閃乱ジード   作:BREAKERZ

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第2話スタート。


半蔵学院とリトルスター
編入したぜ、半蔵学院


ー飛鳥sideー

 

「(えっ? まさか・・・・)『りっくん』・・・・?」

 

「・・・・・・・・?」

 

飛鳥は木の上から、『初恋の少年』の名前を呟くが、その少年は、飛鳥を一瞥すると、すぐに歩き去って、校舎の角を曲がっていった。

 

「あっ・・・・!」

 

飛鳥は人目につかないように、木の上を跳びながら追いかけたが、少年の曲がった角を見ると、少年の姿は無く、行き止まりだった。

 

「りっくん・・・・だった、のかな?」

 

よく思い返してみれば、記憶の中にいる『初恋の少年』は、『綺麗な赤い髪と瞳』をしていたが、さっきの少年は『赤』と言うよりも、『緋色』だったので、人違いだったのかと思い、自分の所属する教室に向かった。

 

 

 

ー理巧sideー

 

理巧は角を曲がると、一瞬で跳んで、屋上に着くと、先ほど自分を見ていた少女を見下ろしていた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

『理巧、あの娘の事、知ってるの?』

 

理巧の足元の影から、ペガがヒョッコリと現れた。

 

「さぁね?」

 

『さぁね?って、あの娘は理巧の事知っているようだったよ?』

 

「知らんもんは知らんよ。それよりもペガ。これから霧夜おじさんの所に行くけど、ちゃんと隠れておいてよ」

 

『うん』

 

ペガが引っ込むのを確認した理巧は、2日前の出来事を思い返していたーーーーーー。

 

 

 

* * *

 

 

2日前ーーー。

 

電話を終え鷹丸達を待っていた理巧は、一度レムに連絡して基地に戻り、ペガを影に隠して、リュックを持って公園に戻り、装填ナックル以外をリュックに入れて、数十分ほど待つと、待ち人達が来た。

 

自分を拾って育ててくれた『戦部家』の家長である、『戦部鷹丸』。

鷹丸の奥さん達であり、理巧にとって師匠とも呼べる『ハルカ』、『ナリカ』、『スバル』の三人。

 

「鷹丸さん、ハルカさん、ナリカさん、スバルさん・・・・!」

 

「理巧、無事で何よりだ」

 

鷹丸達と再会を喜んでいると、ふいに理巧達に近づく1人の初老の男性。

顔は少し老けてシワが現れ、背広を着こなした精悍な顔つきだった。

 

「よぉ理巧、久しぶりだな」

 

「“霧夜のおじさん”?」

 

その人物は、鷹丸達の友人の『霧夜』。

鷹丸達とは友人関係で、中学時代最後の一年、二年間の出来事で不登校になることになった(学校側から許可されている)理巧の家庭教師をしてくれていた。

最初の頃、理巧は霧夜をまるで信用しておらず、無愛想な態度を取っていたが、霧夜は根気強く理巧と接し、少しずつ信用されるようになり、それなりに良き関係になっている。

 

「お久しぶりです。・・・・ところで鷹丸さん。“忍者を目指せ”ってどういう事ですか?」

 

「まあそれは比喩だからな。本気にしなくていい」

 

「というか、この現代社会に忍者なんているんですか?」

 

理巧がウロンげに鷹丸達を見ると、ハルカとナリカとスバルが、一瞬で露出の少し高い忍び装束を着ていた。

ハルカは黄色の、ナリカは赤、スバルは青のカラーリングで。

 

「・・・・・・・・・戦隊ヒーローのバイトでもするんですか?」

 

「アホ、違うわよ。これが私達の忍び装束なのよ」

 

一応ボケてみた理巧に、ナリカがツッコミをいれると、理巧はマジマジと三人を見た。

 

「う~~ん。つまりハルカさん達は本物の忍者、『忍び』で、その『半蔵学院』は表向きは都内有数のマンモス進学校であり、裏では忍びを育成している機関って事ですか?」

 

「本当にお前は察しが良いな。・・・・半蔵学院は、政府から要請される『要人の警護』、『反社会的組織の情報収集』等、それらを行う忍びは『善忍』と呼ばれており。逆に『暗殺』や『破壊工作』等を行うのは『悪忍』と呼ばれているのだ」

 

忍び装束を見て推察する理巧に、スバルが肩を竦めながら説明した。

 

「『善忍』と『悪忍』。・・・・ダジャレですか?」

 

「まあそこは深くツッコムな・・・・」

 

スバルの説明を聞くと、理巧は『善人と悪人』を、『善忍と悪忍』と、あまりに安直な呼称に半眼でツッコムが、霧夜が苦笑いを浮かべる。

 

