閃乱ジード   作:BREAKERZ

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第2章開幕!


第2章 宿命の始まり サクリファイス
突然の忍務


ー???sideー

 

ソコは理巧達のいる宇宙とは違う時間軸にある平行世界の宇宙。

その星の海の世界で、一際強い輝きを放つ緑色の惑星があった。その惑星にある文明も、まるでエメラルドのような水晶の建物が並び、高度な文明を築いていた。

この星こそ、ウルトラマンゼロ。並びにウルトラマンベリアルの故郷であり、宇宙警備隊がある『M78星雲 光の国』だった。

『クライシス・インパクト』と言う最悪の敗北をした宇宙警備隊は、多くの戦士達がその時の傷の治療を受けていた。

 

『・・・・・・・・』

 

そんな中、1人のウルトラ戦士が空を見上げていた。

赤いマントを羽織り、赤い身体に銀のプロテクターを纏い、頭には刃のようなトサカを着けたウルトラマン。ゼロの父『ウルトラセブン』だ。

 

『セブン』

 

『ヒカリか?』

 

そんなセブンに話しかけたのは、宇宙科学技術局の『知性のウルトラマン ウルトラマンヒカリ』だった。

 

『セブン。ゼロの身を案じているのですか?』

 

『・・・・ゼロはもう一人前の戦士だ。だが、まだ傷が完全に癒えた訳ではない。『銀十字軍』の話では、あの負傷の影響で『ストロングコロナ』にも『ルナミラクル』にもなれんそうだ。それに、『ウルティメイトフォースゼロ』の仲間達も現在治療中だ』

 

ゼロが結成した宇宙警備隊『ウルティメイトフォースゼロ』の仲間である。『炎の戦士 グレンファイヤー』。『鏡の騎士 ミラーナイト』。『鋼鉄の武人 ジャンボット』。『ジャンボットの弟 ジャンナイン』。彼らもウルトラ戦士達に協力して『ダークネスファイブ』と戦い、その時に負傷をしてしまい、『銀十字軍』で療養していた。

 

『はい。ですので、私はこれからゼロの力になってくれるだろう。“彼らの世界"に向かいます』

 

『ウム。頼んだぞヒカリ』

 

と、セブンとヒカリが話し合っていると、二人の背後から、“巨大な影"が現れ、二人に話しかけた。

 

『ーーーーーーーー』

 

『っ! 貴方は!?』

 

『珍しいな。お前が此処に来るとは?』

 

『ーーーーーーーー』

 

『何? お前もヒカリと同行したいだと? しかし・・・・』

 

『ーーーーーーーー』

 

『・・・・分かった。大隊長やゾフィー兄さんには私の方から伝えておく。彼を頼むぞ、ヒカリ』

 

『はい!』

 

ヒカリはそう返事をすると、ヒカリは『その人物』と共に、光の国を飛び立っていった。

 

『ゼロ。お前は今、何をしている?』

 

遠い遠い別の銀河に旅立った息子に、セブンはボソッと呟いた。

 

 

 

 

 

ー伏井出ケイsideー

 

伏井出ケイは赤い照明に照らされた洋室のような部屋にいた。虚空に浮かんだビジョンが浮かんでおり、ウルトラマンゼロとゼロと同化している霧夜先生が映されていた。

 

「遂に『オープニング』。ようやく『駒』の配置は整いました。が、予想外の『一手』が道を塞いでしまった。“ゲームにバグは付き物"。早く取り除けば、済む話です。全てを無に帰す虚空のカス・・・・ゼロ」

 

机に置かれたチェス盤の駒を動かしながら『何者』かと会話をしていた。

 

「面白くなってきましたね」

 

ゼロの姿を見据えながら、ニヤリと笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

「りっくん! 正直に言って!」

 

「何が?」

 

夏休みが始まって1週間。半蔵学院の忍教室。

それぞれの実家から戻ってきた飛鳥、斑鳩、雲雀、柳生。

自己鍛練や理巧との手合わせで鍛えていた葛城(飛鳥達が帰ってきてからは四人のおっぱいを揉みまくっていた)。

いつものように理巧の影にいるペガ。

ユートムでこちらを観察しているレム。

そして、いつもはまったく手を付けない忍の歴史書を読んでいる理巧に、飛鳥達が詰め寄っていた。

 

「私達が帰省中に、基地のトレーニングルームとシミュレーションルームを誰かが使った跡があるんだけど?!」

 

「僕が使ったからだよ。たまには鍛練しないとね」

 

「シミュレーションルームの使用履歴を調べると、“五人分"のデータが増えていたが?」

 

「誤作動じゃないの?」

 

