「ん」と「ね」と「(単語)」しか言わないクラスメートの性欲がヤバすぎる件について   作:羽虫の唄

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モチベ「…テメェは最新話を投稿したくないのかよ。テメェはずっと待ってたんだろ? オリキャラがヒロインにお持ち帰りされる、オリキャラがヒロインに襲われる、そんな誰もが笑って誰もが望む最っ高に最っ高な下ネタヒドイン系の作品ってやつを! ずっと待ち焦がれてたんだろ、そんな作品を! 感想がもらえるまでの場つなぎじゃねえ! 高評価をもらえるまでの時間稼ぎじゃねえ! 他の何者でもなく神作者でもなく! テメェのその手で、たった1つの作品を完結させて見せるって誓ったんじゃねえのかよ!? ずっとずっと主人公を(えが)きたかったんだろ! 原作みてえにアニメみてえに命を賭けてたった1人の女の子を守る、そんなジャンプキャラクターからはかけ離れたヒロインに襲われて無様に逃げ惑う童貞な主人公を描きたかったんだろ! だったらそれは全然終わってねえ! 始まってすらいねえ! ちっとぐらい足らない文才や語彙力に絶望してんじゃねえよ! …手を伸ばせば届くんだ。いい加減更新しようぜ、作者!」



お久しぶりです。
これからもちょくちょくプチエタったりすると思いますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。


職場体験 その⑤

 はっきり言って、弘原海(わたつみ)は咄嗟の場面で機転を利かしたりだとか、状況を打破する為の優れた閃きが出来たりはしない、アドリブに弱いタイプである。

 

 

 

 ──『私は誤井(ごい) 漆度(しつど)と言いまして。この前の雄英体育祭を見てからというもの、どうにも君のファンになってしまいましてね』

 *砂尾(さび) 花蓮(かれん):性欲 41/100*

 

 

 

 なので、ファーストコンタクトにてガッツリ偽名を名乗られた時、表情がへぎゅりと音を立て引き攣るのを堪えられなかった。

 

 

 

 ── 『痺れましたよー、「ふざけた個性と嗤っていろ」と叫ぶ君の姿。…ここだけの話、実は私の個性も世間に受け入れられ辛いものでしてねー。だからかなぁ、あの時の君の言葉が胸に突き刺さって忘れられなくなってしまいまして』

 *欲求:「ああやっと会えたここからだ大丈夫何回も練習した反復して来た大丈夫失敗はきっとしない諦めない大丈夫大丈夫安心して私が居る大丈夫君をヒーローにして見せる私が居るんだから大丈夫救けられたのなら救けなくちゃ」*

 

 

 

 ゆったりとした口調に反し、一切の間断が存在しないその心中を見て、恐怖から体が若干震えていたのはきっと気付かれていたはずだ。

 

 

 

 ── 『今までは自分が世間に受け入れられないのは個性の所為だーって思っていたんですけど…あの時の君の言葉にハッとしまして。自分よりも若い子があんな大人数の前で、しかも全国放送ですよ? 凄いなー、とか、カッコいいなーと思って…』

 *欲求:「孤独の辛さは分かってる無援の苦しさは知ってるだから私が救けるんだ君が救ってくれたんだから同じ私を救ってくれたんだ君が君だけが」*

 

 

 

 その内面から察するに、きっと外面的な発言にも嘘偽りは無いと思われた。

 何せ、()()()()強く想われているのだ。似非とは言えど読心を行える弘原海が1番それを理解出来た。

 

 

 

 ──『──ありがとうヒーロー!』

 *欲求:「ありがとうヒーロー!」*

 

 

 

 なので彼は涙を流す。人目も気にせず大声を出して号泣した。

 

 

 

 ──『君のおかげで元気が出ました!』

 *欲求:「きっと私が救けてみせる!」*

 

 

 

 そうして弘原海 ありすは蹶起(けっき)した。

 この人は、この人だけは、全力で止めなくてはならないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで職場体験受け入れ先のミルコに事情を──「サキュバス」の部分についてはなんとなーくぼかしながら──説明し、常であれば特定箇所に留まらず広域での活動を行うミルコに頼み、対象との遭遇確率を増させる為に近辺での活動を数日の間行い……そうして今日に至った具合だ。

