RIDER TIME 電光超人GRIDMAN   作:バース・デイ

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とある記録によれば、普通の高校生『響裕太』……かつて彼はハイパーエージェントにして電光超人『グリッドマン』として戦う使命を背負っていた。
新条アカネを救うべく、グリッドマン同盟の仲間と共にアレクシス・ケリヴの野望を阻止した響裕太は、グリッドマンと別れ、再び日常へと舞い戻る。

しかし、その日常もつかの間……そしてそれを破るのは他でも無いグリッドマン自身と、我が魔王『常磐ソウゴ』であった。

失礼……ここから先はまだ皆さんには、『未来』のお話でしたね。



2019:コンピューターワールド

 

RIDER TIME 電光超人GRIDMAN

2019:コンピューターワールド

 

 

 

響裕太は記憶喪失であった。

と言っても、記憶が無いのは去年の夏頃から冬にかけての3、4か月の間のみ。

それ以前の記憶はもちろんあるし、今年に入ってからの事も鮮明に覚えている。

だが、その間の3か月の間の事がどうしても思い出せない。

友人の内海将は『いつか思い出せるよ』と、この話題になると妙に自分に優しい言葉を掛けてくれる。

 

「なんだかなぁ~……。」

「どうした裕太。またいつものやつか?」

「ねぇ内海、本当に俺大丈夫だよね?」

「別にどこもわるくねーってきっと。」

「だといいんだけど……。記憶喪失とかホント怖いんだけど……。」

「裕太気にしすぎなんだよ。無理に思い出さなくても、そのうち思い出すって。」

 

記憶の無い3か月間で、変わった事がいくつかある。

 

まずは担任教師……生徒に何の関心も示さなかった彼が、何故かこの3か月の間に積極的に生徒を助けてくれる熱血教師になっていた。

面倒事も進んでやってくれる、頼もしい先生だ。

 

それに内海……彼は元々人当たりの良い人間だったが、言ってしまえばそれだけだった。

今の内海はそれに加えて人助けやボランティア活動に積極的に参加するようになった。

以前理由を聞いたら、『一般人の俺に出来るのはこれぐらいだから』と笑って答えた。

 

そしてもう一つ、

 

 

「何してんの二人とも。次移動教室だから早くしなよ。」

「おぉ六花、やべっ、もうそんな時間か。行こうぜ裕太。」

「う、うん。」

 

 

宝多六花が何故か自分達に親しげに話しかけてくるようになっていた。

彼女と彼女の友達のなみこ、はっすの3人は合わせて通称『六花さん軍団』と呼ばれクラスでも上位の存在だった。

六花とは一度、春の球技大会の時に少し話した……その時の彼女の笑顔に、裕太は惹かれた。

そんな六花が、今は自分達に、まるで友達のように話しかけてくれる。

嬉しい事には嬉しいが、同時に少し虚しかった。

何故なら六花と内海が話していると、二人の間に、自分の知らない絆があるような気がしてならない。

 

「あ、そうだ内海くん、今度はっすに勉強教えてよ。ウチじゃもう面倒みきれませーん。」

「えぇ……六花さんのお友達、なんかちょっと近寄りがたいからヤダなー…。」

「別にそんな事無いって。」

「………相変わらず仲良いね、内海と宝多さん……。お、俺、先行くわ。それじゃ。」

「あ、ちょっ、裕太ー?」

 

教科書と筆箱を持ち、立ち去る裕太。

取り残された内海は頭を掻き、六花は苦笑した。

 

 

「『宝多さん』……か……。ちょっと前まで『六花』だったのに。」

「仕方ないよ。裕太は覚えてないんだから。グリッドマンの事も、グリッドマン同盟の事も。それに、新条アカネの事も。」

「わかってる。わかってるし、納得もしてる。でも……、やっぱ、少し寂しい気もする。」

 

 