「雲雀達のぬいぐるみさん。配置が少し変わっていたよ?」

 

「あぁ、基地を掃除していた時に、ちょっとぬいぐるみさん達に触ったからね」

 

「菜園ルームに何故か、モヤシが置かれていたのですが?」

 

「モヤシって美味しいから加えたんですよ」

 

「シャワールームに、アタイらとは違う色をした長い女の髪の毛があったんだけどよ? 緑色とか亜麻色とか」

 

「外を歩いているときに付着したんじゃないの?」

 

「・・・・りっくん、正直に言って。“焔ちゃん達の居場所知ってるでしょ"!!」

 

理巧と接点のある緑色と亜麻色の髪の毛の女性など、日影か春花くらいしかいない。理巧が秘密基地に焔達を迎えているのではと、五人全員の女の勘が働き、理巧に問い詰めていたが、理巧は知らぬ存ぜぬの態度を取っていた。

強行手段に出ようとする飛鳥達だがーーーー。

 

ボワァァァァァァァン。

 

もはやおなじみと言ってもいい霧夜先生の煙幕が教室に充満し、煙が晴れると霧夜先生がいた。

 

「みんな久しぶりだな。夏休み中に良く来てくれた」

 

「けほっ、けほっ、霧夜先生・・・・」

 

「早速だが、お前達に特別忍務を与える」

 

「特別忍務?」

 

「おいおい! まさか蛇女を操っていた『黒幕』が見つかったのか?! それとも、遂にウルトラマンベリアルの潜伏場所でも見つけたのかっ!?」

 

「いや、そんな重要な情報を学生のお前達に報せる訳ないだろう。明日お前達には、『ある小説家の講演会の警備』に当たってもらう」

 

葛城が嬉々として訊くが、霧夜先生が言った言葉で、ガクッと肩をおとした。

 

「何だよ、せっかくの夏休みでみんな揃ってやる忍務が、『小説家の講演会の警備』って、んな地味~な忍務なのかよ・・・・」

 

「葛城さん。これも立派な忍務ですよ」

 

「だが先生。わざわざ忍のオレ達が出払わなければならないのか?」

 

「・・・・確かに『小説家の講演会の警備』など、普通の警備会社の仕事だが、上層部からの命令だ。無下にはできん。俺も参加するよう言われているから、全員準備をしておけ」

 

霧夜先生もこの忍務に違和感を感じているが、それでも上層部からの命令なので仕方なく受け入れた。

 

「霧夜先生。その警備する小説家さんって誰なんですか?」

 

「あぁ、名前は・・・・『伏井出ケイ』と言う小説家だ」

 

「っっ!!!」

 

『伏井出ケイ』。その名を聞いた瞬間、さして興味ないと言わんばかりの態度だった理巧が、ガタッと動いた。

 

「理巧?」

 

「「「「「??」」」」」

 

理巧の突然の行動に、霧夜先生と飛鳥達も首を傾げた。

 

「伏井出、ケイ・・・・!」

 

「誰?」

 

「最近名が売れているSF小説家ですわ。わたくしも読んでいます」

 

斑鳩が『コズモクロニクル 伏井出ケイ』と記された小説を取り出した。

 

≪ん?!≫

 

その時、霧夜先生と同化しているゼロが、その小説の表紙に描かれている絵を見て、過去の戦いの記憶が過った。

 

≪(あれは俺と、『アークベリアル』!?)≫

 

そう、その表紙に描かれていたのは、別世界の宇宙で銀河帝国を築いたベリアルとの戦い。その時に得た『イージス』を纏った『ウルティメイトフォースゼロ』と、『超銀河大帝 アークベリアル』の戦いの様子だった。

 

≪霧夜! ちょっと交代だ!≫

 

「ん、どうしたゼ(デュォオオンッ!) 斑鳩! その小説を読ませてくれ!」

 

「ゼ、ゼロさん?」

 

「どうしたのゼロさん、そんなに慌てて?」

 

「その小説、少し気になる。読ませてくれないか」

 

「え、ええ。構いませんわ」

 

「ありがとよ。それじゃ明日に向けてみんな今日は解散だ!」

 

そう言うと、ゼロも煙玉を出して床に叩きつけ、そのまま煙に紛れて姿を消した。

 

「ど、どうしちまったんだゼロは?」

 

「わからんが、こっちもどうした理巧?」

 

「い、いや、何でも、ないよ・・・・!」

 

いつもの理巧らしくない。何やら怯えたような声に、飛鳥達は心配する。

 

「りっくん! そんなに震えているのに、何でもないなんてありえないよ!」

 

「そうだよ! どうしたの?」

 