「でも鷹丸さん。前から編入させるつもりだったって、どういう事ですか?」

 

「あぁ理巧。お前、学校生活疎かにしているだろう?」

 

「・・・・・・・・えぇまあ」

 

歯切れの悪い理巧の返答に、鷹丸は後頭部を掻き、ハルカ達は心配そうな顔色を浮かべ、霧夜も顔をわずかに伏せる。

中学時代に理巧が受けた『悲惨な体験』が、理巧が学校生活に消極的にさせているのは理解している。

元々理巧は高校にも通わず、中学を卒業したらすぐに働くつもりだったが、鷹丸達や霧夜の説得で、“かなり渋々”と承諾したのだ。

 

「お前が学校をあまり好きじゃないのはわかっている。だからバイトする事も許したし、これまで目をつぶってきた。・・・・だが、そろそろお前も作ってみたらどうだ?」

 

「・・・・『友達』、ですか?」

 

「いや、『仲間』だよ」

 

「『仲間』・・・・? そんなの必要なんですか?」

 

「必要かどうかは理巧君、貴方自身の目で見定めてみてください」

 

色々納得できなかったが、鷹丸やハルカ達の言うことだから不承不承ながらも、了承した。

 

「ところで理巧。お前その髪、どうした?」

 

「えっ?」

 

理巧が鷹丸の言葉に首を傾げると、ナリカがスマホのミラーアプリで理巧の頭を見せると、『赤い髪の毛』が、『緋色の髪の毛』になっていた。ついでに瞳も髪と同じ緋色となっていた。

 

「・・・・何これ?」

 

 

 

 

戦部家の家自体は無事だったが、まだスカルゴモラが歩いた影響で、周りの建物やライフラインが破壊されたので、危険の為、立ち入り禁止区域となり、鷹丸達は仕事先である“保険会社”の寮に住むことになり、理巧は理巧で、半蔵学院の寮(1人部屋)に住むことになった。

鷹丸達と別れた理巧は、霧夜に連れられて半蔵学院の寮の部屋に着くと、他に仕事がある霧夜とその場で別れた。

そのまま理巧はレムに連絡し、その部屋から秘密基地のエレベーターに乗り、基地に到着すると、実家の自室にエレベーターで赴き、ソファとテーブルを持ち込んで基地内部のホールの端に置き、ソファに座って人心地に着いた。

 

「レム。この髪と瞳はなんなんだよ?」

 

『おそらく、ウルトラマンに変身したことにより貴方の細胞が活性化したことにより、髪と瞳が変色したと推察します』

 

「唯でさえ目立っていたのに、これじゃまた目立つよ」

 

辟易としながら理巧は、空中ディスプレイに表示されたニュース速報を見ていたが、テレビは勿論、ネット上でも巨人<ジード>と怪獣<スカルゴモラ>の話題で持ちきりだったが。

 

《先日出現した巨大生物に対し、『怪獣』と言う呼称を用いることが、本日正式に決定されました。6年前に出現したとされる個体との関連は・・・・》

 

「(『6年前』・・・・確か、僕はその時・・・・)」

 

《怪獣と対峙した巨人に関しては、『クライシス・インパクト』時に撮影された存在ではないか、との見方も有ります。しかし、当時を詳細に記録した映像は残っておらず、実証するのは困難と言わざる得ません》

 

「・・・・レム、消してくれ。少し寝たい」

 

『畏まりました』

 

テーブルに置いた駄菓子を食べていた理巧は、少し眠たくなったのか、レムにニュースを消してもらった。

 

『理巧、それでどうするの? 半蔵学院の事や、ウルトラマン事とか・・・・?』

 

ペガの質問に、毛布を持ってきた理巧はソファに横になり、ペガの質問に素っ気なく答える。

 

「ん、別に、正直『忍び』も、『ウルトラマン』も、興味無いんだよな・・・・」

 

『え? 戦ったのに?』

 

「あの時は鷹丸さん達が危ないと思ったからだよ。鷹丸さん達以外がどうなろうと、僕には関係無い。それに、世間はジードに対してあまり良い感情を持ってなさそうだしな。なあレム?」

 

理巧の質問に、レムは事務的に返答した。

 

『ネットの記事によれば、理巧と『ベリアル』を同一視して、脅威と感じている人の割合いは、全体の75%、世間は貴方に、“脅えている”、と判断して良いでしょう』

 

「な。面倒な事には関わらない方が良いに決まっているよ。レム、寮にある僕の部屋の半径50メートル以内に誰か来たら教えてくれ、鷹丸さん達か霧夜おじさんだったら特にな」

 

『承知しました』

 

『・・・・理巧、折角ヒーローになれるのに、本当に良いの?』

 

「言っただろ、忍びも、ウルトラマンも、ヒーローも、興味無いって・・・・さ・・・・」

 

