ホームレス拾いますか?《YES/NO》   作:御伽辰巳

16 / 39
今回、つにデュエル描写が…………ある!


ようやくデュエルしますか?《YES/NO》

-18-

 

 

 月二回開催される『カードショップパンドラ』の大会の帰り道。

 大会後もカードトレードしてたりフリーデュエルを申し込まれたりして時間を潰していたらいつの間にか七時になっていた。

 時間が経つのは早いもので、楽しい時間があっと言う間に終わってしまう。いっと言う間にはもう夜だ。

 特に門限が決められている訳ではないが、夕飯はいつも七時半と決まっているので、僕は流石に家に帰る事にした。

 いつもは六時ぐらいに帰ってきていたので、いつもより帰りが遅い。もしかすると姉が心配してくれているいるかもしれない。

 そんな訳で僕らは家に帰る。

 

 六月と言う事で、七時になってもまだ完全に日が沈んでいない、そのためまだ若干明るい。

 

「シャレイごめんね……記憶を取り戻すつもりできたのに遊んじゃって」

 

「いや、大丈夫だ。君が楽しそうに決闘(デュエル)している所を邪魔する程俺は愚か者ではない。それに、色んな人間の決闘(デュエル)が見れて俺も楽しかった」

 

「そっか、ならよかった」

 

 そんな会話をしていると、突如目の前に、三人の人間が僕らの前に立ちふさがった。

 始めはただの通行人だと思った。でも、違った、この人達は完全に僕等に用事がある人間で、僕らを通せんぼするように通路を塞いでいた。

 僕が「え?」と困惑していると、背後から更に二人の人間が道を塞ぎ、逃げられない状態になっていた。

 合計五人の人間に囲まれる僕とシャレイ……えぇ~。どういう状況?

 

「お前、決闘者(デュエリスト)だな?」

 

 目の前に立ちふさがる三人組の真ん中にいる人間が、僕に向かってそう言ってくる。

 僕が男の威圧に押されて後ろに下がると、後ろにいる二人組が距離を縮めてくる。

 前三人、後ろの二人の集団は、全員が頭を含め体をすっぽりと覆い隠す外套(がいとう)に身を包んでいた。

 フードで顔は見えないが、声からして真ん中の人は男性だと思われる。

 

「もし、そうだとしたら……どうするんですか?」

 

 僕がそう答えると、真ん中の男は僕にこう返す。

 

決闘(デュエル)だ。もしお前が負けた場合、お前のデッキのレアカードを頂く」

 

 もしかして……こいつらは?

 

「おい、もしかすると彼らは」

 

 シャレイが、心配そうにしている。

 そう、もしかしなくてもこいつらは最近この辺りに出没する、レアカードを奪う盗賊集団だ。

 ニュースで散々報道されていたけど、まさか自分が巻き込まれるなんて思っていなかった。

 世の中を客観的に考えすぎていたのかもしれない。いざ自分が巻き込まれるとなると……怖い。

 

「じゃあ、もし僕が決闘(デュエル)に勝ったら……あなた方は帰ってくれるのですか?」

 

「おう。俺達もこれでも決闘者(デュエリスト)の端くれ。お前らが俺との決闘(デュエル)に勝ったら見逃してやるぜぇ」

 

 真ん中のリーダーと思われる男はそう答えた。

 

「分かりました。このままじゃあ僕達の身が危ないので、その決闘(デュエル)、受けます!」

 

「お前は……決闘盤(デュエルディスク)を持ってないようだな。ほら、貸してやるよ」

 

 そう言って、男は僕に直径三十センチ程の円盤のような機械を投げてくる。

 この機械がなんなのか、僕は知っている。

 決闘盤(デュエルディスク)だ。

 決闘盤(デュエルディスク)とは、『デュエルモンスターズ』をするに当たって、決闘(デュエル)の緊張感を上げる為に『海馬コーポレーション』が作った機械だ。

 ソリットビジョンという、まぁ俗に言うCG技術を使い、カードのモンスターが実体化したようなリアルな映像を映し出す機械だ。

 『バトルシティ』開催時に大会の参加者に決闘盤(デュエルディスク)を無料配布したのが始まりで、大会終了後、一般人でも買えるように全国のデパートやカードショップでも売り出し始めた。

