ー理巧sideー
理巧は飛鳥達を集め、ゼロが感じた伏井出ケイの不信感と宇宙人である可能性はあると伝えると、全員に通信インカムを装着するように言った。
「理巧さん。伏井出ケイ先生が宇宙人と言うのは本当なのですか?」
「確証は無いが、ペガの存在に気づいて何も言ってこない。それに何かあの人、怪しいんだ」
「でもりっくん。宇宙人だからって警戒する事無いと思うよ」
「うん。ペガくんみたいに良い宇宙人さんかも知れないよ?」
「雲雀ちゃんだって一度ダダ星人って奴に誘拐されそうになったでしょ。宇宙人にだって、悪い奴はいる。道元に手を貸していたチンピラ宇宙人だっていたくらいだしね」
「確かにな」
「一応警戒はしておくか」
「ええ」
柳生と葛城と斑鳩は同意してインカムを耳に着ける。雲雀も一応インカムを着ける。が、飛鳥はーーーー。
「私は、伏井出先生を信じるよ。きっとあの人も良い宇宙人さんで、話せば分かりあえるよ。宇宙人さんだからって敵だなんて、そんなの決めつけだよ」
飛鳥は伏井出ケイを信じると言って、インカムを着けず、そのまま警備に戻った。
「ちょっとあーちゃん・・・・」
「飛鳥さんは優しいのが美点ですが、簡単に他人を信用し過ぎて、警戒心が薄い所がありますね」
「飛鳥の忍としての致命的な弱点だな」
やれやれと肩を落とす斑鳩と柳生の言葉に同意するように、小さく溜息を吐く理巧も、仕方ないから自分達で警戒しようと決め、全員が警備に戻った。
ーゼロsideー
演会は問題無く進んでおり、理巧達はバラバラの席に座りながら警備についていた。
伏井出ケイが自分の作品の事を話していたが、その物語は、ウルトラマンベリアルに都合の良い内容だった。
「正義の名の元に、輝きの騎士団を操り、宇宙の全てを支配したバルブ王に、勇者アガムは戦いを挑みます。しかし返り討ちに合い、反逆者として追放される。これが私のデビュー作、『コズモクロニクル~闇よ輝け~』のオープニングです」
それを聞いていたゼロは舌打ち混じりに不愉快な声を発する。
≪ベリアルの都合の良いように書き換えやがって!≫
「やはり、あの男が・・・・」
霧夜先生がコッソリゼロと会話しているが、講演は続いた。
「所で、初期三部作の中で人気の高いキャラクターと言えば、誰でしょう?」
「『輝きの騎士 ゾーラ』!!」
伏井出ケイのファンの1人の男性が立ち上がり、大声で叫び、他のファン達が笑い声を挙げる。
「ハハハ、そうです。悪役にも関わらず、ゾーラの人気はとても高い。勇者アガムと幾度も激しい戦いを繰り広げます」
≪『ゾーラ』・・・・俺の事だな≫
「(おそらくな)」
「ところがゾーラは、3作目、『コズモクロニクル~闇を美しく~』で、“死んでしまいます"」
「≪えっ!? 死ぬ?!≫」
霧夜先生とゼロが同時に声をあげて、近くのファンに静かにするように注意を受けた。
「(・・・・どういう事だ?)」
それを聞いていた理巧も、警戒心を更に上げる。
「そこで本日は、彼に代わる新しい『輝きの騎士』を考えてみたいと思います。そして、次の作品に登場させましょう」
伏井出ケイがそう言うと、会場から拍手が上がる。
「では、皆さんの中からどなたか1人、舞台に来ていただけますか? その方をモデルに、『輝きの騎士』を、作ってみます」
すると、会場から多くの人間が挙手すると、伏井出ケイは1人の男性を指名したーーーー。
「そちらの男性の方・・・・」
霧夜先生だった。
「っ!」
「是非此方に・・・・」
その時、伏井出ケイの目に怪しい光が宿ったのを、霧夜先生とゼロは勿論、理巧と感応能力が高い雲雀も感じた。
ー柳生sideー
「うぅ・・・・!」
「雲雀? どうした?」
「や、柳生ちゃん・・・・。あの人、理巧くんの言うとおり、何か恐い・・・・!」
「っ!」
柳生が直ぐ様インカムで理巧に連絡する。
「理巧・・・・!」
《分かっている。だが、ここで騒ぎを起こすのはマズイ。一般人が多いんだ。・・・・おじさんとゼロが動くようだ。みんな、何が起きても良いように、準備をして》
飛鳥を除いた柳生達は、了解と返事をした。
ー霧夜先生sideー
≪面白れぇじゃねぇか。霧夜、身体借りるぜ≫