内海将と宝多六花、それに響裕太の3人は、数ヶ月前、新条アカネの生み出す怪獣たちと戦う『グリッドマン同盟』を結成していた。

結成していたと言っても、六花の家にあるパソコンでグリッドマンに変身出来る裕太を、内海が3人纏めて同盟扱いしていただけだが。

最初は半分遊び感覚だったが、最後には立派な同盟を築いていた。

ただその頃の裕太はグリッドマンが宿っていたため、グリッドマンの人格の響裕太として生活をしていた。

戦いが終わりグリッドマンが故郷であるハイパーワールドに帰還したため、裕太の人格は裕太に戻って来た。

その為彼にはその間の記憶が無い。

 

 

「っていうかさぁ、そんなに名前で呼んでほしいならそう言えば……っていったぁ!!」

「バーカ。」

 

 

内海のスネを思いっきり蹴飛ばし、移動教室へと向かう六花。

痛みのあまりその場にうずくまった内海は、当然の如く授業に遅刻した。

 

 

~~

 

 

放課後……裕太は一人で下校していた。

いつも一緒に帰っている内海は委員会の仕事で居残りだそうだ。

2年生に進級した内海は風紀委員会に入ったため、週一で委員会で町内の清掃活動をして回っている。

自分も何かしようかと思ったが、長続きしなさそうなのでやめておいた。

そんな裕太が自動販売機でコーラを買っていると、少し離れたところに見慣れたクラスメイトが背の低い銀髪の少年に校内名物スペシャルドッグを二つ渡している姿が見えた。

 

宝多六花だ。

 

「はい、アンチくん。」

「借りは必ず返す。」

「いいってそんなの。」

中学生ぐらいなのに、随分と義理堅そうな少年だった。

スペシャルドッグを大事そうに抱えて走り去っていくアンチと呼ばれた少年を見送った六花は裕太に気付くと、こちらに小さく手を振って来た。

裕太は一瞬驚き、赤面を必死に隠しながら六花のもとに。

 

「おっすー、今帰り?」

「あ、う、うん……宝多さん、も……?」

「うん。ウチ今日店番しなくちゃいけなくてさー。めんどくさー。」

「ハハハ……あ、そ、そうだ!何か飲む!?」

 

自分だけがコーラを飲んでいるのが気まずいのか、裕太はもう一度自販機に行って、ペットボトルのお茶を購入。

買ってきたお茶を六花に渡した。

 

「はい。宝多さん、炭酸苦手だったよね?」

「え?」

「あ、あれ……?もしかして違った……?」

「う、ううん。正解、ありがと。」

 

六花は裕太に炭酸が苦手だと言った事は一度も無い。

いや、正確には一度だけあるが、その時はグリッドマンと同化している裕太だった。

今の裕太はそれを覚えていないはずだが、やはり心のどこかではグリッドマンとして戦っていた記憶が刻まれているのかもしれない。

 

「そう言えば、あの二人は?」

「なみこは茶道部、はっすは補習。内海くんは?」

「内海は風紀委員会で町内清掃だって。」

「アイツほんと変わったねー。響くんはそういうのやんないの?」

「あー、いや、俺は……長続きしなさそうっていうか……俺、やんなきゃいけない事とか、あれをやれ、これをやれって、そういうの苦手でさ。」

「……そんな事無いと思うけど……。」

「どういう事?」

「なんでもない。」

「………あのさ、宝多さんってさ、内海と仲良いよね……。」

「あー、まー、そうだね。」

「やっぱり……二人、付き合ってたりとか……、」

 

 

 

『グルアァアアアアアアア!!!!!』

 

 

 

「!! 危ない!!」

「きゃっ!」

 

裕太が六花を突飛ばした途端、彼等の元に、上から禍々しい姿の怪人が降りてきた。

怪人は裕太の胸倉をつかむと、彼を持ち上げて投げ飛ばす。

 

「うわぁあ!!」

「響くん!!」

 

