氷川紗夜の休暇   作:(仮)ユーザー

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氷川紗夜の休暇:オンラインゲーム

「ちょっと遠出のついでにネットカフェでNFOでもやろうと思ったけど……ここのお店ではインストールされていないのかしら?」

 

「仕方ないわね、自分でインストールするしか……あら? これは何かしら」

 

「『新作オンラインゲームのβテスター募集中! 今なら即座に遊べます』……?」

 

「まあ、1からインストールするのも時間がかかるし、せっかくだから遊んでみようかしら」

 

 

「ここがゲームの世界ね。NFOとはまた違った不思議な雰囲気がするわね」

 

 

【ワン! こんにちワン! ボクはこのゲームのマスコットキャラクターだよ!】

 

 

「何? 犬耳を生やした一頭身のキャラクター……? でも、ちょっと可愛いかも」

 

 

【名前は『ニャンコ』っていうワン!】

 

 

「猫なの!? その語尾と見た目は何なのよ……」

 

 

【みんなからは『薄汚い権力の犬』って呼ばれているよ!】

 

 

「嫌な名前ね!? というか犬なのか猫なのかハッキリしてちょうだい!」

 

 

【今回、チュートリアルを進めるにあたってボクがいろいろとアドバイスをしてあげるワン!】

 

 

「私もこの世界では右も左も分からないし、教えてもらえると助かるわ」

 

 

【行きたい場所をクリックをするとその場所まで移動できるよ!】

 

 

「なるほど。基本の移動はこれね」

 

 

【ダブルクリックならダッシュで動けるよ!】

 

 

「急いでいるときに便利そうね」

 

 

【Shiftキーを押しながらだとムーンウォークができるよ!】

 

 

「いらないわよそんな機能!」

 

 

【あ、モンスターが現れたよ! モンスターをクリックすれば自動的に攻撃してくれるワン!】

 

 

「よし。くらいなさい!」

 

 

【『ぐわぁ~! まだ30年分のローンが残ってるのにぃ~!』】

 

【『うわぁ~! 病気の母さんが俺の帰りを……!』】

 

【『うおぉ……! 死ぬ前に故郷の家族に顔を見せたかった……!』】

 

 

「何この断末魔!? 私が悪いやつみたいになってるんだけど!?」

 

 

【モンスターたちにも生活があるっていう設定を再現してみたんだ!】

 

 

「プレイヤーからすればやりづらいことこの上ないわね! 設定でオフにしておきましょ……」

 

 

【モンスターを倒すと経験値が手に入り、経験値が貯まるとレベルアップ! レベルが上がるとステータスも上昇するワン!】

 

 

「まあ、これくらいは余裕ね」

 

 

【『サヨはレベルが上がった! 体力+5 精神力+1 力+1 身の守り+2 ……』】

 

【『賢さ+1 素早さ+1 運の良さ+1 魔法攻撃+1 魔法防御+1 ……』】

 

【『真面目さ+2 辛抱強さ+1 やる気+1 疲れへの抵抗+1 適応力+1 発想力+1 愛想の良さ+1 観察力+1 お金への執着度+1 ……』】

 

 

「パラメータ多すぎない!? 『お金への執着度』とかいつ使うのよ!」

 

 

【『ツッコミ+4』】

 

 

「やかましい!」

 

 

【精神力を使用することでプレイヤーはスキルを使えるワン! ためしに一つ使ってみてよ!】

 

 

「私はタンク職だから防御に関するスキルが使えるのね。この『陽光の守護』というスキルを使ってみようかしら」

 

「それで、このスキルはどんな効果が得られるの?」

 

 

【『陽光の守護』はその名の通り、太陽から降り注ぐ紫外線からお肌を守ってくれるワン!】

 

 

「そんなものから守ってどうすんのよ!?」

 

 

【周りにいる人に話しかけるとクエストが受けられるよ! みんなの頼みを聞いてほしいワン!】

 

 

「NFOでも同じことがあったわね。困っている人を放っておくことはできないわ、私に任せて!」

 

 

【『あちゃあ、書くものを置いてきちまった。あんた、書くもの持ってないか?』】

 

 

「羽根ペンでよければもってるわ。どうぞ」

 

 

【『ここの式が分からないの。教えてもらえるかしら?』】

 

 

「ここはこうすれば解けるわ。これで大丈夫よ」

 

 

【『ビンの蓋が開かないんだ。代わりにやってくれるか?』】

 

 

「さっきから内容薄くない!? 完全に『クラスの隣の席の友人に頼む』程度のものばかりなんだけど!?」

 

「困っている人を助けるのは大事だけど、ほとんど自分でできることばかりじゃないのもう……。しっかりしてちょうだい……」

 

 

【次はアイテムの使い方を説明するよ! 試しにサヨの体力を減らすから、手持ちにあるアイテムを使ってほしいワン!】

 

 

「回復薬ね。分かったわ」

 

 

【→・青汁    ・スポーツ飲料    ・野菜ジュース】

 

 

「健康志向!? さっきのスキルといい、なんでちょくちょく健康に訴えかけているのよこのゲーム!」

 

 

【よし、青汁を選んで回復だ!】

 

 

「しょうがないわね……。アイテムボタンっと……」

 

 

【サヨは青汁を使った! サヨは苦いのが苦手だった! サヨはダメージを受けた!】

 

【サヨは死んでしまった……】

 

 

「ええっ!? 何で回復薬使ってダメージ受けるのよ!? ていうか死んでるし!」

 

 

【あ~、苦いの苦手だったか~。このゲームはプレイヤーに設定されている好物によってアイテムの効果が変わるんだワン】

 

 

「そういうことは先に言いなさいよ! はぁ……あなたさっきから全然役に立ってないじゃない。もうログアウトしようかしら」

 

 

【そんなことないワン! ボクの動きはあくまで仕様上の動きだからこれで普通なんだワン!】

 

 

「いや、バグでしょう。どう考えても」

 

 

【違うワン! 仕様なんだワン! 上から『仕様で通せ』って言われてるんだワン!】

 

 

「上層部の指示なの!? あなたもそれを理解しているなら文句の一つでも言ったらどうなの!」

 

 

【え~……。だって文句言うとボーナス減るし~……。そもそも長いものには巻かれる主義だし~……】

 

【それを踏まえた上で今後ともこのゲームをよろしくね!】

 

 

「この……『薄汚い権力の犬』っ!!」




どうもありがとうございました。

※今回の話もイラストにしてみました。

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