閃乱ジード   作:BREAKERZ

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それが正義か、月閃!?

ー黒影sideー

 

「ーーーーかの少年が来る、か・・・・」

 

貧民街のとある建物の屋上にて、黒影は町を一望しながら、件の少年が来るのを待つ。

 

ーーーードクン・・・・!!

 

「ぐっ、うぅっ・・・・! この、オンボロの心臓め・・・・! あと少しもってくれ・・・・!!」

 

黒影は自分の胸を押さえて苦しそうに蹲り、懐から薬の入ったケースを取り出して、中からカプセル剤を二つほど手の平に乗せて飲み込むと、少ししてから心臓が収まった。

 

「ーーーーかはっ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

段々と薬の効き目が短くなっている事に、黒影は物憂げな顔となる。

 

ーーーーブゥゥゥン、ブゥゥゥン、ブゥゥゥン、ブゥゥゥン・・・・。

 

「・・・・半蔵か」

 

黒影がスマホを取り出すと、液晶に半蔵が映し出され、電話に出た。

 

《久方ぶりじゃのう黒影よ?》

 

「・・・・何のようだ?」

 

《何のようはないじゃろう? 昔は儂の妻である『ジャスミン』を取り合った仲ではないか》

 

「ふん。それで、本題は何だ? 今の儂の孫達のやっている事は既に半蔵学院の教師からーーーーいや、お前自身の『目』で、既に見ているだろう?」

 

黒影が空に鋭い視線を向けていた。雲一つ処か、ドローンの影すら見えない透き通った青空を。

 

《・・・・お主がこれからやろうとしている事に、チョイと旧友として聞いておきたいと思うてな》

 

「・・・・・・・・」

 

《・・・・何をする、いや、あの少年に何をさせるつもりじゃ?》

 

「・・・・あの少年ならば、止められるかもしれん。救ってくれるかもしれん。・・・・儂の『正義』に染まってしまった孫達を、『憎しみ』に囚われている『あの子』を、あの少年ならば・・・・それを、見極めたいのだ・・・・!」

 

《あの少年は儂やお主が思っているよりも、その背中に重い物を背負っている。これ以上重荷を背負わせるつもりか?》

 

半蔵の声色に、僅かな怒気が滲む。

 

「それでも儂は、あの少年にすがらなければならない。儂の命も残り少ないのでな・・・・」

 

《黒影・・・・》

 

「半蔵よ。お前もいずれあの少年と再び対面しなければならぬ日が来るだろうな」

 

《・・・・・・・・》

 

「儂は先に行かせて貰おう。あの少年が、儂の愛する『孫娘達』を託せるに足る者なのかを、な・・・・」

 

黒影はそう言うと、半蔵との通話を切って待つ。

かの少年ーーーー暁月理巧が来るのを。

 

 

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

詠からの報せを受けて、理巧はすぐに顔を洗って歯を磨いて服装を整えると、ペガを影に入れ、四季と美野里も連れだって詠と共に地上に戻ると、地上で待っていた焔達の他に、丁度飛鳥達も集まってきて、全員で貧民街へと赴いた。

 

「つーかさ。その、貧民街だっけ? ソコってどゆとこなん?」

 

「貧民街は、主にお金が無くて住む場所が無い人達、職や家庭を失った人達、ストリートチルドレンと呼ばれる様々な事情で家が無い子供達に、ここ数年では地球に移住して来ましたけど、表だって住めない宇宙人の方達も集まって来た小さな町ですわ。世論的や治安的な問題から、国から見て見ぬ扱いを受けている陸の孤島とされていたんですの」

 

「ワシらも時々、宇宙人関連の情報が欲しい時には、貧民街に住んどる情報屋に会いに行く時があんねん」

 

貧民街を知らない四季に、詠が丁寧に説明し、日影も補足した。

 

「その貧民街は、この前わたくしの実家のお義父様やお兄様によって、街の改築や食料や衣服の配布等を行い、さらに仕事を紹介したり、子供達に礼儀や勉強を教える寺子屋を作ったりで支援を繰り広げ、少しずつではありますが貧民街の皆さんの生活が楽になったんですの・・・・! それなのに・・・・!」

 

