翌日、右京、亀山、バン、かこ、アストルフォ、クロノは地球に降りて、海鳴市の公園で待機していた。
「それにしても、協力者って誰なんだろうな?
管理局の、職員なんだよな?」
「恐らくですけど…」
「それにしても、ここが海鳴市かぁ。
綺麗なところだよねヒポグリフ」
「アストルフォくん、今回は会いに来たんだから良いけど、仕事以外でヒポグリフをあまり連れていくなよ?
ここじゃめちゃくちゃ珍しいしその見た目だと目立つから」
「…おや、どうやら来たようですよ?」
右京の言葉に振り向くと、三人の少女がいた。
「お待たせしました!」
「あっ、お帰りフェイト。
彼らがこの街で君たちと協力してくれる、特命係及びパトレンジャーだ」
そう言うとクロノは右京たちに挨拶を促すように顔を見る。
「初めまして、僕は時空管理局特命係係長の杉下右京と言います」
「同じく特命係係長補佐の亀山薫っす、よろしく」
「俺は湖光バン、特命係職員兼アースラの湖光食堂のコックをやらせてもらってるぜ」
「わ、私は特命係兼無限書庫司書をやらせて頂いてます、夏ノ森かこと言います!」
「ボクはアストルフォ、アストルフォ・ローラン!
一応特命係だけど、ミッドの学生だよ」
右京たちが挨拶をしたので、少女たちも挨拶をする。
「高町なのはって言います!
よろしくお願いします!」
「初めまして、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。
嘱託魔導師です」
「私、八神はやて言います。
よろしゅうお願いします」
「僕のことは互いに知ってるから省略させてもらうよ。
さて、挨拶は済んだし、そろそろ本題に入ろう。
フェイト、頼んでおいたあれどうなってるかな?」
「うん、これだよね」
金髪の少女、フェイトはクロノに言われて懐から端末を取り出して情報のデータを見せた。
「以前頼まれたルナアタックの件は、この日に月が落ちようとしたことも、それが突然元に戻ったことも観測されたのは確かです。
依然としてその原因も、戻った時に何が起こったのかはわかりません」
「でも、その時にある反応があったんです」
茶髪の少女、はやてがフェイトの言葉を付け加えるように言って、フェイトの端末を操作する。
そこには以前バンたちが見たルパンブラックに似た反応があった。
「これは…」
「ルナアタックの時に確認されたルパンブラックとよく似た反応です。
しかもこの反応が3つ同時に確認されてるんです」
「3つも?
でもそれってまさか…」
「ルパンブラックと関係してるかわからないんですけど、これって恐らくルパンレンジャーのことじゃないかって」
『ルパンレンジャー?』
はやては皆の疑問に頷くと関連資料の映像を開く。
そこにはルパンブラックとよく似た赤・青・黄の三人の怪盗が映っていた。
「別の街で確認されてる怪盗団なんですけど、何でも犯人を改心させてるとか」
「犯人を改心?」
「はい、実際に彼らが介入した際、その犯人からあるものを奪うことで、その今まで悪事を働いていた犯人はまるで憑き物が落ちたように素直に投降に応じて罪を認めてるようです」
「その犯人とやらは、もしかして転生者のことですか?」
「可能性はあります」
「…そう言えばこの三人のこれって、VSチェンジャーだよな?」
「でも、ルパンブラックみたいに黒くはないんですね」
「…改心させてるってことは、悪いやつじゃないのかな?」
「…現時点ではまだルパンブラックとの関係はわかってはないんですけど、ただこちらで気になる点があるんです」
「気になること?