「(分かった。油断するなよ)」
霧夜先生からゼロに替わると、ゼロは席から立ち、他のファンの人達が拍手をする中、舞台へと向かった。
ー理巧sideー
「頑張って!」
呑気に拍手する飛鳥だが、理巧は警戒心を解かずに舞台を睨んだ。
ーゼロsideー
舞台に立ち、伏井出ケイと向き合うゼロ。
「ありがとうございます。お前は?」
「フン。霧夜だ」
「ウンウン。では霧夜さん。先ず、握手を・・・・」
「フッ」
握手を求めて手を差し出した伏井出ケイの手を、ゼロは掴んだ。すると、伏井出ケイは観客に顔を向けて声を発する。
「私はいつもこうして想像します。目の前の人の手の感触。匂い。息づかい。そこからどんなキャラクターが生まれるだろうか、失礼・・・・」
伏井出ケイはゼロの耳元に顔を近づけ、小さな声でーーーー。
「“やっと会えましたね。ウルトラマンゼロ"」
「≪っっ!!≫」
ゼロと霧夜先生が伏井出ケイの横顔を睨む。
「動かないで、このままで」
「お前は何者だ・・・・!?」
「これから“ある事"が起こります。貴方は決して動いてはいけない。私に従ってください。良いですね?」
「≪っっ・・・・・・・・≫」
ゼロと霧夜先生の勘が言った。「コイツは危険だ」と・・・・。
伏井出ケイはゼロが動かないのを確認すると、顔を離し、観客に作り笑みを浮かべた。
「う~ん、成る程。貴方は学校の先生ですねぇ。普段は厳しくも優しい先生だ。あ! 新しい登場人物は、学校の先生にしましょう。彼は何が切っ掛けで、『輝きの騎士』となるのか・・・・」
伏井出ケイの様子に、ゼロと霧夜先生、そして理巧と飛鳥を除いた四人が見据える。
「何か、アイディアはありませんか?・・・・フフッ、いきなり聞かれても困りますよね。ではこうしましょう。私は、貴方の『敵役』です。そして貴方にこう脅す・・・・『動くな。動けばこの建物ごと集まった人間を吹き飛ばす』」
≪「「「「「「っっっ!!」」」」」」≫
冷酷な雰囲気となった伏井出ケイに、ゼロ達に緊張が走る。
「『焼き尽くす』」
「お前はどうなる?」
「迫真の演技良いですねぇ。勿論!・・・・『私は無事です』」
「目的は何だっ!?」
「『目的は、お前だ!』」
そう言って、霧夜先生を、正確に言えば、ウルトラマンゼロを指差した。
「(おじさん、いや、ゼロかっ!)」
理巧は身構え、それを見た斑鳩達も身構える。伏井出ケイは霧夜先生を指差したまま続け、指差した手をきつく握る。
「『お前の中にはゾーラの魂が宿っている。その魂を、肉体ごと滅ぼしてやる!』」
「・・・・・・・・!!」
ゼロが目を険しくすると、それを愉快そうに嗤う伏井出ケイ。
周りの観客達は完全に演技だと思って楽しんでいた。
ー飛鳥sideー
「ね、ねぇりっくん。何かおかしくないかな?」
流石に飛鳥も、ゼロと伏井出ケイが演技をしているように見えなくなってきたのか、理巧にソッと話しかける。
「おかしいどころじゃない。僕達はどうやら、『罠』に嵌められたようだ・・・・!」
理巧は険しい視線を伏井出ケイに向け、飛鳥は他のみんなを見ると、斑鳩も葛城も、柳生も雲雀も、苦い顔色で伏井出ケイを睨んでいた。
ー霧夜先生sideー
伏井出ケイはにこやかな笑みを浮かべて、観客達に目を向ける。
「でもみなさんご安心を、『逆転の一手』を用意しています・・・・」
「なっ!」
≪っ!≫
「あ、あれって?!」
「まさか!?」
「マジかよっ!?」
「ウソっ!」
「くっ!」
「やっぱり、ヤツが・・・・!!」
そう言って、伏井出ケイが取り出した『カプセル』を見て、ゼロと霧夜先生、飛鳥達が驚愕し、理巧は確信を得た。
それはーーーー『シビルジャッジメンター ギャラクトロン』の『怪獣カプセル』だったからだ。
「これは、次の作品に出すアイテムの模型です」
観客達はよもやそれが本物と思わず、感嘆の声をあげる。
「これを使う事で、平凡な先生が『輝きの騎士』に変身ができます」
伏井出ケイがそう言うと、観客達はさらに大きな声をあげる。
ー理巧sideー
「もしかして、伏井出先生が、本当に・・・・!」
「あぁ。間違いない。ヤツが蛇女を、道元を操っていた『黒幕』だっ!!」
