ホームレス拾いますか?《YES/NO》   作:御伽辰巳

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とりあえず、いつの間にかパンドラが主人公になっていた件について…………


EX4 そしてカードは答える

-EX4-

 

 

 パンドラはかつて、レアカードの盗賊集団『グールズ』の一員だった。

 当時のパンドラは、カードを刻み、一回り小さくし、望んだカードを初期手札に加えるというイカサマを使い勝ち続けてきた。

 モンスターを使い捨ての道具に、捨て駒に、一発の銃弾に、そんな非道な戦術を使ってきた。

 その結果が――伝説の決闘者(デュエリスト)、武藤遊戯による敗北だった。

 

 たった一度の敗北により、パンドラは、当時のグールズの総帥、マリク・イシュタールによって精神破壊を受け、一度精神を破壊された。

 『バトルシティ』が終わり、マリクによるグールズ団員への洗脳が解けたとき、パンドラは、運が良い事に大した後遺症もなく元に戻れた。

 そして、パンドラは心を入れ替えた。

 

 今までのような、物理的にも戦術的にもカードを大切にしないスタイルを、改めたのだ。

 パンドラの心が入れ替わったのも、改心したのも、その原因は、武藤遊戯が原因だった。

 マリクの命令でパンドラが武藤遊戯の決闘(デュエル)を挑んだとき、負けた方が命を落すデスゲームをパンドラは行った。

 そしてパンドラは敗北した、敗者が待つのは『死』。

 だが、武藤遊戯は体を張って、パンドラを『死』から守ったのだ。

 

 大切なのは、カードへの、他者への、思いやり――そんな当たり前な事にパンドラは気づかされ、全てを捨て、パンドラは真人間に生きていく事を誓った。

 

 今まで貯めた貯金を全て使い、土地を買い、カードショップを開いた。

 そこで、新しい人生を生き、様々な決闘者(デュエリスト)と出会い、パンドラの汚れきった心は少しずつ浄化されていった。

 いずれ生活が安定し、貯金も出来て、パンドラは、かつて切り刻んでしまったカードを、自分で稼いだお金で買いなおした。

 他者から奪い取った金ではない、イカサマのコピーカードでもない、自分が汗水垂らして稼いだ貯金。

 

 それが――ブラック・マジシャン。

 新境地にして原点回帰。パンドラにとって、最も思い出深いカードだった。

 

 そのカードが、現在、自分の危機を救おうとしている。

 カードが、自分の思いに答えてくれた。

 

「にょほほほほ――どうですか! これが奇術師パンドラの奇跡! ミラクルです!」

 

「だ、だがっ、それでもブラック・マジシャンの攻撃力は2500。俺のデス・ガーディウスにも、相棒のマスクド・ヘルカイザーにも届かないんだな!」

 

 光の仮面がいうとおり、確かに、ブラック・マジシャンの攻撃力では、仮面コンビの仮面魔獣デス・ガーディウス攻撃力3300にも、仮面魔獣マスクド・ヘルカイザー攻撃力3200にも届かない。

 だが、その程度、もはや計算のうちだった。

 

「ならば、攻撃力を上げればいいのですね、いいでしょう。伏せカード発動! 闇・エネルギー。これは場の闇属性モンスターの攻撃力を三倍にするカードです」

 

「三倍!?」

 

「そう、三倍。よってブラック・マジシャンの攻撃力は7500!」

 

 そして、パンドラは、仮面コンビに次のターンを与えるつもりはなかった。

 このターンで倒すつもりでいた。

 それこそ、最後に残った伏せカード。

 いままで、ブラック・マジシャンがいなかったが故に使えなかった温存していた最後の一枚。

 

「最後の伏せカード発動! 拡散する波動! LP1000をコストに、場の黒魔術師の攻撃をフィールド全体に及ばせます」

 

 フィールド全体攻撃。それにより、相手のモンスターを全て破壊するつもりなのだパンドラは。

 

「さぁ! いきますよ!」

 

「ちょ!?」「ちょっと待ってくれ!?」

 

「待ちません! いきなさいブラック・マジシャン! ブラック・マジック!」

 

「うぎゃー!」「うぎゃー!」

 

 7500から3300を引けば、4200。つまり、3000以上あった二人のLPは一気に0になった。

 

「ありがとう……ブラック・マジシャン」

 

 かつて、カードを捨て駒に使っていた時のパンドラとは思えない、セリフだった。

 そして、その主人に答えるように、ブラック・マジシャンは、主人に向かって笑みを浮かべた――そんな風に、パンドラは感じた。




闇エネルギーをブラックマジシャンに使うのは反則だと思う。
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