斑鳩が悔しそうに歯噛みしながらそう言うと、理巧が会話を変えた。

 

「それで、その貧民街を潰そうとしているのは何処の誰?」

 

「ええっと・・・・確か、『大狼財閥』と呼ばれるお金持ちがーーーー」

 

「「『大狼財閥』っ!?」」

 

お金持ち嫌いの詠が怒りを孕んでその財閥の名を口にした瞬間、それを遮るように四季と美野里が大声を上げた。

 

「どうしたの四季ちゃん、美野里ちゃん」

 

「てか、『大狼財閥』って何?」

 

「わたくしの実家である『鳳凰財閥』のライバルですわ。確か、向こうも裏では由緒ある忍の家系で、わたくしの実家が忍の養子としてわたくしを引き取ったのに対抗して、忍の養子を向こうも入れたと聞いた事がありましたわ」

 

「その養子の子なーーーー叢っちだよ」

 

『えぇっ!?』

 

大声を上げた四季と美野里に飛鳥が首を傾げ、雲雀が斑鳩に問い、斑鳩がそれに応えると、四季が言った言葉に全員が驚いた。

 

「えっ? 叢さんって黒影の子じゃ無かったの?」

 

「ーーーー叢ちゃん。元は貧民街出身で、お父さんとお母さんが死んじゃって、それから黒影おじいちゃんに引き取られたの。でも、大狼財閥の人達に引き取られて、美野里達の中だとおじいちゃんとの思い出があんまり無いんだ」

 

「叢って奴、結構ヘビーな人生送ってんのね・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「どうしたの詠ちゃん?」

 

「えっ、あ、いえ・・・・!(あの時、叢さんと理巧さんがデートしている時に見せた叢さんの素顔、何処かで見た記憶が・・・・)」

 

「(ーーーー叢さん。大狼財閥の養子だったのですわね。・・・・そう言えば、以前パーティーで・・・・)」

 

詠は叢の素顔を見てから、何処かで会った記憶があり頭をひねり、斑鳩は何かのパーティーで両家が顔を合わせた時に会った叢の事を思い出していた。

 

「(・・・・とりあえず、おじさんにも連絡しておくか)」

 

そんな中、理巧はスマホを取り出すと、一応霧夜先生に連絡を入れておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

と、そんな事があったが、漸く貧民街にたどり着いた一同は、重機が何台も横並びになり、所々にうっすらと泥汚れやペンキの飛沫を付けた、ガテン系の服装に厳つい顔とガラの悪い、いかにも身体を張って働く男の威圧感に満ちた作業員達と、以前来た時よりも多少綺麗な服装と綺麗になった街並みを守るように、貧民街の住人達が女子供も交じって、作業員達が来られないように横並びでスクラムを組み、肉のバリケードを作りながら、作業員達が来られないようにし、両者の睨み合いが行われていた。

 

「皆さん!!」

 

『詠嬢ちゃん/詠ちゃん/詠お姉ちゃん!!』

 

住人達は詠を見ると、顔を喜色に染めて近づいてきた。蛇女から去ってからも、詠はバイト代や理巧や鈴音からの支給金を工面しながら、貧民街の住人達の力になっていたのだ。

そんな詠だから、住人達からの信頼はとてつもなく厚いのだ。

 

「一体何が起こったのですの?」

 

「何がもどうも、俺らにもさっぱりだぜ! 突然『大狼財閥』の傘下の工事会社が、この街を開発するから俺らに出ていけって言い出しやがったんだ! やっと『鳳凰財閥』のお偉いさんが、俺らの生活を良くしてくれてるのにこんなのって横暴じゃねえか! ここにはこの街しか帰る場所のねえ奴等や、住む場所がねえ奴等も大勢いやがんだ! 出ていけなんて冗談じゃねえっ!!」

 

詠が聞くと、リーダー格である壮年の男性が憤懣たる口調で話し出した

住人達の後方でジャンク品でバリケードが作られ、その影から、コッソリとこちらの様子を伺っている異形達がいた。遠目だが分かる。恐らく貧民街に住む宇宙人達だろう。住人達は自分達だけではなく、彼らの為にも戦おうとしているのだ。

