閃乱ジード   作:BREAKERZ

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絆を掴め! ブレイブチャレンジャー!

ー霧夜sideー

 

「『秘伝忍法 魁』!」

 

「『秘伝忍法 二刀繚斬』!!」

 

「『秘伝忍法 霜袖・破魔流』!!」

 

「『秘伝忍法 悦ばしきInferno』!!」

 

焔と飛鳥と雪泉と雅緋が、各々の『秘伝忍法』を放つが、理巧がいる校舎を覆う結界に阻まれて消滅した。斑鳩達とも交代で技を放つが、同じように阻まれてしまう。

街頭のカメラをペガにハッキングしてもらい人目をどうにか逸らしているが、もうソレも限界である。

 

「クソっ! 一体どうすりゃ壊れるんだ!?」

 

「理巧くんが校舎に入ってもうすぐ一時間・・・・」

 

「霧夜先生!」

 

「『忍結界』の類ではない。しかしこれは・・・・?」

 

全員がどうしたものかと頭を抱える中、霧夜先生はこの結界の正体が何なのか分からずにいた。

と、その時ーーーー。

 

「・・・・あれ?」

 

「どうした雲雀?」

 

雲雀が不意に空を見上げると、ちょうど中学校の真上の空の景色の一部が、歪に歪んでいるのが見えた。

 

「霧夜先生、あれ!」

 

「ん?」

 

雲雀が指差した方向を霧夜先生と飛鳥達を見た。

 

「ゼロ。アレは・・・・」

 

《ーーーーどうやら、『アイツ』がこの結界の原因のようだな・・・・》

 

霧夜先生は、ウルトラゼロアイNEOを取り出した。

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

理巧は『ペガ』の顔面スレスレに拳をピタッと止めた。その際に起こった風圧で、狭い体育倉庫の中は揺れてホコリが舞った。

 

『り、理巧・・・・?』

 

「ーーーーさっさと姿を現せよ。お前、“ペガじゃないんだろう”?」

 

『ペガ』を見据える理巧のその目は冷酷な光を放ち、真っ直ぐに相手を見据えていた。

 

『・・・・・・・・どうしてーーーー分かったんだ?』

 

起き上がった『ペガ』の声が、“別の声に変わった”と同時に、その姿が変貌した。

赤く細長い上半身と青い下半身を持ち、頭頂部から背面・両肩には黄色い縁取りがある。後頭部にはタコやイカの吸盤のような突起があり、胸から腹に走る黄色い縁取りは発光器官になっている。手はチューリップのような形状とした異星人『幻覚宇宙人 メトロン星人』であった。

 

「残念ながら、今ペガは少しお悩み中の家出中でね。そんな時にボクと会ったら、黙って顔を背けるか、『何で来たんだよ!?』って言うからね。ソレに、ここまで近づくとペガとは違う気配が漂っているのが丸分かりだったのさ」

 

『・・・・・・・・はぁ〜〜!』

 

メトロン星人は少し間黙ると、盛大な溜め息を零した。

 

『やれやれ・・・・不意打ちで捕まえて大金を得ようと思ったが、無駄だったようだな』

 

「お前、虎山達に雇われたのか?」

 

『まぁな。俺は普段は人間に擬態してこの地球に住んでいて、本来の仕事はーーーー『兵站屋』、『ロジスティクス』のような仕事をしてな。まぁ主に武器や爆弾等、普通の手段では手に入らない『ブツ』を調達して売り捌いている。虎山のドラ息子の両親のような特権階級の奴らは、裏では世間に言えないえげつない行為をやってるからな。更に暴力団とかにもそんな『ブツ』を捌いている』

 

どんな『ブツ』なのかは理巧は興味ない。そんな物よりも優先しているものがあるからだ。

しかし、こんな宇宙人に狙われる覚えがーーーー無い事も無いが、一応聞いてみようと思い口を開いた。

 

「・・・・それで、お前は何でボクを狙っていたんだ?」

 

『アンタ知らないのか? 暁月理巧、嫌ーーーーウルトラマンジード』

 

「・・・・・・・・」

 