 

 止めるとか言っておきながらガッツリ被害が出ているし出させてしまった訳なのだが、そこはまぁしょうがない。彼女の個性についても不明であったし、その動機も分からないままでは確保・拘束にも移れない、具体的に何かアクションを起こされなければヴィランとして相手取れないのだから。

 

「──な、なんと…。私と出会った最初の時から気付いていたんですかねー…っ」

 

 さて、そうした現在。

 Mt.レディの救援要請に応じた「熱血」やら「耐性」と言った精神系・毒物系に対して覿面のヒーローたちを合わせること計7名。パピヨンマスクは蓑虫チックになるまで簀巻きにされた状態で弘原海たちに取り囲まれていた。

 個性の起点でありながら手放すと個性が暴走する反面を持っている為、彼女のスマートフォンは手を頭の上に伸ばした状態で両の甲で挟む形でぐるぐる巻にされている。

 

 公衆の面前で痴態を晒されると言う1番の被害を被ったヤンキー座りのミルコとMt.レディの2人からオラオラぁとされながら、驚愕の表情で語るパピヨンマスク。

 

「ふふふ……。なるほど、なるほど──いたた、痛い痛いっ」

 

 ミルコに爪先でぐりぐりされながら。

 

「その全てが(ヴィラン)の油断を誘う為の演技だったと言う訳ですか…。私の告白に心が折れた姿も、他者の自慰回数が判別すると言うのも全部! ──ヴィランを打ち倒し、人々を救う為ならば自身の身を犠牲にすることも厭わない…、ふふふふ! ああ、それでこそヒーr」

「いやオカズカウントが分かるのは本当」

 

 言葉の途中で弘原海が言えば凄い速度でMt.レディが彼女(かれ)を抱きしめ、弘原海の側に居た峰田は第一宇宙速度で明後日の方を向き、ミルコのぐりぐりはげしげしにランクアップした。救援要請で駆け付けた彼らの中には()()()()()人物はいなかった様で分かりやすく態度には出さなかったものの、気まずそうに表情を曇らせたりしている。

 

 恩人にとんでもないことをカミングアウトさせてしまったパピヨンマスクは青褪めながら滝の様に発汗し……なんてことをしていると、向こうの方からけたたましいサイレン。パピヨンマスクの個性を考慮し、移動牢(メイデン)を備えた警察が到着した様だ。

 勝って兜の緒を締める。投獄されるまでは最後まで気を抜かず、念の為に彼女の拘束をより強くするミルコ。

 

「──どっか、一応折っとくか?」

「貴女それでもヒーローですかねー!?」

「それ以前に兎山 ルミっつう一個人なんだよなぁ」

 

 当たり前だが、随分と恨みを買ったらしい。抑揚の感じられないその声に、ひぃっ! と分かりやすく悲鳴が上がる。

 

「やめて下さい、やめて下さい! ごめんなさい、ごめんなさい!」

「ごめんで済んだらギロチンはいらねーんだよなぁ」

 

 マリーアントワエンドされるぅうう!!! とパピヨンマスクが絶叫したところで流石に弘原海が止めに入った。

 …その際、弘原海の行動が『救け』になってしまい彼女の内面がえらいこっちゃのよいよいよいとなったが、まぁ、それでももう、彼女のヴィランとしての活動もここまでである。弘原海としては、しっかりと更生してくれることを願うばかりだ。

 

 ヒーローたちに囲まれながら、いよいよパピヨンマスクの身柄が──

 

「いやま、別にここで捕まっても良いんですけどねー?」

 

 と、そこで。

 唐突に彼女が口を開く。

 

「これだけだとちと物足りない。最後はミルコの一撃でしたしねー。恩人である君を世間が決定打として認識するかどうか怪しいところなんですよ──ぶぐぇっ!!」

 

 ズン! と、巨大化したMt.レディが容赦無くその身体を踏み付けた。苦悶の声を漏らすが、それでもパピヨンマスクは言葉を続けていく。

 

