陰と陽、2つの秘伝書が娘らの闘気に反応しあっている。あと少し、あと少しで・・・・フフフハハハハハハハハハハハハ!!」

 

 

 

ー焔sideー

 

飛鳥と刃を交える焔。

飛鳥の思わぬ成長ぶりに、しだいに焔が押されていき、頭から血を流した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

「「はぁっ!!」」

 

二人が再びぶつかり合い、飛鳥が地面に倒れる。

 

「あぁっ!」

 

倒れる飛鳥に、焔が三本の刀を突き立てようとする。

 

「覚悟しろ! 半蔵の孫!!」

 

「っ・・・・!!」

 

「っ!」

 

しかし、追い詰められた飛鳥の顔を見た瞬間、焔の脳裏に、“かつての自分の姿が過った”。

 

 

 

 

 

 

【私を利用したの・・・・先生!? どうして?!】

 

【善忍の継承者を炙り出して消す。それが俺の使命だからな】

 

淀んだ瞳で歪んだ笑みを浮かべる『初恋の人』に、焔は絞り出すように声を発する。

 

【その為に、私にだけ、あんなに親切にしてくれたの?】

 

【お陰で無駄な苦労をせずに済んだよ】

 

【あなたの事を信じてたから、私の秘密、忍だって事も教えたのに・・・・!】

 

【信用させてから裏切るのが良いんだ!】

 

【っ!】

 

【できれば、淡い恋心とかを抱かせてからな!】

 

その瞬間、焔の中で“何か”が音を立てて砕けた。

『初恋の人』がクナイを自分に突き刺そうとした時、焔の目の前は血に染まった。

 

 

 

 

焔はその思考を振り払うように刀を振りおろす。

 

「名のある家柄に生まれ、人を疑う事を知らずに育ったお前に! この私が負ける筈無い!!」

 

が、飛鳥は寸前で回避した。

 

「フゥ!!」

 

「(こうなったら・・・・!) ハァァァァァァッ!!」

 

飛鳥は『命駆けモード』となり、チャクラを全方位に放射した。

 

「ぐぅあっ!!」

 

そのあまりの威力に焔は装束が破れ、地面に転がるが、すぐに起き上がる。

 

「少しは成長した見たいじゃないか・・・・!」

 

「っ・・・・・・・・」

 

飛鳥は印を結ぶと、焔を結界の外に弾き飛ばした。

 

「くっ、小癪な!」

 

焔は飛鳥を追った。

 

 

 

ー鈴音sideー

 

蛇女の天守閣の屋根の上に立つ鈴音。

 

「そう、秘伝書の元へ集まりなさい。そして・・・・」

 

「これがお前の望んでいたことか?」

 

その鈴音の背後に、霧夜先生が現れる。

 

「2体の怪獣と戦って消耗している身体を押してまで、自分の生徒は心配みたいね?」

 

「俺がウルトラマンゼロと融合しているのは、既に知っていたようだな?」

 

「フフフフ、先生がウルトラマンと融合しているって知った時は驚いたわ。そして暁月理巧、おそらく彼が、ウルトラマンジードって事にもね。それで、生徒達を助けに来たの?」

 

「いや、俺はお前に会いに来たんだ。凛」

 

「・・・・これは、証明よ。忍務に失敗し、死にかけた時、本当の強さとは悪にある。私はそう悟った。それを証明したかったの。貴方の生徒に勝つ事でね」

 

「中途半端に仕掛けてきたのは、うちの娘らを鍛えてくれたって訳か・・・・」

 

霧夜先生の言葉に、鈴音は一瞥し、再び視線を外す。

 

「僅かな時間で貴方の生徒達は、驚くほど強くなった。流石だわ、霧夜先生」

 

鈴音はさらに言葉を紡ぐ。

 

「『超秘伝忍法書』に選ばれた生徒達をぶつけ合わせ、私の生徒が勝利した時、私が目指した『スーパー忍者』が完成する筈だったけど、『陽の秘伝書』がこちらに来てしまった」

 

「すると、秘伝書を奪ったのは」

 

「私利私欲に走った、学園オーナーの『道元』が独断で生徒達にやらせたのよ」

 

「馬鹿な! 『陰』と『陽』を1つにするのは、忍最大の禁忌だ!」

 

「経緯は不本意だけど、これで決着を着ける事ができるわ」

 

