閃乱ジード   作:BREAKERZ

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漸くジード本編です。


夢を継ぐ者
見つけたぜ、伏井出ケイ


ー伏井出ケイsideー

 

伏井出ケイは、薄れゆく意識の中、ボロボロの身体を押して、チェスのキングの駒を必死に手を伸ばそうとしていた。

 

「ぁっ・・・・! うぅっ・・・・!!」

 

しかし、幾ら手を伸ばしても、そのキングの駒に手が届く事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

中学時代、理巧を虐めていた六人は脱走だけでなく、『不法侵入』、『器物損壊』、『銃刀法違反』等、幾つもの犯罪行為を行い、リーダーの虎山の親が手を回したがソレでも六人共、『懲役二十年の刑』とされた。

だが、理巧はそんな事は些末の事と捨て置き、基地にある空中モニタに映し出されたニュースの報道に、『伏井出ケイを全国指名手配』と記されたテロップを見据えていた。

伏井出ケイにかけられた容疑は、裏で脱税や違法な薬物取り引きとされているが、恐らく善忍や悪忍と言った色々な組織が手回したからだろう。

 

「伏井出ケイ・・・・」

 

「漸く、善忍と悪忍の組織が動いたって事だな?」

 

「コレまでベリアルにビビって何にもしなかった癖に、ベリアルを理巧様が倒したから動いたって訳ね」

 

「まだまだ・・・・ベリアルを倒したからと言って、油断はできない。と言う事ですね?」

 

「・・・・・・・・」

 

理巧と柳生、春花と雅緋がそう話していると、飛鳥は何やら浮かない顔をしていたが。

 

『そう言えばさ。理巧のやりたい事って何?』

 

内職をしているペガが、不意にそう聞いてきた。前回のペガの家出事件ではぐらかされてから、時々こうして聞いてくるのだ。

 

「まぁ・・・・“人の役に立つ仕事”をやりたいと思っているよ」

 

理巧はその度に、こうして返していっていた。

 

 

 

 

 

ー鷹丸sideー

 

その頃、鷹丸とゼナは車に乗り込み、〈AIB〉の任務でとあるフリーランスのジャーナリストから回収した『怪獣カプセル』を見ていた。

漆黒の鎧を纏った、まるで皇帝のような出で立ちと迫力がある『エンペラ星人カプセル』であった。

あのキメラベロスとの戦いから

 

「『エンペラ星人怪獣カプセル』。回収完了したな」

 

『随分と手こずったな。しかし良かったのか? あの記者からカプセルに関する記憶を消去して?』

 

「相手は有名人や芸能人、更には政治家の弱味を握って大金を強請り取ってたりしている悪徳記者だ。そんなヤツが『怪獣カプセル』に関する記憶なんて持ったら、ろくでもない事にしか使わないよ」

 

ついでに言うと、その記者は反宇宙人主義で、ウルトラマンジードに対しても否定的な記事を書いてネットに挙げている男であったのだ。

 

[ーーーー強大なエネルギーは、環境にも影響を及ぼす。悪意のある地球人や宇宙人に渡らないようにしなくてはな。ベリアルも厄介な物を残してくれたものだ・・・・]

 

「ああそうだーーーーっっ!!??」

 

と、ソコで、鷹丸を目を見開いた。目の前に、見た事のある人間がヨロヨロと歩いていた。

見間違えではない。ソレはーーーー伏井出ケイであった。

 

「ゼナ! アレを見ろ!!」

 

『っ! 行くぞ!』

 

ゼナの声と同時に、鷹丸も車から飛び出していった。

 

 

 

 

ー霧夜先生sideー

 

そして、同じく伏井出ケイを探していた霧夜先生も、服はボロボロで、ヨロヨロとした動きで歩き、すれ違う人々からは奇異の目で見られている伏井出ケイの姿を見つけた。

 

「やはり生きていたか、伏井出ケイ!」

 

《霧夜代われ!!》

 

ーーーーデュォォォン!