「おぶ、おぶごかが……ぐぐっ! げふぉっ、で、で、すねー。私的にはやっぱり君には活躍してもらいたいんです。誰だって、好きな人には堂々胸を張ってもらいたいものでぇ、しょおお゛お゛お゛……ッ!!」

 

 力を込められたのだろう、臓物をその口から飛び出させんばかりの声を漏らしながらもパピヨンマスクは視線を弘原海にだけ向けながら言葉を紡ぎ、その様を見たミルコが静かに脚を振り上げた。意識を刈り取る為の一撃が直後に放たれる。

 

「あ──いてむ、せんた、くぅう゛う゛………!」

 

 その僅かな隙に。

 

「[ロザリオ]!」

 

 ごぼぽ、とその口から十字架が()()()()()()瞬間、パピヨンマスクの姿が掻き消える。

 慌てた彼ら彼女らが視線を巡らせ、その姿を嘲る様にしてすぐさま高らかな笑い声が発せられた。

 

「はーっはっはっはァーッ!! 油断しましたねー、ヒーロー諸君! ほら、あるでしょう? ──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 声の方へ警察含めた全員の視線が向けられる。

 果たして彼女はそこに居た。5階建て程の高さを持った、弘原海たちを見下ろせるビルの屋上に。

 

 

 

 

 

 ──素っ裸で。

 

 

 

 

 

 …見開かれすぎて峰田の眼球が飛び出しかけるのと、反射的に弘原海が個性で光源を生み出しパピヨンマスクの局部を隠したのはほぼ同時だった。

 

「ふふふふ、相手がヴィランであろうと尊厳を守ろうとするその甘さ──嫌いではないですっ!」

 

 因みにそのお顔は真っ赤っかである。

 

 …なんと言うかまぁ、エロゲームなんて名前なのだからある程度の予想は出来るが、似たり寄ったりな個性の性質に、憐憫と一緒にシンパシーを感じずには居られない弘原海だった。

 遠くて判別が難しいものの、心なしか若干涙目になっているらしい彼女はプルプルと震えながら、

 

「ふっふっふっ。ルパンを追う銭形警部、アンパンマンの前に何度でも立ちはだかるバイキンマン! 主役と言うのは1人で成り立つものではありませんからねー、待っていて下さい私の恩人! 君が私を救ってくれた様に、私も君を立派なヒーローになれる様、好敵手としてこれから──」

「 逃 が す か ゴ ラ ! 」

「うわぁあ凄い勢いで跳んで来たァ───ッッッ!!?」

 

 悲鳴を上げたパピヨンマスクがミルコから逃走する為に駆け出せば、ゴッ!! と轟音が辺りに轟く。そういやエロい格好すればするだけ身体能力上がるんだったか、と思い出しながら弘原海はミルコに続く為に駆け出した。

 その傍らで、実際に戦闘を行っていない救援で訪れたヒーローたちにMt.レディが注意を行なう。

 

「高い機動性を持った触手と媚薬を分泌する昆虫に注意して下さい! 私もこのガキを教育してからすぐに向かいます!!」

 

 え? とレディの発言に声を漏らしたのは峰田である。そんな彼の肩にポンと手を置く彼女は(にっご)りと笑みを浮かべながら、

 

「あんた私たちがピンチの時何してた? 救護そっちのけで撮影に勤しむとか舐めてるの???」

 

 …バキベキと言う鈍い音は多分気のせいだろう。

 

「ほーらこっち来なさーい。人生の先輩が手取り足取り教えたげるからさー」

「ま、待って誰か救けて! このままだとオイラは人として大切な何かを失う気がする!!」

「良かったわねー、お姉さんと路地裏デートなんてクラスの男子に自慢できるわよー」

「い、嫌だ!! 誰か、誰かァああ!! ぎゃあああああああ───」

 

 …引き摺られていく峰田を背にパピヨンマスクを追う弘原海は後にこう語る。

 あれだけ発せられていた悲鳴が、路地裏に入った瞬間にぷっつり途切れたのが心底恐ろしかった、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 F1カーじみた速度で疾走する痴女を追ってからどれだけ経っただろうか。明確な時間は分からないものの、兎に角長距離を移動したのは確かだ。

 どこだここ。

 

 ドラゴンフォームとなりファンデルワールス力で壁などに張り付きつつ、道中何度も見失いかけながらもなんとかミルコに追いつきながら進み続けるオレたち。…あれ、オレだけじゃね?

