RIDER TIME 電光超人GRIDMAN 作:バース・デイ
「よっ!さすが我らの六花さん!」
「響裕太がグリッドマンとしての記憶を失い、焦燥感を感じるものの、今日も我らが六花さんはそんな響裕太をたぶらかし……、」
「わーお、情熱的~。」
ちょっ、まっ……何をしてるんだい?君達は……宝多六花の友人のなみこくんとはっすくんだね?勝手にナレーションを取られては困るのだが……。
「ねぇねぇ、この後ろに置いてる時計って使えんの?はっす持って帰る?」
「いやぁ、いらないかなぁ。」
あげないよ。オホンッ……では改めて。この本のよれば、普通の無職『常磐ソウゴ』、彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた。
アナザーグリッドマンにより、コンピューターワールドのツツジ台に来てしまった常磐ソウゴ、彼はグリッドマン同盟と協力し、新条アカネの捜索を開始する。
一方その頃、藤堂武史ことグリッドマンシグマも、『魔王カーンデジファー』の痕跡を探す。
そしてついに、響裕太はグリッドマンとしての記憶を……、
「ところでここ、お客さんにお茶も出さないの?」
「見るからにお金無さそうだし、そこは触れないでやろう?」
いい加減帰ってくれないかな君達は。
RIDER TIME 電光超人GRIDMAN
2018:アクセスフラッシュ
ツツジ台 宝多家
「アカネの事を知ってるの、君……?」
「うん。あのアナザーグリッドマンは、新条アカネって子のスマホから出て来たんだ。そしたらアイツ、俺とアカネをこの世界に引きずり込んだ。」
「じゃあアンタ、新条と一緒で、神様の世界の人間……って事か?」
「神様?いや、俺は王様だけど……。」
「この世界に……アカネが来てる……!」
「ねぇ、さっきから何の話ししてるの?」
話しについていけない裕太とは反対に、かなりの動揺を見せる六花と内海。
そんな裕太を見ながら、六花はボソッと呟いた。
「もしかしたら、アカネに会えば響くんの記憶も戻るかも……。」
「わかんねぇ。でも、そのアナザーグリッドマンとか言うヤツを野放しにも出来ない。えっとアンタ……ソウゴだっけ?俺達にも協力させてくれよ。俺達、グリッドマン同盟なんだ。グリッドマンの事に関しては、力になれるかもしれないし。」
「ありがとう!これなら、いけそうな気がする!」
満面の笑みで内海の手を取るソウゴ。
そして彼らはまず、新条アカネのこの世界での自宅を訪ねてみる事にした。
六花の家の隣にあるお屋敷……今は空き家だが、ここにはかつてアカネが暮らしていた。
もう何も書かれていない表札の前に立ち、六花はドアノブを握る。
前にこの家に来た時は、アカネと別れた時だった。
その際、裕太もグリッドマンと分離し、六花と内海は大事な友人を同時に二人失った。
内海は裕太とはまた友達になれたが、裕太と六花の間には、まだ友達と呼べるほどでもない溝がある。
「それじゃあ……開けるよ。」
「お願い。」
ドアノブを回し、ゆっくりと扉を開けた。
中は普通の家のようだったが、人の気配は感じない。
「ここにはいないみたいだな。」
「アカネなら、絶対ここにいると思ったのに……。」
「新条アカネ…………なんだろう、俺、その人の事、知ってる気がする……。」
「裕太?」
「新条アカネ……グリッドマン……何だろう、この感覚……。」
自分の左腕を抑えながら裕太は顔をうつむかせた。
彼の中に眠る、グリッドマンの時の記憶が、ここにきて刺激されているのだろう。
裕太が苦しそうなので一旦外に出ると、街中を探し始めるグリッドマン同盟とソウゴ。
その最中に、ソウゴが皆に聞いて来た。
「ねぇ、君達、あのアカネって子とどういう関係だったの?」
「どういうって……なんつーか……俺はあんまし喋った事は無かったんだけど、クラスでは才色兼備才貌両全の最強女子、どんなヤツからも好かれる奇跡みたいな美少女って扱いだったなぁ。でも新条、怪獣とか好きで、その点では俺と盛り上がった事もあったっけな。」
「へー。ん?クラス?」
