閃乱ジード   作:BREAKERZ

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シャドーの影
紹介するぜ、ご両親!


ーーーー〈AIB〉。

正式名称を『Aliens Investigation Bureau‹異星人捜査局›』。

怪獣退治はなく怪獣の監視と、異星人の犯罪行為の取り締まりを主な任務としている。

宇宙規模の連合組織であり、『クライシス・インパクト』後の宇宙の治安維持のために宇宙人が集まり結成された。

所属メンバーの中には、シャドー星人ゼナのような異星人も多数いるが、地球人は鷹丸達四人しかいない。

様々な星の文明の持つ優れた技術や情報網を結集できた故か、基地内には逮捕した宇宙人を地球外へと強制退去させる転送装置といったオーバーテクノロジーを多く有しており、他にも、ウルトラマン達〈宇宙警備隊〉の存在も把握しているなど、設備面・情報面に関しては不測はない。ただ、戦闘機といった武装を保有していないため、怪獣が出現した際には積極的に攻撃を仕掛けるようなことはせず、あくまで動向を監視する程度に留めている。

その組織に所属する戦部鷹丸と、妻のハルカとナリカとスバルこそ、暁月理巧の育て親である。

 

 

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

「ーーーーほぉ、これが理巧の秘密基地かぁ!」

 

「素敵な住居ですね」

 

「たくっ、時々寮の方に行ってもいないから、変な所に入り浸っているのかと思っていたら」

 

「こんな基地を持っていたとはな」

 

理巧に案内され、鷹丸とハルカとナリカとスバルは、秘密基地へと来ていた。

 

「所謂秘密基地ってヤツですよ。細かい事は追々話しますけど・・・・改めて、ペガ」

 

理巧が自分の影に言うと、ペガがその姿を現した。

 

『は、はじめまして、ペガです』

 

「おぉ、やっぱりペガッサ星人かぁ」

 

「理巧とはいつから一緒にいたの?」

 

『えっと、理巧が中学二年生の頃に・・・・』

 

「ほぅ、では、『あの事件』の事は・・・・」

 

『は、はい! ペガが理巧のスマホとかを使って、配信したんだ!』

 

「そうだったんですか、ありがとうございますペガくん。本当に・・・・!」

 

『えぇっ! えっと、はい・・・・』

 

ハルカが薄っすらと目に涙を浮かばせてペガに頭を下げると、鷹丸とナリカとスバルも頭を下げ、ペガも少し狼狽えながらも返す。理巧はその光景に笑みを浮かべていた。

 

「ーーーーあぁ、お前達、良い雰囲気の処すまないが。そろそろ、此方にも目を向けてやってくれないか?」

 

『(ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ)』

 

霧夜先生が視線を向けると、緊張でガチガチになってしまった飛鳥達半蔵組と、焔達紅蓮隊、そして雪泉達月閃組がいた。しかし、彼女達の緊張も仕方ない。何しろ目の前にいるのは、全国のくノ一の憧れ、十年前の『ノロイ党事変』を解決した伝説の閃忍が、理巧の育て親だったのだ。これで緊張するなと言うのが無理がある。

 

「半蔵学院の皆さん。蛇女子、いえ、焔紅蓮隊の皆さん。月閃女学館の皆さん」

 

『は、はい!』

 

ハルカに話しかけられ、飛鳥達は背筋を整えた。

 

「いつもウチの理巧くんがお世話になって、本当にありがとうございます。色々と至らない所がある子ですが、根は家族想いの優しい子なんです」

 

『それはわかってます!』

 

全員が一斉にそう言うと、ハルカは聖母のような笑みを浮かべて頭を下げた。

 

「これからもよろしくお願いします」 

 

「よろしくねー♪」

 

「よろしく頼む」

 

『は、ははははい!!』

 

ハルカが頭を下げると、それに続いてナリカとスバルまで頭を下げたので、一同の大半が緊張しながら応じた。

がーーーー。

 