それは一体何でしょう?」
はやては少し困った様子で端末を動かすと、先ほどのルパンレンジャーたちの当時の反応を示したデータを出す。
「…特に何も変わった所はないみたいっすけど、何かあるんすかね?」
「おそらく、彼女が言いたいのは、こう言うことではないですか?」
右京ははやてのデータに指を指す。
三人の反応は確かに映されているデータなのだが、その当時の反応の時間経過などを記されていた。
そこで詳しく見ると、まるでそこに何かがあるみたいに、透明なものを避けるように動いたり、それとぶつからないように距離を置いたりしているようだった。
「この動きが、どうかしたんですか?」
「…予想ですけど、このルナアタックの時に、誰かが一緒にいたかもしれないんです。
その誰かが、こちらではわかってはいないんですけど」
「恐らく、ここだけ不自然な反応の無さを見る限りでは、何者かがかき消した、とでも言いましょうか。
その存在を知られてはならないと、そう言わんばかりに。
それにもしルパンレンジャーと何者かが共闘していた上で消えてるのなら、表には出ない何らかの組織もいるかと」
「…ルナアタックといいこの不自然な反応といい、今地球じゃ何が起こってるんだ?」
「それは、私たちにもわからないんです。
ごめんなさい」
バンの疑問に答えれないことにはやては謝る。
「…そう言えばこのルナアタック事件が終わってから、まだこの海鳴市では確認されてないですけど、こういうのが確認されてます」
はやての次に、入れ替わるようにツインテールの少女、なのはが端末から画像を出す。
そこには見たこともないような生き物が映っていた。
「…何だよこいつら」
「これはノイズです」
「ノイズ?」
「はい、ノイズとはこの日本の政府が指定した災害のことです」
「災害?
この生き物みたいなのが?」
「はい、どういうわけか人間だけを襲い、襲われて触れられた人間はノイズもろとも灰になるんです」
『っ!?』
「お、おいちょっと待てよ!?
人間を灰にするって!」
「遺体すら残らないなんて…!」
「人間だけを襲うって、一体何なんだよこれ!?」
「右京さん、これって、相当まずいやつじゃ…!」
「皆さん落ち着いて。
…ところで、確認されてるということは、何か対策はないのですか?」
バンたちが驚愕してるが、右京は冷静になのはに質問する。
「…一応こちらで反応が確認された場合に、住人の避難とノイズが出現してる地域を結界を貼ってます。
ノイズは人間がいないとその場に留まるし、時間が経てば消滅しますので」
「…避難するのも結界を貼るのもわかるんすけど、中に入って戦うってのは、どうだったんすか?」
「それが…」
「私となのはちゃんで一度砲撃で試したんですけど、どういうわけか通用しなくて…」
「私も遠距離の魔法は使えますが、恐らくそれも…」
「…あぁ、それは、すいません」
なのはたちの申し訳なさそうな様子に謝る亀山。
つまりは魔法は通用しないのだ。
だからこうするしか方法がなかったのだ。
それに、よく考えたら魔法が通じない上に触れれば灰にするような化け物に、魔導師とはいえこんな小さな女の子に遠回しに戦えというのも、酷な聞き方だったと内心思うのだった。
「恐らくその理屈ですと、地球で確認される兵器ですらも、通用するかどうかも怪しいですねぇ」
「そう、ですね。
…あと、あのルナアタックの後にいくつかこの海鳴市に引っ越してきた人たちがいるそうです」
「わかりました。
では、早速ですが転生者の取締りも含めてこれらの調査に向かいましょうか」
「この街で調べるなら、私たちも一緒にいきます!
皆さん、地球もそうですけど海鳴市に来るのは初めてですよね?」
「そうして頂くと助かります。
しかし、これだけの人数で一緒に行動するのもそうですし、バンくんたちは彼女たちに着いていってもらって良いですか?
僕たちはノイズとこの無反応の何かについて調べてみますので」
「けど街に向かうなら私服に切り替えておいた方がいい。
その制服だと、目立つからな」
『了解!』
こうして、バン、かこ、アストルフォはなのは、フェイト、はやてに案内される形で海鳴市で調査を行い、右京、亀山、クロノはアースラに残ってノイズやデータのことについて調べることになった。
果たしてバンたちパトレンジャーは、この海鳴市に足を運び、その瞳に何を見るのか、それはまだ彼らは知らない。