 僕は当時貯めていたお年玉を全て使って発売日に買いに行った。

 だが、大きくてかさばるし、広い場所じゃないと使えないという欠点であんまり使わない。

 

 その決闘盤(デュエルディスク)を、僕に差し出した。

 

「これを使って、俺と決闘(デュエル)だ!」

 

「分かりました」

 

 落ちている決闘盤(デュエルディスク)を拾い、腕に装着する――が。

 

「ちょっと待て」

 

 シャレイがその行動を引き止めた。

 

「こいつらは危ない。君の実力を疑っている訳ではない。でも、ここは絶対に勝つために俺にやらせてくれ」

 

 シャレイはそう言ってきた。

 

「シャレイ……」

 

「こいつらは昼間の大会にいた奴らだ」

 

「えっ!?」

 

「真ん中の奴、あいつは君が決勝戦で闘った人間。声が同じだ」

 

 シャレイがそういうと、フードを被った人間が「ちっ、ばれてやがったか」といい、フードをとる。

 その人の顔はシャレイが言うとおり、大会の決勝戦で僕に負けた人だった。

 

「君のデッキの中身は奴等にばれている。おそらくやつらが使うデッキは君の対策デッキ」

 

「えっ!?」

 

 すると、僕らを囲んでいる集団が、「うっ」と声を上げる、そうやら図星のようだ。

 

「ガキだが大会優勝者だ、それに優勝商品も貰っているからレアカードを沢山持ってるはずだろ? だからお前らを狙ったんだよ」

 

「汚いぞ」

 

「俺なら、こいつらが全員かかってきても勝てる自信がある」

 

 まぁ、エクゾディアデッキだからね、百人いても一ターン目でエクゾディアそろえれば勝てるよ。

 

「だからここは俺に任せてくれ」

 

「分かった、シャレイにお願いするよ」

 

 腕に付けようとした決闘盤(デュエディスク)をシャレイに渡す。

 シャレイは決闘盤(デュエルディスク)を腕に装着し、懐からデッキを取り出す。

 伝説のレアカード、エクゾディアが入ったデッキを。

 

「別に俺がやっても文句ないだろう?」

 

 シャレイが外套の集団にそう言う。

 

「す、好きにしやがれ!」

 

 作戦が使えなくなったが、その程度でひくような集団ではないみたいだ。

 

「誰が相手でも関係ねぇ、一般人に負けるグールズじゃないぜ!」

 

 グールズ?

 

「そうか、では俺がやらせてもらう」

 

 シャレイは、デッキを決闘盤(デュエルディスク)のデッキを入れる所にデッキを挿入し、電源を入れる。

 すると決闘盤は『ウィィン』と音を立て起動させる。

 LPを表す画面に『4000』という字が浮かび上がり、折りたたまれていたカードを置くゾーンが展開され、いつでも決闘(デュエル)出来る状態になった。

 

「へっ! 俺達グールズが一般人に負けるかよっ!」

 

 昼間の大会の男も自分の決闘盤(デュエルディスク)を展開させ、準備を整える。

 これで二人はいつでも決闘(デュエル)できる状態だ。

 二人の決闘(デュエル)が始まる。

 

決闘(デュエル)!」「決闘(デュエル)

 

 二人は同時に、決闘(デュエル)開始の掛け声をする。

 これは決闘盤(デュエルディスク)でプレイする場合は絶対に言わないといけない約束事の一つだ。

 二人はデッキから、五枚のカードを引き抜き、初期手札を確認する。

 

「先攻は俺からだ。ドロー」

 

 先攻を取ったシャレイは、ドローフェイズにデッキから新たにカードを一枚手札に加える『ドロー』という行為をする。

 そのカードを五枚の手札に加える。

 そして、シャレイはまず魔法カードを発動した。

 

「私は、天使の施しを発動」

 

 手札のカードを一枚、決闘盤(デュエルディスク)魔法(マジック)(トラップ)ゾーンに挿入する。

 するとカードに入っているデータを読み込んだ決闘盤(デュエルディスク)が、使用しちたカードをソリットビジョンして映し出す――

 

「…………」

 

 ――はずだった。

 はずだった。普通ならここで、ソリットビジョンとして使ったカードが映像として映し出されるはずなのだが……今回はそれが起きなかった。

 何故か?

