閃乱ジード   作:BREAKERZ

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お久しぶり!


デートだぜ、月閃女学館

ー理巧sideー

 

「それじゃ行きますか、雪泉さん?」

 

「・・・・・・・・は、はい」

 

理巧は月閃の制服に着替えた雪泉と一緒に、渋谷にデートに来た。そうーーーーデートに来たのだ。

親の鷹丸達が聞けば、お赤飯を炊きあげるくらい喜ぶだろう。

が、そんな2人の後方ではーーーー。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

ーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!

 

『あわわわわわわわ・・・・』

 

飛鳥達半蔵学院、焔達焔紅蓮隊が、凄まじい怒気を放ちながらそんな二人を見つめ、ペガと叢と夜桜、四季と美野里がそんな十人の怒気を近くで感じて怯えていた。

さて、どうしてこんな状況になったかと言うと話は数時間前に遡りーーーー。

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

【わ、私と・・・・・・・・結婚してくださいっ!!!//////】

 

【・・・・・・・・マジで?】

 

事の始まりは数時間程前。

雪泉の突然の求婚に呆気に取られてしまった理巧。

 

【『ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』】

 

と、そんな一同に響く声に顔を向けると、飛鳥達と焔達が来ていた。

 

【あれ? 皆?】

 

【け、けけけけけ、結婚って、どういう事なのっ!?】

 

【そ、そうです! ま、まだ理巧くんは結婚できる年齢ではありませんよっ!】

 

【アタイはまだ理巧のお尻をたっぷり味わっていないんだぞ!】

 

【許さん・・・・! 絶対に許さん・・・・!】

 

【ダメダメダメダメ! 結婚はダメだよぉ!】

 

【先に唾を付けたのは私ら紅蓮隊だぞ!】

 

【後からしゃしゃり出てきて何を言ってるんですの!】

 

【・・・・・・・・】

 

【理巧は絶対に渡さないわよ!】

 

【事故でのキス一回で結婚なんて決められたくないわね】

 

半蔵学院の善忍と紅蓮隊の悪忍が反対の意見を出して猛抗議だった。日影は何も言わないでいたが、その目には凄まじい怒気を放っている事に、理巧は気づいていた。

 

【し、しかし、私達月閃としても、このまま引き下がる訳にら、いかないのです・・・・!】

 

【り、りっくんは、どうするの・・・・!?】

 

【ふ~む。そうだなぁ・・・・】

 

理巧は鞄からチョコバーを取り出して中身を袋から少し出すと、月閃の美野里に向かって差し出す。

 

【っ・・・・!】

 

美野里はそれを見ると、パァッ、と笑顔を見せる。その場にいた全員が、彼女にリスの耳と尻尾が生えたように見えたのは、おそらく目の錯覚ではないだろう。

 

【・・・・・・・・】

 

【(キョロキョロ、キョロキョロ)】

 

理巧はチョコバーをフリフリと、まるで小動物に見せるように振ると、美野里の視線と顔がチョコバーに釘付けになる。

 

【(チョイチョイ)】

 

【(パァッ!)】

 

理巧がもう片方の手でおいでおいでと手招きすると、美野里は理巧に近づき、チョコバーに顔を近づけ、スンスンと臭いを嗅ぐと、理巧がチョコバーを差し出し、美野里は口に入れてサクサクと頬ばる。

 

【う~ん、おいしぃ~】

 

【うん。良い子良い子】

 

頬を緩ませて頬ばる美野里の頭を理巧は優しく撫でていた。

 

【『って! 何調教してんの(されてるの)っっ!!』】

 

他の善忍と悪忍達が同時にツッコミを入れた。

 

【まぁこれは半分冗談としても、いきなり結婚とかどうしたの? 昨日は僕を始末するって言っていたのに】

 

【・・・・昨日、私達の祖父、『黒影』から、あなたを善忍側に引き入れろ。と、命が下りました。そ、それで、あなたを月閃の人間とする為に、私が、この身を捧げるつもりです!】

 

【・・・・一応だけど、僕、半蔵学院の生徒だから、善忍側じゃないの?】

 