自分がウルトラマンである事を知られている事に、理巧はあまり驚いていない。こういう裏の稼業で生きている手合いなら、そんな情報を掴んでいても不思議ではないと思ったからだ。

 

『アンタは、あのウルトラマンベリアルを倒した。アンタのその活躍はこの宇宙全体に轟いている。しかしだ、そんなアンタを放置しておくと、ベリアルを後釜を狙っている自分達の脅威になると考えた裏社会の連中はーーーーアンタの首に『賞金』を掛けたんだ。日本円で『1億円』位のな』

 

「1億円とは、また豪勢な・・・・」

 

いつの間にかとんでもない額の賞金首になっていた自分に、理巧はやれやれと肩を落とす。面倒なのは嫌いなのに、何だかこれからますます面倒な事が寄って来る気がして辟易とした。

 

『偶然、俺の隠れ家の近くにアンタが住んでいる学生寮があったんでな。上手くやれば一生遊んで暮らせる大金が手に入ると思って、それなりに計画を立てようとしていた時に、お得意様である虎山家のドラ息子からの依頼が入ってきてな。しかも、ターゲットは狙っていたアンタだった事を知って、これはチャンスだと感じちまってな。あのドラ息子達に武器と、アンタの友達のペガッサ星人の事を話したって事さ。後は馬鹿共が上手くアンタを弱らせてから、ペガッサ星人とコッソリ入れ代わっていた俺が仕留めて、大金をせしめようと思ったんだ。あ~ぁ、そんなに上手くいかねぇか・・・・』

 

「それで、ペガは何処にいるの? それと、この学校の敷地内を覆っている妙な空間はお前が作ったのか?」

 

『いんや。昔の仕事のツテで手に入れた『四次元怪獣 ブルトン』を使って、この辺りの空間を歪ませただけだ。ソレと、アンタの友達は屋上だ』

 

「ーーーー怪我はさせてないだろうな?」

 

『(ゾクッ)・・・・馬鹿共が付けられたキズはあるが、俺が屋上に移すまでにキズは薬を使って治しておいてやったよ。流石にあんな子供を怪我だらけにさせておくのは気が引けたんでね。俺にも故郷には女房子供がいるからよ』

 

「・・・・ペガを巻き込んだ事に関してはソレで許してあげるよ」

 

ペガに怪我をさせたかを聞いた時に、冷酷な殺意を感じて平静を装いながらメトロン星人がそう言うと、理巧は殺意を収め、メトロン星人に背を向けて体育倉庫を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

理巧が体育館か出て、学校の上空をジッと見ると、全体の形状は塊状で手足が無いが、あちこちからフジツボのような突起が出し、先端の突起の孔からアンテナ状の繊毛を四本伸ばした『四次元怪獣 ブルトン』が浮遊しているのが見て取れた。

そして、そのブルトンに向かって、地上からルナミラクルゼロとなったウルトラマンゼロが向かっていった。どうやら外にいる霧夜先生達が気付いて結界を破る為に飛び出したのだろう。

 

「頼むよ。おじさん、ゼロ」

 

理巧は体育館から離れるとーーーー。

 

「ーーーーよっと!」

 

軽く足に力を込めてジャンプすると、屋上のフェンスの上まで跳躍して、そのまま屋上の周りを見渡してペガを探す。

 

『・・・・理巧?』

 

「あっ、ペガみっけ」

 

が、足元のフェンスの下で、縛られたペガがフェンスに寄りかかるように座っていた。理巧はペガの隣に降りると、ペガの身体を拘束していた縄を引き千切り、ペガの身体を解放する。が、ペガはソコから立ち上がろうとせず、座ったままになり、理巧も同じように座り込んだ。

 

『・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・」

 

お互いに、何も言わず無言を貫いていた。上ではルナミラクルゼロがブルトンと戦っているが、そんなのお構い無しである。

 

『・・・・何で、来たのさ?』

 

「・・・・そんなの、分かりきってるでしょ?」

 

『友達』だから、敢えてソレを言わない理巧。

 

