閃乱ジード   作:BREAKERZ

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第2章開幕の前に、ちょっとした幕間です。


幕間・焔紅蓮隊

ー焔sideー

 

世間の学生が『夏休み』を迎え始めた頃。

元蛇女子学園の悪忍で、現在は抜忍として活動している焔、詠、日影、未来、春花の五人は『焔紅蓮隊』を名乗り、洞窟でのサバイバル生活をしていた。

以前は蛇女子学園の選抜メンバーとして活躍していた彼女達は、忍務で支給される金銭(1人三十万円)で生活していたが、蛇女のオーナー・道元の裏切り行為により、焔が道元に離反し、蛇女にいられなくなったので抜忍となろうとした。そんな焔に仲間達も一緒に付いてきて現在に至る。

そんな彼女達が、食料として野草を探している時ーーーー。

 

「あ、天文台だ」

 

未来が開けた場所にある潰れた天文台を見つけ、ちょっとした興味で見に来た。

焔達が生活する洞窟からおよそ数百メートル離れた場所にあった。

 

「ちょっと遠くに来ちゃったわね」

 

「ですが、こんな所に天文台があったなんて知りませんでしたわ・・・・」

 

「ま、ワシらが洞窟にこもったのは夜頃やったし、ワシらがバイトに行く方向とは逆やったからな」

 

「おい。そろそろ戻るぞ・・・・っ!!」

 

焔がそう言った瞬間足元が光りだし、五人は即座にその場から退くと、地面からエレベーターのような箱が現れ、五人はいつでも武器を構えられるように身構え、エレベーターの扉が開くとーーーー。

 

「さぁて、復興は何処まで進んでいるかなぁっ、と・・・・」

 

見た事ありすぎる色鮮やかな緋色の髪の毛と、炎のように輝く緋色の瞳をした顔立ちの整った少年が出てきた。

 

「「「「「理巧(様/さん)っ!?」」」」」

 

「ん? あれ、蛇女の皆さん。奇遇だね」

 

「いやいやいやいや! 奇遇じゃないだろう!」

 

「り、りりりり理巧さん!? あなた今、どこから出てきたんですの?!」

 

「ん? あぁ、この天文台の地下って僕の秘密基地みたいな物でね。半蔵学院の皆の溜まり場にもなっているんだよ」

 

「「「「「はぁっ!!?」」」」」

 

理巧の言葉に、焔達は揃って首をかしげた。

 

 

 

 

 

 

「それじゃ改めて。ようこそ、僕達の秘密基地へ」

 

『あっ! 焔達だっ! ペガはペガッサ星人のペガ! 一度会った事あるよね?』

 

『はじめまして、焔。詠。日影。未来。春花。私はこの基地のメインコンピューター『レム』と言います』

 

理巧に連れられて入って来たのは、SF映画のような施設に、漫画やゲームや難しい書物が並んだ本棚。海洋類や動物のぬいぐるみ。トレーニング器具。そして畳やちゃぶ台。ソファーにテーブルが置かれた大広間だった。

 

「天文台の地下深くに、こんな秘密基地を隠していただなんて・・・・」

 

「理巧さん。あなたはもしかして、お金持ちだったりしますの?」

 

詠の瞳に物騒な光が宿る。どうやらお金持ち嫌いが反応してしまったようだ。

 

「そんなのじゃないよ。この基地の管理人とも言えるレムが、僕をマスターつまり所有者と認めちゃってね。ま、ここにはウルトラマンに関する情報や怪獣のデータがかなりの量で収められているし、菜園ルームやシミュレーションルームにトレーニングルームもある上にシャワー付きお風呂にトイレもあるし、テレビとかは空中ディスプレイ等々、かなり快適に過ごせる基地なんだよね」

 

「いや、確かに快適そうだけど・・・・」

 

「そんな所にワシらを連れてきて良かったんか?」

 

