「ん」と「ね」と「(単語)」しか言わないクラスメートの性欲がヤバすぎる件について 作:羽虫の唄
誤
のっぺらぼう「私と友達にならないか」
主人公「な ん だ こ の オ ッ サ ン !」
正
痴女「先っぽだけ…先っぽ、ねね、先っぽだけだから…!」
お久しぶりでございます。大分時間がかかってしまいました…。
短期間で定期的に投稿してる人って本当に人間なのでしょうか。ボブは訝しんだ。
< 小大
小大
『ねえ』21:42
小大
『写真』21:42
小大
『ねえ』21:42
小大
『ねえ』21:42
小大
『無視???????????』21:43
最後の連続ハテナがすっごく怖いと思いました、まる
「──よぉ、ヴィランだなァてめー!」
頭上に陽光が近づき始めた昼時。唐突に響いたその声が男の肩を大きく震わせた。
男は擦れたジーンズにシャツと地味目な恰好。ただしそれは、人の印象に残らない様に『意識して作られた』見た目である。
ピンと立った耳。褐色の肌。シルクの様な長髪。
そのヒーローの名前は…。
「ミ、ルコ…ッ!? 何でこんなところに…!!」
「蹴っ飛ばす!!」
くそ! と、有無を言わせない彼女の言葉に乱暴に吐き捨ててから男は駆け出す。〝個性〟か、静止していた状態からは想像も出来ない速度で男の体が動き、その為に振われたミルコの鋭い蹴りは空を引き裂くだけに終わった。
即座に追走が始まる。
「待てこら!!」
文字通り、脱兎の如く。
男の個性では加速には優れても、トップスピードはミルコに軍配が上がった。彼女の手がその背中に追い付く──
「ッ?! ちぃ…!」
──間際、男の体が真横に移動する。トップスピードをそのままに移動した為、側から見ればかき消えた様に思えたかもしれない。恐らくは急発進と急停止のハイブリッド…いや、単純に「制動力」と言った具合だろうか。
ヴィランの男の個性にあたりを付けながら、ミルコは彼が入った路地裏へと潜り込む。錆びと乾いた土埃と、所々から発せられる正体不明な異臭に顰めっ面になりながらも男の背を追いかけて行った。が、
(──よし、よし! これなら逃げ切れる!)
内心でほくそ笑む男が見るのは、どんどんと距離の離れていくミルコの姿である。
狭い上に入り組んだ路地は、急発進と急停止で対応が可能な男には有利であるが、なまじ速度が出てしまうミルコにとっては自滅の可能性がある為、逆に速度を落とさなければならない状況を生んでしまっていた。勝利を確信した男は路地裏から大通り──人混みを利用出来る場所へと躍り出る。
ダンッッッ!! と、衝突じみた着地音が響いたのはその時だ。
「逃げ切れると思ってんのかァ、ヴィラン野郎!!」
獰猛に、かつ凄絶に。
裂ける様な笑みを浮かべながら言うミルコに、男は急停止。追い付けないと判断し、即座に追走経路を『上』に変更したミルコが目前へ着地したのだろう。そう思考する傍で、頭をフルに回転させ新たな逃走経路を導き出そうとする男は兎に角ミルコから距離を取る為に真後ろへ振り返り──
そこで、目と鼻の先に
「は?」
と言う声はもう出せない。
鼻腔を擽った…『ミルコ』がまるで蝋燭の火を吹き消す様に吐き出した
──ぜぇぜぇはぁはぁ、と折った膝に手を付き肩で息をするオレと異なり、先程睡眠ガスで眠らせたヴィランの男を引き摺るミルコは息切れ1つ起こした様子は見られない。
「こンくらいで息切らすな貧弱め! ヴィランは待っちゃくんねぇぞ!」
どこか楽しげな表情の彼女はそう言うが、朝起きてからのパトロールに加えて既に2件分ヴィランを追いかけ回したりと動きっぱなしである。疲労が溜まって当たり前…だと思うのだが、彼女のそのスタミナは一体どこから来るのだろうか。
甚だ疑問でしょうがない。
さて、側から見れば
野球剣のコピー機能でオレのコスチュームをミルコの物にした上で、『他者変身』と言う…文字通り他人の外見を真似る能力を………うんまぁ、体育祭を経て「サキュバス」が成長した結果様々な副次能力が目覚め、この『他者変身』もその内の1つである。今こうして使いこなせる様になる前の発現段階ではなんやかんやあったわけだが……、それはまた別の機会と言うことで。