「アカネは自分の世界から逃げて来たんだよ。でも、最後はちゃんと自分の意思でそっちに帰れた。」
「宝多さん、その新条さんって人の事好きなんだね。」
「……うん、大好きだよ、友達だもん。」
「そっかー、いいね、友達って!俺もー、ちょっと前までは友達いなかったんだけど、今はすっごく頼りになる友達が3人も増えたんだ!」
ゲイツ、ツクヨミ、ウォズの顔を思い浮かべながら笑うソウゴ。
色々あったが、今ではトリニティになれるぐらい仲良くなれたと思う。
あれでもう少しゲイツとウォズの間に協調性があればもっといいのだが……。
しばらくの間、ソウゴ達は六花と内海が思いつく限りのアカネの行きそうな場所は粗方探した。
学校や公園、中野の中古ショップや彼女のお気に入りのコンビニ。
そのどこにもアカネの姿は見当たらなかった。
疲れたソウゴは河原の芝生の上に寝そべり、内海と六花も疲れ気味だ。
少し眠っていたおかげか他の3人よりは体力の残っている裕太が自動販売機で飲み物を買うと、それを3人に渡した。
ソウゴと内海にはラムネ、六花にはお茶。
「ありがと裕太!」
「あれ裕太?お前六花が炭酸苦手っての覚えてんの?」
「うん。前に宝多さんに教えてもらった気がするんだけど……。」
「私がそれ教えたの、前に一度きりだよ。ほら、キャリバーさんに飲み物買ってもらった時に……。」
「ってことは、裕太の記憶が戻りかけてるのか?アナザーグリッドマンってやつの仕業なのか?」
「? ねぇ、何の話し?」
「あー、実は俺、記憶喪失なんだ……と言っても、去年の夏から冬頃の間の記憶だけだけど……。」
「えー!?それやばいじゃん!?え、大丈夫なの!?」
「よくわかんないけど、多分大丈夫だと思う。」
「……大丈夫じゃないよ……。」
「……六花?どうかしたの?」
「……ハッ、ううん、なんでもない…。」
どうして記憶が無いのにそんなに平気そうにしているのか。
どうして自分とはまた友達になってくれないのか。
どうしてまた『六花』と呼んでくれないのか。
アカネとまた会える……それは嬉しい。
だが裕太の記憶が戻らないのは、悲しい。
今まで生きて来て、こんな情動は初めてだ。
喜びと悲しみが激しく自分の中に渦巻いている。
アカネと裕太の事を考えると、徐々に鼓動が激しくなる。
「はぁ……はぁ……はぁ……!うっ……!」
「え、ちょ……宝多さん!?」
「おいどうしたんだよ六花!救急車……ってケータイ使えなかったんだっけ!?」
「六花の家に運ぼう!」
突然、六花が過呼吸に陥り、その場に倒れた。
裕太は六花を背負うと、ソウゴと内海と共に宝多家へと走った。
~~
とある場所
『………来る……。』
アナザーグリッドマンが立ち上がり、外を見た。
彼が自分から目をそらしている間に、アカネはゆっくりと扉へと近づき、ドアノブに手を掛けようとする。
しかし、アナザーグリッドマンはその気配を感じとり、一瞬でアカネの目の前にワープしてきた。
アカネを壁際まで追い詰めると、彼女の前で首を横に振る。
「どうして私をここに閉じ込めるの……?」
『アカネ、ずっと、一緒。』
「アナタ、グリッドマンに似てるけど、グリッドマンじゃないね?」
『私は……アカネの、友達……!』
「うん、アナタは私の友達。だって、あなたは……、」
~~
急いで六花を家へと運ぶソウゴ達。
家の近くまでやってくると、彼等の頭上に、アシストウェポンが出現するようなゲートが浮かび上がった。
その中から一人の超人が現れると、ソイツはソウゴ達の前でグリッドマンのようなファイティングポーズを取る。
アナザーグリッドマンだ。
アナザーグリッドマンは六花を背負う裕太を見つけると、彼に襲い掛かろうとする。
「うわっ!?」
「こ、コイツがアナザーグリッドマンか……!聞いてた通り、グリッドマンにそっくりだな……。」
「ここは俺に任せて、裕太たちは先に行って!」
裕太に襲い掛かるアナザーグリッドマンの攻撃を受け止めながら、ソウゴは生身で戦闘開始。
アナザーグリッドマンの攻撃をいなしながら、ジオウライドウォッチをジクウドライバーへと嵌める。
「変身!!」
『仮面ライダージオウ!!』