「問題無いよ。別に僕は善忍だとか悪忍だとか抜忍だとか関係無いしね。ま、ここは中立地帯な場所だと思ってくれ」

 

「ふぅ~んそう、善忍の子達は了承しているの?」

 

「いやまだだけど、まぁ焔達なら大丈夫だろう」

 

「大丈夫だろうって、そんないい加減「くぅぅ~っ」~~~~!/////」

 

焔が声を発しようとした瞬間、どこからか可愛らしい音が鳴ると焔は顔を恥ずかしさで赤らめ、自分のお腹を押さえると、他の皆からも空腹を訴える音が鳴り、日影を除いた三人もお腹を押さえた。

 

「・・・・ペガ。これから焔達と食事に行くけど、一緒に行くかい?」

 

『・・・・ペガは良いや。今日は基地でゲームやりたいし』

 

「分かった。レム。ペガのゲームの相手と、あと葛姐さんが来たら、所用で出掛けたって言っておいてくれ」

 

『了解しました』

 

ペガとレムに指示を飛ばす理巧。焔が代表で口を開く。

 

「い、良いのか? 私達あんまり金は無いぞ」

 

「構わないよ。この間バイキングの店の半額券が手に入ってね。葛姐さん以外のみんなは帰省しているし、有効期限が今日までだから丁度良いよ。“僕が奢るから”」

 

「「「「「っっ!!」」」」」

 

“奢る”、“バイキング”と聞けば、焼肉だけでなく寿司やデザートやらが食べ放題。蛇女を離れてから文化的食物をほとんど食べていない焔達に取ってそれはとても魅力的な話でありーーーー。

 

「「「「「ごちそうさまです!」」」」」

 

理巧の話に乗った。

 

 

 

 

都内にあるバイキング店。夏休みの昼時であるのもあって店内は若者や家族連れの客で賑わっていたが、ある一団のいる席に注目が集まっていた。

蛇女のと違った制服を着こんだ焔達。おそらく補習か部活帰りの学生とでも思われているが、それだけではない。山のように皿がテーブルの上に所狭しと置かれてているが、それだけでもない。

焔も詠も日影も春花も、とても美麗な容姿に加え、制服の上からでも分かる程の豊満なバストとグラビア顔負けのプロポーション。

焔と詠は男性受けの良さそうな容姿。

日影は少々危ない雰囲気が一部の男性に受け。

春花は一番豊満で、何処か嗜虐的な雰囲気がM系の男性にモテそうだ。

未来も容姿は良く、小柄でスレンダーな体型は世のロリコン達が狂喜乱舞するようである。

そんな一団の中心にいる理巧も、その派手な髪の色と瞳と整った顔立ちが女性の目を引く。

傍目から見ると、イケメン男子とその取り巻きかガールフレンドの女の子達にしか見えない。

焔達は女性陣から羨望の視線を、理巧は男性陣からは嫉妬の視線を受けていたが、焔達は久々の肉類やら魚介類やらを食い溜めするかのように口に運び、理巧は少々食べた後、焔達の食事を静かに眺めながらコーヒーを飲んでおり、そんな視線を気にしていなかった。

 

「皆良く食べるね」

 

「久々の文化的食物なんだっ!」

 

「ここで食べておかないと次いつ味わえるかっ!」

 

「あぁ、お肉やお魚がこんなに美味しいだなんて・・・・!」

 

「なんや、ジ~ンと来る感覚があるわ・・・・」

 

「日影さん、。それって、久しぶりの贅沢な食事に感動しているんじゃないの?」

 

「そうか、これが『感動』っちゅう感情か・・・・」

 

「それよりも皆さん! お肉やお魚ばかり食べ過ぎですわ! お野菜、特にモヤシを食べてください!」

 

焔と未来は持ってきた食材を口に運び。春花は食事に感動し。理巧に指摘された感情を自覚した日影。詠は山盛りのモヤシメインの野菜を皆に食べるように言った。

 