「言わねぇんなら、アタイが無理矢理にでも聞いてやるぜ! とりあえずお前の素敵なお尻を思いっきり愛でーーーー」

 

ゴキンッ!×2

 

「お、おぉお・・・・!」

 

瞬時に理巧の背面に回り込んで、理巧の尻を揉みしだこうと手をワキワキと動かす葛城だが、その思惑を見抜いていた斑鳩と柳生が、すぐに葛城の背後に回ると、飛燕(納刀状態)と番傘を振り下ろして撃沈させた。

 

「理巧くん。何か不安な事があるなら言ってください。何でも1人でやろうとするのは、理巧くんの悪い所です」

 

「オレ達を仲間だと思っているなら相談しろ。力になる」

 

「・・・・みんな、ありがとう。でも、僕自身、何でこんなに怯えているのか、分からないんだ」

 

『えっ?』

「とりあえずはさ、明日に備えて、今日はもう休もう」

 

 

 

 

その晩。基地に集まった飛鳥達。飛鳥は洗濯物を畳み、ペガはその隣で造花の内職をし、雲雀と柳生は夕食を作り、斑鳩と葛城はシャワールームから戻ってきた。

 

『はぁ~あ、ペガも小説書けたらなぁ。造花より儲かるのに・・・・』

 

「あ! それなら伏井出先生に教わってみたら? 才能をあやかれるかも!」

 

『ペガ書く! 小説書く!』

 

なんてみんながそれぞれに過ごしている中、理巧は斑鳩から借りた『銀河戦艦エルシェード』、『星空のアンビエント』等、伏井出ケイの他の小説を読み終えると裏表紙に載った伏井出ケイの姿を見る。

 

「・・・・・・・・」

 

伏井出ケイ。

理巧が半蔵学院に編入し、雲雀と仲良くなった次の日。

彼のファンである鷹丸から新作の本を買ってきてほしいと頼まれ買っていった際に、偶然出会い、サインを貰った相手だ。

その時、その人の顔を見た瞬間、言い様の無い恐怖感が身体を襲い、理巧はすぐさま逃げるようにその場を去った。

 

「(何故僕は、あの時伏井出ケイから逃げたんだ?・・・・嫌、あの時、あの人の目を見た瞬間、何かが頭を過ったんだ。そう、まだ僕が“鷹丸さん達に拾われるずっと前、思い出したくもない『拭えぬ過去』"・・・・!)」

 

理巧は、八歳から前の事を極力思い出さないでいた。それは忌むべき過去の記憶。

来る日も来る日も常に『死』と隣り合わせだった日々。

自分の心が磨耗していく地獄の戦闘訓練。

遂に『感情』が消失し、言われるがままの行動しかできなくなった自分。

そんな自分を、“自分達"を冷酷に見下ろす『誰か』の視線。

 

「っくん・・・・りっくん!」

 

「っ! あ、あー、ちゃん・・・・?」

 

「どうしたの? もうご飯だよ?」

 

「え、あ、あぁ・・・・」

 

言われて回りを見ると、すでにテーブルの上に食事が置かれ、斑鳩達とペガも、定位置に座っていた。

 

「ゴ、ゴメン、ちょっと考え事をしていた。すぐに戻るよ・・・・」

 

そう言って、理巧は飛鳥と共に皆と食事に向かった。

 

「(今度の忍務で、何か分かるかもしれないな・・・・)」

 

 

 

 

 

 

そしてその翌日。『特別講演会 伏井出ケイの世界~星々のアンサンブル~』と看板が立った講演会会場で、民間の警備会社の警備員と別に私服を着て警備にあたる理巧達と、いつものスーツ服の霧夜先生がエントランスの警備をしていた。

 

「(鷹丸さん。講演会のチケットが取れなくて行けなかったから、羨ましがってたな~)」

 

伏井出ケイのファンである鷹丸は(理巧は知らないが)AIBの捜査官として多忙である為、今日の講演会に来れなかったのだ。

 

「たくっ、本当に退屈な忍務だぜ・・・・」

 

「ボヤイても仕方ありませんわよ葛城さん」

 

理巧と飛鳥。柳生と雲雀。葛城と斑鳩。そして霧夜先生(&ゼロ)が組を作って、それぞれの場所で警備に当たっていた。端から見れば、柳生と雲雀、葛城と斑鳩は伏井出ケイのファンの子達。理巧と飛鳥はカップル。霧夜先生もファンだと思われる。

余談だが、理巧の恋人役を誰がやるかは、厳選なくじ引きで決まり、飛鳥に決まった時は飛鳥は勝利に喜び、他の四人は悔しがっていた。。

 