ジクウドライバーを回すと、ソウゴは仮面ライダージオウへと変身。
その姿を見ていた内海は、思わずガッツポーズを取ってしまう。
「うぉー!!生変身キタ―――!!!アクセスフラッシュもいいけど、こういうのもいいなぁ!!」
「なにやってんだ内海!!早く行こう!!」
『待てェ!!響裕太ァ!!!』
ジオウに目もくれず、アナザーグリッドマンは裕太へと迫り来る。
しかしジオウはアナザーグリッドマンを追いかけ、それを制止。
ジカンギレードを構えると、アナザーグリッドマンを斬りつけた。
『邪魔をするなァ!!』
「アンタ、なんで裕太を狙うんだ!!裕太だけじゃなくて、俺達の世界でアカネを狙ったのもそう……一体何がしたいんだアンタは!!」
『お前にはわからない……!!私を理解してくれるのは、私の友達と……カーンデジファーだけだぁ!!』
「カーン……デジファー……?」
(裕太!!)
「! またあの声……。」
「ど、どうしたんだ裕太?」
「……こっちだ、内海!」
「あ、ちょっと、待てって!!」
裕太と内海が六花を連れて、なんとかアナザーグリッドマンから逃げることに成功。
なんとか3人を逃がしきれたジオウは、置いて来たジオウIIを除き、現在持っているウォッチの中では最強のライドウォッチを手に取る。
『ディ・ディ・ディ・ディケーイド!!』
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!!アーマータイム!【カメンライド】ワーォ!!ディケイ・ディケイ・ディーケーイードー!!!』
『どうして邪魔をする!!お前は一体何なんだァ!!』
「通りすがりの王様だ!!……覚えておいてね!」
『ライドヘイセイバー!!』
アーマータイム最強形態の『ディケイドアーマー』にアーマータイムしたジオウは、平成ライダー全員の力を持つ剣『ライドヘイセイバー』を手に取る。
同じくアナザーグリッドソードを手に取ったアナザーグリッドマンと、剣を激しくぶつけた。
更にもう片方の手にジカンギレードも構え、アナザーグリッドマンの体勢を崩す。
『Hey!ビルド!』
『ビルド!デュアルタイムブレーク!!』
「おりゃぁああああああ!!!!」
ライドヘイセイバーで『ビルドデュアルタイムブレーク』を発動したジオウは、ドリルクラッシャーの様に回転するエネルギーを纏ったライドヘイセイバーをアナザーグリッドマンに突き立てた。
それが直撃したアナザーグリッドマンはその場に倒れ込み、再びヨロヨロと立ち上がる。
『あ……カネ……すぐ、戻る……。』
「!? アカネ……!?それって、新条アカネ!?」
アナザーグリッドマンが呟くと、彼は飛び上がり、ジオウから逃げてしまった。
だが今度こそアナザーグリッドマンを逃がさない為、ジオウは先ほどの戦闘で使ったブレイドウォッチを手に取る。
『ブレイド!』
『ファイナルフォームタイム!ブ・ブ・ブ・ブレイド!!』
ディケイドウォッチにブレイドウォッチをはめるジオウ。
すると彼のアンダーウェアはブレイドと同じ物に変化し、ディケイドアーマーに刻まれていた文字は『ディケイド』とバーコードから『ブレイド』『ジャック』へと変化。
顔面の頭部スクリーンもディケイドアーマーの物から仮面ライダーブレイド ジャックフォームの物へと変化し、背面にはオリハルコンウイングが出現。
これが仮面ライダージオウ ディケイドアーマーブレイドフォームだ。
飛び上がったアナザーグリッドマンを追う為、オリハルコンウイングを展開し、ジオウはアナザーグリッドマンの後ろを追いかけた。
しばらく追いかけていると、アナザーグリッドマンは一件の家に狙いを定め、そこの一室へと飛び込む。
「え……ここって……!?」
それを見て、ジオウは目を疑った。
~~
宝多家
アナザーグリッドマンから逃げ出してきた裕太たちは、まず自宅のソファに六花を寝かせた。
彼女は気を失っているが変わらず苦しそうだった。
内海が水道で水を入れてくる間、裕太は六花の傍で彼女を見守る。
何故だろう……六花を見ていると、不思議と声が聞こえてくる。
(裕太!)