 

ゼロと代わり、逃さないと言わんばかりに駆け出した。

 

 

 

 

 

ー鷹丸sideー

 

「ーーーー伏井出ケイ!!」

 

「・・・・??」

 

伏井出ケイは鷹丸に声をかけられ振り向く。しかしその顔には、かつての紳士的の裏にあった慇懃無礼な雰囲気がなく、かつての狂気を潜めた眼差しにも力が全く無く。まるで別人のようであった。

 

『っ』

 

「ひっ!!」

 

ゼナの厳しい眼光に脅え、伏井出ケイはらしくもなく逃げ出してしまった。

 

『待て!』

 

「ゼナは向こうから! 俺はこのまま追う!」

 

『気をつけろ。ヤツ自身の力もだが、最悪街中で融合獣に変身するかも知れん!』

 

「ああ!」

 

「逃がすなよっ!!」

 

 

ゼナは別方向に向かい、鷹丸と霧夜先生(inゼロ)は伏井出ケイを追跡した。

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

理巧は飛鳥と焔と雪泉と雅緋と共に、伏井出ケイを捜索していた。するとーーーー。

 

「この! 大人しくしろ!!」

 

「鷹丸さん? ゼロ?」

 

「ーーーーな、何なんですか!?」

 

「っ!!」

 

『っ!』

 

目の前で突如、鷹丸がホームレスのような出で立ちの男性を追い詰め、霧夜先生がその男性に押さえつけようとしていた。

そして、そのホームレスの声を聞き、顔を見て、理巧と飛鳥と焔と雪泉は目を見開いた。

ーーーー伏井出ケイだったのだ。

 

「伏井出ケイ!!」

 

「何!? アレがか!?」

 

5人が追いかけると、自分を抑えつけようとしていたゼロを引き剥がした伏井出ケイに向けて、銃口を向ける鷹丸。

 

「チェックメイトだ! 伏井出ケイ!!」

 

「ひぃ、ひぃぃぃぃ!!」

 

「なんか・・・・伏井出ケイ、様子がおかしくないかな?」

 

「んな事はどうでも良い! ここで会ったが百年目だ!!」

 

「今日と言う今日こそ、引導を渡してあげます!!」

 

「「『忍転身』!!」」

 

怯えきっている伏井出ケイに眉根を寄せて訝しそうに言う飛鳥だが、焔と雪泉はそんな事関係ないと言わんばかりに転身して、武器の六刀と扇を持って伏井出ケイに向かった。

 

「喰らいやがれ!!」

 

「ひゃぁぁぁぁ!!」

 

「逃がしません!!」

 

「ひぃぃぃぃぃ!!」

 

焔が六刀で斬りつけようとするが、伏井出ケイは頭を抑えて屈んで避け、雪泉が扇で攻撃すると、ヘッドスライディングするように飛んで避けると、伏井出ケイは四つん這いになって逃げようとする。

演技とは思えないその見苦し過ぎる過ぎる姿に、理巧は訝しそうに眉根を寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

そして〈AIB〉の捜査官と、ウルトラマンゼロと同化した人間と、地球人の少女二人から攻撃を受けて無様に逃げている伏井出ケイの様子を、近くのビルの屋上から見下ろしている『異星人』がいた。

以前、雲雀を誘拐し、理巧に瞬殺され、伏井出ケイに粉々に粉砕された『三面怪人ダダ』・・・・の同族である。

 

『ーーーー追われる獲物に成り下がるとは・・・・。伏井出ケイ、堕ちたものだな。しかし、その獲物は私のもの!!』

 

ダダ星人は空中にパネルのようなディスプレイを展開すると、起動スイッチのようなものを押した。そして明後日の方向に向けて声を上げた・・・・。

 

『行くぞ! 『レギオノイド』!!』

 

すると、巨大なロボットが転送されてきた。

かつて、ウルトラマンベリアルが別の平行宇宙にて作り上げた『ベリアル銀河帝国』の尖兵として造られたロボット兵器『帝国機兵レギオノイド』をダダ星人が自分用に改造し、額にはカタカナの『ダダ』の右側を反転させたマークがついており、機体のカラーは白と黒の縞模様にも見える『レギオノイド・ダダ・カスタマイズ』である。

 

『ふっ!』

 

ダダ星人はディスプレイを消すとその身体はコックピットに転送され乗り込んだ。

 

『ーーーー腕が鳴る!』

 

そう言って、ダダ星人はレギオノイド・ダダ・カスタマイズを動かし、アスファルトを砕いて降り立った。

 

「っ! ひゃぁぁああああ!!」

 

ギロンッと、レギオノイド・ダダ・カスタマイズの目が光るのを見て、伏井出ケイは一瞬の頭痛の後に、甲高い悲鳴を上げる。

 

『伏井出ケイ! 死ね!!』

 

