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月二回開催される『カードショップパンドラ』の大会の帰り道。
大会後もカードトレードしてたりフリーデュエルを申し込まれたりして時間を潰していたらいつの間にか七時になっていた。
時間が経つのは早いもので、楽しい時間があっと言う間に終わってしまう。いっと言う間にはもう夜だ。
特に門限が決められている訳ではないが、夕飯はいつも七時半と決まっているので、僕は流石に家に帰る事にした。
いつもは六時ぐらいに帰ってきていたので、いつもより帰りが遅い。もしかすると姉が心配してくれているいるかもしれない。
そんな訳で僕らは家に帰る。
六月と言う事で、七時になってもまだ完全に日が沈んでいない、そのためまだ若干明るい。
「シャレイごめんね……記憶を取り戻すつもりできたのに遊んじゃって」
「いや、大丈夫だ。君が楽しそうに
「そっか、ならよかった」
そんな会話をしていると、突如目の前に、三人の人間が僕らの前に立ちふさがった。
始めはただの通行人だと思った。でも、違った、この人達は完全に僕等に用事がある人間で、僕らを通せんぼするように通路を塞いでいた。
僕が「え?」と困惑していると、背後から更に二人の人間が道を塞ぎ、逃げられない状態になっていた。
合計五人の人間に囲まれる僕とシャレイ……えぇ~。どういう状況?
「お前、
目の前に立ちふさがる三人組の真ん中にいる人間が、僕に向かってそう言ってくる。
僕が男の威圧に押されて後ろに下がると、後ろにいる二人組が距離を縮めてくる。
前三人、後ろの二人の集団は、全員が頭を含め体をすっぽりと覆い隠す
フードで顔は見えないが、声からして真ん中の人は男性だと思われる。
「もし、そうだとしたら……どうするんですか?」
僕がそう答えると、真ん中の男は僕にこう返す。
「
もしかして……こいつらは?
「おい、もしかすると彼らは」
シャレイが、心配そうにしている。
そう、もしかしなくてもこいつらは最近この辺りに出没する、レアカードを奪う盗賊集団だ。
ニュースで散々報道されていたけど、まさか自分が巻き込まれるなんて思っていなかった。
世の中を客観的に考えすぎていたのかもしれない。いざ自分が巻き込まれるとなると……怖い。
「じゃあ、もし僕が
「おう。俺達もこれでも
真ん中のリーダーと思われる男はそう答えた。
「分かりました。このままじゃあ僕達の身が危ないので、その
「お前は……
そう言って、男は僕に直径三十センチ程の円盤のような機械を投げてくる。
この機械がなんなのか、僕は知っている。
ソリットビジョンという、まぁ俗に言うCG技術を使い、カードのモンスターが実体化したようなリアルな映像を映し出す機械だ。
『バトルシティ』開催時に大会の参加者に
僕は当時貯めていたお年玉を全て使って発売日に買いに行った。
だが、大きくてかさばるし、広い場所じゃないと使えないという欠点であんまり使わない。
その
「これを使って、俺と
「分かりました」
落ちている
「ちょっと待て」
シャレイがその行動を引き止めた。
「こいつらは危ない。君の実力を疑っている訳ではない。でも、ここは絶対に勝つために俺にやらせてくれ」
シャレイはそう言ってきた。
「シャレイ……」
「こいつらは昼間の大会にいた奴らだ」
「えっ!?」
「真ん中の奴、あいつは君が決勝戦で闘った人間。声が同じだ」
シャレイがそういうと、フードを被った人間が「ちっ、ばれてやがったか」といい、フードをとる。
その人の顔はシャレイが言うとおり、大会の決勝戦で僕に負けた人だった。
「君のデッキの中身は奴等にばれている。おそらくやつらが使うデッキは君の対策デッキ」
「えっ!?」
すると、僕らを囲んでいる集団が、「うっ」と声を上げる、そうやら図星のようだ。
「ガキだが大会優勝者だ、それに優勝商品も貰っているからレアカードを沢山持ってるはずだろ? だからお前らを狙ったんだよ」
「汚いぞ」
「俺なら、こいつらが全員かかってきても勝てる自信がある」
まぁ、エクゾディアデッキだからね、百人いても一ターン目でエクゾディアそろえれば勝てるよ。
「だからここは俺に任せてくれ」
「分かった、シャレイにお願いするよ」
腕に付けようとした
シャレイは
伝説のレアカード、エクゾディアが入ったデッキを。
「別に俺がやっても文句ないだろう?」
シャレイが外套の集団にそう言う。
「す、好きにしやがれ!」
作戦が使えなくなったが、その程度でひくような集団ではないみたいだ。
「誰が相手でも関係ねぇ、一般人に負けるグールズじゃないぜ!」
グールズ?