そんな中、作業員達の中から、肩に上着を乗せた体格のいい男性、恐らく親方でろう人物が前に出ると、リーダー格の男性も前に出て、お互いにガン飛ばしながら話をする。

 

「悪いか此方としても仕事なんでね。大人しく退いてはくれねえか?」

 

「冗談言ってんじゃねえ。俺らの街をぶっ壊されてたまるか」

 

「どうしてもか?」

 

「男なら拳骨でかかってこいや」

 

「ふん。面白い!」

 

「親方やっちまえ!」

 

「ーーーーふん! ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅんんっ!!」

 

親方が上着を部下に持たせ、肩をコキコキと鳴らすと、両腕を上げて力を込めると、力こぶを作って大胸筋を膨らませそして、

 

ーーーービリビリ、ブチィィィィンッ!!

 

力を込めた筋肉がシャツの胸元を弾き、土木建築で鍛え上げた大胸筋を晒した。

 

「うわっ! 凄い筋肉っ!」

 

「流石身体を張って働く男・・・・!」

 

雲雀と未来が目を見張った。

 

「ーーーーふっ」

 

「やれぇ旦那ぁ!」

 

旦那と呼ばれたリーダーも筋肉に力を込めると、

 

「んっ! んんんんんんんんんっっ!!」

 

ーーーービシャァァァァァァァァンッ!!

 

シャツ全体を筋肉の盛り上がりで引きちぎった。

 

「ふっふ~ん」

 

「な・・・・」

 

フフンと鼻を鳴らす旦那に、親方や後ろの作業員達も目を見開いた。

 

「でぇえっ!? あのおじさんもっ!?」

 

「旦那のおじ様。実はボディビルダーの世界チャンピオンだったんですの。詐欺にあって借金を全て返済したら家を失って、奥様とお子さんと一緒にこの街で暮らしているんですの」

 

旦那の後ろに奥さんらしき女性(斑鳩クラスのバストサイズ)がやれやれと言わんばかりに声を発する。

 

「アンタ、そのシャツ一番のお気に入りだったんじゃないのかい?」

 

「あっ・・・・」

 

奥さんに言われて、バツの悪い顔になる旦那。

 

「フフフフフーーーーフンッ!」

 

「っ!」

 

親方が旦那に腹パンすると、旦那は目を見開きながらもニコリと笑みを浮かべる。

 

「ヒヒヒヒヒーーーーヌンッ!」

 

「ぉっ!ーーーーへへへへへ・・・・」

 

旦那もお返しと言わんばかりに腹パンすると、親方は再び笑みを浮かべ・・・・。

 

「オラッ!」

 

「うぉっ!」

 

今度は顔面を殴ると、旦那は後ろに引くがすぐに建て直し、

 

「とぉっ!」

 

「はぐっ!」

 

親方に殴り返した。

 

「っ! ラァッ!」

 

「ぐぉっ! とりゃっ!」

 

「がっ!」

 

『やれやれ親方っ!』

 

『気張れ旦那っ!』

 

親方と旦那の殴り合いが一層激しくなり、両陣営が応援の声が上がった。

 

「おぉ~、生のステゴロなんて初めて見たぜ」

 

「ワシの知る地下格闘場とかではよぉ見たけどなぁ」

 

「どうしよう? 止めた方が良いかな?」

 

「オレ達が出てステゴロを止めて、業者の奴等を追い出す事は出来るだろうが」

 

「それじゃ根本的な解決にはならないでしょうね」

 

「じゃぁどうするの?」

 

葛城と日影が殴り合いを見て、雲雀と柳生、春花と未来がそう話していると。

 

「・・・・解決方法としては、『大狼財閥』がこの開発から手を引けば良いんだけど」

 

「上が手を引くなら下請けも退散するしな」

 

「それじゃ、今から『大狼財閥』の人達と話し合いに行けば!」

 

理巧と焔が解決方法を話し合い、飛鳥が『大狼財閥』の元へ行こうとする、が。

 

「待って下さい飛鳥さん」

 

「斑鳩さん・・・・」

 

斑鳩が飛鳥の肩を押さえた。

 

「『大狼財閥』が起こした事なら、『鳳凰財閥』の娘として、わたくしが会いに行った方が良いのかも知れません。いきなりアポ無しで行くのはリスクが高いですから」

 