理巧がそう叫ぶと、伏井出ケイはニヤリと笑みを浮かべ、ギャラクトロンの怪獣カプセルを起動させた。
『キュォォン!!』
伏井出ケイがスーツの上着を翻すと、装填ナックルにギャラクトロンのカプセルを装填させるとーーーー。
「ジ、ジードライザーっ!?」
そう。理巧と同じジードライザーを取り出し起動させるとーーーー。
「さぁ、新しい騎士の、誕生です」
「やめろぉぉぉっ!!」
「っ!!」
『っ!!』
ゼロが叫びと同時に、理巧と飛鳥達が席から立ち上がり、ステージに向かって飛び出そうとするがーーーー。
[ギャラクトロン]
ジードライザーの中心のカプセルが緑色の光が発光し、理巧のライザーとは違う音声が響き、目映く輝くと、伏井出ケイがライザーを虚空に突き出す。すると光が会場を包むほどに輝く、理巧達や周りの観客達が目を瞑り、光が収まって目を開けると。
《理巧っ! みんなっ! 外を!!》
ペガからの通信で外を見ると、緑色の光が天に昇り、魔法陣が展開されると、ソコから白いボディに長い髪を束ねた人型の竜のような容貌をしたロボット怪獣、『シビルジャッジメンター ギャラクトロン』が現れた。
『キュォォン!!』
瞳と腹部が赤く発光し、起動すると、ソナー音のような声を発した。
腹部から破壊光線・『ギャラクトロンスパーク』を放つ、当たった地点から魔法陣が展開され、連鎖して爆発が起こった。
チュドォォォォォォォォォンン!!
「・・・・・・・・」
その様子を見て、伏井出ケイは笑みを深くした。
「みんな逃げろっ!!」
理巧が叫ぶと、観客達が泡食って逃げようとする。
「落ち着いて! こっちに来るかもしれません! 落ち着いて!」
いけしゃあしゃあと叫ぶ伏井出ケイに、ステージについた理巧達。
斑鳩が飛燕を抜刀しようとし、葛城を蹴りこもうと踏み込み、柳生も番傘を構えようとするが、ゼロが3人をひき止めた。
「何でだよ!?」
「録られてるんだよ。講演会の記録用のカメラで!」
「流石は察しが良いですねウルトラマンゼロ。勇ましいだけしか能の無いお嬢さん方とは年季が違う。今ここで私を倒せばあの怪獣は止まるかもしれない。しかし貴女方は、著名で善良な小説家に危害を及ぼした。『悪忍』になりますねぇ?」
「「「っ!!」」」
伏井出ケイの言葉に、3人は武器と構えを解いた。
「伏井出先生、貴方が、焔ちゃん達を利用した黒幕なの?」
「・・・・プッ、フフフフ・・・・おやおや? ここまで状況を見てまだそんな事にも気づかないとは、少々、いやかなり察しの悪いお嬢さんですねぇ? それでも伝説の忍の孫なのですか?」
「~~~~っ! 忍(ガシッ)っ!! りっくん・・・・! 」
明らかな嘲弄の笑みを浮かべ、侮蔑の笑いを堪えているような伏井出ケイの様子に、飛鳥は漸く、理巧とゼロの言っていた事が正しかったと理解し、怒りや恥ずかしさで顔を赤くして、二刀を取り出し忍転身しようとするが、理巧に肩を捕まれて止められる。
「ここで忍転身なんてしたら、忍の存在が明るみに出る。それに、どうやら敵だらけのようだ・・・・」
理巧が観客がいなくなった観客席に視線を向けると、空中にディスプレイが展開され、ソコには会場から脱出できず騒いでいる観客達と、その観客達の後方に控えている他の警備員達が映されていた。
すると警備員達の顔が一瞬、異形の顔に変わった。ピット星人にゴドラ星人、ボーグ星人にシャプレー星人と言った異星人達だった。
「あ、あれって・・・・!」
「あぁ言い忘れていました。ここにいる警備員はみんな、私が雇った宇宙人のみなさんです。あなた方が私に危害を加えれば、彼らが観客のみなさんに何をするか、そんな事も解らないほどの程度の低い知能を持っていない事を祈りたいですね?」
「っ~~~~~!」
今度は無関係の観客達を人質にした伏井出ケイに、飛鳥達は悔しそうに歯噛みするしかなかった。
伏井出ケイはそんな一同を見ると、懐から今度は、1つの『コピークリスタル』を取り出し、ソコに新たな『怪獣カプセル』を起動させる。
「あぁ言い忘れていましたが、記録用のカメラは全て、あなた方だけを撮していますから、私の姿は映されていないのですよ。だから、こういう事もできる・・・・!」
