ー???sideー
東京タワーの展望の屋根から、黒服の男性が遠くにある半蔵学院を眺めていた。
「・・・・・・・・・・・・」
その目には、半蔵学院のある地点に、“複数の光の柱”が上がっているのが見えていた。
「・・・・・・・・・・・・」
男性はゆっくりと口角を上げて、手に持っている『レッドキングカプセル』と『ゴモラカプセル』を握った。
ー理巧sideー
「・・・・・・・・」
時刻は2時限目の授業が始まった頃。
理巧は保健室で、カーテンに閉めきられたベッドで静かに眠る雲雀を眺め、養護教諭(女性&巨乳)と話を終えた霧夜先生が静かにカーテンを開けて入ってきた。
「理巧、ここは養護の先生と俺が見ているから、お前は教室に戻っていろ」
「・・・・はい」
雲雀の手から出た炎の事が少し気になった理巧は、保健室を出て、人目につかないように男子トイレに入ると、装填ナックルで『基地』にいるレムに連絡する。
「レム。雲雀って子のあの炎。何か分かるか?」
実は『ダークゾーン』にいたペガが、雲雀が炎を放った時、理巧のスマホで状況をムービー撮影して、基地にいるレムに送っていた。
《解析の結果、雲雀と呼ばれる少女の身体から、“未知のエネルギー”が検出されました》
「“未知のエネルギー”? それってーーー」
ドシュンッ! ドシュンッ!
ガタッ! ゴトッ!
「っ・・・・」
理巧の鍛えられた聴覚が、保健室から、“銃声のような音と何かが倒れる音”を捕らえ、トイレを出て、急ぎ足で保健室に戻るとーーー。
「霧夜おじさん!」
霧夜と養護教諭が倒れており、容態を見ると、気を失っていた。
「ダ・ダ~・・・・」
「何?!」
理巧が顔を上げると、ニット帽に黒いマスクを付けた男が、理巧に拳銃を向けて引き金を引いた。
ドシュンッ! ドシュンッ! ドシュンッ! ドシュンッ! ドシュンッ!
「くっ!」
理巧は光る弾丸を紙一重で回避するが、如何せん狭い保健室ゆえに、あっという間に部屋の隅に追い詰められた。
「・・・・・・・・」
「ちっ・・・・」
男は拳銃を理巧に向けたまま雲雀のベッドの近くに移動する。理巧は何とか隙をつこうと思考を巡らせるが・・・・。
「ん、んん?」
「っ!」
なんと、雲雀が目ボケ眼をこすりながら、カーテンを開けて出てくると、ちょうど不審者の男の目の前に出くわした。
「何があった・・・・・・・・の?」
「ダァ・・・・」
「き、きゃああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
「っ!」
雲雀は思わず手を出すと、胸元が小さく光り、手から炎を放って、不審者の男を燃やした。
「(あの胸の光は・・・・?)」
「あっ!」
不審者の男が炎を包まれると、雲雀は手を引っ込めて、炎を消した。
するとなんと、不審者の男の姿が、明らかに人間の姿ではなかった。
全身がシマウマのような縞につつまれており、顔は釣鐘型で大きく、白黒の顔色で、口は横に大きく結ばれおり、目は赤く発光していた。
「人間、いや地球人じゃない・・・・?」
『理巧! アイツ、『三面怪人 ダダ』って宇宙人だ!』
『ダークゾーン』から顔を出したペガが、不審者が宇宙人である事を話した。
『ちぃっ! なんて小娘ダ!!』
ダダは懐から光線銃を取りだし、雲雀に向けて放射するとーーー。
「きゃあッ!!」
「っ!?」
なんと、光線を浴びた雲雀の身体が小さくなり、ダダが取り出した大きなカプセルに吸い込まれた。
「これは!? ペガ!」
『聞いたことがあるよ! ダダは『縮小光線銃』って武器で生物や物体を小さくして、捕獲することができるって!』