ミルコに変身している理由としてはヴィランの撹乱及び抑止力を目的としている。トップヒーローであるミルコが様々な場所で目撃されれば、それだけでヴィランは警戒して活動を控えると考えてのことだ。
…まぁこうして合流しているところを見られると駄目なんだけど。
(にしても──)
と、考えながら見るのは汗を拭った自身の掌だ。広げた両手は仄かに灯った焔に包まれており──ただしその色は
身体能力を飛躍的に上昇させる
因みに反動の段階としては、「
で、今は1番低出力の青。
と言っても、下手な増強個性に匹敵はしていると思うのだが…にも関わらず、ミルコの身体能力とスタミナに敵う気がしない。
…何だウサギっぽいことが出来る個性って。
「──ミっ、ミルコが2人?!」
…ふと聞こえて来た声にびくりと肩を跳ねさせる。長く留まりすぎたか、と思ったオレが声の方を向いて見たのは…。
「──えーと、峰田クン? …と、Mt.レディサン」
「今注目の期待の新人ヒーローの私よりもこのエロガキの方が先に名前が出てくるのはどうして? 私はついで??」
何故オレは顔面を鷲掴みにされているのだ。
「ぐげほ…っ。と言うか峰田クン、この数日でエロガキ認定されるとかなにしてんスか君…」
「何かとローアングルで撮影しようとしてくるわよ」
「よっしゃヴィランだな?」
アイアンクローから解放されたオレの言葉にMt.レディが答えると、ミルコが笑顔でその健脚をぐるぐると回し始めた。
そこ、そういうことしない。峰田クンが貴女のVラインに釘付けだから。
*峰田 実:性欲 43/100*
*欲求:「野心家な全身タイツのチャンネーに褐色筋肉バニーが2人もだぁ…!? どいつもこいつもオイラのチンチンをイライラさせやがって…!!」*
もしかして彼のコスチュームの下半身部分は
なまじ人よりも色々と見えてしまうが故に、オレは戦慄を覚えた。
状況説明を兼ねた休憩で体力回復に努めるオレ現在──服装コピー解除&流石にあのコスチュームは公序良俗に触れるかもしれないのでジャージに変更済み、ついでに他者変身も解除──の横では落ち着かない様子で、今にも飛び出してしまいそうに体をソワソワさせているミルコの姿が。
「──ほら、スポドリどーぞ。若いからって無茶通そうとするんじゃないわよー」
「あ…ドモ」
Mt.レディが差し出してくれた某メーカーのスポーツ飲料水を有り難くいただく。
…あぁ、汗だらけで水分を求めていた火照った身体の隅々に行きわt
「にしてもデカいわね(ずむゅっ♡)」
ゴッッッッ!! ッッッッッドン!!!!
…オレの拳を腹に受け、エキサイトな竹トンボの様に吹き飛んでいくMt.レディ改めセクハラ野郎。
さてこの状況、思わず反射的とは言えプロヒーローを殴ってしまったことか、別に個性を使っていないにも関わらず叩き出された超出力か、はたまた普段から小大サンのセクハラから逃れている内に鍛えられてしまった己の反射神経か、それとも視界の端に映る葡萄頭の目の開き具合に驚けば良いのか悩むところである。
未だ蹲り腹部の痛みに苦しむ彼女。その傍に歩み寄るのはミルコである。
「ごぶっふ、がふぉお…! ンの、乙女のぶはッ。乙女のお腹をををを…!」
「同性でもセクハラって成立するからな?」
腕を組みながら言い放たれた冷たい一言に、びくりと肩を跳ねさせるMt.レディ。今注目の新人ヒーローが体験学習中の
ごべんなしゃいぃ…、と漏れ出た弱々しい声だが咄嗟でも手を出したオレも悪いので同じく謝罪を述べる。…と言うか、アレだな。何だかミルコのオレに対する態度が庇護対象に向けるそれになりつつある気がしてならない。ヒーロー志望なんだけどな…。──いや、まぁ、まだ卵だしプロヒーロー相手に対等に接してもらうことを望むのは自惚れか、流石に。
…いやでもなぁ。接しの感じがどうもこう、あの、ほら。…ねぇ?