『ペガは、理巧の力になれないよ・・・・。飛鳥達みたいに強くなければ、霧夜達みたいに教えて導く事もできない。ペガは、理巧の『足手まとい』なんだ・・・・』

 

「ーーーー誰が、そんな事を言ったの?」

 

『え・・・・??』

 

それまで黙っていた理巧が、静かに怒りを孕んだ声を上げ、ペガはキョトンとしたが、理巧は構わずペガの前に移動して、その目を真っ直ぐ見つめて問いかける。

 

「誰が、『ペガは暁月理巧の足手まといだ』って言ったの?」

 

『えっ?』

 

「ペガが僕の足手まとい? そんな訳ないだろう!!」

 

『!』

 

数年の付き合いだが、理巧がこんなに怒声をあげたのを見た事が無かったペガは、目をパチクリさせた。

 

「ペガと出会えたから、中学時代のイジメから僕は救われた! ペガがいてくれたから、僕は独りぼっちじゃなかった! ペガが背中を押してくれたから、僕は雲雀ちゃんを助けに行く事ができた! ペガが帰る場所にいてくれるから、僕はいつも安心して戦い行く事ができるだよ! 出会ってから今日まで、ペガが僕の支えにならなかった時なんて、僕の力になってくれない時なんて・・・・ただの一つもない!!」

 

『!!』

 

理巧は真っ直ぐに断言するように言った。ソレを聞いてペガはうっすらと涙を浮かべた。

 

『・・・・じゃぁ、ペガは居て良いの? 理巧や皆のいる、『秘密基地』に居て良いの?』

 

「ーーーー何言ってるの? 居て良いに決まっているでしょう。僕達皆の、あの基地にさ」

 

『理巧・・・・!』

 

そう言うと、理巧は立ち上がり、ペガに手を差し出した。

 

「さぁ、帰ろっか。ペガ」

 

『うん・・・・!』

 

ペガはその手を取って立ち上がった。

 

ーーーーチュドォォォォォォォォン!!

 

ーーーーガシャァァァァァァァァン!!

 

と、その瞬間、上空で爆発が起きたのと同時に、学校を覆っていた結界がガラスが割れるような音を響かせて砕け散った。

恐らくゼロがブルトンを倒して、学校を覆う結界が砕けたのだろう。校門の方に目をやると、飛鳥達と焔達、雪泉達と雅緋達が敷地内に入ってくるのが見えた。

霧夜先生に虎山達を押し付けて基地に帰るだけ・・・・と、思ったのだが。

 

「ーーーー逃さねぇぞ、暁月・・・・!!」

 

『っ! 理巧! あの人!』

 

「虎山?」

 

先程理巧が撃退した虎山がヨロヨロとだが屋上の扉から出てきて、コチラを睨んでいた。それだけでなくその手にはーーーー『コピークリスタル』と『怪獣カプセル』が握られていた。

 

「何!? 何でお前がそんなものを!?」

 

「くくく、メトロン星人‹兵站屋›のバックに入っていたブツだが、コレで、何もかもメチャクチャにしてやる! 俺達とお前の因縁も、ここで終わりだ!!」

 

ーーーーブォォォォッ!!

 

虎山が怪獣カプセルを起動させてコピークリスタルに装填して空高く放り投げると、一瞬ピカッと光り、怪獣が現れた。

黒い身体に赤い突起物がまるで髪の毛のように頭と両肩に乗せた怪獣を超えた超獣、『ミサイル超獣 ベロクロン』だ。

 

『ブォオオオオ!!』

 

ベロクロンは両手から及爪型の光弾『テリブルスラッシュ』を放射し、全身の赤い突起物からはミサイル、ロケット弾の発射し、口内にも二連装のミサイルランチャーを放って、街を破壊していく。

 

「あちゃ〜・・・・まぁた、面倒臭い事になったなぁ」

 

「ハハハハ、スゲェ・・・・! シャバじゃあこんな面白いモンが(ドシュっ!)ぐぁ!?」

 

虎山が笑い声を上げようとした瞬間、力無く倒れると、その後ろにメトロン星人が立っていた。

 