またあの声だ。
聞き覚えの無い、どこか懐かしい声。
いや……この声は、前から聞こえていた気がする。
記憶を失って以降の裕太が他人を思いやり、人の為になる事をするたびに、この声は心の中に響いていた。
「君は、誰なんだ……!!」
「うっ……!」
「! 宝多さん!!」
「うっ…………じゃ……、」
「え?」
六花が何かを呟いている。
裕太は彼女の声に耳を澄ませ、その音を聞く。
それを聞き、彼は目を見開いた。
「邪魔を………す、るな……!私を……理解、してくれるのは………私の友達と、カーン……デジファーだけだ……!」
「え……宝多さん……!?何を言って……!?」
「どうした裕太ー?」
ガチャンッ!!!
「「!?」」
突然、上の階から大きい物音がした。
硝子を突き破って、何かが入って来たかのような音だ。
六花の頭の上におしぼりを乗せると、裕太と内海は急いで二階へと駆け上がる。
二階に上がると、『六花の部屋』と『お兄ちゃんの部屋』と書かれた二つの部屋があり、物音がしたのは六花の部屋の方から。
部屋の主である六花がいないにもかかわらずに内側から鍵がかけられていた部屋のドアを裕太と内海は二人がかりでぶち破った。
「………響くん……内海くん………。」
「お前は……新条、アカネ……!?」
「え、この子が!?」
その中にいたのは、ショートヘアーと紫色のパーカーが特徴的な少女。
内海は彼女の顔を、一度たりとも忘れた事など無かった。
コンピューターワールド『ツツジ台』での姿の、新条アカネその人だった。
そして、彼女の目の前にはあの化物……アナザーグリッドマンの姿が。
「! 二人とも離れて!!」
「え?うわっ!?」
アカネの警告と同時に、アナザーグリッドマンが内海をぶっ飛ばした。
アナザーグリッドマンは再び彼らに襲い掛かろうとしたが、アカネはアナザーグリッドマンの腕を掴み彼を裕太と内海から遠ざけようとする。
「もうやめて!!あなたの目的は私でしょ!?」
『アカネ……うっ……うがぁぁぁ…………!!!』
次の瞬間、アナザーグリッドマンの姿は、まるでこの世界に現れた怪獣が消える時の様に消滅した。
消滅したアナザーグリッドマンは、六花の部屋の机がまるごと置き換わった古いパソコン『ジャンク』へと吸収されていく。
「なんでここにジャンクが……!?それに、どうして新条が六花の部屋に……!?」
「君が、新条アカネ……さん?」
「響くん……そうか、また記憶喪失なんだね……。内海くん、今すぐここから逃げて。」
「え、ど、どういうこと?」
「早く!!あのグリッドマンの正体は………!!」
「アカネ……。」
「! り、六花……。」
気づけば、入り口の傍に目覚めた六花がいた。
彼女は俯いたまま部屋に入ってくると、自分の部屋に置いてあるジャンクの前に立つ。
そしてポケットに手を入れると、そこからソウゴの持つライドウォッチと似ている機械を取り出した。
「………全部思い出したよ……私だったんだって……。」
「りっ……か……?」
「思い出したんだよ、全部。アカネが出て行ってすぐに、私の所に、あの宇宙人と似た人が現れた……そして私に、力をくれた。」
「宇宙人……アレクシスの事?でも、アレクシスはグリッドマンが……。」
「カーン……デジファー……!」
突然の六花の独白を聞き、裕太の頭には『カーンデジファー』という単語が浮かんだ。
カーンデジファーの名前を呟いた裕太を見ると、六花は悲しそうにジャンクの画面を撫でる。
「そっちの事は覚えてるのに、私達の事は覚えてないんだ響くん。」
「宝多さん…!?」
「それ。また『宝多さん』。私がどう接しても、どんなに笑いかけても、君が私を呼ぶ時は必ず『宝多さん』……『宝多さん』『宝多さん』『宝多さん』『宝多さん』!!ねぇ、どうして?どうしてまた『六花』って呼んでくれないの……?」