「物を小さくする銃だと!?」
理巧がダダが持ったカプセルが見ると、雲雀が涙目で、「助けて!」と言わんばかりに、カプセル内でガラス面を叩いていた。
「ダァ、ダァ~!」
すると、ダダは壁をすり抜けて、保健室から脱出した。
『理巧! 逃げられるよ!!』
「っ」
理巧は一瞬、追おうか迷った。
「(なんで僕があの子を助ける。あの子は僕となんの関係も無い子だ。どうなろうが僕の知った事じゃない。ここは霧夜おじさんを起こして、他の忍びの子達か、警察に来てもらった方が良いんじゃないか? わざわざ危険を侵すメリットなんて無い。そうだ、他人がどうなろうが、僕には関係が・・・・)」
『理巧!』
「・・・・・・・」
『他人嫌い』の理巧は、雲雀を助ける理由も、義理も無い故に、ここは霧夜を起こそうと考えたが。
『ジーっとしてても、何も解決できない! だよ!』
「っ!」
ペガの言葉に、理巧はハッ! となる。
『理巧。こう言う時こそ、『ジード』だよ!!』
「『ジード』、ジーっとしてても・・・・」
『「ドーにもならないっ!!」』
理巧はペガと言葉を重ねると、ダダを追って窓から飛び出して、ダダを追跡した。
「サンキューペガ。お陰で目が覚めた」
『理巧・・・・!』
「そうだよな。ジーっとしてても、ドーにもならないなら、行動するだけだ!!」
理巧はパンパンと、自分の頬を張ると、気合いを入れた。
ちなみに霧夜先生と養護教諭は、理巧がダダを追って保健室を出て2分後、雲雀のお見舞いに来た飛鳥達に看病された。
雲雀がいなくなり、柳生が理巧を追って理巧とは反対方向に走っていき、飛鳥も霧夜先生達を斑鳩と葛城に任せて柳生を追って二人は迷走するのだが、ここでは割愛する。
◇
『ダ、ダァ、ダダ・・・・』
浅草の路地裏に逃げ込んだダダは、少し息を切らせながら走るが、進行方向の足元に、クナイがアスファルトに突き刺さり、そのクナイに足を取られ、盛大に転んだ。
『ダァアッ!!』
「おっと!」
転んだ拍子に雲雀の入ったカプセルを放り投げ、そのカプセルを追跡してきた理巧がキャッチした。
理巧はカプセル内部を見ると、雲雀が涙混じりに理巧を見上げ、嬉しそうに笑みを浮かべる。
「よし」
『か、返せぇっ!!』
「・・・・ふんっ!」
ドガガガガガガガガガガっ!
『ダダァアアアアアアッッ!!』
理巧は襲いくるダダに、上段と中段の連続蹴りを繰り出し、ダダはボロ雑巾のようにボロボロになった。
『ダ・・・・ダダ・・・・!』
「あらよっと!!」
『ダァアアッ!』
最後に回転の入った回し蹴りがダダの腹部にめり込み、ダダを蹴り飛ばした。
『な、なんておっかないヤツだ・・・・!』
ダダはヨレヨレで逃げだし、理巧も雲雀を方を優先したので追わなかった。
「お?」
理巧の持っていたカプセルが光ると、雲雀が元の大きさでカプセルから出られた。
「あっ! 出られたぁ!」
「大丈夫かい?」
「うん! ・・・・えっと、暁月君で、良いかな?」
「ああ。雲雀、さんでいいかな?」
理巧がそう言うと、雲雀は首を横に振った。
「ううん! 雲雀のことはさんを付けなくて良いよ!」
「えっ? でも僕は、1度君を見捨てようと・・・・」
「でも暁月君、雲雀を助けに来てくれたんだよね! だったら雲雀にとって暁月君は恩人だよ! だから雲雀って呼んで!」
雲雀の純粋な輝きを放つ花の瞳に見られ、理巧も少したじろぎながらも、口を開く。
「じゃ、僕の事も、理巧で構わないよ・・・・」
「っ! うん! ありがとう! よろしくね理巧君!」
「う、うん。よろしく、雲雀、ちゃん・・・・」
抱きついて来た雲雀に照れながらも、理巧は雲雀の頭を優しく撫でた。