頼りない以前に『これまで』があるから、問題を起こさせない・巻き込ませない様にしているミルコの心の内を察してしまい、自分の情けなさに軽く凹む。頑張らないとなぁ…。
──と、若干卑屈気味に己を鼓舞した瞬間であった。
『『『ぎゃァー! 変態ーッ!!』』』
どこからともなく聞こえて来た──そしてつい先日聞いた様な気がする内容の──無数の人が放つ悲鳴の塊。
「──おっしゃ行くぞ。
凛々しい表情でミルコが語る。
それで、その目を光らせるやつってどうやってるんですかね?
「な………?!」
そう声を出したのは、峰田クンだろうか。
普段であれば適度に往来が存在して雑踏が生まれているであろうそこには、1人の男性を中心に広い人の輪が出来上がっている。輪の中心に居るのはメタボリックな腹が目立つ中年男性だ。一目で喧騒の原因と見て分かる彼は、たった一言、『異常』と称する他ない有様となっている。
身に付けているのはスポーティなハーフパンツ。ランニングシューズも履いていることから、その腹囲を気にかけて有酸素ランニングにでも勤しんでいたのかもしれないと予測が立てられる。
さて、今述べたのは主に下半身。…もうお分かりだと思うが、彼の上半身。そこを見て、周囲の人々は先程の悲鳴を上げたのだ。
が、
「これは…どう見てもやばいわね…!」
身構えるMt.レディの声に反応したのか、男性が力無く両腕を上げ、身体の向きをこちらに合わせる。その様は幽鬼か、はたまたゾンビか。
新人と言えど既に何件もの事件を解決しているプロヒーロー。そんな彼女を戦慄させた男性の恰好。上裸か、それとも卑猥すぎるプリントTシャツ? …いいや違う。
「花…?」
出た声は震えていた。
そう、花。正確に言えばショクダイオオコンニャクなる世界一大きな花弁を開き悪臭を振り撒くことで知られている奇異な花。それの幾分かサイズの小さな物が、男性の上半身から生えているのだ。
「ヤバいな」
「ですね…!」
人相など悍ましすぎるその有様に隠れて判別不可能。
そんな彼の有様を見て呟くミルコに、Mt.レディが賛同するも、すぐさま彼女に否定の言葉を放つミルコ。違ェと語った彼女に、Mt.レディだけで無く、峰田クンも視線をそちらに向けた。
「違うって、何がだよ? ど、どう見たってあんなの正気じゃないだろお?!」
「うるせぇぞ、いいから目ぇ離すな」
ぶっきらぼうな言い方により一層混乱する2人。…傍のオレは、ミルコに言われるまでも無く、先程から目を逸らさずにいた。
「──ヤバいのは
不気味な様相の男性が一歩踏み出したのに合わせ、ミルコが呻く様に声を出す。
レディと峰田クンの視線は怪物と化した男性へ。ミルコは男性の他に、もう1人へと。…そうしてオレは、男性のことなど忘れて、その『もう1人』へと視線も意識も注ぎ続けてしまう。
薄い薄い、刃物の様に裂けた笑みを浮かべるそれは。
その双眸で歪みに歪んだ三日月の如く弧を描くそいつは。
まるで操縦桿の様に男性へスマートフォンを向ける
「──誤井、サン…ッッッ!?」
ドンッ!! と言う音はミルコが『跳んだ』意外にも、男性の体が弾かれる様に動いたものでもあった。驚愕を露わにするオレの前で状況は動き、知性の感じられない動作で両腕を振るった男性を飛び越えたミルコが、その健脚で踵落としを振るう──が。
「ポチッとな」
標的をミルコからその後方に位置していたオレたちに変えたのか、クリーチャーそのものの男性が体当たりを仕掛けたが、足掛けで転倒させ、ここぞとばかりに(無駄に長い)マフラーでその体を拘束し無力化を図る。
そんな最中にふざけた調子の声を聴覚が拾った。トップヒーローの攻撃を避けることすらしない誤井サンは、しかしその攻撃を液晶をタップすると言うその1つの動作だけで持って封じてみせる。
ぢゃどッ!! とミルコの踵落としを阻んだのは、彼女の前に現れた2人の男女。…
「人の体組織の変換と強制命令…ッ!!?」
「そんなご大層なものじゃないですよー」
攻撃を防がれたことでミルコは一旦飛び退き、互いの触手で互いを引き寄せ盾の役割を果たした男女にMt.レディが悲鳴を上げるが、やはり軽い調子でそれを否定する誤井サン。
傍にて、ぐじゃぐじゃと蠢く触手クリーチャーのことなど意にも介さずに、彼女は手元のスマートフォンを何やら弄っている。最早、鼻歌混じりで。
「……それよりそこに居て良いんですかねー君ら。私の〝個性〟の詳細も分かっていないのに、その影響を受けている人物の側に居るんですよー今?」
──ゾァ。
言い様の無い寒気が背筋を襲い、即座に「離れろ!」とミルコが叫ぶも…、
「──うわ!?」
叫んだのはMt.レディだった。植物クリーチャーと化したメタボな男性が、その上半身を覆う花弁から無数の虫の大群を放ったのである。
(ま、ずい──ッ!?)