『たくっ、このクズが。俺の荷物から何か盗んでいると思ったら!』

 

『あっ、メトロンのおじさん!』

 

「おい。何でアンタがカプセルとクリスタルを持ってるの?」

 

『あぁ、嫌な・・・・。怪獣カプセルもコピークリスタルも少し前から裏ルートで取り引きされるようになってな。ブルトンと一緒に手に入ったんで、御守り代わりにそのまま持ち歩くようにしていたんだが。このドラ息子、目を覚ましてすぐに隠していた俺のバックの中から取り出して起動させやがったんだ』

 

「んで? アレ以外持っているのか?」

 

『嫌。アレだけだ。もう面倒だし、破壊して良いぜ』

 

「ーーーー良し。ソレで、お前は?」

 

『この地球、嫌、『宇宙』からトンズラさせてもらうよ。こうなると〈AIB〉に掴まる可能性がデカいしな。俺の故郷は『マルチバース』の向こうの『平行世界』にあるんで、ソコまでは〈AIB〉も追ってこないだろう。これからは今まで稼いだ金で家族と静かに暮らすさ』

 

「まぁ、別に良いけどね」

 

『見逃すのか?』

 

「お前を捕まえる理由がないからな」

 

『あんがとよ。・・・・ついでだ、礼変わりに『後始末』と、暁月理巧。一つ、情報を教えてやるよ』

 

「ん?」

 

『ーーーーーーーーーーーー』

 

「っ」

 

『えぇっ!?』

 

メトロン星人が発した言葉に、理巧は目を鋭くし、ペガは仰天した。

 

 

 

 

 

ー飛鳥sideー

 

「うわぁぁぁぁ!? 何で怪獣がっ!?」

 

「しかも何だよあれ!? ミサイルとかバカスカ撃ちまくりやがって!」

 

「このままでは街が破壊され尽くされますわ!」

 

飛鳥と葛城と斑鳩が、猛威を振るうベロクロンを見てそう毒づいた。

するとーーーー。

 

「皆ー!」

 

『おーい!』

 

『理巧(りっくん/くん/さん/様)! ペガ(くん)!』

 

校舎から出てきた理巧とペガと合流する一同。

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

「りっくん! あの怪獣って!」

 

「諸々の説明は後。先にアイツを始末する!」

 

そう言って、『ジードライザー』を取り出す理巧。

 

『理巧!』

 

「ん」

 

『ジーッとしててもーーーー』

 

「(フッ)ドーにもならない!」

 

ペガとそんなやり取りをしてから、理巧は『ジードライザー』を構え、カプセルホルダーから『ウルトラマンメビウスカプセル』を取り出し、スイッチを押して起動させる。

 

「融合!」

 

ーーーーセヤッ!

 

カプセルから銀色の光の線が幾つもの放たれ、『ウルトラマンメビウス』の姿が現れ、カプセルを装填ナックルにいれる。

 

「アイ・ゴー!」

 

次にカプセルホルダーから『ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンカプセル』を持って起動させると、紫色の光の線が幾つも放たれ、『ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン』の姿が出現した。

 

ーーーーシュワッ!

 

『ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンカプセル』をナックルに装填し、ジードライザーのスイッチを押して起動させた。

 

「ヒア・ウィー・ゴー!!」

 

装填したナックルを取り外し、ジードライザーにスキャンさせる。

 

ーーーードクンッ! ドクンッ!

 

ジードライザーの中央のカプセルに、銀色と紫色の光が交差するように交わる。

 

[フュージョンライズ!]

 

「掴むぜ、絆!! ハァアアア・・・・っ!」

 

理巧はジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押した。

 

「ハァッ! ジイィーーーーード!!」

 

ライザーのカプセルが回転し銀色に輝き、理巧の身体も銀色に輝く。

 

[ウルトラマンメビウス! ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン! ウルトラマンジード!! ブレイブチャレンジャー!!]