「『コピークリスタル』!!」
『ピギュゥゥゥ!!』
「フフフ・・・・」
伏井出ケイは『コピークリスタル』を転送させると、ギャラクトロンの頭上に、新たな怪獣が現れた。
円盤のような形から、長い金の機械の身体でとぐろを巻いた龍の頭をした怪獣・『宇宙竜ナース』。
『ピギュゥゥゥ!!』
ナースが鳴き声を上げると、円盤形態のまま円盤下部から破壊光線を放ち、街を破壊する。
「さらに、登場です」
伏井出ケイはさらに2つの『怪獣カプセル』を取り出した。1つは『ダークロプスゼロ』、もう1つは、金色のロボットが描かれたカプセル。
「っ! 『キングジョー』かっ!?」
[ダークロプスゼロ]
伏井出ケイはダークロプスゼロのカプセルを装填ナックルに入れ、ライザーで読み込むと再び虚空に突き出すと、光が飛び出し、ギャラクトロンの隣にダークロプスゼロが現れ、『ダークロプスゼロスラッシュ』で街を破壊する。
「まだまだですよ」
[キングジョー]
今度はキングジョーのカプセルを装填し、『宇宙ロボット キングジョー』を召喚した。
『ーーーーーーーー』
キングジョーはグワンッ、グワンッと、駆動音を鳴らしながら、破壊光線・『デスト・レイ』を放った。
「よ、4体のロボット怪獣・・・・!」
「なんだよ、この滅茶苦茶っぷりはよ・・・・!」
「くっ・・・・ゼロ行こう! 奴らをスクラップにするんだ!」
「~~~~!」
理巧がそう言うが、ゼロは動けずにいた。
それを見て伏井出ケイが口を開く。
「どうやら『戦士の勘』が言うんでしょう。あの怪獣達は強い。今の彼の力では戦っても勝てる訳ないと。さあどうします?」
「~~~~!」
伏井出ケイの言葉がその通りのようなのか、ゼロは拳をきつく握る事しかできなかった。
「・・・・ゼロ。奴らは僕がガラクタにする!」
「おっと、お待ちを」
「っ!」
そう言って、駆け出そうとする理巧だが、伏井出ケイの声にビクッと身体を震わせつつも振り替える。
「幾つか“条件"を出しますよ。それを貴方が守らなければ、観客がどうなるか・・・・分かりますね?」
「っ・・・・“条件"はなんだ?」
「これから貴方は一つの形態で戦ってください。それも、蛇女の忍達から回収した『ウルトラカプセル』での新たな形態で」
「・・・・良いだろう」
「りっくん!!」
「「理巧くん!!」」
「「理巧!!」」
何のつもりか分からないが、理巧は伏井出ケイの“条件"を飲むと駆け出し、窓を蹴破って外に飛び出し、ジードライザーを取り出した。
「明らかにこれも罠だろうが・・・・! ジーっとしてても、ドーにもならない!!」
理巧は伏井出ケイの思惑が気になっていたが、『ジードライザー』を構え、カプセルホルダーから、『ウルトラマンレオカプセル』のスイッチを押して起動させる。
「融合!」
ィヤーッ!
カプセルから赤い光の線が幾つもの放たれ、『ウルトラマンレオ』の姿が現れ、カプセルを装填ナックルにいれる。
「(春花さん。使わせてもらう!) アイ・ゴー!」
カプセルホルダーから『アストラカプセル』を持って起動させると、青い光の線が幾つもはなたれ、『アストラ』の姿が出現した。
ヤー!
『アストラカプセル』をナックルに装填し、ジードライザーのスイッチを押して起動させた。
「ヒア・ウィー・ゴー!!」
装填したナックルを取り外し、ジードライザーにスキャンさせる。
ドクンッ! ドクンッ!
ジードライザーの中央のカプセルに、赤と青の光が交差するように交わる。
[フュージョンライズ!]
「滾るぜ、闘魂!! ハァアアア・・・・っ!」
理巧はジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押した。
「ハァッ! ジイィーーーーード!!」
ライザーのカプセルが回転し赤く輝き、理巧の身体が青く輝く。
[ウルトラマンレオ! アストラ! ウルトラマンジード!! リーオーバーフィスト!!]
ウルトラマンレオとアストラの姿が合わさり、燃えるよつな赤い光の戦士となった。
『イヤァーッ!!』
赤い炎の中から、『ウルトラマンジード リーオーバーフィスト』が飛び出した。
次回、これまで全勝してきたジードが遂に・・・・!