虚ろな目で、六花は裕太、アカネ、内海の順で彼らの目を見る。
そしてアカネの腕を引っ張ると、アカネを抱き締めた。
「私、ずっと寂しかったんだよ……。アカネはこの世界の人じゃ無い、響くんはもうグリッドマンじゃ無い、内海くんも変わろうとしてる。それはわかってるし納得もしてた。してたつもりだった。だけど諦めきれるわけ無いじゃん………私は、また内海くんの下らない話を聞きたいし、アカネとはずっと一緒にいたい、響くんにまた『六花』って呼んでほしい……!ねぇ、そう思うのって……そんなにいけない事なのかな……?」
「皆!!アナザーグリッドマンが……ハッ!!」
その時、ソウゴが階段を駆け上がって部屋に入って来た。
彼は逃げたアナザーグリッドマンが、六花の部屋へ入って行くのを見た。
もしやと思い駆けつけたが、すでに遅かった。
六花が抱き締めている少女……自分の世界で見た時とは違う姿だが、あれが新条アカネだと確信したソウゴは、アカネを救い出す為に六花に駆け寄る。
だが、六花は持っていたライドウォッチらしき機械を自分の前に掲げると、そこから発せられた衝撃波がソウゴを弾き飛ばした。
「ぐあっ!!」
「あの日から、私はずっとひとりぼっち……私を助けてくれるヒーローはいない。だったら、私が自分の手で、私の居場所を作るよ。アカネと同じように…。」
「ダメ……六花……!六花は……そんな事しちゃダメだよ……!」
『GRIDMAN……!』
そして六花は、ライドウォッチ……アナザーウォッチを起動した。
アカネを突飛ばすと、ジャンクが赤黒く光り、六花の全身をエネルギーで覆う。
電光超人だった姿は全身に装甲を纏い、まるでこの世界にいた時のグリッドマン……『プライマルファイター』の様だ。
これが、宝多六花/アナザーグリッドマンの本当の姿だ。
今までのアナザーグリッドマンは、六花の意識データのみがアナザーライダー化した存在だった。
その為彼女の口調とは似ても似つかず、本能のままにアカネと裕太を求めて彷徨っていた。
六花が自分がアナザーグリッドマンと自覚し、彼女自らが変身したため、左腕にあった歪んだアクセプターは、アナザーグリッドマンウォッチに変化している。
彼女はアナザーグリッドソードでは無く、電撃大斬剣グリッドマンキャリバーを出現させると、ソウゴに斬りかかった。
ソウゴはそれを間一髪でかわし、ジオウウォッチをジクウドライバーへと装填する。
「変身!!」
『仮面ライダージオウ!!』
仮面ライダージオウへと変身したソウゴはアナザーグリッドマンの腕を掴むと、壁を破壊して家の外へと飛び出した。
道路に着地すると、ジカンギレードを構えてグリッドマンキャリバーへとぶつける。
一方、家の中に残された裕太、アカネ、内海の3人は、しばらく言葉を出せなかった。
ようやくアカネが声を出すと、彼女はその場で膝をつく。
「六花……どうして………私が、あんな事しなければ、こんな事には……!」
「新条……。」
「……行こう、宝多さんの所に。」
「行こうってお前、行ってどーすんだよ!俺達じゃ行っても、ソウゴの邪魔になるだけだ!」
「だけど、宝多さんを放っては置けない…。」
「そりゃそーだけどさ……。」
「内海、俺……前から薄々思ってた。宝多さん、いつも少し寂しそうにしてたって。皆の前ではいつも通り振舞ってるけど、俺の記憶が無くなる前と今とじゃ、笑顔が少し寂しそうだったんだ。」
「六花が……だってアイツは、他にもいっぱい友達いるし……。」
「内海くん、ちょっと静かにしてて。」
「もしあの子がああなった原因が俺にあって、その手がかりが記憶から抜け落ちた俺の3か月間なんだとしたら……あの子を……六花を助けるべきなのは俺なんだ。それが俺にしか出来ない、俺のやるべき事なんだ!」
(待っていたぞ裕太!!その言葉を!!)