ダダ星人が動かすと、額のマークから破壊光線を発射して、近くのビルを破壊した。

 

「うわぁあああああああああああああああ!!!!」

 

伏井出ケイは片腕で爆発によって生じた煙から身を守りながら悲鳴を上げる。

 

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

「あれって・・・・カラーリングは違うけど、レギオノイドにそっくりだ!」

 

「ーーーー理巧! レギオノイドは俺が! お前は伏井出ケイを! 」

 

「了解! 行くよ、あーちゃん、雅緋さん!」

 

「う、うん!」

 

「了解!」

 

ゼロがウルトラゼロアイNEOを持って、レギオノイド・ダダ・カスタマイズに向かい、理巧達は伏井出ケイを攻撃している焔と雪泉の元に向かった。

 

「ひゃああああああああああああ!!」

 

「逃げるな卑怯者!!」

 

「往生しやがれっ!!」

 

「うわ〜・・・・俺の出番無しかも・・・・」

 

雪泉も焔も、怒り心頭の気持ちで伏井出ケイを攻撃する。その二人の様子に、鷹丸も銃口を伏井出ケイに向けたまま苦笑する。

二人共、伏井出ケイには並々ならぬ恨みを持っているのだから、当然と言えば当然であろうが。

 

「雪泉ちゃん! 落ち着いて!」

 

「やめろ! 焔!」

 

「離してください飛鳥さん!」

 

「邪魔するな雅緋!」

 

飛鳥が雪泉を、雅緋が焔を抑えている間に、理巧は腰を抜かしている伏井出ケイに銃口を向けている鷹丸と合流した。

 

「ーーーー伏井出ケイ!」

 

「助けてぇぇぇぇっ!!」

 

しかし、あろう事か、怯えきった伏井出ケイは理巧にしがみつこうとする。

 

「ーーーー触るな!」

 

ーーーードカドカドカドカドカドカドカドカドカドカ!!

 

「コバァブゥ!!??」

 

そのまま上段と中段の連続蹴りを繰り出し、唯でさえボロ雑巾のような風貌が、余計に酷くなった。

・・・・奇しくもソレは、雲雀を誘拐したダダ星人にした時と同じであった。

 

 

 

 

 

 

 

ー霧夜先生(inゼロ)sideー

 

「セヤッ!!」

 

ゼロが目元に当てたウルトラゼロアイNEOのボタンを押してウルトラマンゼロへと変身した。

 

『シュワッ!!ーーーーフッ! ハッ!』

 

ショルダータックルを繰り出すゼロだが、レギオノイド・ダダ・カスタマイズはまるで動かず、ゼロの攻撃を防いでカウンターパンチを出して押し出す。

 

『我が同胞の仇! ウルトラマンベリアルの第一の側近である伏井出ケイは、私が倒す! どけ!!』

 

改めて、伏井出ケイに向かってレギオノイド・ダダ・カスタマイズの手を伸ばすが、その手はゼロによって蹴り上げられてしまう。

 

『セヤッ! ハァ!』

 

『ーーーー!!』

 

更に回し蹴りを叩き込むゼロ。駆動音のような雄叫びを上げながら、レギオノイド・ダダ・カスタマイズは攻撃を仕掛けようとするゼロの両腕を掴んで止めた。

 

『何処のどいつだか知らんが、小賢しい!!』

 

そしてゼロの両腕を上げて離すと、ダブルパンチをゼロに叩き込んで後ろに吹き飛ばした。が、ゼロは見事な受け身で片膝をついた状態になる。

 

『ーーーー俺はゼロ! ウルトラマンゼロだ!! 霧夜!』

 

インナースペースの霧夜先生が、『ニュージェネレーションカプセルα』と『β』を起動させる。

 

『ギンガ! オーブ!』

 

[ニュージェネレーションカプセル!α!]

 

『ビクトリー! エックス!』

 

[ニュージェネレーションカプセル! β!]

 

霧夜先生は、合体させたジードライザーとウルトラゼロアイNEOで装填ナックルを読み込み、ゼロビヨンドに変身する。

 

[ネオ! フュージョンライズ!]

 

『「俺に限界はねぇっ! ハアァッ!!」』

 

[ニュージェネレーションカプセル! α! β! ウルトラマンゼロビヨンド!!]