 

ウルトラマンメビウスとウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンの姿が合わさり、理巧の姿が変わっていく。

 

『セワッッ!!』

 

銀と赤の目映いの光の奔流の中から、新たなウルトラマンジードが飛び出した。

 

『フゥゥゥ・・・・!』

 

耳や肩、両手や両足に金のプロテクターを付け、左腕にはブレスレットを付けた、赤と紫の配色をした絆の戦士『ウルトラマンジード ブレイブチャレンジャー』だ。

 

『ブォォォォ!!』

 

ベロクロンは雄叫びを上げながらブレイブチャレンジャーに迫りくる。

 

『セワッ!』

 

ソレに受けて立ち、力比べをするが、ブレイブチャレンジャーがベロクロンの首に水平チョップを叩き込み、更に後ろ蹴りをその腹部に叩き込む。

 

『ブォォォォ!』

 

後ろに後退したベロクロンは、口から火炎放射を放つ。

 

『ハァっ!!』

 

ブレイブチャレンジャーはバク転をしながら回避する。

すると、ベロクロンは火炎を消すと、『テリブルスラッシュ』とミサイルにロケット弾、ロケットランチャーを一斉掃射にブレイブチャレンジャーを襲う。

 

『フッ!ーーーー『スペリオンシュート』!!』

 

丸い円の中に∞‹無限›のマークが入ると、ブレスレットが付いた左腕を盾にして十字に腕を組むと、ブレスレットから光波熱線が放たれ、迫りくるミサイルの雨を撃破していく。

 

ーーーードカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカァァァァァァァァンン!!!

 

『ブォォォォ!?』

 

驚くベロクロンに、ブレイブチャレンジャーはブレスレットから小さな刃の形をした光弾を連続で発射する。

 

『『アタックスラッシャー』!!』

 

『ブォォォォ!!』

 

光弾を受けてベロクロンは後ろに倒れた。

 

『ーーーー随分と派手にやってるな?』

 

と、ソコで、ブルトンを倒したゼロが降りてきた。

 

『・・・・・・・・』

 

『「理巧?」』

 

『どうした?』

 

『ゼロ。おじさん。この戦いが終わったら、“言っておかないといけない事”ができた』

 

『「“言っておかないといけない事”?」』

 

『何だソレーーーー』

 

『ブォオオオオオオオッ!!』

 

ゼロと霧夜先生が聞き返そうとすると、ベロクロンが起き上がり、口から火炎を発射した。

 

『セワッ!』

 

『おっとぉ!』

 

が、二人のウルトラマンは楽々と回避するが、ベロクロンは標的をブレイブチャレンジャーに定めているのか、ブレイブチャレンジャーを追って火炎を放出する。

 

『ジード。手伝おうか?』

 

『必要ないよ』

 

『だろうな。んじゃ、馬鹿共でも回収しておくぜ?』

 

『任せた』

 

ゼロとブレイブチャレンジャーはそう会話を終えると、ゼロの身体が光りに包まれて消えると、霧夜先生の姿に戻っていた。

 

『シュッ!』

 

『ブォオオオオオオ!!』

 

ブレイブチャレンジャーは上空に飛ぶと、ベロクロンは再度一斉掃射を放った。

 

『『メビュームギガ光輪』!』

 

ブレイブチャレンジャーは両手を水平に胸元に起き、左腕のブレスレットを上げ、天に掲げると、ブレスレットを中心に、巨大なノコギリ状の光の輪『八つ裂き光輪』を生み出し、左腕の動きでその光輪で全てのミサイルを斬り裂いてから、ベロクロンへと向かい、すれ違い際に左腕を振るった。

 

『セワァッ!!』

 

ーーーーズバンっ・・・・!!

 

『!!!!』

 

ブレイブチャレンジャーがベロクロンに背を向けて着地をする。

 

『・・・・・・・・』

 

ベロクロンは動かなくなり、ブレイブチャレンジャーが立ち上がって左腕の光輪を消すと、腕を払ったその瞬間ーーーー。

 

ーーーーズルッ・・・・ドカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンッ!!!