「ーーーーあっ、もしかしてソレかもよ、斑鳩姉さん」

 

理巧が何かを察したように声を上げると、斑鳩達の目が理巧に向けられる。

理巧はそれに臆する事なく推察を述べる。

 

「この貧民街は、『鳳凰財閥』によって改革がされていった。この事は、政財界の人達に知れ渡っている」

 

「ーーーーええ。確かに、そちら方面の方々からお義父様や時期財閥の代表であるお兄様の評判は上がっていると、この間聴きましたわ」

 

「でも、そんな話を聞いてライバルである『大狼財閥』としては、面白くない」

 

「っ! まさか『大狼財閥』は、『鳳凰財閥』の評判が上がったのが気にいらないから、その要因となった貧民街を潰そうと考えたって事ですの!?」

 

「まだ推察の域だけど、ライバル視している人達がチヤホヤされると、向こうからしたら気に食わないと思うからね」

 

理巧達が話し合っていると、殴り合っていた両者が、顔面を腫れ上がらせ、ゆっくりと近づき拳を上げながら最後の一撃を放とうとする。

 

「こ、この・・・・!」

 

「さ、最後、だ・・・・!」

 

と、その瞬間。

 

 

 

「ソコまでっ!!」

 

 

 

ーーーーグギッ!・・・・ドサッ!

 

二人を止めるような声が響くと同時に、両者の拳が双方の顔面に突き刺さり、嫌な音を響かせながら、二人は仰向けに倒れた。

しかし一同の視線は、そんな二人ではなく、突然声を響かせた人物へと向けられた。

そう、叢を先頭に、左右に雪泉と夜桜が毅然とした足取りでこちらに向かって歩いてきた。

 

「あれが『大狼財閥』のお嬢様かよ・・・・!」

 

「こけおどしで恐い面なんて被りやがって、俺ら貧民とは面<ツラ>も合わせたくないってか!?」

 

「けっ、流石はお高くとまりやがってよ!」

 

「・・・・しかし、周りのお嬢ちゃん達も含めてだがーーーー詠ちゃんばりに良い乳してんなぁ」

 

『それは確かに』

 

『コラ!』

 

『あてッ!』

 

貧民街の人達が叢に対して厳しい視線と悪態を吐いている。が、一人が叢の豊満な胸元を見てそう呟くと、他の男衆も叢や雪泉や夜桜の豊満な胸元を見て鼻の下を伸ばしそうになるが、女性陣に頭を殴られた。

そして、彼らをさがらせながら、理巧達が前に出ると、飛鳥と柳生の後ろに隠れている四季と美野里がいた。

 

「っ・・・・!」

 

「ーーーー暁月、理巧・・・・!」

 

「どうも・・・・」

 

気まずそうな空気を発する叢に代わって、雪泉と夜桜が前に出て険しい視線を向けるが、理巧はどこ吹く風と言わんばかりに挨拶する。

 

「・・・・何をしに、ここに来たのですか?」

 

「ここの人達と詠さんが友好関係にあるし、何やら上流社会のキナ臭い悪巧みが動いているようなんで、開発工事に反対しようと思って駆けつけたんですよ」

 

「・・・・ここの開発は『大狼財閥』がちゃんと手続きを踏んでやっておるのじゃ。邪魔をすると言うのか?」

 

「邪魔、ねえ・・・・一つ聞きたいんだけどさ。何でアンタらが出張ってくるの? まさか、『大狼財閥』のご令嬢として、住民を説得に来たとか?」

 

「・・・・そうだ。ここは開発がもう決まっている。直ちに立ち退いて貰う」

 

その言葉を聞いて、詠が目を険しくさせて忍転身しようとするが、焔と日影が止めた。

それに構わず、理巧が話をする。

 

「あのさ、一つ聞きたい。ーーーーそれが君達の掲げる『絶対正義』ってヤツなの?」

 

「「「っ!」」」

 

理巧の言葉に雪泉と夜桜と叢が息を詰まらせる。と、理巧の後方にいる四季と美野里が「ごめん」と言いたげな顔で手を合わせていた。恐らく彼女達が言ったのだろう。

 