 

『ハァァァ・・・・! ハァっ!!』

 

そして変身すると跳び上がり、『ゼロキック』を叩き込む。

 

『ーーーー!!』

 

さしものレギオノイド・ダダ・カスタマイズは後ろに数歩後退した。

 

『ーーーー姿を変えた所で貴様なぞ敵ではない! ベリアル軍から奪って私専用にカスタマイズしたレギオノイドの力を・・・・味わえ!』

 

『ーーーーフッ!』

 

ゼロビヨンドは一回唇を親指で拭ってから、迫りくるレギオノイド・ダダ・カスタマイズと戦闘を再開した。

 

 

 

 

 

 

ー斑鳩sideー

 

斑鳩達は合流すると、近くで始まったゼロビヨンドとレギオノイド・ダダ・カスタマイズの戦闘に民間人が巻き込まれないように、避難をさせていった。

 

 

 

 

 

 

ーゼロsideー

 

『くらえっ!!』

 

レギオノイド・ダダ・カスタマイズが額から破壊光線が発射された。

 

『『エメニウムスラッシュ』!!』

 

額の3つあるビームランプから通常の『エメニウムスラッシュ』よりも太い光線を放ち、破壊光線を相殺すると、ゼロビヨンドはレギオノイド・ダダ・カスタマイズと組み合った。

 

『ーーーーぐぅ、なんてパワーだ』

 

 

 

 

 

 

ー理巧sideー

 

「ほら大人しく(ガブッ!!)あいたっ!!」

 

「うぅ~っ!!」

 

鷹丸がボロボロになった伏井出ケイ起き上がらせようと手を伸ばして、伏井出ケイの腕を掴んで起き上がらせようとすると、伏井出ケイはガバっと起き上がると、鷹丸の腕に噛み付いた。

 

「ーーーー貴様!!」

 

ーーーーメ"ギッ!!

 

鷹丸に危害を加えた瞬間、理巧はつま先蹴り、サッカーで言うところの『トーキック』を伏井出ケイの顔面に深くめり込ませ蹴り飛ばす。

 

「ぼばぁっ!!」

 

思わず鷹丸の腕から口を離した伏井出ケイは、そのままゴロゴロと転がっていくと、戦闘によって生じた煙の中に消えていった。

 

「っ! しまった!」

 

「待て伏井出ケイ!」

 

「ヤロウ、逃がすか!!」

 

「確実に仕留めてあげます!!」

 

「あっ雪泉ちゃん! 焔ちゃん!」

 

「理巧様!」

 

「ああ! 追いかけよう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして理巧達は、カフェテラスで優雅に座り、PCのキーボードを押して仕事をし、耳にはお洒落なイヤリングに、イヤホンを付けた1人の女性を見つけた。優雅な服装に髪も見事に着こなし、まさに『大人の女性』を強調しているかのような女性だ。周りはゼロビヨンドとロボット怪獣が暴れているのに、その女性はそんな周囲の状況に構わず仕事をしていた。

よほど集中していたのか、耳に付けたヘッドホンのせいなのか、周りの音が聞こえていなかったのか。

 

「ーーーーすみません! 男の人が通り過ぎませんでしたか?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

飛鳥が訪ねると、女性はイヤホンを外し、後ろの方を指差した。

 

「ありがとうございます!」

 

「待ちやがれ伏井出ケイ!!」

 

「今度こそ!!」

 

「私が先に捕まえる!!」

 

「あなたもすぐに避難してください!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

飛鳥達が走り出し、鷹丸も追い掛けようとするが、理巧だけは、その女性を訝しげに見据えていた。

 

「・・・・(ニコリ)」

 

その女性が、理巧に優美な笑顔を向ける。理巧は更にその女性を胡乱げに見据えるが。

 

「理巧! 速くするんだ!」

 

鷹丸に呼ばれ、急いで後を追った。

 

 

 

 

 

ー女性sideー

 

「・・・・もう大丈夫よ。出てきて」

 

そしてその女性は、自分の座る席のテーブルの一部をめくって小さな声で声を上げると、ソコからーーーー伏井出ケイが這い出てきた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「あなた・・・・作家の伏井出ケイ先生でしょ?」

 

「・・・・さっ、か?・・・・ケイ・・・・??」

 

しかし、伏井出ケイは、女性の言葉を復習するだけであった。

 

「・・・・もしかして、“自分の事が分からないの”?」

 

女性の問い掛けに、伏井出ケイはコクコクと頷くだけであった。

 

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