「・・・・・・・・」

 

愕然となる霧夜先生に、鈴は続ける。

 

「私と貴方の生徒の誰かが秘伝書を継承し、そして戦うのだから・・・・」

 

「・・・・生徒達を止めないと!」

 

去ろうとする霧夜先生の足元に、鈴音がクナイを投げ指した。

 

「“子供のいさかい”、なんでしょ? 結果が出るまで、ここで一緒に鑑賞しましょう。霧夜先生。ウルトラマンゼロ」

 

≪どうやら、こっちの動きも折り込み済みって訳か。霧夜、足元を見ろ≫

 

「・・・・っ!」

 

霧夜が足元を見ると、大道寺の猫が足にすり寄っており、視線を向けると、天守閣の鯱に大道寺がいた。

 

「大道寺・・・・!」

 

鈴音も大道寺を見て険しい視線を向けた。

 

「彷徨の果て、斯様な再会、まさに嘲笑を聞くが如し!」

 

「貴女は可愛い後輩だったわ。まだ私に勝ちたいって言うの?」

 

「否! この戦い、勝つのは我に在らず! 我らの後輩なり!!」

 

 

 

ー理巧sideー

 

「っ! 二人とも、後ろ!」

 

「「っ!」」

 

理巧が叫ぶと、後方から火の玉が飛んできて、三人は回避して後ろを見ると、小型砲筒を付けた詠がいた。

 

「ウフフ、逃がしませんわよ♪」

 

「詠さん。アンタもしつこいね?」

 

「暁月さんは、しつこい女は嫌いですか?」

 

「諦めないで挑む根性のある優しい女性は、好みですけどね。日影さんも根性ありますね」

 

「そらおおきに」

 

「「っ!」」

 

前方には、おそらく隠し通路で先回りしたであろう日影もいた。

 

「お前ら! 負けたら死ぬんだぞ! どうして平気なんだよ!?」

 

「儂らが死ぬことなど、アンタらにはなんも関係あらへん。そう思うやろ、暁月さん?」

 

「ええ関係ありませんね。でも、気に入らないからぶっ潰す。それだけで十分なんですよ戦う理由は!」

 

理巧の言葉に同意するように、葛城も立ち上がる。

 

「ああ、理巧の言うとおりだ。アタイがムカつくからムカつくんだ!!」

 

叫ぶ葛城の身体からチャクラが放出される。

日影は葛城の目を見て、不快そうに顔を歪める。

 

「その目ぇや、その目ぇを見ると、何や知らんけど、儂の知らん儂が何処からか首をもたげて来る。何やこれ? 感情を表に出したら戦士になれんのや! そないに感情むき出しで、儂に向かってきよって!!」

 

たまらず叫んだ日影が葛城に襲いくる。

 

「へっ!急にキレやがって!」

 

突きだしてくる日影の腕を取って、一本背負投をするが、日影はヒラリと着地する。

 

「分からん! 分からん分からん分からん!!」

 

「けどさ、そういうアンタも嫌いじゃないぜ。よっぽど人間らしい」

 

「ふっ」

 

「葛城さん!」

 

「応! 霧夜先生直伝! ふっ!!」

 

斑鳩と合流し、葛城が煙玉を床に叩きつけると、ボワンっと、煙が廊下を覆った。

 

「ケホッケホッ、古典的な手を・・・・!」

 

「行き先は分かっとる! 今度こそ逃がさへん! ん?」

 

日影がチラッと見ると、顔を俯かせている詠を見た。

詠の脳裏には、先ほどの会話が浮かぶ。

 

【貴女や貴女の仲間達が助けて欲しい時、救って欲しい時、絶対にその手を掴む。約束するよ・・・・!】

 

「・・・・・・・・」

 

「詠さん? どないした?」

 

「っ、いいえ、別に・・・・日影さんこそ、そんなにやる気を出したお顔、理巧さんとの模擬戦以外で初めて見ましたわ」

 

「っ!・・・・そう、か?///////」

 

顔を赤らめる日影に優しい笑みを浮かべる詠は、去っていった理巧の姿を見つめるように廊下の向こうを見る。

 

「暁月理巧さん。不思議なお方ですわね、ヌクヌクと育ったようなお坊ちゃんに見えるのに、時おりわたくし達以上に、過酷な事があったかのような雰囲気を出しています」

 

「・・・・せやな」

 

二人は改めて、三人の追跡に戻った。

 

 

 

ー雲雀sideー

 

ピシャンッ!

