ホームレス拾いますか?《YES/NO》   作:御伽辰巳

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昨日の更新は一回だった……。
しかも短い。

でも感想は来てた。
皆さんありがとですっ○(≧▽≦)○


ホームレス魘されますか?《YES/NO》

-13-

 

 

 シャレイは、僕と同じ部屋に住む事になった。

 なるべくネェちゃんにシャレイの姿を見せない、食事は僕の部屋で取る。そのような条件を付けたが、結果的にネェちゃんはシャレイをうちに住ませる事に賛成してくれた。

 時刻はもう十一時となっていて、僕が普段寝ている時間より三十分程遅かった。

 

「シャレイ、そろそろ寝よっか」

 

「分かった」

 

 クローゼット。勉強机。ベッド。以外の物を置いていない僕の部屋は、まだ空いているスペースがあり、ベッドの隣に布団を一枚ひく程度のスペースは確保できた。そんな訳で、ベッドの隣に布団を敷いて、そこをシャレイの寝床とした。

 シャレイは「いや、押入れさえくれれば十分だ」と言っていたが、僕の部屋に押入れはないし、クローゼットは子供一人入るのも困難なスペースしかないし、それじゃあ何処のドラえもんだよと思ったため、普通に布団をひかせてもらった。

 

「じゃあ、おやすみ」

 

「ああ。おやすみ」

 

 部屋の電気を消して、真っ暗になった部屋で、僕はタオルケットを体に巻きつけて眠る。明日は土曜日で、学校が休みだ。そしたら、また、シャレイの記憶を取り戻す為に頑張ろう。

 そう思い、僕は意識を手放した。

 

 

 先に言っておく。これは僕の夢だ。

 僕がまだ小学生で、両親は今ほど忙しくなく、兄もまだ実家にいた頃の幼き頃の風景。

 母親は綺麗で、兄はいつも一緒に遊んでくれて、姉は優しくて、父親も、父親なりに頑張ってくれていた、僕の幸せな家庭。

 父親は昔からゲームが大好きな人間で、ゲーム三昧で一日中ゲームに明け暮れていた時期があったらしい。

 でも、母親がそのゲーム廃人の父親を更正させて、なんとかまともな人間に戻したらしい。

 今でも父親はゲームが好きだが、そのゲーム好きを生かして今では海外のゲーム会社で母親と一緒に働いている。

 親としてはちょっと失格気味な父親だったが、父親も父親なりに親として努力していたので、僕はそんな父親が好きで甘えていた。

 

 兄は、父親の血を接いだせいかゲームの技術が凄く高かった。

 なんと高校生の時には既に一流ゲーム会社からオファーが来て企画などを進めていた天才ゲームクリエイターなのだ。

 兄が作ったゲームは既に日本には結構あり、僕も遊んでいる。

 なんと『デュエルモンスターズ』の新カードの開発にも手を貸した過去があるとかないとか。

 

 姉は、兄とは違い、俗に言う『天才』と呼ばれる物とは少し違かったけど、姉は努力の人で、毎日毎日勉強して第一志望の一流大学に入学した。

 ちょっとだらしないけど、なんだかんだ言って優しい人で、あまり家に両親がいなかったから母親代わりのような人だった。

 

 そんな僕の家族が皆家に揃って一緒に夕飯を食べる夢だった。

 幸せだった。僕には家族がいる。愛情を注いでくれる人がいる。叱ってくれる人がいる。庇ってくれる人がいる。

 それって――とても、とても幸せな事じゃあ、ないだろうか?

 

 でも、だからこそ、その『幸せ』を持ってない、持つ事が出来ない人の事を思うと、胸が苦しくなる。

 シャレイには、記憶が無い、なにもない、家族もいない、愛情を注いでくれる人がいない。叱ってくれる人がいない。庇ってくれる人いない。

 それっと――とても辛い事じゃあ、ないだろうか?

 

 偽善者精神なのかもしれないけど、僕は、シャレイを見捨てられない。

 だから。

 僕は。

 シャレイを――

 

 

 そこで、僕の夢は途切れる。無理やり中断される。

 まるで、断末魔のような叫び声によって、僕の意思とは関係なく、僕は夢から現実に引き戻された。

 

 そう……シャレイが、爆音のような叫び声を上げていたからだ。

 

 

 

 

 

「うぅぎゃゃあああああああぁぁぁぁつつつつっっっっっ!!!!」

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

 僕はバネのようにベッドから飛び起き、ベッドの下にいるシャレイを覗く。

 するとシャレイは、まるで魘(うな)される様に、怯えるように、耳を破壊するような大声を上げていた。

 

 

 

 

「くうぅるぅぅぅなぁぁぁっっ!!!!」

 

 

 

 

 

 「来るな」? シャレイは、確かにそういっていた。僕は両手で両耳を押さえる。近所迷惑間違いなしの大音量のシャレイの叫びから鼓膜を守るために。

 

 

 

 

「やめろぉぉ!! やめろぉぉ!! 来るぅ!! 来るぅ!! うわぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 流石にこの状態は不味いと判断したため、僕はベッドから降りてシャレイに呼びかける。

 

「シャレイ! シャレイ! どうしたの!? 目を覚まして!!」

 

 シャレイは、さっきからずっと、同じような事を叫び続ける。

 何かに、追いかけられている? 助けを求めている? 何が来ているんだ? 何に怯えているんだ?

 まさか、これは……シャレイの記憶に関する手がかりなのか?

 

 なにはともあれ、この状態では近所迷惑というより姉に怒られるし、何よりシャレイが辛そうなので、僕は頑張ってシャレイの目を覚まさせるためにシャレイに呼びかける。

 

「どうしたの!? 何が来るの!? 目を覚ましてシャレイ!!」

 

 僕がずっとシャレイの体を揺すって声をかけていると、シャレイは、急に正気に戻ったように、断末魔のような叫び声を止めた。

 顔には、びっしりと汗を掻いており、とても辛そうだった。

 

「はぁ……はぁ……あれ? こ、ここは?」「シャレイ! どうしたの!? 何があったの!?」「……ん、あ、ああ。わ、分からない」「分からない?」「何故だか、悪夢を見ていた」「悪夢?」「ああ」「どんな夢?」「それが……思い出せない?」「え?」「何故かは分からないが……心を砕くような事をされて、何も考えられなくなり、なんだか分からない悪魔のようなものに体を支配される夢だった」「それはとても辛そうだね」「だが……どういう訳か、今のでちょっと俺の記憶が戻ってきたかもしれない」「本当!?」「ああ」「何を思い出したの?」「ま、ま、まり……まり……」「まり?」「…………」「…………」「…………」「…………」

 

 シャレイが何か大切なキーワードになる事を言おうとしたのだけれど、シャレイは気づくと、再び両目を閉じて眠っていた。

 最後にシャレイが言った言葉、「まり」。

 

「…………まり?」

 

 時計を見ると、まだ夜中の三時半だった。

 なにはともなく、眠たかったので、それ以上考えるような事はせず、僕は再び眠りについた。

 

 シャレイには、きっと何か大きな過去がある。その記憶はもしかすると、僕程度の普通の中学生じゃなんとか出来ないようなとんでもない事かもしれない。それでも、だとしても、僕はシャレイの為に頑張ろうと思う。

 

 何かに追われるシャレイ。悪魔に体を支配される。そして……「まり」。

 まりってなんだよ。




そろそろシャレイの正体を誤魔化せきれなくなってきた……。
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