「ーーーー所で、皆さんに一つ、聞きたい事が有るんですが」

 

『!!!』

 

頭を上げたハルカのその顔は、先程と同じ聖母なのだが、何故だろうか、その雰囲気は重々しく、声からは得体の知れない圧力があり、さらにその背後にはーーーー不動明王がいたように見えた。

 

「皆さん。理巧くんの事、どう思っていますか?」

 

「えっ!? あ、その・・・・////////」

 

飛鳥達は大半が顔を真っ赤に染める。

 

「確か、元蛇女子の皆さんは、理巧くんにーーーーキスまでしましたよね?」

 

『ひぃっ!?』

 

ソッと笑顔を向けられた焔達はその笑顔から滲み出る圧力‹プレッシャー›と、ナリカとスバルの背後に現れた金剛力士像からの睨みで、蛇女子なのに、蛇に睨まれた蛙の気分になっていた。

 

「月閃女学館の皆さんは、理巧くんをーーーー抹殺しようとしたとか」

 

『あわ、あわわわわわわ!!』

 

スッと、薄く目を細めたハルカの目にはーーーー全く光が宿っておらず、さらにナリカとスバルからハイライトが消えた目をし、不動明王と二体の金剛力士像にまで睨まれ、雪泉達は、涙目になって震える。

 

「ちょうど良いですね。後進の指導も兼ねて、模擬戦と行きましょうか」

 

「そうだな。霧夜殿と凛、イヤ、今は鈴音か。あと黒影様のご指導がどれ程のものか、しっかり見極めてやろう」

 

「理巧。模擬戦できる場所ある?」

 

「シミュレーションルームはちょっとした体育館位の広さがありますよ」

 

「ではソコに行きましょう。私達の『忍結界』を使えば十分です」

 

ハルカ達はその両手に飛鳥達の首根っこを掴んで引きずっていく。

 

『ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・!』

 

飛鳥達の気分は、死刑台に向かう死刑囚の気持ちになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、シミュレーションルームにて、飛鳥達が『忍転身』し、ハルカ達三人は転身せず、『忍結界』を展開すると結界内はーーーー阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。

 

「飛鳥さん! 考え無しに突っ込み過ぎです! 斑鳩さん! あなたは逆に考え過ぎて一瞬の判断と行動が遅いですよ! 葛城さん! あなたは攻撃一辺倒過ぎで防御を疎かにしています! 柳生さん! 雲雀さんばかりに目が行き過ぎて注意が散漫になっています! 雲雀さん! そんなに脅えていては忍は務まりませんよ!」

 

『きぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!』

 

ハルカの『日本の城の天守閣の忍結界』にて、半蔵学院側は壮絶に扱かれーーーー。

 

「焔紅蓮隊! ウチの息子の唇を奪いおって! 理巧と結婚したければ先ず私達から認められなくてはならない事を身体に教えてくれるっ!!」

 

『うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああんん!!!』

 

スバルの『竹林に覆われた忍結界』にて、焔達はスバルにスパルタ指導に悲鳴を上げーーーー。

 

「ほらほら! 善忍のエリートなんでしょ月閃女学館!? こんな程度で音を上げないでちゃっちゃと来なさい! それはそうと、雪泉! アンタ事故とはいえ理巧の唇を奪ったでしょう!? 特に厳しく行くわよっ!!」

 

「いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

雪泉達も、『摩天楼が聳える街の忍結界』でナリカとの連続模擬戦で三途の川を見ていた。

『秘伝忍法』まで乱発して繰り出していると言うのに、『伝説の閃忍』の三人は回避したり、正面から打ち破ったりする。

 

『・・・・こ、恐い・・・・!』

 

「・・・・何か、僕との訓練よりも、ハルカさん達も殺気があるように見えるんだけど?」

 

「・・・・まぁ、あれも母心ってやつだな」

 

「・・・・アイツらも、格上との訓練なんてそうそうできないからな」

 