 

「うぅっ!!」

 

雲雀は春花が持っている鞭の攻撃に脅える。

 

「もう諦めちゃうの? 少し抗ってくれないと、虐め概が無いわ」

 

「・・・・ぜ・・・・き・・・・!」

 

「ん?」

 

「燃やすぜ、勇気!!」

 

「っ!!!」

 

ィヤー!

 

雲雀が『レオカプセル』を起動させると、手のひらから放たれる炎を春花が後ろに退いた。

 

「まったく、危ない道具を持っているのね」

 

炎が収まると、雲雀は炎を出した手の熱を払うように手を振った。

 

「それで終わり?」

 

「終わり、じゃないよ! だって雲雀には、友達がいるんだもん!!」

 

雲雀が叫ぶと、牢屋の天井を番傘をドリルのように回転させて突き破ってきた柳生が現れた。

 

「柳生。舞い忍ぶ!」

 

「柳生ちゃん!」

 

雲雀は柳生を見て涙を貯めて喜ぶ。

 

「ふん。やっぱり来たわね」

 

「雲雀は返してもらう」

 

「そうは往かないわ。私のお人形にするんだから!」

 

春花の鞭が柳生の胴体に巻き付いた。

 

「くっ・・・・!」

 

ガガガガガガガガガガ!!

 

今度は壁に穴が空いて、そこから傘に仕込んだ機関銃を構えた未来が現れ、銃口を雲雀に向けた。

 

「フフフ、逃がさないんだから!」

 

「っ!」

 

「雲雀!」

 

「あら未来ったら、これからが楽しい所だったのに」

 

「春花様だけ独り占めしようったって、そうはいかないんだから!」

 

「・・・・だから、こんな事してる場合じゃないんだから!!」

 

「ふっ!!」

 

立ち上がった雲雀と柳生は『命駆けモード』となって、春花と未来を吹き飛ばし、互いの手を取り合った。

 

「柳生ちゃん!」

 

「雲雀・・・・!」

 

「「『秘伝忍法』・・・・」」

 

「ウサギさん、お願い」

 

「蹴散らせ・・・・!」

 

牢屋をぶち破って忍兎と烏賊が現れ、雲雀と柳生は忍兎の背中に乗り、烏賊がドリルのように回転し、天井をぶち破って最上階へ向かった。

 

 

 

ー春花sideー

 

春花と未来は、ぶち破った穴を見上げながら、二人が見せた『合体秘伝忍法』に驚いていた。

 

「『合体秘伝忍法』ですって・・・・?」

 

「あんな事、可能なの?」

 

「・・・・忍とは、心の技・・・・」

 

「えっ?」

 

「よく鈴音先生が仰ってたわ。あの二人、不可能を可能にするほど、心の底から仲良しって事かしらね?」

 

「・・・・ちょっと、良いかも」

 

「そうね・・・・」

 

羨望の眼差しを向けると、ハッと、お互いを見た。

 

「っお、追うわよ未来!」

 

「うん!!」

 

 

 

ー理巧sideー

 

「っ。あーちゃん<飛鳥>、最上階に着いたようだ。斑鳩姉さん、葛姐さん、少し先に行くよ」

 

「分かりました」

 

「すぐに追い付くぜ!」

 

二人の言葉に理巧は頷くと、おもいっきり足を踏ん張らせると、ベコッ! と床を蹴りつけて、一瞬で二人よりも遥か先へと進んだ。

 

「理巧ってさ、あんなにスゲェのに何で忍じゃねぇんだ?」

 

「何かあったのかも知れませんね」

 

 

 

ー飛鳥sideー

 

飛鳥が最上階に到着すると、そこに焔がいた。

 

「焔ちゃん!? どうして?!」

 

「つくづく甘い奴だな。順路が1つだけだと思うか」

 

焔がチャクラを放出すると、背後に赤い蛇が現れる。

 

「『秘伝忍法 魁』!!」

 

焔が片手の三本の刀を突き立てて突っ込む。

 

「『秘伝忍法 二刀繚斬』!!」

 

背後です緑の蛙が現れた飛鳥の交差斬撃を、焔がもう片方の三本の刀で切り裂き、飛鳥へと斬り込み、飛鳥もそれを受け止めようとしたその瞬間ーーーー。

 

「はいお二人さんソコまで!!」

 

ガキンッ!!

