ここまで読んでくれた読者様すべてに最上級の感謝を。
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以前は毎週四回は往復していたカードショップから実家への道のりも、今回は一ヶ月振りだった。
そして隣には、シャレイがいる。
「なぁ……」
特に会話をせずに歩いていると、いきなりシャレイが話しかけてきた。
「んー? 何? シャレイ?」
「俺は、君に本当に感謝している」
「はは……そう言ってくれると、嬉しいよ」
僕は間違っていなかったと感じて、安心できるから。
でも、今でも、この僕が起こした行動が、本当に正しかったのか、僕には判断できない。
ここで僕がシャレイを見捨てても、僕の人生は特に変わった変化を起こさず、骨も折らずに過ごせた。
でも、シャレイを拾ったが故に、姉を巻き込み、犯罪者集団の相手をし、両腕を骨折し、兄を実家まで連れ戻させると――色々な面倒ごとを起こして色んな人へ迷惑を掛けてしまった。
だけど、どっちが正しいのかは置いといて、僕は……自分の行動は正しいと思いたい。
正しいかは置いといて、後悔はしていない。
良かったと思っている。
「さ、家に着いた」
「君の家も久しぶりだな…………」
「そうだね。じゃあ、入ろっか」
「あ、そうだ……シャレイ、入る前に一つお願いがあるんだけど……いいかな?」
「なんだ?」
「いや、ちょっと僕の悪戯に協力して欲しくてね」
僕は『ニィィ』と唇を釣り上げて笑った。
今日は、実家に兄が帰っている日で、僕とシャレイと兄は顔をそろえていた。
「ははは。弟が拾ったホームレス、結構この町で有名らしいねぇ」
いつもと同じ赤いバンダナとサイコロピアスという奇抜なファッションで兄はシャレイを見ながらそう言った。
「ホームレスじゃないよ、シャレイだよ」
「そうだったね」
「どうだい、シャレイさん。新しい生活は?」
「うむ、忙しいが、毎日充実した一日を送っている」
ホームレス。記憶喪失。
そんなシャレイは、過去を捨て、かつて親に付けてもらったと思われる名前ではなく、僕が付けたシャレイという名を使っている。
記憶が戻ったにも関わらずに――だ。
元犯罪者集団のシャレイは、過去を悔やみ、生まれ変わった。
心を入れ替えた。
今のシャレイは、誰がどう見ても善良な人間で、町の人気者だ。
この世界は、間違っている。
カードゲームで全てが決まるなんて、馬鹿げている。
でも、悔しいけど、僕は、この間違った世界で産まれ、間違った世界で育ち、間違った世界で生きる――
だから、僕はこの間違った世界で正解になろうとした。
父親のように、ゲームに人生をかけようとした。
でも、そんな僕の価値観は、もう壊れた。
僕は決めたんだ。
この間違った世界で間違って生きると。
カードゲーム? は? そんなんで全てきまんの?
じゃあいいよ、やってやんよ。ルール違反してでも、イカサマしてでも、勝ってやんよ。
ばれなきゃセーフだ。
それが、この間違った世界で間違って生きる僕の――世界へのささやかな抵抗なのだ。
「どうだい弟」
「なに? ニィちゃん」
「弟は、シャレイさんを拾ってよかったと思うかい?」
「うん、そう思う。後悔とかはしてないよ」
「そうか、じゃあ――弟は、シャレイさんを拾って、何か得たものはあったかい?」
「得たもの?」
「そう」
「うん。あるよ」
「へぇ、なんだい」
兄がそう僕に聞いたとき、僕は『ニィィ』と唇を吊り上げ笑みを浮かべた。
それは、この間違った世界で間違って生きるという、新しい生き方を兄に似せつける手段だと思った。
「ニィちゃん。久しぶりにゲームをしよう」
「ゲーム?」
兄は聞き返す。
「そう、ゲーム。ここにサイコロとこのサイコロを覆い隠せるカップがあります」
僕がサイコロとカップを取り出しゲームの説明をすると、兄は、意味深な笑みを浮かべる。
「ニィちゃんはこのサイコロの上にカップを被せてサイコロを隠す。そして僕はそのカップに一切手を触れず――いや――一切の干渉をせずに、中のサイコロを取り出してあげるよ」
僕は説明を続ける。
「僕がカップに触れずにサイコロを取り出せれば僕の勝ち。もし僕がサイコロを取り出せなければニィちゃんの勝ちだ」
「へぇ……それって、僕が昔弟に仕掛けたゲームじゃん。リベンジかな?」
「そうだよ。ただし、今度は僕がサイコロを取り出す番だ」
「おーけい。いいだろう。いくら弟が成長したとしても、僕はこのカップを持ち上げるような事は一切しないよ」
そう言って、兄はサイコロの上にカップを乗せる。
「さぁ、どうやって僕にカップを退かせる気だい? 見せてもらおうか? 弟がシャレイさんを助けて得たものって奴を」
――いいよ。
これが、僕が得たものだよ。
見えるけど――見えない大切な物。
――友情。
僕が何も言ってないのにも関わらず、シャレイは僕と兄の間に置いてあるカップを持ち上げる、中のサイコロが姿を現す。
そのシャレイの突然の行動に、兄は「あっ!?」と声を漏らす。だが、もう遅い。
僕はカップから出てきたサイコロを掴みとり、笑いながらこう言った――
「これが僕が手に入れたものだ」
これでこの物語『ホームレス拾いますか?《YES/NO》』は完結です。
この小説はDMのバトルシティ編が大好きだった僕がレアハンターのその後に焦点を当ててみた小説です。
このサイトの主なSSと違って終わりは初めから考えてありますし原作ストーリーがない全部番外編みたいなストーリーですし主人公が主人公らしくなかったり、
あとはプロットがガッチガチで無駄な話がないスタイリッシュな小説、だと自分では思っています。
遊戯王の世界はどこかおかしいのです。カードゲームがすべてを支配するだなんて間違っています。
そんな間違いだらけの世界で、それが異常であることに気付いているのは主人公だけです。
だから主人公はこの間違った世界に抗おうとしました、結果あんな感じです。
御伽君やレアハンターやパンドラを随分とリスペクトした誰得だよ!?
って小説ですが、最後まで読んでくれた読者様本当にありがとうございます!
タグについて警告してくれた方、昔からの読者でいてくれた方、遊戯王トークに付き合ってくれた方、毎回感想くれた方、誤字報告を丁寧にしてくれた方――
もうみなさんありがとうございます!
次回作は未定ですが、いつか僕がまた小説を投稿することがあったら読んでいただけると嬉しいです。
ではではっ
ノシ