 

ベロクロンの身体が斬られたようにズレてから爆散した。

 

『・・・・セワッチ!!』

 

戦いが終わったのを確認すると、ブレイブチャレンジャーは空を飛んでその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わり、夕日が世界を包み込む時間帯。

理巧は中学校の近くのビルでペガ達と合流し、中学校では何台ものパトカーと護送車が来ているのを見下ろした。

眼下では、無機質で感情を失ったような目も顔となった虎山。顔面血だらけになって怯えきっている狐坂と猪本と猿岡。警察や仲間達に向かってギャーギャーとヒステリックに罵倒を撒き散らしている烏海。絶望に染まった顔でブツブツと呟いているような小森。

ペガが人質に取られていたから通報できずにいたが、ペガを取り戻したので、霧矢先生が警察に通報したのだろう。

元々虎山達は少年院から脱走した犯罪者である。これもひとえに、『善良な市民としての役目』であると理巧は思った。

 

「・・・・それで、奴らはどうなの? ペガの事とか喋ってた?」

 

「いや。飛鳥達が学校に入っていくと、昇降口の所で気絶した彼らを発見したようだ。縛り上げた後に俺が聞いてみると、お前やペガくんの事は全く覚えておらず、理巧を呼び出して復讐しようとしていたようだが、仲違いを起こしてボロボロになったと言っている。理巧? 記憶操作でも使えるのか?」

 

「いや。僕にそんな事してないよ」

 

恐らく、メトロン星人が『後始末』をしてくれたのだろう。

 

「しっかし、虎山は記憶障害が起こって大人しくなり、狐坂も猪本と猿岡は、コッチが差し出した手を見て、メチャクチャビビりまくっていたぞ? 理巧、お前何をしたんだ?」

 

「さぁ? 何があったんだろうね?」

 

絶対コイツなにかしたな・・・・と、全員の目がそう言っていた。

 

「・・・・霧夜先生」

 

「何だ飛鳥?」

 

「何で皆、『イジメ』なんて行いをするんですか? そんな事したって、何にもならないのに・・・・」

 

飛鳥には理解できなかった。他人を虐めた所で強くなれる訳でも、頭が良くなる訳でもないのに、そんな人間として最低極まるような行為をするのに、大切な青春の時間を費やしている人間の気持ちが、まるで理解できないのだ。

飛鳥だけでなく、斑鳩や雪泉達月閃と言った、優等生組も同じ気持ちであるように頷いた。

ソレを見て霧夜先生は、ヤレヤレと後頭部を掻きながら、口を開く。

 

「教師としてあるまじき事を言わせてもらうが・・・・。『イジメ』が無くなる事は、永遠に無いのかも知れん」

 

「え?」

 

「第一に、『学校』の構造上の問題だ。狭いコンクリートの箱の中に二〜三十人の、善悪の区別がほとんどできない多感で未熟な子供達を閉じ込めておき、『今日から皆友達で仲間ですから仲良く過ごしましょう』、なんて分別のつく大人だって難しい。まぁ、大人でも今の御時世、職場イジメなんてものがあるがな。そして、学校のクラスの中には勉強ができる人間。できない人間。身体の強い人間。身体の弱い人間。コミュ力の高い人間。コミュ障な人間。趣味が好きな人間。人の趣味をくだらないと吐き捨てる人間。スポーツが大好きな人間。スポーツが嫌いな人間。美形やブサイクと千差万別といるんだ。そんな中、どうしてもストレスを貯めてしまう人間は必ずいる。勉強やスポーツ、自分の趣味でソレらを発散できれば良いが。ソレじゃ満足できない、物足りないと感じる『暇人達』が最も手っ取り早く発散できるのがーーーー『イジメ』だ」

 

「っ!」

 

「・・・・・・・・」

 

『イジメ』と聞いて、その被害者である未来は肩を震わせ、その肩に理巧がソッと肩を置いた。

 