理巧がそう言うと、雪泉はキッと飛鳥達と焔達を睨み付ける。

 

【悪忍と馴れ合うような忍を、私達は善忍と認めるつもりはありません!】

 

とキッパリ言った。

 

【そんなムグーーーー】

 

【飛鳥さん、抑えてください】

 

【話が進まねぇから黙っとれ】

 

飛鳥は文句を言いそうになったが、斑鳩が口を両手で塞ぎ、ちゃっかり葛城は、飛鳥の90センチ・Fカップを両手で掴んで揉んだ。

 

【・・・・それで、僕を善忍側である月閃女学館に引き入れようと?】

 

【ええ。ですが、正規のやり方で半蔵学院が納得するのも怪しいです。あなたは学院側としても、危険性はありますが有能な忍でありますからね。失うのは惜しいと考えるでしょうから】

 

雪泉の話を聞いて、斑鳩と柳生と春花がコッソリ話す。

 

【そうなのか?】

 

【まぁ理巧くんが以前、独断専行して蛇女に潜入したのは問題ですけど。それでも蛇女をたった1人で制圧したのは確かですからね】

 

【問題児であるけれど、それでも強力な戦力である事は間違いないからね。学院処か、善忍上層部も頭を悩ませているんでしょう】

 

と、三人の会話を聞き流しながら、理巧は話を続ける。

 

【つまり、僕が雪泉さんと結婚すれば、月閃に編入とはいかなくても、一応善忍側に引き入れる事ができるから、結婚しようって事ですか?】

 

【え、ええ・・・・ウルトラマンベリアルの関係者と疑われているあなたを、近くに置いて監視しようと言う思惑はあります。しかし、このままでは月閃女学館と半蔵学院の間で軋轢が生まれる可能性があります。『不可侵条約』を破った悪忍側が発言力を弱っている内に、善忍同士でいさかい等をしている場合ではないと、上層部は判断したようです】

 

【・・・・・・・・・・・・】

 

理巧は頬をポリポリと人差し指で掻くと、一度飛鳥達や焔達を一瞥し、

 

【二度目の作戦ターーーーイム!】

 

【認めます】

 

雪泉が認めたので、また円陣を組んで話し合いを始めた。

 

【りっくん。断るよね? 断るんだよね!?】

 

【断らなかったら今すぐお前を拉致って、私以外の女のお婿に行けない身体にしてやるからな!】

 

【・・・・・・・・断る前に、とりあえず彼女と少し行動しようと思うんだ】

 

【ホンマかいな】

 

【お前、あの92センチ・Gカップの色白美少女と本気で結婚するつもりか? ならその前に、お尻の初めてをアタイに捧げてからーーーー】

 

【そうじゃないよ。・・・・タイミングが良いと思わない?】

 

【タイミング?】

 

【何ソレ?】

 

理巧の言葉に首を傾げる一同に、理巧は詳しく説明する。

 

【僕達と蛇女子のいさかいは夏休み前に終わり、僕達は伏井出ケイの捜索で忙しいって時に、まるでこの状況を見計らったかのように、善忍のエリートである月閃女学館が動いた。この流れを偶然の一言で片付けるのは、少し乱暴だと思う】

 

ソコまで言って、何人かがハッとなった。

 

【まさか・・・・!】

 

【伏井出ケイは、月閃女学館に身を寄せている!?】

 

『【っ!!】』

 

詠と斑鳩の言葉に、残ったメンバーも驚いた。伏井出ケイが、善忍側に隠れているのではと、以前理巧が言った推察が、現実になったように感じた。

 

【で、でも理巧くん! 伏井出ケイさんは悪い人だよ! そんな人を月閃が匿うなんて・・・・】

 

【いや雲雀ちゃん。さっき雪泉さんが言っていただろう。『『不可侵条約』を破った悪忍側が発言力を弱っている』って】

 

【っ! つまり、今悪忍側は立場が弱くなった状態。そんな状況で、『コピークリスタル』や『怪獣カプセル』を所持する伏井出ケイが善忍側がいれば、隙を見て怪獣を召喚し、悪忍組織に大打撃を与える事ができる・・・・!】