そのまま理巧は、半蔵学院の制服や教科書やらを届けようと、霧夜が訪れる三時間位は熟睡していた。

 

 

* * *

 

 

そして現在、校舎の中の職員室で霧夜と合流した理巧は、そのまま“教室”に向かおうとしていたが、途中で人気のない廊下に出ると、案内していた霧夜が振り向く。

 

「理巧。ちょうど良いから少し、“遁術”を見せてくれないか?」

 

「良いですけど。あれって結構集中力がいるんですよね・・・・」

 

理巧は目を閉じて集中する。すると、霧夜は驚愕で目を少し剥いた。

なんと、理巧の身体が、透き通るように見え、気配がまるで無くなり、廊下の風景と一体となったように錯覚した。

さながら風景に溶け込むカメレオンのように。

 

「(ほぉ、これはスゴいな。気配どころか己の存在そのものを希薄にし、自然と一体になったように姿をくらます。『隠遁の術の極意』とも言える境地に立っている。“あの三人”が贔屓目無しで、才のある子と称するのも頷けるな)」

 

これから行く“忍びの教室”にも、『天才』はいるが、目の前の理巧と手合わせればどうなるか、霧夜は年甲斐もなく心を踊らしていた。

 

「よし理巧。そのままの状態で俺に付いてきてくれ」

 

「(コクン)」

 

集中している理巧は頷くと、歩き出した霧夜の後に付いていった。

 

 

 

 

それから、“教室”に着いた理巧は、霧夜に、先に行けと言われ、“教室”に入ると、“先ほどの少女が金髪の少女に胸を揉まれている光景”に出くわした。

 

「(・・・・なんだこれ?)」

 

『(理巧、なんなんだろう?)』

 

あまり関わり合いたく無いと即座に思った理巧は、ちょうど少女達の輪の後方の壁に持たれると、“教室”の壁がクルリと回転し、壁から“桃色の髪を短くツーテールにした花の模様の瞳の少女”が倒れ、持っていたお菓子をぶちまけていた。

 

「(今度はなんだ?)」

 

『(あっ、あのお菓子、ペガも食べたかったやつだ)』

 

「あ~、いった~い・・・・!」

 

「はぁ、朝っぱらからなにしてんだよ『雲雀』」

 

金髪の少女に『雲雀』と呼ばれた少女は、四つん這いになってお尻をさすりながら、笑顔で顔をあげる。

 

「遅刻しそうだっからなんか勢いがついちゃって。あっ! 『飛鳥』ちゃんおかえり!」

 

「ただいま、『雲雀』ちゃん!」

 

「(さっきの娘、『飛鳥』って言うのか・・・・ん? どっかで見たような??)」

 

「昇段試験、合格したんでしょ?」

 

「うん!・・・・まぁ、試験合格目前で、目の前に怪獣が現れた時は、走馬灯が走ったけどね・・・・」

 

「えっ?! 飛鳥ちゃん、怪獣の目の前にいたの!?」

 

「おいおい大丈夫だったのか?」

 

「・・・・・・・・」

 

金髪の少女と、近くの席に座っていた“黒い長髪の少女”も、飛鳥の言葉に耳を傾ける。

 

「うん。ちょうど怪獣が手を振り下ろそうとしたとき、巨人さんが助けてくれたんだよ!」

 

「あっ! あの目がちょっと恐い巨人さんなら、雲雀も見たよ!」

 

「雲雀ちゃんも!?」

 

「(・・・・・・・・そうか、あの時の露出狂か?)」

 

理巧もスカルゴモラを倒した直後に、胸元を晒した少女が、目の前の飛鳥と呼ばれる少女であると、思い出した。

 

「無事で良かったね~」

 

「ありがとう!」

 

和気藹々と話をする一同に、冷静な声が響いた。

 

「雲雀は人の無事を喜ぶ前に、自分の心配をした方が良いぞ」

 

近くの壁に設られた椅子に、いつの間にか“白髪のツインテールに眼帯をした少女”が、干しイカをくわえてそこにいた。

 

『(あれ? あの娘いつからあそこに!?)』

 

「(ん? 『雲雀』って娘が来たのとほぼ同時にいたぞ)」

 

ペガは驚いていたが、理巧は最初から分かっていたように冷静だった。

そんな二人に、“教室”にいる少女達はまるで気づかず話を続ける。

 

「良いの良いの! 飛鳥ちゃんが無事で、雲雀は嬉しいの!」

 

「『柳生』ちゃん!? いつからそこに!?」

 

「気配を殺すのは忍びの基本だ」

 

「あ、はははは、そうだよね・・・・」

 

「はぁ、まったくどっちが上級生かわかんねぇな」

 