「大体の人間は優劣を付けたがる生き物で、自分達でコミュニティを作り、そのコミュニティから外れた人間を見つける。そしてその人間を『異物』として扱い攻撃する。周りの人間達は面倒に巻き込まれたくない、代わりにターゲットにされたくないと考えて見て見ぬふりをするか、同調してやり過ごす。教師も面倒事は嫌い、それ所かモンスターペアレントな親がやって来て余計面倒になるから見て見ぬをふりをする。警察なんて事件性が無いと動かない。そして未成年である自分達は『守られる立場』であり、何かあっても親が何とかしてくれる、自分達はただ遊んでいただけと考え、『イジメ』は余計にエスカレートしていく。結局の所・・・・『イジメ』がこの世から無くなる事は無いのさ」

 

「そんな・・・・そんなのって・・・・!」

 

あまりにも悲し過ぎる話に、飛鳥はやりきれない気持ちを拳をキツく握り締める。そして理巧が、その手を優しく包む。

 

「例えイジメは無くならないとしても、だからといって『諦める理由』にはならない。イジメと言う行為が『犯罪』である事を知らない馬鹿共には、ちゃんとソレを教えてあげる事が必要だと思う。そうしないと、アイツらの二の舞になるからね」

 

理巧は、警察に連行されていく虎山達を見下ろしながらそう言った。

 

「りっくんは、どうやってソレを教えるの?」

 

「教師にでもなるのか?」

 

「そんなのトイレットペーパーよりも役に立たないって散々思い知らされたよ」

 

「おい」

 

「では警察官ですか?」

 

「警察なんて事件性がないと動かないグズな組織だよ」

 

「忍らしく暗殺的なお仕置き人でも?」

 

「それじゃ犯罪だよ」

 

焔と雪泉と雅緋がイジメに対する職業を挙げるが、全部違うと言った。教師の方では霧夜先生が半眼でツッコミを入れたが。

 

「ーーーーまぁ、取り敢えず目星をつけてる職業があってね。僕はソレを目指して、勉強とバイトで金を稼いでいるんだよ」

 

理巧はそう言い、虎山達が漸く護送車に全員放り込まれて、走り去って行くのを確認してから、クルリと背を向け、ペガに話しかける。

 

「ペガ」

 

『ん?』

 

「ーーーー帰ろうか。僕らの『家』、レムが待ってる基地に」

 

《お帰りをお待ちしてますよ、ペガ》

 

装填ナックルからレムの声が聞こえた。

 

『・・・・うん!』

 

その時、飛鳥達はペガが満面の笑みを浮かべたように見え、笑みを浮かべて、皆で帰路に着いたのであった。

 

 

 

 

 

 

ーメトロン星人sideー

 

その頃、メトロン星人はこれまで稼いだお金(日本円で数千万円)を持って宇宙船に乗り、地球を離れ『マルチバース』への『次元転移』を行おうとしていた。

 

『さて、金も結構貯まったし、さっさと故郷の我が家に帰るか。待ってろよマイスイートハニー! そしてマイサンーーーー『マルゥル』!』

 

メトロン星人の乗った宇宙船は、宇宙空間にワームホールを作り、その中に入っていき、そのすぐ後に、ワームホールの入口は消えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

その夜、理巧は、展望台から街を見つめながら、メトロン星人の言った言葉を思い出しながら。

 

【暁月理巧、ウルトラマンジード・・・・・・・・“伏井出ケイは、生きているぞ”】

 

「ーーーーこの街の何処かにいるのか・・・・? 必ず見つけ出してみせるぞ、伏井出ケイ!」

 

ベリアルにも並ぶ因縁の宿敵の事を考え、理巧は鋭い視線でそう言った。




今回出てきたメトロン星人は、後に理巧の後輩ウルトラマンの仲間になる少年の父親と言う設定です。


ー次回予告ー

伏井出ケイを探す僕達に、ベリアルの後釜を狙い、宇宙支配を目論む連中が行動を開始した。漸く見つけた伏井出ケイは記憶を失っている。だが、ヤツを放って置くのは危険過ぎる。
伏井出ケイを狙う、かつて雲雀ちゃんを誘拐した三面怪人ダダの仲間が魔の手を伸ばす。そして、伏井出ケイに近づく謎の女性は一体?
ベリアルの悪夢は、まだ終わっていない!

次回、『閃乱ジード』

【夢を継ぐ者】

変えるぜ、運命!
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