かも(ぼそっ
-25-
電話の男が指定したビルの前に着くと、ビルの入り口には、二人の男がいた。
もう七月だというのに、体をすっぽりと覆い隠せる外套に身を包んだ男だった。流石に、フードは被っていなかった。
指定されたビルは、古びたビルで、周りに人気はない。
まるで、町から人間だけがすっぽりと取り除かれた、忘れ去られた土地のようだ。
「おっ……お前らか、ボスが言ってた子供と男は」
入り口にいた二人の男は、僕の存在に気づいたのか、顔を確認しながら近づいてくる。
「よぉ、どうやら約束通りきてくれたようだな。じゃあ早速中に入ってもらおうか? ボスが待ってる」
「もし、あなた達の求めているカードを渡したら、僕の姉を返してくれるんですか?」
「おうとも、もちろんだとも……けけっ」
…………戯言って奴だな。
「ふざけんな!」
僕は、近寄ってきた二人の男に、そう叫ぶ。
「そんなわけねぇだろこの犯罪者共!」
「ちっ……なんだこいつっ……!?」
「悪いが……僕はあなた方の要求を受けません」
「あぁん? じゃあテメェのネェちゃんがどうなってもいいのかよ?」
「欲しいものは、自分の力で、力ずくで、
僕は、
折りたたまれた板が展開し、ブレードのような形になる。
「あなた方は――ここで全滅です」
シャレイも、昔グールズから渡された
「あなた方も
「ちっ……ガキがいきがるなよ」
二人の男も
「「
かつて言ったかもしれないが、僕の父親は、父親としてはちょっと失格だったかもしれない。
いや、父親は父親として父親になろうと父親を頑張っていたのだが、完全に父親になると言うのは、無理だった。
それ以前に、父親はまず、人間として半分以上終わっていたからだ。
僕の父親は、若いときは、世界中のあらゆるゲームをやりつくし、勝ち続け、欲求を満たすゲームマニアだった。
ただのゲームじゃない、『闇のゲーム』と呼ばれる物だ。
勝てば大富豪。負ければ地獄。
そんな文字通り、『命』をかけたゲームを、父親はやっていた。
そして勝ち続けた。
でも、誰かが勝つという事は、誰かが負けるという事で。
父親が勝つという事は、相手は負けたと言う事だ。
それだけ父親は人をゲームで葬ってきた。
そして、そのツケが回ってきた。
父親は、ある日ゲームに負けた。
敗者に訪れるリスク。それを父親は受けた。それが――掛け金の回収。
つまり父親がゲームにかけた金を、敗者は全てもっていかれるのだ。
そして、これは『闇のゲーム』、賭ける物が金であるわけがない。
掛け金とは――寿命だったのだ。
父親はゲームに負けて寿命を奪われた、五十年奪われた。
わずか三十数歳であった父親は、家に帰ると、まるで別人のような老人になっていたのだ。
そして父親は廃人になった。
始めは復讐を考えていたのかもしれない。
だが、その父親の壊れた心は、母親によって修復された。
完全にバラバラに壊れたはずの父親は、母親の力だなんとか真人間に戻れるようになった。
そして――今に至る。
つまり、僕の父親は父親として既に失格で。
人間としても失格なのだ。
そして兄は、姉は、僕は――そのゲーム廃人の子供なんだ。
欲しいものがあれば――ゲームで勝ち取れ。
この世界は可笑しい。
どうかしてる、間違っている。
でも、僕の父親は、その間違った世界では――誰よりも正しかった。
間違っている世界だからこそ正しかった父親。
父親は父親失格だが、僕はそんな父親が――そんな嫌いではない。
二人のLPが0になる。
0になったのは、真っ黒な外套に身を包んだ二人の男。
「悪いね……敗者はどいてもらおうか」
僕はこの間違った世界で、正解になる。
「僕はネェちゃんを助けないといけないんだ」
ちゃ、ちゃうねん、まだ本気やないねん。
ちゃんと最後はするんで、そんな目をするのはやめてください……。
デュエルで全てが決まるなんて、この世界は間違っている。
だけど主人公はそんな間違った世界で正解になろうとしている。
次回なんとあのキャラが登場…………!?