 

『ビー。ビー。ビー』

 

 まるで、侵入者を捕らえた機械のような警告音が、シャレイの決闘盤(デュエルディスク)から鳴り響く。

 これは、『デュエルモンスターズ』以外のカードを読み込ませたり、偽者のコピーカードを使用すると鳴り響く、反則行為を知らせる機能だ。

 それが、シャレイの使用する決闘盤(デュエルディスク)から鳴り響く。

 

「なにっ!?」

 

 シャレイは予想外の出来事に困惑する。

 対戦相手も少し困っているようだ。

 

 シャレイはカードを発動した。だが、そのカードは発動しない所か、コピーカード、つまり偽者だという警告音が鳴っている。

 つまり、シャレイのカードは本物ではないという事だ。

 どうやらその事実は、シャレイ自身も知らなかったように見える。

 

 今思えば、シャレイとは決闘盤(デュエルディスク)を使って決闘(デュエル)した事がない。

 全部テーブルの上でしか決闘(デュエル)した事がなかった。

 

「お前っ! それ偽者じゃねぇか!?」

 

 対戦相手の男がいちゃもんのようにシャレイに怒鳴り込む。

 いや、今回はいちゃもんではなく、本当にシャレイの反則負けなんだが。

 

「ちっ! 話しになんねぇぜ! もういい! お前の反則負けだ、お前ら、こいつら捕まえてカード全部ひったくれ!」

 

 男は、この決闘(デュエル)がもう無意味だと判断したのか、決闘盤(デュエルディスク)の電源を切り、周りにいる合計四人の外套を被った人間に命令を下す。

 僕らを捕まえろという命令を。

 

 うん、これは不味い。

 逃げなければ。そうこう言っている内に前から二人、後ろから二人の人間が襲いかかってくる。

 

「シャレイ、このままじゃ僕らは身ぐるみ剥がされてしまう、逃げるよ!」

 

「あ、ああ……しかしどうやって?」

 

「僕に考えがある!」

 

 そう、こうなればリアルファイトじゃぁ!

 僕は着ているシャツの内ポケットに手を入れ、中に入ったある物を取り出す。

 これぞ兄から護身用に教えてもらった必殺奥義だ。

 

「ダイスロール!」

 

 僕は、シャツの内ポケットにしまってある六面サイコロを取り出し、それを前から襲い掛かってくる人たちに投げる。

 サイコロは見事、二人の頭に当たり、足が止まる。

 これ、結構痛いんだよね。

 戦闘用に兄が開発したサイコロで、中に鉛が入っていてなおかつ角が鋭い。

 的確に投げられるまで時間が掛かったけど、マスターすると結構役に立つ。

 今回も偶然サイコロを持っていたお陰でなんとか助かりそうだ。

 

「今のうちだシャレイ!」

 

 僕とシャレイは、サイコロを顔面に当たって痛そうにしている二人を追い抜き、逃走を図る。

 

「させるかぁ! カード置いてけぇ!」

 

 しかし、リーダーと思われる先ほどシャレイと決闘(デュエル)していた男が僕らの前に立ちふさがり、逃走を妨害する。

 邪魔だ!

 

「ダイスロール!」

 

 僕は再びポケットからサイコロを取り出しサイコロを投げる。

 二つのサイコロが頭と鼻に当たり男は顔を抑えてうずくまった。

 よし、効いてる!

 

 そのままその男も抜いて僕等は逃げ出す。

 しかし、まだダメージを受けていない後ろの二人組みが僕らを追いかけてくる。

 このままだと追いつかれる。

 

 僕は三度(みたび)内ポケットからサイコロを取り出す。

 ありってけのサイコロ、計六つ。

 十個持っていたサイコロのうち、残っているものを全て出す。出し惜しみしている暇はないのだ。

 

 僕は一度立ち止まり、両手の指の間に三つずつサイコロを挟み、それを後ろの二人組みに向かって投げる!

 

「うがっ!」「いでっ!」

 

 一人あたり三つのサイコロが男に当たり、二人も足を止めた。流石僕、ナイスコントロール!

 

 そのまま僕とシャレイは家まで走って帰った。




う、嘘はついてないよね……(震え声
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。