 

【そう。霧夜おじさんが言うには、彼女達の祖父『黒影』は過激な正義を掲げているって聞いたからね。そう言った思想をした人間程ほど、どんな手段でも使う危険性があるし、伏井出ケイ自身は悪忍側じゃないから善忍側にいてもおかしくない。雪泉さん達がこの事を知っているかどうかは今はまだ分からないけど、僕が接触していれば、伏井出ケイか、『黒影』って人が何かしらのアクションを起こすと思う】

 

【そ、それじゃ、りっくん結婚するの・・・・?】

 

飛鳥が、いや他の皆が不安そうな顔となる。

が、理巧は小さく苦笑いをして口を開く。

 

【な訳ないでしょう。でも、伏井出ケイの手掛かりが来たんだ。こっちも捜索に行き詰まっていたし、せっかくのチャンスをフイにしたくない。・・・・と言う訳で】

 

円陣から離れた理巧は、律儀に待っていた雪泉に向けて口を開く。

 

【雪泉さん。僕はまだ結婚できる年齢ではないし、僕達まだお互い昨日今日と出会ったばかりですし、まだお付き合いでお願いします】

 

【お、お付き合い、ですか? そ、それは、いずれ私とーーーー】

 

【あ、いえいえ、まずはお付き合いをして、お互いの事を知ってから、結婚するかどうかを決めたいと思っているのでーーーーとりあえず雪泉さん】

 

「は、はい」

 

【僕とーーーーデートしませんか?】

 

『【は、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!??】』

 

 

 

 

* * *

 

 

 

そして現在に至る。

とりあえず浅草の町に赴いた理巧と雪泉は、雷門の出店で人形焼を食べる。傍目に見ると、夏休みに制服デートをしているカップルのように見えているのか、不審に想われなかった。

 

「これが人形焼、ですか。美味しいですね。それに、可愛い」

 

「ええ。いけますよ」

 

『(モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ)』

 

そんな二人から離れた位置で、飛鳥達と焔達、夜桜達も人形焼を頬張っていた。

今度はアパレルショップに行き、服を選ぼうとする。

 

「雪泉さんって、どんな服が良いですか?」

 

「えっ、わ、私は和服系が好きですから、こう言った派手な服は・・・・」

 

「勿体ない!」

 

「「(ビクッ!)」」

 

二人の間に入ってきたのは、ショップの店員らしき女性だった。女性は雪泉の手を取って熱弁する。

 

「勿体ない! 非常に勿体ないですよお客様! 花も恥じらう女子高生の乙女が! オシャレな服に興味を持たないだなんて! 勿体ないお化けが出てきますよ!」

 

「えっ? えっ?」

 

「こんなに素晴らしい素材なのに! 夏休みで彼氏とのデートが制服デートって! 青春っぽいですけど色気不足です! 当店でお洋服を見繕いましょう!」

 

「ちょっ、ちょっと待っーーーー」

 

「彼氏さん待っていてくださいね! 今彼女さんを魅力的にしてあげますから!」

 

「はぁ・・・・」

 

雪泉を無視して、女性店員は何着か服を持って、雪泉ごと試着室に入っていった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

もしかしたら月閃の者ではないかと警戒した理巧は、待っているフリをしながら、持ち前の聴覚で試着室の会話を聴いていた。

 

「はぁ~、お客様お肌綺麗ですねぇ~、シミ1つ無いまるで新雪のような白い肌。それにこぉ~んなに胸が大きく形も整っていて、ウェストはこぉ~んなに細くて、お尻もこぉ~んなに小さくて綺麗な形をしているのに、和服で隠してしまうなんて勿体ない!」

 

「ちょっ、ちょっと何処を触っているんですかっ!?」

 

「大丈夫です! お客様は天井のシミでも数えていて下さい! 私が綺麗に可愛くしてあげますから!」

 

「や、やめっ! 私、そっちの趣味なんてありませんから! は、初めては好きな人とって・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