「でも柳生ちゃん、一年生なのに段位が私より上だし・・・・」

 

「だって柳生ちゃん、『天才』だもん!」

 

金髪の少女に呆れられながら、飛鳥は苦笑いを浮かべ、雲雀は柳生を『天才』と呼び、柳生は興味なしな態度でクールにイカをくわえていた。

 

「あ、そういえば聞いて飛鳥ちゃん。雲雀最近ね、おかしな事が起こっているんだよ」

 

「おかしな事?」

 

「うん。この前カップアイスを食べようとしたらね、“アイスが溶けちゃってたの”!」

 

「えっ? それって、ただ時間が経って溶けちゃったんじゃないかな?」

 

「違うよ~。だってコンビニで買ってすぐに開けたら、溶けてたんだよ」

 

「う~ん。コンビニの冷凍庫が故障してたんじゃないかな?」

 

「そうかな~? 雲雀が後で店員さんに交換してもらったら、冷凍庫は何とも無かったって言ってたけどな~?」

 

「(・・・・・・・・・・・・)」

 

理巧は雲雀に起こった奇妙な出来事に、少し興味を抱いた。

すると、少女達の足元にいつの間にか置かれた玉が破裂すると、煙が上がり、少女達が驚くと、煙の中から霧夜が現れた。

 

「全員、揃っているな」

 

霧夜がそう言うと、今まで我関せずだった黒髪の少女が立ち上がり、飛鳥達と並んで、ともに霧夜に礼をした。

 

「霧夜先生。おはようございます」

 

「うん。飛鳥」

 

「はい!」

 

「ご苦労だった。怪獣が出現したにも関わらず、試験合格は快挙だ」

 

「いえ、それほどでも・・・・それに、怪獣が暴れているとき、何も出来ませんでしたし・・・・」

 

「しかし合格は合格だ。更なる精進を期待する」

 

「はい!」

 

元気良く返事をする飛鳥に、霧夜は頷くが、すぐに呆れ顔になり、飛鳥達は首を傾げた。

 

「と、言いたい所だが。お前達、気が緩んでいるんじゃないか?」

 

「・・・・どういう事ですか?」

 

気が緩んでいると言われ、黒髪の少女は、目を少し鋭くする。

 

「はぁ・・・・さっきから“ソコにいる坊主”に気がつかないのか?」

 

霧夜が指差す方向を見た飛鳥達は、驚愕に目を見開く。黒髪の少女と柳生も驚愕した。

 

何故ならば、さっきまで誰もいなかった壁に寄りかかるように、『色鮮やかな緋色の髪をした少年』が無表情に立っていたからだ。

ちなみに理巧の貌は結構整っており、ハルカ達曰く、笑えば可愛い系のイケメンとの事。

 

「えっ、誰だ!?」

 

「・・・・いつからソコに・・・・?」

 

「バカな・・・・! 俺が気配を察せなかっただと・・・・!?」

 

「えっ? あの人・・・・!」

 

「うわ~。綺麗な髪の毛・・・・」

 

金髪と黒髪は驚愕し、柳生も目を剥くが、飛鳥はさっきの『初恋の人と間違えた少年』に驚き、雲雀は理巧の鮮やかな緋色の髪を見て、感嘆とした。

そんな生徒達に構わず、霧夜は理巧に近づき、肩に手を置いた。

 

「コイツは今日からこの教室でお前達と『忍び』を学ぶ事になった。俺の知人の子でな。名前は、理巧。暁月理巧だ」

 

「・・・・暁月理巧です。よろしく」

 

「えっ?!」

 

『ん?』

 

突然驚きの声を上げた飛鳥に、一同が目を向けるか、飛鳥は理巧に近づく。

 

「あの、もしかして、『りっくん』・・・・??」

 

「・・・・・・・・・・・・・どちら様ですか?」

 

「えっ? わ、私だよ! 飛鳥だよ! 小学校五年生から六年生まで、ずっと一緒だった!」

 

「・・・・・・・・スミマセン。よく覚えていません」

 

「そ、そんな・・・・! 酷いよりっくん!!」

 

「あ、飛鳥ちゃん!」

 

「おい飛鳥!!」

 

飛鳥は涙目になると、教室を出ていき、雲雀と金髪の少女が後を追い、黒髪と柳生も、飛鳥が走り去った所に目を向ける。

 

「理巧。飛鳥と知り合いだったのか?」

 

「はて? 小学校の頃の記憶って、あんまり思い出せないんですよね。中学の頃の記憶が鮮烈過ぎて・・・・」

 

「そうか・・・・」

 

理巧の身に起こった事を知っている霧夜は、それ以上言えなかった。




第2話・第1部 終了です。
次回でリトルスターと出会いたいですね。
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