電柱にぶつかり、裕太はその場に倒れた。

怪人の姿をよく見てみると、その姿はどことなく、真の姿に戻ったグリッドマンに似ている。

身体には『GRIDMAN』と『2018』という文字が刻まれており、グリッドマンキャリバーを小振りにした様な大剣を背負っている。

怪人……アナザーグリッドマンは六花を見るとしばらく黙った後、再び裕太を掴んだ。

 

「ぐ……ガハッ……!」

『ヒビキ……ユウタ………!!』

「な、なんで俺の名前を……!?」

「響くん逃げて!!早く!!」

 

 

 

 

 

『タイムブレーク!!』

 

 

 

 

 

その時、突然アナザーグリッドマンの周りに『キック』という文字が並び、その文字がアナザーグリッドマンを拘束。

思わず裕太を放すと、次の瞬間、駆けつけて飛び上がった仮面ライダージオウが必殺のライダーキック『タイムブレーク』をアナザーグリッドマンに喰らわせた。

少し吹っ飛んだアナザーグリッドマンはさっき裕太が飲み物を買っていた自販機にぶつかるが、平然と立ち上がる。

 

「二人とも逃げて!!」

「響くん!!ねぇ響くん起きて!!」

「気を失ってるのか!だったらもうやるしかない!!」

 

そう言うと、ジオウはブレイドライドウォッチを手に取った。

本来ならばジオウIIで倒したいが、先ほどアナザーグリッドマンと戦った時に落してしまったせいで、こちらの世界に来た時には持っていなかった。

 

『ブレイド!』

 

ライドウォッチを鳴らし、ジクウドライバーへと装填。

ドライバーを回し、出現したアーマーをその身に纏う。

 

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!!アーマータイム!【Turn Up】ブレイドー!!』

 

 

両肩にブレイラウザーを模したショルダーアーマー、胸部と頭部に仮面ライダーブレイドに酷似したアーマーを装着し、ジオウは『仮面ライダージオウ ブレイドアーマー』へとアーマータイム。

ジカンギレードをブレイドのブレイラウザーの様に構え、その剣でアナザーグリッドマンの大剣……アナザーグリッドソードを迎え撃った。

 

 

 

~~

 

 

その頃、現実世界 クジゴジ堂

 

「祝え!!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者!!その名も仮面ライダージオウ ブレイドアーマー!!また一つ、ライダーの力を継承した瞬間である!!」

 

 

「……急に何を言い出すんだお前は。」

「失礼、なにやら無性に祝わねばならない衝動に駆られてね。」

「オホンッ、話しを進めてもいいかな?」

 

急に祝いだしたウォズを置いておき、武史の話を聞くゲイツとツクヨミ。

なお、泡を吹いて倒れた順一郎は病院へ送られた、多分即日退院だろう。

武史は右腕のシグマ・アクセプターをゲイツたちに見せると、更に持って来たパソコンを開く。

パソコンの中には不思議な空間が広がっており、そこには先ほどアナザーグリッドマンと戦った青いヒーロー……グリッドマンシグマがいた。

 

「僕は藤堂武史、彼はグリッドマンシグマ。僕達は今、とある事件を追っている。」

「事件?」

「今から26年前、当時中学生だった僕達の世界は、次元を渡り歩く魔王『カーンデジファー』に侵略された。それを救ってくれたのが、僕の友達とグリッドマンだ。」

「魔王だと……?」

 

 

『カーンデジファーはグリッドマンとの戦いにより完全に消滅したはずだった。だが数ヶ月前、コンピューターワールド全体を脅かす事件があった。それが、新条アカネによるコンピューターワールドの破壊と再生。そこで起きた次元犯罪者『アレクシス・ケリヴ』と俺の兄でもあるグリッドマンとの戦いで生じたエネルギーを使い、魔王カーンデジファーが復活を果たそうとしている!』

 

 

「そのカーンデジファーっていうのが復活するとどうなるの?」

「世界中のありとあらゆる電子機器が誤作動を起こし、世界中がパニックに陥るだろう。そしてヤツはこの世界とコンピューターワールドを繋ぎ、怪獣をこの世界に出現させるに違いない。」