ー???sideー
理巧に叩きのめされたダダは、暗い倉庫の中で痛みに悶えながら隠れていたが、物音が聞こえ、おそるおそると、物影から出てくる。
『誰ダ?』
ダダが顔を出すと、黒服の男性が現れた。東京タワーから半蔵学院を見ていた男性だ。
「『光』に引き寄せられたか。・・・・研究の邪魔は控えてもらおう」
『あれは俺が見つけた『光』! 渡さない!!』
「無駄だ」
『っ!』
「『リトルスター』は、“宿主からの分離”が難しい。“分離”するのは、“宿主が祈った時だけ”だ。・・・・ウルトラマンに!」
『何ぃっ!』
ダダは断言した男性に向けて、縮小光線銃を構え、放射する。
が・・・・。
男性が手を翳すと、縮小光線の光を防いだ。
「・・・・・・・・」
『っ!?』
男性は一瞬で姿を消し、ダダも唖然となるが、男性はダダの背後に現れた。
「死ぬが良い!」
『ヌグォアアアアッ!!』
男性がダダの背後に手を翳すと、ダダの身体から紫色の稲妻が放出され、ダダの身体は粉々に砕け散り、殺害された。
ー理巧sideー
理巧は雲雀の手を取って、雲雀の異常を調べていた。
「熱い」
すると、雲雀の胸元から、“小さな光”が輝いた。
「これは・・・・?」
「???」
《おそらく、『リトルスター』と分析します》
「『リトルスター』?」
「えっ? 何々??」
装填ナックルからレムの声が響き、理巧は聞き返し、雲雀は突如聞こえた声に戸惑いながら、声が聞こえた理巧のベルトを見た。
《あの宇宙人は、彼女の胸の光を求めたと推察します。彼女の発火現象も、『リトルスター』による物と推察します》
「・・・・理巧君」
「やめろレム。雲雀ちゃんが不安がっている」
不安そうに理巧を見つめる雲雀を抱きしめる理巧。レムはそれでも話を続けた。
《この『リトルスター』の光が、怪獣を引き寄せます》
ー???sideー
ダダを殺害した男性は、“ダダだった肉片”を踏みつけながら、目が赤く、不気味に発光し、ほくそ笑みを浮かべる。
「『リトルスターの宿主』を保護したか。この状況、利用させて貰おう!」
男性は身体からドス黒いオーラを放ちながら、『ゴモラカプセル』を起動させた。
「ゴモラ!」
キシァアアアアアアッ!!
ゴモラの雄叫びが響き、『ゴモラカプセル』を黒い装填ナックルにカプセルを装填した。
「レッドキング!」
ピギャグゥゥゥゥゥッ!!
次に『レッドキングカプセル』を起動させて、ナックルに装填し、『ジードライザーに似たライザー』の握り手のスイッチを押す。
「これでエンドマークだ!」
そして、ライザーで手に持ったナックルをスキャンする。
ドクンッ! ドクンッ!
ナックルのカプセルのエネルギーを読み込んだライザー中央のカプセルが、黄色と赤に発光し、音声が流れる。
『フュージョンライズ!』
「ハァアアアアアア・・・・オォアッ!!」
ライザーのボタンを押して、中腰になると、ライザーを胸元に持ってきた。
次の瞬間、男性の姿が『ウルトラマンベリアル』の姿へと変わり、ベリアルの前に『ゴモラ』と『レッドキング』の姿が現れると、2体は粒子のようになってベリアルの口の中へと吸い込まれた。
そしてベリアルの姿は、ゴモラとレッドキングの姿を組み合わせたような巨大な怪獣、『ベリアル融合獣 スカルゴモラ』へと変身した。
『ゴモラ! レッドキング! ウルトラマンベリアル! スカルゴモラ!!』
『グワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!』
『スカルゴモラ』が、雄叫びを上げながら、その姿を現した!