 辺りを見回しいつの間にか1人になっていることに気付く。

 救援に訪れたヒーローたちは、全員パピヨンマスクの超人じみた身体能力が判明する前の情報しか伝えられていなかったので、よくよく考えたら彼らは身体能力的には常人の域である。仕方がないと言えば仕方がない。

 

 場所はどことも分からない街路。いつの間にかバスタオルを巻き湯上がりの様な姿になった──盗品じゃねえだろうなアレ──パピヨンマスクを視界の先に捉えつつ、ミルコに並走する。

 

「ぜ…っ、は…っ! ぜ、全然追い付け、な…っ! ど、どうし、ますか…っ!!」

 

 ──さて、事態が動いたのは息を切らしているオレがそう訊ねた時だった。

 まず初めに、ミルコの耳がピクリ、と……動いた様な気がして、その直後のことである。

 

「えちょ、うぉ───ッ!!?」

 

 豪風を思わせる速度を持って、その健脚が()()()()()()振るわれる。突然の彼女の行動に悲鳴を上げることしか出来ず……。しかしながら、その速度に反して体に感じた感触はふわりとした柔らかなものだった。まるでサッカーでボールを掬い上げる様な具合の蹴りである。

 ミルコの行動で強制的に急停止せざるを得なくなったオレは、どうしてこんなことをされたのか思考を巡らし──そして。

 

 

 

 

 ゴバッッッ!!! と、すぐ側の建物の壁が弾け飛んだ。

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 ミルコに吹き飛ばされていなかったら巻き込まれていたかもしれない。体勢を直しつつ認識したその事実に、オレはぞっと肝を冷やす。

 

「ンだァ、コイツ…?」

 

 なにごとォ!? と叫びながら向こうの方に消えていくパピヨンマスクの姿を認めつつ、ミルコの呟きを拾うオレは、静かに喉をひりつかせていた。

 それも仕方ないだろう。何せ、目の前に現れた崩壊した建物の原因が──

 

(…脳、無ッ!?)

 

 黒い巨躯に下顎から上が剥き出しの脳味噌に置き換わった怪物。差異こそあれ、『剥き出しの脳味噌』と言う特徴的なその外見に否応無しに敵連合による襲撃事件の記憶が甦る。

 

「ホ──ホニャンッ!」

 

 視覚器官の見受けられない頭部でこちらの姿を捉えたらしい脳無が巨拳を振るう。が、それを難なく避けて魅せたミルコがカウンターに鋭い飛び蹴りを喰らわせた。

 

「ミルコサン!」

「お前は避難誘導!!」

 

 未だ状況が飲み込めていない周囲から脳無を引き離す為、戦闘を行いながら移動を開始するミルコ。次第にあちこちで悲鳴が上がり始め、一気にパニックが広がっていく。

 

(……どうして脳無が…?)

 

 疑問に対して考えたところで答えは導き出せない。既に遠くへ移ったミルコの指示を遂行する為に、声を張り上げ誘導を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パピヨンマスクを追って訪れたこの場所が──ステインを中心に世間を騒がせ始めていた保須市であることを確認したオレは、現在逃げ遅れている人が居ないかの探索に移っていた。学生の身である為、後から来たヒーローに状況を伝え終えた後は彼ら彼女らに引き継いでもらいオレは待機…と言う形が普通なのだろうが、いかんせん、人手が足りない。それ程までに保須の景色は一変してしまっていた。

 家屋は崩れ、あちらこちらから炎の赤と黒煙が確認出来てしまう。最悪の想像が一瞬脳裏を過るが、即座にかぶりを払ってその考えを払拭する。その最悪を起こさせない為のヒーローだ。

 …卵も卵だけども。

 