「そうか、では俺がやらせてもらう」
シャレイは、デッキを
すると決闘盤は『ウィィン』と音を立て起動させる。
LPを表す画面に『4000』という字が浮かび上がり、折りたたまれていたカードを置くゾーンが展開され、いつでも
「へっ! 俺達グールズが一般人に負けるかよっ!」
昼間の大会の男も自分の
これで二人はいつでも
二人の
「
二人は同時に、
これは
二人はデッキから、五枚のカードを引き抜き、初期手札を確認する。
「先攻は俺からだ。ドロー」
先攻を取ったシャレイは、ドローフェイズにデッキから新たにカードを一枚手札に加える『ドロー』という行為をする。
そのカードを五枚の手札に加える。
そして、シャレイはまず魔法カードを発動した。
「私は、天使の施しを発動」
手札のカードを一枚、
するとカードに入っているデータを読み込んだ
「…………」
――はずだった。
はずだった。普通ならここで、ソリットビジョンとして使ったカードが映像として映し出されるはずなのだが……今回はそれが起きなかった。
何故か?
『ビー。ビー。ビー』
まるで、侵入者を捕らえた機械のような警告音が、シャレイの
これは、『デュエルモンスターズ』以外のカードを読み込ませたり、偽者のコピーカードを使用すると鳴り響く、反則行為を知らせる機能だ。
それが、シャレイの使用する
「なにっ!?」
シャレイは予想外の出来事に困惑する。
対戦相手も少し困っているようだ。
シャレイはカードを発動した。だが、そのカードは発動しない所か、コピーカード、つまり偽者だという警告音が鳴っている。
つまり、シャレイのカードは本物ではないという事だ。
どうやらその事実は、シャレイ自身も知らなかったように見える。
今思えば、シャレイとは
全部テーブルの上でしか
「お前っ! それ偽者じゃねぇか!?」
対戦相手の男がいちゃもんのようにシャレイに怒鳴り込む。
いや、今回はいちゃもんではなく、本当にシャレイの反則負けなんだが。
「ちっ! 話しになんねぇぜ! もういい! お前の反則負けだ、お前ら、こいつら捕まえてカード全部ひったくれ!」
男は、この
僕らを捕まえろという命令を。
うん、これは不味い。
逃げなければ。そうこう言っている内に前から二人、後ろから二人の人間が襲いかかってくる。
「シャレイ、このままじゃ僕らは身ぐるみ剥がされてしまう、逃げるよ!」
「あ、ああ……しかしどうやって?」
「僕に考えがある!」
そう、こうなればリアルファイトじゃぁ!
僕は着ているシャツの内ポケットに手を入れ、中に入ったある物を取り出す。
これぞ兄から護身用に教えてもらった必殺奥義だ。
「ダイスロール!」
僕は、シャツの内ポケットにしまってある六面サイコロを取り出し、それを前から襲い掛かってくる人たちに投げる。
サイコロは見事、二人の頭に当たり、足が止まる。
これ、結構痛いんだよね。
戦闘用に兄が開発したサイコロで、中に鉛が入っていてなおかつ角が鋭い。
的確に投げられるまで時間が掛かったけど、マスターすると結構役に立つ。
今回も偶然サイコロを持っていたお陰でなんとか助かりそうだ。
「今のうちだシャレイ!」
僕とシャレイは、サイコロを顔面に当たって痛そうにしている二人を追い抜き、逃走を図る。
「させるかぁ! カード置いてけぇ!」
しかし、リーダーと思われる先ほどシャレイと
邪魔だ!
「ダイスロール!」
僕は再びポケットからサイコロを取り出しサイコロを投げる。
二つのサイコロが頭と鼻に当たり男は顔を抑えてうずくまった。
よし、効いてる!
そのままその男も抜いて僕等は逃げ出す。
しかし、まだダメージを受けていない後ろの二人組みが僕らを追いかけてくる。
このままだと追いつかれる。
僕は
ありってけのサイコロ、計六つ。
十個持っていたサイコロのうち、残っているものを全て出す。出し惜しみしている暇はないのだ。
僕は一度立ち止まり、両手の指の間に三つずつサイコロを挟み、それを後ろの二人組みに向かって投げる!
「うがっ!」「いでっ!」
一人あたり三つのサイコロが男に当たり、二人も足を止めた。流石僕、ナイスコントロール!
そのまま僕とシャレイは家まで走って帰った。
う、嘘はついてないよね……(震え声