「ほう、怪獣とは興味深い。」

 

そこから武史はゲイツたちにグリッドマンに関する様々な情報を教えてくれた。

まずは自分がかつてカーンデジファーの手下であり、グリッドマンと戦う怪獣を作っていた事。

そのせいで多くの人間の命が脅かされた事。

数ヶ月前に行方不明になった少女、新条アカネがコンピューターワールド内でかつての自分の様な非道を行っていた事。

武史はグリッドマンに頼まれ、アカネが元の生活に戻れたかしばらく観察していたそうだが、杞憂だったようだ。

 

 

「ところで武史くん、一つお聞きしたいのだが……グリッドマンとは今どこにいるんだい?」

『その質問には俺が答えよう。俺の兄、グリッドマンは今、『ハイパーワールド』と呼ばれる我々の故郷にいる。』

「そのハイパーワールドとやらはどこにある?」

『『ハイパーワールド』はこの次元とは別の次元の宇宙空間に存在する。だが今回の事件を解決するには、グリッドマンの力が必要不可欠だ。』

「ソイツの力があれば、ジオウを助け出せるのか?」

「あくまで可能性の話だ。あのアナザーグリッドマンという怪物を倒す事が出来るのは、グリッドマンの力だけなんだろう?再びグリッドマンをこの世界に呼び、アナザーグリッドマンを倒す事が出来れば、もしかしたらソウゴくんとアカネさんを助け出せるかもしれない。」

「そうか……ならばやってくれシグマ。俺達はジオウを助けたい、お前達は新条アカネを助け魔王を滅ぼしたい、目的も手段も同じはずだ。」

『了解した。』

 

 

そう言うと、グリッドマンシグマは力を溜め、自分の意識を別の空間へと飛ばす技『グリッドシグマキネシス』を発動した。

しばらくの間、グリッドマンシグマは動かなくなったが、武史曰く、この状態はグリッドマンへの交信中の状態なので問題無いとの事。

その間に未来タブレットで今回の事件について調べていたツクヨミが緊急ニュース速報を見つけた。

 

 

「大変!皆、テレビをつけて!!」

 

 

ツクヨミに言われ、テレビをつける。

生中継で報道されていたのは、桜ヶ丘町やこの街全体での電子機器の暴走。

そして、街中に出現する人間サイズの小さな怪獣たち。

 

「!! もう怪獣が現れ始めたか!!」

「やはりあのアナザーライダー、カーンデジファーの力で生まれた物だったというわけか……。ツクヨミ、お前はここで待っていろ。」

「さぁ、行こうかゲイツくん。」

「シグマ、グリッドマンとの交信は?」

 

 

『……ダメだ、繋がらない……。グリッドマンは、ハイパーワールドにはいない……。』

 

 

「ハイパーワールドにいない?どういう事なんだ?」

『……もしやグリッドマンは……!だとすれば、武史。俺達に今できる事は、コンピュータを暴走させている怪獣と、復活したカーンデジファーを探す事だ。』

 

シグマがそう言うと、武史はパソコンの前でアクセプターを構え、ゲイツとウォズはドライバーを巻き付けて家を飛び出した。

それぞれの戦場へと向かいながら、3人は叫んだ。

 

「「変身!!」」

「アクセース!フラーッシュ!!」

 

 

~~

 

 

再びジオウ達のいる街 ツツジ台

 

アナザーグリッドマンのアナザーグリッドソードを受け止めたジオウは、アナザーグリッドマンの腹を蹴り飛ばした。

立ち上がったアナザーグリッドマンはその視線を裕太へと向け、濁った声で喋りだす。

 

『ヒビキ……ユウタ……思い出せ……!私を……思い出せぇぇ……!!』

「なんなのあの怪物……!?響くんばっかり狙って……!」

『邪魔だぁあああ!!!』

 

六花を押しのけると、アナザーグリッドマンは気を失っている裕太を狙う。

だが、ジオウがそれを止め、必殺技を発動。

 