「・・・・デザートは何が良いですか?」

 

「チョコレートケーキ!」

 

「ショートケーキ!」

 

「チーズケーキを!」

 

「アイスを頼むわ」

 

「全種類を持ってきて下さいませ!」

 

とりあえず理巧は全種類のデザートを持ってくるのであった。

一同が店を出ると、店主らしき初老の男性が店の扉に、『派手ナ見タ目ノ男子高校生ト黒イ制服ノ女子高生達オ断リ』と出禁の張り紙が張られた。

 

 

 

ーペガsideー

 

『ペガ』

 

『ん、なにレム?』

 

『何故理巧と一緒に行かなかったのですか?』

 

基地内でゲームをしていたペガとレム。レムが1日の大半を理巧の影で一緒に行動しているペガが、今日は理巧に付いていかなかった事に疑問を抱き聞いてみると、ペガが声を発する。

 

『うん。きっと理巧、焔達と何か“話”があったんだと思う。ペガが一緒に行ったんじゃ少し話しづらいと思うんだ』

 

『それは、何故ですか?』

 

『あんまり、悪巧みしている姿を見せたくないからじゃないかな?』

 

『ペガは、それで良いのですか?』

 

『ペガは理巧を信じてる。理巧が悪巧みをする時は、きっと鷹丸さん達だけじゃない。ペガや飛鳥達、それにレムの事を思っての行動だと思うから』

 

『理解しました。では私も、理巧を信じましょう』

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

「さて、お腹も膨れたようですし、話を始めようかな?」

 

バイキング店を出た理巧達は焔紅蓮隊のアジトの洞窟にやって来ると、理巧が話を始め、焔達は少々緊張した。

 

「実は君たちに、“協力関係”を結びたいんだ」

 

「「「「「協力関係?」」」」」

 

「そう、少しこちらが得た情報を話すね」

 

それから理巧は、自分の情報を焔達に話した。

道元に『怪獣カプセル』と『コピークリスタル』を渡し、焔紅蓮隊だけでなく、“蛇女を利用していた人物”がいたことを教えた。

 

「それってさ、そのーーーーアンタの父親のウルトラマンベリアルじゃないの?」

 

「確かにその可能性もあるけどね、ウルトラマンベリアルと因縁深いウルトラマンゼロ曰くーーーー」

 

【道元は小物だ。あんな小物野郎なんかとベリアルが手を組むとは思えねぇ。恐らく『ベリアルの配下』か『協力者』が、ヤツに『怪獣カプセル』と『コピークリスタル』を渡したんだろ】

 

「つまり、その正体の分からない『誰かさん』が、私達を、蛇女を利用してくれた張本人って訳ね?」

 

「そうです」

 

「ですが、AIBが道元から聴衆しているのでは?」

 

「いや実は、“道元は『誰かさん』の記憶を失っているんだ"」

 

「っ、記憶を失ったってどういう事だ?」

 

「AIBの聴衆によると、目を覚ました道元は『怪獣カプセル』と『コピークリスタル』を誰かから貰ったか、その記憶が全て無くなっていたんだ。スマホの履歴も調べられたが、そのデータも消されていた」

 

「その『誰かさん』が消したのね。念の行った事だわ」

 

「それで、ワシらと協力したいっちゅうのは?」

 

「その『誰かさん』は恐らく僕がターゲットです。蛇女を使ってあんな手の込んだ事をやらかしたヤツが、いずれ僕の元に姿を現すでしょう」

 

「なんでそんな事が分かるのよ?」

 

「さもなきゃ、道元が僕を『交渉道具』として生かしておく必要性も、わざわざその『誰かさん』が道元に『怪獣カプセル』と『コピークリスタル』を渡す理由がない」

「そう、ですわね。道元の性格上、利用価値が有るからこそ、理巧さんを狙ったのですから」

 

「そう。そして、もしもそんな人物が現れた時、僕達に協力して欲しいんだよ。ソイツを・・・・」

 