《・・・・レオ師匠との訓練を思い出すぜ・・・・》

 

男性陣は結界内の様子を、蚊帳の外の状態で眺める事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ピクピク・・・・ピクピク・・・・ピクピク・・・・』

 

死屍累々と倒れている飛鳥達と焔達と雪泉達に、タオルとスポドリを配り終えた理巧が、スバル達に話しかける。

 

「ーーーーそう言えば、鷹丸さん達は〈AIB〉に所属しているんですよね? 保険会社に務めていると思っていたのに」

 

「それは『表向きの仕事』だ。裏ではこの地球で、宇宙の法律で禁止されている動物や植物や兵器の密売に、侵略やらの犯罪をやろうとしている宇宙人を逮捕したりしているーーーーまぁ、秘密警察みたいなものだな」

 

「だけど、伝説の閃忍って言われてるハルカさん達なら、善忍組織からのスカウトもあったんじゃないの?」

 

「まぁねぇ。でも、今の善忍組織の怠慢な動きとか知ってるでしょう? あれ見ると、〈AIB〉の方がマシだし、給料も福利厚生もしっかりしてるしねぇ」

 

「・・・・・・・・」

 

「鷹丸さん?」

 

鷹丸が何やら考え込んでいるように黙り込んでいるので、理巧が話しかけた。

 

「ーーーーああ、悪い。ちゃんと見ているつもりでも、見えていないものってあるものだと思ってな」

 

「ゼナさんの事ですね」

 

「『ゼナ』?ーーーーあぁ、あの鉄面皮の捜査官さん」

 

「一応、俺のパートナーなんだけどな。・・・・最近、ゼナの様子がおかしくてな。俺に黙って、一人で何かを調べているようなんだが、それが分からなくてな・・・・」

 

「(デュォン!)ーーーーアイツは『シャドウ星人』だ」

 

と、ソコでゼロが霧夜先生と変わって話し出した。

 

『そう言えば、シャドー星人って、元々好戦的な侵略宇宙人だったけ?』

 

「ああ。冷酷で残忍。『宇宙ゲリラ』、とも呼ばれていた」

 

「『宇宙ゲリラ』。随分と物騒そうな通り名だね」

 

「過去。ベリアル軍との戦いで、奴らの母星『シャドー星』は壊滅状態になり、散り散りになってしまった。あのゼナって男も今は大人しくしてるが、本当の所はどうだろうな」

 

「ーーーー俺は地球人だから、『シャドー星人』の事は良く分からない。だが、地球人にだって、悪い奴と良い奴もいる。『シャドー星人』全てが、好戦的とは思えない。時間が経てば、考え方も変わる事もあるかも知れないし。ゼロは、ゼナの事を良く知らないだろう? まぁ、と言っても、コンビを組んで数年の俺もソコまで知っているとは言えないがな・・・・」

 

何処か自嘲気味に笑みを浮かべる鷹丸。トレーニングルームに、何やら重たい空気が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー鷹丸sideー

 

翌日。高丸が〈AIB〉の地球支部に出勤すると、シャドー星人が仕事をしていた。

 

「・・・・ゼナ?」

 

鷹丸はゼナかと思い近づいていく。

 

「ーーーーなぁ、ソコで何してるんだ? アンタ、ゼナじゃないよな?」

 

そう言うと、シャドー星人は仕事を中断し、鷹丸の方に振り向くと、ゼナと同じシャドー星人の顔をしているが、ゼナとは違う声を発する。

 

『ーーーーあなたが戦部鷹丸さんですね? ゼナさんは『極秘任務』で、暫く別の星に赴任する事になりました』

 

「え・・・・?」

 

そんな話聞いていない鷹丸は首を傾げると、シャドー星人は続ける。

 

『その間、僕がパートナーを務めるように、と。こちらが辞令です』

 

シャドー星人が自分の辞令書を空中ディスプレイに表示させると、鷹丸に見せてきた。

 