「ここに住んでいる人達はさ、大概が悪事をやって身を破滅させた人もいるけど。悪い人達によって住む場所を失った人達や、家族を失ったり家族からの暴力から逃げてきた子供達。ーーーーそれだけじゃなく、マトモに表を歩けない事情を持った人達の『帰る場所』何だよ。その人達からこの場所を奪うのが、君達の『正義』なのか?ーーーー答えろよ、月閃女学館」

 

「「「っっっ!!!???」」」

 

『っ・・・・!』

 

理巧から発せられた圧倒的な重圧<プレッシャー>に、雪泉達は畏縮された。周りの一般人の作業員達なんて、気絶した親方を除いてほぼ全員が白目を剥き、中には泡まで吹いて倒れてしまった。

ただ、丁度理巧の後方にいる住人達は突然倒れていっている作業員達を訝しそうに見ているだけであった。

 

「り、理巧くん・・・・恐い・・・・!」

 

「理巧っちって、怒ると結構恐いタイプ?」

 

「一応言っておきますけど・・・・」

 

「あれでもまだ半分くらい怒っているレベルだ」

 

「本気でキレた理巧の迫力はあんなモンじゃねえからな」

 

「「ーーーーウソ・・・・」」

 

美野里と四季もすぐ近くにいるので後ろ姿だけだが、理巧から発せられる迫力に畏縮してしまっていた。

が、飛鳥達も焔達も、これ以上の迫力を出していた理巧を知っている。そうーーーー理巧にとって、命より大事な育ての親達に危害を加えると言った道元<愚か者>を始末しようとした理巧を・・・・。

さて、そんな後方の話を聞いていない理巧は、一歩歩を進めると、雪泉達は畏縮されてしまい動けなくなってしまったのか、足の甲を杭にでも貫かれたみたいに、その場から動けずにいた。

 

「ーーーーここに住んでいる人達が、アンタらの、嫌、黒影って人が掲げる『絶対正義』ってのに反するような真似でもしたのか?」

 

「そ、それは、仕方ない事だ。“大人の決めた事”、なのだから・・・・」

 

「ワシらは叢の家に頼まれたのじゃ。ワシらの『正義』にここの人達が反していた訳ではない・・・・」

 

「私達だって、こんな事をしたい訳では・・・・」

 

「言い訳するな」

 

「「「っ!!」」」

 

自分達の意見を理巧はバッサリと切り捨てた。

 

「大人の決めた事? お爺さんである黒影さんの『絶対正義』? ・・・・じゃアンタらの『意志』は? 『正義』はこの状況を良しと思っているのか?」

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

理巧の言葉に、雪泉達は言葉を発せなかった。理巧はゆっくりと手を眼前まで持っていくと力強く握りしめた。

 

「ここの住人達の居場所を、帰る場所を奪う事が『正義』だって言うのなら・・・・そんな『正義』ぶっ壊してやるよっ!」

 

理巧の迷い無い姿勢と、瞳に宿る光、それはまさに『正義の光』に満ちていた。雪泉達だけでなく、飛鳥達と焔達も息を呑んだ。

 

「・・・・叢さん、夜桜さん」

 

「「(コクン!)」」

 

雪泉が視線を送ると、叢と夜桜は頷き、三人は同時に印を結んで声を発した。

 

「「「『忍結界』っ!!」」」

 

「っ」

 

『なっ!?』

 

三人を中心に展開された雪景色の結界が展開され、貧民街や住人達に作業員達の姿が消えた。

 

「アンタら・・・・」

 

「我等は、黒影様の『絶対正義』に従う・・・・!」

 

「住人達の事は、今は取り敢えず置いておく・・・・」

 

「私達の最初の目的を果たします・・・・!」

 

「「「『忍転身』!」」」

 

三人が転身すると、それぞれの武器を理巧に向けた。

 

「「「暁月理巧! 『絶対正義』の名の元に、あなたを排除する!!」」」

 

「・・・・かかってこいよ。だが、手加減はしない。自分の『意志』と『正義』を持っていない半端者にくれてやる程、この命はソコまで安くなんでね!」

 

三人に向けて、理巧もクナイ二本を構えた。

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