理巧は武士の情けで聞かなかった事にしてあげた。

 

 

 

 

 

そしてアパレルショップを出た理巧の隣には、肩を出した白いワンピースを客用し、白いキャペリンハットを被り、まるで深窓の令嬢を思わせる格好になった雪泉だった。

ワンピースの胸元には豊満な胸の谷間が僅かに見え、ワンピース越しから見える抜群のプロポーション、清楚な服装に色気が入り、道行く男性だけでなく、女性まで見惚れてしまう上品な美しさがあった。

 

「注目の的ですね?」

 

「~~~~~~!!///////」

 

隣に立って歩く理巧にそう言われると、雪泉は顔を真っ赤にして俯く。

ちなみに、服の料金は理巧が立て替えた。

 

「屈辱です・・・・! こんな格好・・・・!//////」

 

「そうですか? 結構似合ってますよ。可愛いですし」

 

「~~~~~~!!////////」

 

雪泉はまた顔を真っ赤にして俯いた。

 

「・・・・雪泉さんは、納得しているんですか? 僕と結婚するって事に?」

 

「・・・・・・・・お爺様からの忍務でもありますし、それに、あぁあなた、私の唇を、奪ったではないですか・・・・!///////」

 

「まぁソコは確かに少しは責任感じていますけど。雪泉さん自身、結婚するなら、好きな人としたいでしょう? こんな忍務で人生の伴侶を決めるだなんて、悲しいと思いますよ?」

 

「それは・・・・」

 

雪泉も少し言葉を濁す。そんな雪泉に、理巧は言葉を続ける。

 

「まぁ、雪泉さんが『黒影』って人の為に行動する気持ちは分かりますよ。僕も養子の身なんで」

 

「えっ?」

 

「実の父親の事は話でしか、しかも悪い方の話しか聞いた事が無いし、母親に至っては名前すら知らない。そんな僕を実の息子のように大切にしてくれた。だから、『黒影』の為に忍務をこなそうとする気持ちは分かる。でも、雪泉さん自身を大切にして欲しいって思うんだ。結婚ってさ。やっぱりお互いにちゃんと想いあった人とした方が良いと思う」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

理巧の言葉に、雪泉は少し顔を俯かせた。

 

「・・・・・・・・それでも」

 

「ん?」

 

「それでも、私はお爺様から与えれた忍務をこなしたいです」

 

「そっか。それじゃ僕が言うには、1つかな」

 

「えっ?」

 

雪泉が首を傾げると、理巧は雪泉の前に出て、不敵な笑みを浮かべるように唇を上げて口を開く。

 

「女の子の忍、くノ一は色仕掛けによる籠絡も技術の一つと言いますからねーーーーオトしてみてくださいよ」

 

「ーーーー!! 望む所です!」

 

その不敵な態度に雪泉は視線をキリッとさせ、理巧もニヤリと笑みを浮かべると、雪泉の手を取った。

 

「ひょわっ!?///////」

 

突然の行動に、雪泉は顔を真っ赤にして奇妙な声をあげた。

 

「それじゃ行きましょう! デートはこれからなんですから!」

 

「ひゃ、ひゃい・・・・////////」

 

借りてきた猫のように大人しくなった雪泉の手を引っ張って、理巧は先へと進んだ。

 

 

 

 

ーペガsideー

 

『ふぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎっ!!!!』

 

『「「「うわぁ~~~~~」」」』

 

それを見ながら、飛鳥達と焔達が悔しそうに、羨ましそうに歯ぎしりをしていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

そして、その理巧と雪泉の様子を映像で眺めている二人。

 

「・・・・これは、あなたのお孫さんには少々荷が重いのかも知れませんね?」

 

「・・・・ふん。雪泉が難しいならば“他の娘達に任せるのみよ”」

 

何処かの日本庭園が広がる屋敷で、『伏井出ケイ』と『伝説の抜け忍 黒影』がそんな会話をし、『黒影』は、“雪泉の仲間達”を見て、そう呟いた。




次回、理巧が他の月閃生徒と!
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