 

『フィニッシュタイム!ブレイド!!』

 

『ライトニング!タイムブレーク!!』

 

 

ジカンギレードを地面に突き立てると、ジオウの背中に3枚の巨大なラウズカードが出現。

ジオウはそのラウズカードを掴んでアナザーグリッドマンに投げつけて怯ませる。

そして怯んでいる隙に、雷を纏ったキック『ライトニングタイムブレーク』をアナザーグリッドマンへと放った。

爆散したアナザーグリッドマンはその場から姿を消し、ジオウはドライバーを外しソウゴの姿に戻る。

 

「君達、大丈夫!?」

「響くんが起きない……!きゅ、救急車!!ってあれ…?スマホ圏外になってる!?なんで!?」

「アナザーグリッドマンのせいで、電子機器が使えなくなってるんだ……。」

「アナザー……グリッドマン…!?アナタ、グリッドマンの事を知ってるの…?あ、いや、でも今は響くんを助けなきゃ……!」

 

ここから一番近くて裕太を休ませられるのは六花の家。

ソウゴが裕太を背負うと、ソウゴと六花は宝多家を目指した。

 

 

 

 

~~

 

 

 

 

 

ここは………どこだろう……?

 

 

『………太。裕太!』

 

 

誰?俺を呼んでいる……?

 

 

『裕太!!』

 

 

パソコン……?

 

 

『私はハイパーエージェント、グリッドマン。』

 

 

お、おぉぅ……ぐ、グリッド、マン……?

 

 

『裕太、思い出してくれ。君の使命を。』

 

 

俺の使命?

 

 

『その為に、私は再びやって来た。思い出すんだ裕太!私達、グリッドマン同盟の絆を!!』

 

 

 

 

~~

 

 

 

 

宝多家

 

六花の家はジャンクショップと喫茶店が合わさった妙な店だった。

そこのソファに裕太を寝かせ、ソウゴと六花はテーブルに座る。

呼吸は安定しており、気絶しているというよりは眠っている様だった。

不謹慎だが、そんな彼を見て六花は少し微笑む。

 

「どうしたの?」

「……前にもこんな事あったなーって。」

「う……うん……?ここは……?」

 

その時、裕太がついに目を覚ました。

 

「目覚めた?」

「うぇ……?あ、あれ……?り、六花……?」

「! 響くん、今、『六花』って……!」

「ん?あ、あぁごめん、つい!!って、な、なんで俺、宝多さんの家に!?さっき怪物に襲われて……あっれー……?」

「なんだ……思い出したわけじゃないんだ……。」

「なんだか、不思議な夢を見てた。」

 

裕太は気を失っている間、夢を見た。

アナザーグリッドマンによく似た赤いヒーローの夢。

何故かそのヒーローは、パソコン越しに自分に語りかけてきた。

そう言えばその時の風景は、この店にそっくりだった気がする。

ちょうど店の入り口近くにある棚と棚の間に不自然に開いてる空きスペース……そこにすっぽりとはまるぐらいの大きさの古いパソコンだった。

 

 

「なんか、変な夢だったよ……グリッドマン……とかいう夢…。なんなんだろうあれ?内海じゃあるまいし、ヒーローの夢なんて……。」

 

 

 

「………………。」

 

やはり、裕太の心の中にはグリッドマンだった頃の記憶が染みついている。

断片的に当時の事を思い出そうとはしているが、どれも決定打にはならない。

裕太の口から『宝多さん』と呼ばれるたびに、六花は胸が痛くなる。

 

 

「裕太!!!大丈夫か!!!」

 

 

「え?う、内海…!?」

「お、良かったぁ~、なんとも無いのか~!いやぁ、焦ったわ~!」

 

急に店の中に、内海が駆け込んできた。

彼は裕太の姿を見ると、安堵で胸をなでおろす。

彼のその様子を見て、六花は首をかしげた。

 