ソコで理巧の目に冷酷な光が走ったのを、紅蓮隊全員が捉え、そしてーーーー。

 

「始末する為に」

 

ーーーーゾッ。

 

そう呟いた理巧を見た瞬間、焔達は身体が震えた。

理巧が善忍としての適正に欠けると善忍上層部に言われたと鈴音先生から聞いていたが、それを納得してしまう。

 

「始末と言っても命を奪う行為ではないさ。ただ悪さができないように捕縛し、AIBに引き渡す為だよ。まぁその際に協力して欲しいんだ」

 

「善忍上層部やAIB、雲雀達がいるでしょう?」

 

「今回の蛇女とのいさかいを見て分かった。善忍上層部は悪忍との不可侵条約を気にしてマトモに機能しなかったし、AIBも確固たる証拠が無いと動けない。杓子定規な組織は柔軟性に欠けるのが欠点だ。が、今は悪忍サイドではなく、善忍サイドでもない抜忍の焔達なら、組織のしがらみに囚われずに動くことができる」

 

「組織に囚われない野良犬の特権ってヤツね。でも、理巧様だってこれが知られたら不味いんじゃないの?」

 

「僕は正式な善忍ではないし、例え正式な善忍であっても単独で我を通すには、色々な手札が必要になる。その為に、焔達の協力が必要だ」

 

「・・・・私達のメリットは?」

 

「君たちを利用した道元をさらに利用していた黒幕に借りを返せる。だけじゃ無理があるよね」

 

「確かに借りを返せるが、それだけで危ない橋を渡る訳にはな」

 

「それじゃ、こちらからも“依頼料”を出すし、時おり今日みたいにご飯を奢るよ?」

 

ちなみにこの依頼料は道元の隠し財産である。すでに鈴音先生に渡しているが、実は鈴音先生に渡したのは7割(それでも0が7つ入る金額)で残りの3割(0が6つ付く金額)を隠し持っていた。これを知るのは理巧と、その金を隠しているレムだけである。

 

【『隠していて良いのでしょうか?』】

 

とレムが聞くと理巧は。

 

【所詮道元が非合法で稼いだ汚い金だ。前途有望な若者達の為に使われれば少しは綺麗になるだろう】

 

と言って焔達への食事代と依頼料として使用しているのだ。

焔達としても『暁月理巧を悪忍側に籠絡せよ』と秘密忍務を受けているので、理巧と接触する機会が手に入るのは願ってもない。

がーーーー。

 

「・・・・悪くないが、もう1つ」

 

「何かな?」

 

理巧が聞くと、焔の目に、いや、同じように立ち上がり忍転身した紅蓮隊の目に物騒な光が走る。

 

「私達と、手合わせ願おうか!」

 

忍転身した焔が片手の三本刀を理巧の眼前に突き立てるが、理巧は泰然とした態度で口を開く。

 

「手合わせすれば、こっちの話に乗るって事で良いのかな?」

 

「ああ! 私達蛇女を利用してくれたヤツを探し、捕縛もしくは始末の依頼、受けようじゃないか! 裏切るなよ?」

 

かつて『初恋の人』に裏切られた焔がそう言うと、理巧は口元をニッとにやつかせて言う。

 

「君たちが裏切らない限り、僕も君たちを裏切らないから、安心してくれ」

 

そう言って立ち上がった理巧は転送エレベーターをレムに出してもらうと、そのまま紅蓮隊と乗り込み、基地のトレーニングルームへと向かった。

手合わせの結果はーーーー理巧の勝利。

 

「皆さらに腕を上げたね。ちょっと本気になったよ」

 

「「「「「う、うぅっ・・・・」」」」」

 

「それじゃ、疲れが取れるマッサージをしようか」

 

「「「「「え?!」」」」」

 

それから、トレーニングルームに焔紅蓮隊の矯声が響いたのであったーーーー。




次回、第2章開幕。
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