>何に?
>この小説、他の小説と比べ一話短い
>今更だね
-14-
その日は土曜日だったため、僕も姉も学校がなく、世間一般でも休日と呼ばれる日だった。
僕が目をさましたのは七時半、いつも僕が平日に起床する時間と同じ時刻だった。
僕は妙に寝起きがいいというか、寝ぼけるという『現象』がないみたいで、休日も平日も平均的に同じ時間に目が覚める。
目覚しいらずで便利な体だ。
決まって同じ時間に眠くなり、同じ時間に目を覚ます。なんだか機械みたいな頭をしている。
昨日姉に頼んで家に置いて貰った、シャレイを確認するために、僕はベッドの横にいるはずのシャレイを見る。
「…………」
シャレイは、楽でも苦でもなく、無表情で眠っていた。
昨晩――というか今日の深夜――シャレイは突如鼓膜を破壊するような大音量で叫び出した。
なんの前触れもなく、いきなり。
シャレイは悪夢を見ていたと言っていた。悪魔に体を乗っ取られる夢。
その夢の内容はもしかすると、シャレイの失った記憶を取り戻す重要な手がかりかもしれない。
でも、流石に情報が少なすぎて、僕にはなにも分かりそうにない。
その手の専門家に聞けば、見た夢の内容で色んな事を解析して正解に導いてくれるかもしれないけど、身元も本名も不明のシャレイを国が管理する病院に連れて行くことは結構難しい。
そして僕にはそんな専門知識はない。
そして、シャレイが言った唯一手がかりになりそうなキーワード――「まり」。
「まり」? だがその手がかりも僕には検討も付かない。
「まり」が何を表しているのか、だからなんだよ「まり」って……。
「まり」「毬」「鞠」……昔の貴族とかがやってそうな球技?
「真理」「麻里」「マリ」……人の名前?
「まり」をローマ字表記すると「MARI」。入れ替えて「RAMI」にすると「らみ」。「MIRA」にすると「みら」
「らみ」「みら」……駄目だ。
「らみ」→「やみ」→「闇」……無理やりすぎる。
「みら」→「『みら』い」→「未来」……いや勝手に「い」を付けるなよ。
全然分からない。というよりローマ字にして入れ替える発想事態検討違いなのかもしれない。
でも、「みら」を「『みら』い」として「未来」と読むのはもしかすると正解かもしれない。
つまり、シャレイが言った「まり」はまだ途中で続きがある。とか。
「まり」……「まりん」……海の女の子みたいだ。
「まり」……「マリオネット」……操り人形?
操られる……悪魔に支配される体。あれ? ちょっと近い?
「まぁ、考えすぎかぁ……」
僕程度の頭の柔軟性じゃあこの程度が関の山でこれ以上の推理は望めそうにない。
そんな事をしているうちに時刻は十分経過して七時四十分になっている。
シャレイはまだ寝ているが、普段の僕はもう起きて朝食を作っている時間帯なので、僕はベッドから這い出てリビングに向かった。
シャレイを部屋に置いて。
リビングに行くと、既に――寝巻きの薄い素材のキャミソールを着た――姉がテレビを見ていた。
無駄に装飾のフリルが沢山ついた肩紐のワンピースのような寝巻で、三人掛けのソファに無防備に足を伸ばして横になっている。
ノーメイクの姉は、口に咥えたアイスを一旦取り出し、僕に声をかける。
「弟、おはよー」
「おはよう、ネェちゃん」
挨拶を軽くすますと、姉は再びアイスを口に咥えテレビ鑑賞に戻った。
何を見ているんだ、と思ってテレビ画面を除くと、朝のニュースだった。
内容は――『デュエルモンスターズ』のレアカード強盗事件。
昨晩一人で歩いていた男性が怪しい男に
決闘(デュエル)の結果は被害者の男性の負け、気絶させられ、目が覚めるとデッキのレアカードが全て奪われていたらしい。
そして、その事件現場は実家の近所。
そういや、昨日の夕方もこんなニュースがやってたな。
「最近ぶっそうね」
口にアイスを咥えながら呟く姉。
「そうだね」
僕はそう返事をし、キッチンで朝食を作る事にした。
主人公はしっかりしてる
お姉ちゃんはぐったりしてる