例えば、このメタボな男性と先程の男女。誤井サン──
そうして、蜂とも蠅とも言えない奇妙な虫の群れの数匹がレディの体に留まり、その腹の先端から生えた微細な針を躊躇無く突き刺した瞬間であった。
「──ひ、ふひゃあ♡!?」
…、
………、
………………、?
う、うん? 何故喘ぎ声??
あれ? 今ってなんかシリアスな場面じゃ無いの? こう、ヒーローを応援するファンを装った人物が実は極悪なヴィランだったー…なんて感じの、この後ガチシリアスマジバトル的展開が繰り広げられていくアレじゃないの??? あ、あれ?????
顔を真っ赤にしながら──内股となりつつ──虫を追っ払うMt.レディ。
そんな彼女を見て首を捻るオレとミルコ。峰田クンはまんじりと彼女の様子をなんとも下卑た笑みを浮かべて鑑賞中である。もうここまで来ると賞賛して来たくなるね。
「たひゅけ♡、見てないで助けてよぉーん!?」
現在進行形で襲われていたMt.レディの悲鳴(?)に慌てて意識を引き戻すと、飛び交っていた虫の大群に掌を向け、どろっとした甘い匂いを放つ粘液を生成。
体育祭でコピーに成功した爆豪クンの──ではなく、単純に昆虫が好む匂いと高い粘性を持った物だ。それを地面に塗りたくれば、あっという間に標的を変えた群れは突入と同時に粘性に囚われ脱出が不可能となり次第に力尽きていく。
ふにゅうぅ、と奇怪な声を漏らしその場にへたり込むMt.レディ。
と、それを見た誤井は高らかに笑い声を放った。おぉう、突然。
「あーはっはぁー! 期待の新人ヒーロー様がだらしないですねー!?」
「ぅン、だとこのやろぉん…!」
声蕩けてますけどあの。
「さぁて、ではでは改めて自己紹介と行きましょうかー。──おほん! ご機嫌麗しゅう、ヒーローの方々! 私の名前は〝パピヨンマスク〟! 本日デビューと相成りました新人ヴィランですどうぞよろしく!!」
それまで付けていた黒縁丸眼鏡の代わりに、その名前ともなっている深紅のパピヨンマスクを装着すると同時、纏っていたサマーコートのボタンを外したことでその下に隠れていた紐みたいな
「──私の〝個性〟は「エロゲーム」。エロゲームに出てくる設定・要素を
………こうして、戦いの火蓋が…。
───…う〜ん。
〜今回発動した主人公の能力一覧〜
『他者変身』
相手の見た目に変身する。+αで別の能力も同時に発動していたりするものの…それはまたの機会に。
〜オリキャラ紹介〜
・
〝個性〟「エロゲーム」
エロゲームの設定・要素を現実に引き起こす個性。
…と言うとチートっぽいが、実際には「自分で制作して」尚且つ「かなりの知名度が出た」エロゲームのものでないと現実に引き起こすことが出来ない。
と言うわけでオリキャラ出ました。ようやくコイツを、出せた…ッッッ!!!
実は主人公並みに主要キャラだったり。