-EX3-
今はもう使われていないビルの最上階。
そこで一人の少年と元欧米ナンバーワン
そこのビルの二階――元は他の階と同じで普通の構造だったのだが、壁を無理やり取り払い、一つの大部屋にしたエリア。
仮面を被った二人の
三人――二人と一人は未だ、お互いに真剣な眼差しで
現在の状況を見る限り、奇術師――パンドラが圧倒的に不利な状態だった。
仮面コンビ。光の仮面のLPは現在3100。闇の仮面のLPは現在3800。
対するパンドラのLPは既に1050しか残っていなかった。
「にょほほほほ――流石に……これはきついですねぇ……」
パンドラは、いつもように笑ったが、やはりその笑みに余裕の要素は入っていなかった。
キラートマトをマジカルシルクハットで隠し、二人を翻弄したまではパンドラがこの決闘(デュエル)の所有権を握っていた。
だが、やはりというべきか、二対一というのはパンドラにとって相当のハンデであり、タッグを組んだ時にこそ真の力を発揮する仮面コンビの前にどんどん押されていき、今やパンドラの敗北は決定したようなものだった。
「ひゃっはっは」「やはり」「一人じゃ」「相手にならないな!」
白い仮面を着けた小さな男――光の仮面と、黒い仮面を着けた大きな男――闇の仮面が、声を合わせてパンドラにそう言い放つ。
場を見れば、パンドラの不利は一目瞭然だった。
光の仮面の場には現在攻撃力3300の仮面魔獣デス・ガーディウス。
そして闇の仮面の場には同じく仮面魔獣と名の付いたモンスター、攻撃力3200の仮面魔獣マスクド・ヘルカイザーがいた。
そして、パンドラの場には、モンスターがいない、伏せカードもない。
それだけではない、闇の仮面のフィールドには、相手プレイヤーの生贄召喚を無効化させる、生贄封じの仮面まであるのだ。
パンドラの敗北はもはや時間の問題といえた。
「さぁ」「さぁさぁ」「これがお前の」「ラストターンなんだな!」
「くっ……どうやら……そのようですね」
パンドラの手札は三枚、そして、その手札に状況を打破するカードはない。
デッキの一番上のカード。そのカードに全てが掛かっていると言っても過言ではない。
だが、この圧倒的不利な状況が、カード一枚でなんとかなる訳ではなく、パンドラは勝負を諦めている状態だった。
「ですが、最後まで抵抗はさせてもらいますよ……時間稼ぎぐらいは……したいですからね――にょほほ」
パンドラは、最後のドローをする。
パンドラはそのカードをみて、少し、ほんの少しだけ、諦めていた勝負を、失いかけていたモチベーションを、取り戻した。
そのカードは、この状況を打破できるカード――になるかもしれないし、ならないかもしれない。
つまり、ギャンブルカードだったのだ。
賭けに勝てる可能性は五割、いや一割もない。精々五分あれば良い方という一握りの希望であった。
だが、この賭けに負ければ、この
パンドラは、賭けに出た。
「私は、手札を二枚伏せて、魔法カード発動! 魔法の教科書!」
そのカードは、当たれば逆転、外れれば敗北という、最大のギャンブルカード。
「手札を全て捨てて発動します、デッキの一番上のカードを引き、それが発動可能な魔法カードだった場合、無条件で発動できます。外れた場合は墓地にいきます」
「へっ、そんな都合のいいカードがここで引けるわけがないんだな」
「そうだ、いい加減諦めろ」
「いいえ、私は諦めませんよ。諦めない心。それこそが真の
パンドラは、祈り、祈り、祈り――デッキのカードを……ドローした。
「…………!?」
そのカードは、まさに、逆転のカードだった。
パンドラは、そのカードを見て、カードに感謝した。
「私が引いたカードは、黒魔術のカーテン! デッキから黒魔術師を特殊召喚できるカードです!」
「な、なんだと!?」
「この状況でそんなカードを引き当てたというのかっ!?」
「あなた方の生贄封じの仮面で、私はいつまでたっても切り札が出せない状態でした。それなら仕方がない、生贄召喚できないのならば、デッキから無理やり登場してもらいましょう! デッキより、ブラック・マジシャンを特殊召喚です!」
パンドラの場に、真っ黒な、黒い、ドス黒いカーテンが引かれる。
このカーテンは、最上級魔術師、黒魔術師を呼び出すための儀式。
魔法使いにして最上級、モンスターとして最高級。
魔法使いの頂点に立つ、黒魔術師を呼ぶ、黒魔術だった。
「ブラック・マジシャン! 降臨!」
ブラック・マジシャン。
魔術師の衣に身を包む、見た目二十代程度の男性。腕に持つのは魔術師の杖、
その整った顔立ちの魔術師は、見下すような視線で仮面コンビを見つめる。
最強の魔法使いがここに降臨した。
デュエルが中略されているのは仕様です……仕様なんです…………