 

「り、りっくん!?」

 

「邪魔をするな暁月っ!」

 

そこには両手に持ったクナイで焔と飛鳥、二人の刀を止めた理巧だった。

 

「焔さん、アンタ分かってるのか? アンタはオーナーの道元に利用されているだけなんだぞ?」

 

「関係ない! 忍として、忍務に殉ずる。これぞ忍の本懐だ!」

 

「はっ! 小物野郎の手のひらの上で踊り狂って殉ずるのが本懐って、忍ってのは随分と易いもんだね?」

 

次の瞬間、部屋の奥から激しい音を立てて“何か”が現れた。

 

「なっ!」

 

「ん?」

 

「あれは・・・・」

 

「選ばれし者達、そして暁月理巧よ。よくぞ来た」

 

三人が現れたものを見ると、巨大な人型のパワーローダーを着用した道元が現れた。

 

「道元様!?」

 

「道元って・・・・?」

 

「蛇女のオーナー、つまり、焔さん達のボスって事。それにあのメカ、レムのデータで見たことがある。確か、『チブル星人』って言う三本足のタコのような異星人が使う、『チブローダー』ってパワーローダーだ」

 

「フフフフ、よく知っているな。これこそ私の切り札。『チブローダー』を私専用に改造した鎧、『ドウローダー』だ!!」

 

道元はイカルス星人に秘密裏に造らせた鎧。両肩に備わったミサイルランチャーとレーザー砲、両足にはガトリング砲とキャノン砲、両腕には鞭と大剣を備えた『ドウローダー』を見せた。

 

「もしかして、この人が雲雀ちゃんの言っていた?」

 

「うん。焔さん達に『軛の術』を施した術者だ」

 

黒幕の登場に、理巧と飛鳥は目線を鋭くした。

 

「焔よ。その二人を連れて私の元へ来るのだ。この『超秘伝忍法書』の導きと共に!」

 

道元は光を放つ『超秘伝忍法書』を見せた。

 

「この二人と・・・・? 道元様! どういう事です!?」

 

「そこの少年には、ある人物との『交渉道具』としての価値がある。そしてお前とその飛鳥の二人は、依り代として『超秘伝忍法書』の『陰の巻』と『陽の巻』。この2つの力を私の手中に収めるためにな!」

 

「な、なんだって!? そんな事が許される筈が・・・・ぐぅっ!!」

 

言葉の途中で、焔が苦しそうに蹲る。

 

「抗ってはならぬ!」

 

「焔ちゃん!」

 

「術を発動させたのか? やはりアンタは! 焔さん達を利用していたんだな!?」

 

「ふん! 元より蛇女子学園は、私の野望の足掛かりに過ぎん! 私は『超秘伝忍法書』と『怪獣カプセル』と『コピークリスタル』。この力で悪忍、いや、全ての忍を超越し、この世界の、この宇宙の頂点に君臨するのだっ!!」

 

「組織を、裏切るつもりか・・・・!?」

 

すると、半蔵学院の皆が、隠し通路から蛇女の皆がやって来た。

春花と未来と詠が、焔に駆け寄る。

 

「道元様?」

 

「これってどういう事?」

 

戸惑う蛇女の仲間に、焔が説明する。

 

「道元は、自分の欲望の為に、私達を・・・・! そして、悪忍組織を裏切った・・・・!!」

 

「「えぇっ!?」」

 

「やっぱりそう言う事だったのね?」

 

驚く詠と未来だが、春花だけは笑みを浮かべて道元を睨む。

 

「なんかややこしいけど・・・・?」

 

「要するに、標的は道元って事や」

 

日影が葛城の肩に手を置いて簡潔に言うと、葛城も笑みを浮かべる。

 

「ああ、覚悟しろよおっさん! その悪趣味な玩具もろとも、叩きのめしてやるぜ!!」

 

葛城の言葉に一同がチャクラを迸らせる。が・・・・。

 

「皆、ちょっと待ってくれ」

 

「りっくん?」

 

理巧が前に立って、全員を止めると、道元にゆっくりと歩み、道元の前に立つと、見上げながら口を開く。

 

「道元、アンタさっき言ったな? 僕の事を『交渉道具』って?」

 