「ーーーー最近、様子がおかしいと思ってたら、任務だったのか」

 

鷹丸がそう言うと、シャドー星人の姿にノイズが掛かり、その姿を変えた。無表情の鉄仮面だったゼナと違い、にこやかな笑顔が良く似合う好青年だった。

 

「僕は『クルト』。『シャドー星人のクルト』です。よろしくお願いします。鷹丸さん」

 

「ああ、よろしく」

 

鷹丸はクルトて握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

そして、鷹丸はクルトを連れて街を歩いていた。

雑談を交えながら会話をする二人。クルトが風船を配っている人に近づくのを見て、鷹丸はゼロに言われた言葉を思い返していた。

 

【ーーーー冷酷で残忍。『宇宙ゲリラ』、とも呼ばれていた】

 

「・・・・・・・・」

 

何とも言えない顔で、クルトを見ている鷹丸。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、不法滞在している宇宙人を確保した鷹丸。

 

「ーーーーあぁ。無事確保した。これから本部に連行する。ん? クルト? あぁ・・・・悪い奴ではないと思うぐぁっ!?」

 

本部に通信していた鷹丸に、宇宙人が後ろから首を締めてくる。

 

『タノム! ミノガシテクレ! オレハチキュウニイタインダ! カエルナンテイヤダ! イヤダーーーー!!』

 

「ふん!」

 

『(ボゴっ!)うぅ!』

 

と、そんな宇宙人に、クルトが肘打ちで倒され、気絶した。

 

「ケホッ! ケホッ!」

 

「大丈夫ですか!? 鷹丸さん!?」

 

「あ、ああ・・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。

少し黄昏れた気分の鷹丸が川のフェンスに寄りかかっていると、クルトがコーヒー缶を持ってきた。

 

「鷹丸さん。どうぞ」

 

「あぁ、ありがとう。最後に油断するとは、俺もまだまだだなぁ。ゼナにも気をつけろよ、って言われたのに」

 

「油断したのは、僕も一緒ですから!」

 

「ーーーーやっぱり、信頼されてなかったのかもな。だから、黙って行っちまったかも知れないな」

 

鷹丸は、夕焼けの空の、さらにその向こう側を見つめながら呟いた。

 

「・・・・ゼナさんって、どんな人なんですか?」

 

「ウ~ン、改めて聞かれるとなぁ。ーーーーふっ、クルトは、シャドー星人だが、表情を変えるの上手いよな?」

 

鷹丸にそう言われ、クルトは苦笑しながら頷く。

 

「ゼナの奴は、無表情って言うか、鉄仮面ってやつだな。口も動かないし、笑顔も浮かべない。自分の事もあんまり話そうとしないから、良く分からない。・・・・でも、良い奴だと思う」

 

「・・・・じゃぁ絶対良い人だ! 鷹丸さんも!」

 

「えっ・・・・?」

 

「夫婦で〈AIB〉に所属しているけど、仕事の事は、他の地球人の友達に相談とかできないでしょう? なのに、頑張っている」

 

「ふっ。結構人たらしだな。お前って。まぁ、結構この仕事にやり甲斐を感じているさ。地球人も、他の星の人達も、平穏に暮らせたらと思っている」

 

「・・・・うん。僕もそう思います」

 

「あぁ」

 

鷹丸は再び空を見上げるが、その顔は何処か晴れ晴れとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーゼナsideー

 

そしてその頃ーーーー。

 

『くっ・・・・!』

 

何処かの地下施設にて、“柱に鎖で縛られたゼナがいた”。

ゼナの周りには作業員らしき格好した男性が二人、ゼナを見張っていた。

 

ーーーーカツ、カツ、カツ・・・・。

 

そんな施設から地上に続く階段から、“一人の人物が降りてきた”。

 

『・・・・・・・・』

 

ゼナはその人物を真っ直ぐに見据えていた。

 

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