「え?」
~~
次の瞬間、裕太は見覚えの無い、見覚えのある場所にいた。
彼の目の前には、アナザーグリッドマンに似た、赤い姿のヒーローが立っていた。
裕太は彼に見覚えがある……裕太は、彼の名前を呟く。
「……グリッドマン……。」
『そうだ。久しぶりだな、裕太!』
全てを思い出した。
ここは、グリッドマンとグリッドマン同盟が別れた場所。
そして目の前にいる彼こそ、3か月前共に戦ったヒーロー『電光超人グリッドマン』
「どうして……。」
『私は、あのアナザーグリッドマンが誕生した事で、ハイパーワールドから再びこの世界に……裕太の中に閉じ込められてしまった。だが、六花の本当の願いは君達との絆を取り戻す事だった。だからこそ君が『誰かを守りたい』と心の底から強く願った事で、アナザーグリッドマンを生み出したカーンデジファーの呪いを打ち破り、私とコンタクトを取る事が出来たんだ。』
六花の願いと、裕太の強い意志が、眠っていた彼の記憶とグリッドマンを呼び覚ました。
グリッドマンは裕太から一瞬目をそらすと、再び彼に顔を向ける。
『裕太……本来ならば、私はこんな事を言える立場では無い。この世界を救うためとはいえ、私は君の身体と記憶を乗っ取り、君や君の友達を危険にさらしてしまった。六花の心が歪んでしまったのも、元はと言えば私が君を選んだことが原因だ。それでも、私は君に協力を要請したい。私と再び一つとなり、この世界の……いや、私達の友の為に戦ってくれ!』
「グリッドマン……!俺からもお願いするよ!俺と一緒に、六花を助けてくれ!」
『今度こそ、本当の意味で、私と君は協力関係だ!君は私の力となり、私は君の力となろう!!』
~~
「おい……裕太?裕太!!」
「…………内海、新条さん……。」
「響くん、それは…?」
目を覚ますと、裕太は再び六花の部屋の、ジャンクの前に立っていた。
どうやら彼等にとっては一瞬の出来事だったようだ。
アカネに指摘され、裕太は自分の左腕を見る。
そこには、かつてアレクシス・ケリヴとの最終決戦の際に出現した、アクセプターがあった。
「アクセプター……!?って事はまさか……!?」
「……大丈夫、今度はちゃんと『俺』だから。」
「響くん、記憶が……。」
「うん。行こう、皆!六花の所へ!!」
~~
ツツジ台高校前
『ギリギリスラッシュ!!』
アナザーグリッドマンと交戦しながら、ジオウは裕太たちの学校の前までやってきた。
異常に身軽な動きでジオウを翻弄しながら、アナザーグリッドマンはグリッドマンキャリバーを振るいジオウを切り刻んでいく。
この動きは、かつてグリッドマンと共に戦った新世紀中学生のメンバー……サムライ・キャリバーとそっくりだ。
「は……速い……!!」
『あなたがいなくなれば、もう誰も私の邪魔は出来ない。私はもうアカネも響くんも、何も手放さないんだ……今まで通りの生活に戻れるんだ……!』
「それって、本当に今まで通り?」
『どういう事……?』
「自分の手を汚してでも六花が取り戻したかったものを俺は知らない。でも、そんな俺でもこれだけはわかるよ。六花がそうやって失った物を取り戻しても、アカネも裕太も喜ばないよ。六花は、その事をきっと後悔する!」
『ッ………!そ、そんな事わかってる……!わかってても、やるしかないじゃん!!』
グリッドマンキャリバーが消滅すると、今度は彼女の両腕にアシストウエポン『バトルトラクトマックス』が装着された。