ー理巧sideー
「理巧君、あの変な人なんなの? それに・・・・」
雲雀が理巧の足元を見ると、理巧の影から顔だけ出していたペガと目があった。
『あっ!』
「あぁ・・・・何処から説明したら良いか・・・・」
ドゴォオオオオンン!!
『「「っ!!」」』
3人は振動音に目を向けると、『スカルゴモラ』が街を破壊しながらこちらに向かってきた。
「あっ、あれ! この間の怪獣!」
「『スカルゴモラ』・・・・!」
理巧は思わず、装填ナックルに手をかけるがーーー。
《フュージョンライズしますか?》
「・・・・・・・・しない」
理巧は装填ナックルから手を離すと、雲雀の手を取った。
「雲雀ちゃん、逃げよう」
「理巧君」
理巧は雲雀を連れて逃げようとするが、足が動かなかった。
「ペガ。足を離してくれ」
理巧の足元からペガが現れる。
『なにもしてないよ、ペガは』
「わっ!」
雲雀はペガに驚くが、理巧はお構い無しに声を発する。
「じゃ、なぜ足が動かないんだ?」
『それは、君の意思だ』
「僕の・・・・?」
『君はベリアルの子供。でも、君は君だ。鷹丸さん達に育てられた、暁月理巧だ』
「あ、あのね・・・・」
雲雀も理巧に話しかける。
「雲雀ね、よく分からないけどね、理巧君が何を迷っているのか分からないけどね、理巧君が、凄く優しい人だって分かるよ!」
「僕が?」
「うん! 雲雀と組み手した時、雲雀が火を出して怯えていた時、理巧君が大丈夫だよって言ってくれて、雲雀の頭を撫でてくれて、雲雀、凄く安心したんだよ! 理巧君は、雲雀を助けてくれた。理巧君は凄く優しくて素敵な人だって雲雀は分かってるよ!」
『理巧』
「・・・・・・・・・・・・」
ペガと雲雀に言われ、理巧の目には、“覚悟”が宿った。
理巧は、装填ナックルでレムに連絡する。
「レム」
《フュージョンライズしますか?》
「その前に、雲雀ちゃんを基地に避難させる」
《了解しました》
レムが返答すると、理巧達の目の前に転送エレベーターが出現した。
「わっ! なにこれ!?」
驚く雲雀に、理巧は自分のスマホを渡す。
「雲雀ちゃん。君はペガと一緒に避難していて、霧夜先生達の連絡先は僕のスマホに有るから、とりあえず僕と君は一緒に避難していると伝えて」
「理巧君は?」
「大丈夫だよ。僕を信じて」
理巧はそう言うと、雲雀の頭を撫でた。
「お願いするよ。雲雀ちゃん」
「・・・・うん!」
「うん。ペガ、雲雀ちゃんを頼む」
『任せて!』
ペガは『ダークゾーン』から出ると、転送エレベーターに乗り込み、雲雀に手を差し出す。
『雲雀ちゃん。手を』
「う、うん」
雲雀は戸惑うが、ペガの手を取って、エレベーターに乗り込み、エレベーターの扉が閉まり始める。
「理巧君・・・・!」
「(コクン)」
理巧は静かに頷くと、エレベーターの扉が閉まり、エレベーターは地下に沈んだ。
「・・・・・・・・・・・・」
理巧が後ろに目をやると、『スカルゴモラ』が迫ってきた。
ピギャグワァアアアアアア!!
「さて、行くか!」
理巧は、『スカルゴモラ』に向かって走った。
新たに覚悟を決めて。