「内海くん、どうして響くんが倒れたって知ってたの?」

「いやぁ、なんか、こう……頭の中に響いたっつーか……『裕太が危ない』って。」

「なにそれ、気持ち悪。」

「気持ち悪くはねーだろ!?」

「まぁ、とにかく!裕太が無事だったんだから良かったじゃん!」

「………え?誰?」

「そう言えば、誰なんだろう?」

 

と、ここでついに存在に気付かれたのが我らが常磐ソウゴ。

六花も内海も裕太にしか興味を示さないので、ずっとスルーされるのかと思っていたので、ソウゴは気付かれて笑顔になる。

 

 

 

「俺、常磐ソウゴ!王様になる男だ!」

 

 

 

「「王様……?」」

「ふざけてんの?」

「いやいや、マジで。」

 

六花から割とマジで蔑んだ目で見られたので、ソウゴは自分がどれだけ王様になりたいかをアピール。

ソウゴは自分が仮面ライダージオウである事を説明すると、アナザーグリッドマンについて裕太たちに話し始めた。

 

 

「あのアナザーグリッドマンと戦ってたら、パソコンの中に引きずり込まれて、気が付いたらここにいたんだ。なんだか街並みとかアニメチックだし、俺の身体もここに来てからなんか凄くアニメっぽいし……。とにかく俺、あのアナザーグリッドマンを倒す為にグリッドマンと会わなきゃならないんだ!」

「グリッドマンって、俺の夢に出て来た…?」

「……悪いんだけど、グリッドマンはここにはいないよ。」

「えぇ!?そんなぁ~……じゃあ俺、どうしたらいいの……?」

「いや、俺達に言われても……なぁ?」

「う、うん。」

「俺だけじゃ無くて、新条アカネって子もアナザーグリッドマンに連れられてこられたし、その子も探さないと……あーもー、やる事沢山だよ~!!」

 

 

「……アカネ……?」

 

 

~~

 

 

 

その頃……アカネは、見慣れた場所で目を覚ました。

起き上がった時に鏡が見えたが、その姿はいつもの黒髪ではなく、少し色の入った銀髪。

髪形もショートヘアーになっており、制服もブレザーではなくパーカーを着こんでいた。

この姿は、数ヶ月前に自分が作ったコンピューターワールド『ツツジ台』にいた時の姿だ。

 

「私、どうして……?」

 

『アカネ。』

 

顔を上げたその先には、自分をここに連れてきた怪物……アナザーグリッドマンがいた。

アナザーグリッドマンはアカネの手を取り、アカネの目を見る。。

 

「あなたは、グリッドマン……?」

 

アナザーグリッドマンの後ろには、裕太が変身に使っていた古いパソコン……ジャンクが置かれていた。

 

 

~~

 

 

現実世界

 

『アーマータイム!【カイガン!】ゴースト!!』

『フューチャータイム!ファッション!パッション!クエスチョン!!フューチャリングクイズ!クイズ!!』

 

「はぁああああ!!!」

「問題!西暦1993年の4月3日は土曜日である、○か×か。正解は、○だ!!」

 

『ツエスギ!!』

 

 

仮面ライダーゲイツ ゴーストアーマーと、仮面ライダーウォズ フューチャリングクイズの力により、現実世界に出現した怪獣を撃退していく。

今はまだ等身大サイズだが、怪獣と言うからにはもっと大きくなる可能性もある。

幸いアナザーライダーと違い、倒せば消えるのが唯一の救いか。

 

「さすがに、怪獣相手は骨が折れるな……。」

「藤堂武史とグリッドマンシグマがカーンデジファーを見つけるまでの辛抱だよ、ゲイツくん。」

 

現実世界の戦闘はゲイツたちに任せ、グリッドマンシグマと合体しカーンデジファーを探す武史。

だが、いくら探してもコンピューターワールド内に、カーンデジファーの痕跡らしきものは見当たらない。

襲い掛かってくる怪獣をなんなく倒せてはいるが、これではキリが無い。

 

 

『一体どこにいるんだ……カーンデジファー……!!』

 

 

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