「2万年早いぜ! あ、これは印象的なキャラクターのゾーアの決め台詞でしてね」

 

ボヤイている葛城に注意する斑鳩の近くで、客の1人が小説のキャラの真似をしていた。

結構大きな声で言っていたようで、霧夜先生とゼロの耳にも入った。

 

≪二万早いぜ、か・・・・≫

 

「(どうしたゼロ?)」

 

≪いや、やはり気になってな≫

 

「(ふむ。本当に、お前とベリアルの戦いが書かれていたのか? 伏井出ケイの小説に?)」

 

≪ああ。間違いない・・・・≫

 

霧夜先生とゼロが会話していると、周りの客達から黄色い歓声が上がり、そちらに目を向けると、伏井出ケイが何人かのスタッフと共にエントランスに来た。

 

「あれが伏井出ケイ先生なんだね」

 

「みたいだね・・・・ん?」

 

飛鳥と理巧がコッソリ会話していると、伏井出ケイが近づいてきた。

 

「はじめまして。こんなに初々しいカップルが私のファンだなんて、嬉しいですよ」

 

「あ、はい! ありがとうございます!」

 

「どうも」

 

飛鳥は元気よく挨拶するが、理巧は警戒した面持ちで素っ気なく答えるが、伏井出ケイはにこやかな笑みを浮かべたまま。

 

「是非とも、本日の講演会を楽しんでください」

 

「はい!」

 

そう言って、伏井出ケイは他のお客さんと話をするために離れようとし、飛鳥はまた元気よく返答するが、伏井出ケイは理巧に一瞬不穏な眼差しを送り。

 

「では、また後で」

 

「っ! え、えぇ・・・・」

 

理巧は得たいの知れない悪寒に震えながらも返答した。

 

 

 

ーゼロsideー

 

ゼロが伏井出ケイを見ていると、伏井出ケイの足元から、ダークゾーンを展開したペガが伏井出ケイの足を掴もうとしたその瞬間ーーーー。

 

『うわっ!』

 

伏井出ケイは足元にいるペガと目が合うと、ニヤリと笑みを浮かべて、そのままペガを気にせず会場に向かった。

ペガはその不気味な雰囲気に身体が震えていた。

 

「(ペガくん?)」

 

≪霧夜! 交代しろ!≫

 

ーーーーデュォオン!

 

霧夜先生とチェンジしたゼロが、ペガに小さな声で話しかける。

 

「おい、アイツ今、お前と目が合っていたぞ」

 

『あの人、なんか恐い! や、やっぱりペガ、先に帰ってるね!』

 

「あ、ちょ・・・・!」

 

そう言ってペガはダークゾーンに沈んでいった。ペガが帰ったのを見た理巧は、飛鳥達から離れ、ゼロに近づく。

 

「おじさん、いやゼロ。ペガはもう帰ったのか?」

 

「理巧。あの小説家、人間じゃない」

 

「っ、その根拠は?」

 

理巧が目を鋭くして訊くと、ゼロは懐から、斑鳩から借りた『コズモクロニクル』を取り出し、表紙を理巧に見せる。

 

「伏井出先生の本?」

 

「この本に書かれているのは、俺の戦いだ」

 

「ゼロの?」

 

「始めは偶然かと思ったが、表紙の絵、ベリアルがアークベリアルになった時の姿だ。この本の内容も台詞も、俺とベリアルの戦いを見たとしか思えない!」

 

「・・・・その本で、ゼロの役割は?」

 

「この本の中で、俺は悪役だ」

 

「・・・・・・・・」

 

ゼロの話を聞いて、理巧の眼差しがさらに鋭くなる。

が、講演会開始のブザーが鳴り響き、飛鳥達が理巧達に近づく。

 

「りっくん! 先生! もうすぐ始まるよ!」

 

「早く! 早く!!」

 

飛鳥と雲雀に急かされるが、二人は会話を続ける。

 

「良いか。ハッキリするまで警戒を怠るな。お前の状態が本調子で無いとしてもな」

 

「(見抜かれていたか・・・・)だが、あの人を警戒する理由は?」

 

「『戦士の勘』。って言えば、納得できるか?」

 

「・・・・その勘、宛にさせてもらう。あーちゃん達にも、インカムを装備させるよう伝えておくよ」

 

「ああ。霧夜と交代する(デュォオン!)」

 

理巧とそう会話をすると、再び霧夜先生と交代した。

 

「理巧。なにがあったか分からんが、いざとなればゼロがいる。無茶はするなよ」

 

「善処します」

 

二人は会話を止めて、飛鳥達と共に会場内の警備に向かった。




次回、遂に黒幕の正体が!
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