『剛力合体超人マックスグリッドマン』と同じ力を手に入れたアナザーグリッドマンは、その腕力でジオウを殴り飛ばす。
ふっ飛ばされた先で体勢を立て直すと、右腕のライドウォッチを手に取った。
『エグゼイド!』
『アーマータイム!【レベルアーップ!】エグゼイード!!』
全身に仮面ライダーエグゼイドのアーマーを纏い、ジオウはエグゼイドアーマーへとアーマータイム。
ガシャコンブレイカーブレイカーでアナザーグリッドマンの攻撃を相殺しながら、彼女の隙を探す。
「邪魔になるなら、どうしてアカネと一緒に俺をこの世界に連れて来たの!!止めて欲しかったんじゃないのかよ!!」
『わかんないよそんなの!!!私はただ、今まで通りの生活がしたいだけ……アカネがいて、響くんがいて、内海くんもはっすもなみこもいて、キャリバーさん達はいつもうちでくだらない話ばっかりしてて……そんな今まで通りの生活が……。あの日……アカネがいなくなってから、私と内海くん以外の全員の記憶の中からアカネもグリッドマンもいなくなった………私だけが取り残された気がした……退屈だった……この世界で、私は………ひとりぼっち……!』
「六花!!!!」
『………え?』
「ゆ……裕太!!将とアカネも!!」
息を切らしながら、ジオウとアナザーグリッドマンに現れたのは、響裕太だった。
その後ろを内海とアカネも追いかけてきた。
裕太はアナザーグリッドマンへと近寄ると、彼女に手を差し伸べる。
「六花……ごめん、全部思い出したよ。今までの事、全部。」
『響くん……。』
「俺が……俺達が君を助ける。それが、今の俺達がやるべき事なんだ。」
『私は………ぐっ………あぁああああああああ!!!!』
『GRIDMAN……!』
裕太の手を取ろうとした瞬間、再びアナザーウォッチが起動した。
それにより全てのアシストウエポンが宙に出現し、それらすべてがアナザーグリッドマンを覆う。
その姿は、グリッドマンの全合体形態とほとんど変わらない。
『超合体怪人フルパワーアナザーグリッドマン』だ。
合体が完了したアナザーグリッドマンはグリッドマンキャリバーを手に取ると、裕太たちを見据える。
その瞳に、もはや六花の意思を感じない。
アナザーグリッドマンを生み出した魔王カーンデジファー……その完全な傀儡と化してしまった。
「前の私と同じだ……アレクシスに怪獣にされた時の私と………響くん!!六花を……私の友達を、助けて!!」
「よっしゃぁ!!いっけぇ裕太!!ソウゴ!!」
『ディ・ディ・ディ・ディケイド!』
『アーマータイム!ディーケーイードー!!』
ディケイドアーマーとなり、ライドヘイセイバーを構えたジオウ。
その隣で、裕太は左腕のアクセプターを構えた。
本来、グリッドマンへの変身はジャンクの存在が必要不可欠。
だがここはコンピューターワールド。
そして今の裕太は、本当の意味でグリッドマンと一つとなった。
大きく息を吸い込み、裕太は左腕をつきだす。
そして叫ぶ、あの言葉を。
「アクセース!!フラーッシュ!!!」
―君を退屈から、救いに来たんだ―
アナザーグリッドマンの脳裏に、裕太たちの声でそんな言葉を聞こえた気がした。
まばゆい光の中から、自分達とほぼ同じサイズのヒーローが現れた。
かつて自分達と共に戦った、ハイパーエージェント。
『行くぞ………裕太!!!』
「行こう……グリッドマン!!!」
電光超人グリッドマン
この世界に再び、夢のヒーローが降りたった。