「ああ、そうだ」

 

「アンタが交渉しようとしている相手って・・・・・・・・ウルトラマンベリアルか?」

 

「っ、ウルトラマン、ベリアル・・・・!」

 

「それって、アタシ達が生まれる少し前に起こった・・・・」

 

「ええ、『クライシス・インパクト』を引き起こした元凶ですわね・・・・」

 

「貴女方も知っているのですか?」

 

「まぁな、儂ら悪忍側でも、ベリアルの存在は最も危険視しとるんや。儂らの中では、鈴音先生が覚えておるらしいで」

 

斑鳩の言葉にそう答えた日影。

飛鳥達と焔達は、再び理巧と道元を見ると、道元はくっくっと笑いをこぼす。

 

「なるほど。貴様は私がベリアルの情報を知っていると思い、この蛇女子に来たと言う訳か・・・・!」

 

「そうだ」

 

「フフフフ、所詮お前も焔達と同じように、“奴”の手のひらの上で踊っていると言う訳だ・・・・!」

 

「(“奴”?)」

 

「答えは・・・・これだ!!」

 

道元が『ドウローダー』の腕についた鞭で、理巧を絡め取ろうと振り下ろすが、理巧は寸前で回避する。

 

「・・・・・・・・」

 

「貴様はただの『交渉道具』だ! この私に質問しようなどと、分不相応な事をするでないわ!」

 

「そうかい」

 

「それにな! “貴様の『育て親達』は、私にとって目障り極まりないのだ”!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・あ?」

 

『育て親達』の事を言われ、理巧の心が途端に、冷えていった。

 

「知っているぞ! 貴様は八つの頃まで文字処か! 言葉すら満足に発せない! 感情もまったく無い! 文字通り傀儡のような子供だったそうだな!?」

 

『っ!!?』

 

道元の言った事に、それを知っていた柳生以外、とりわけ焔達は驚いた。まさか、目の前の少年にそんな幼少時代があった事に驚いたのだ。

 

「そんな憐れで惨めな貴様を! あの忌々しい小僧共が拾い! 育てたそうではないか!! 」

 

「・・・・・・・・・・・・それで?」

 

『っ!』

 

声を発した理巧から、酷く冷たい声と、肌にビリビリと突き刺さるような暗い空気が、飛鳥達と焔達の身体を硬直させる。

 

「何かと目障りな奴らを黙らせる為にも! 貴様は私の『道具』となって貰おうか! 貴様を人質にし! あの忌々しい小僧共をたっぷりと苦しめて「黙れ」ん?・・・・っっっ!!!!!??」

 

理巧を見た道元は、理巧の顔を見て息を詰まらせる。

飛鳥達と焔達からは、理巧の後ろ姿しか見れないが、これだけは全員共通で理解した・・・・。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

理巧は今、かつて無いほどに、怒っているとーーーー。

 

ドゴンッ!!!

 

「ぐぁあああああああああああああ!!!!」

 

一瞬、コンマ数秒にも満たない僅かな刹那。

理巧は道元の『ドウローダー』を蹴り飛ばした。

部屋の奥に吹き飛んだ道元は、そのまま壁に激突する。思いの外、道元の奥の部屋の造りが頑丈だった為か、壁が大きく凹んだ。

 

「ぐぅっ、な、何が・・・・ひぃっ!」

 

道元は、ゆっくりと歩く理巧の姿を見て、小さく悲鳴を上げた。

自分に向かってくるのは、自分の半分くらいしか生きていない小僧の筈だ・・・・だが、目の前にいるのは“少年”ではなかった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

その燃えるような緋色の瞳は鋭利に鋭く、氷のように冷酷。その輝きは虚無のように完全な闇となっていた。

それを一言で表現するならば、このたった一言。

 

『死』だったーーーー。

 




ー次回予告ー

道元、お前は決して犯してはならない領域を犯した。絶対に許さない。お前がどんなに命乞いをしても、後悔しても許さない。
機械の鎧だろうが、超獣だろうが、融合獣だろうが、相手になってやる。
飛鳥さん。斑鳩姉さん。葛姐さん。柳生さん。雲雀ちゃん。焔さん。詠さん。日影さん。未来ちゃん。春花さん。終わらせるぞ、この戦いを!!

次回、『閃乱ジード』

【野望、潰える刻】

飛ばすぜ! 光刃!
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