 大通りから外れて路地裏なども事細かく確認していく。今のところそれらしき人は確認出来ていないのが幸いだが、気を緩めずに探索を続けて行かなければ。きつけ代わりに一度大きく息を吐き出してから、次に当たる為、路地裏から大通りへと向かう。

 

「──アァー…ッ」

 

 大通りに出る為の、その路地の出口の方。

 B級ゾンビ映画にそのまま採用されそうな呻き声が聞こえて来たのは、そんな時だ。そして喉が干上がり思わず体を硬直させてしまうのと、そんなオレを横合いから伸びた白い腕が掴むのはほぼ同タイミングである。

 

「ッッッ、!!」

「(静かに!)」

 

 反射的に飛び出そうになる悲鳴を遮ったのは、口にあてがわれた手。オレを掴み、物陰に引き摺り込んだものと同じその手の主は、ファーをあしらった着物とフェイスマスクを組み合わせたコスチューム姿の少女だ。と言うか、クラスメートの柳サンである。

 

 彼女に口元を押さえられながら、あまりにも長すぎる1秒1秒が経過していくのをひたすらに待つ。鼓動の音がこれ程煩く感じることはそうは無い状況が、1分過ぎたところだろうか。

 

「──アァー…ッ」

 

 聞こえたその声が遠ざかっていくのを確認し、それでもたっぷり数分後。漸く緊張から解放されたオレたちは盛大に、しかしとても静かに息を吐き出した。…吐き出されたその音がオレと柳サンの2人分より余計に多く聞こえて身体を跳ねさせるも、薄暗い影の中に男性と彼に抱えられた幼女が居たことに気付き、ほっと一息。

 

「すいません、助かったッス柳サン…」

「それより、すぐ…ここを離れよう。──いつ戻って来るかも…分からないし……」

 

 額の汗を拭いながら呟く彼女に賛同し、首を振る。

 

 状況を確認する為に訊ねれば、避難の最中に親とはぐれてしまったらしき幼女を男性が発見。2人を発見した柳サンが誘導しようとするも、先程のゾンビ声の脳無が近くに現れた為にこうして身を潜めており──そんな折にオレが来たらしい。彼女が居なければ危うかった事実に改めて肝を冷やしながらも、オレは別のことで背骨を凍りつかせていた。

 …柳サンが脳無についての説明の時に、「あの緑色の肌の」と述べたことが原因である。どう考えてもオレが出くわした脳無の外見とは一致しない情報だ。

 

 ここから導き出される答え、は。…流石に馬鹿でも分かる。

 

「──複数体居る、って。こと…??」

 

 顔を青くした柳サンの発言に、頭を抱える。

 思い出される襲撃事件。対オールマイト用に改造の施された人間であるそれは、文字通り兵器としての被害を当時生み出している。我らがブラドキング先生はじめ、A組の相澤先生と言ったプロヒーロー2人を戦闘不能──それも、一時的なものではなく療養を必要とするレベルの状態にまで追い詰めたそれが、複数と来た。

 

「──柳サンの個性、確か総重量じゃなくて個別で制限がある感じでしたよね」

「? うん、成人した大人1人分までだったら……幾つでも、マルチで対応出来るけど…」

「それ、どのくらいの速度が出せまスか?」

 

 顎に手をあてがったオレの問いかけに、彼女はその眉間に皺を寄せ表情を険しいものにする。

 

「ちょっと弘原海、あいつと戦うつもり……ッ?!」

「いやそこまで自惚れてないッスよ。あくまで万が一、そうなった場合を想定してるだけッス。…それで?」

 

 残念ながら、もし脳無と戦闘になってしまった場合に於いて、ある程度の抵抗が出来るのはこの面子だと超パワーを発揮出来るオレだけだ。確認をとったところ男性も(一応幼女も)、戦闘向きの個性ではなかった。もちろん脳無と戦闘になるだなんて状況はあくまでも最悪であって、最善なのは見つからず戦闘にならず、全員無事に避難を終えることである。

 最善を成す為には最悪を想定しなければならない。オレの発言にある程度落ち着きを取り戻した柳サンが回答する。

 彼女は男性に自身の個性が適用されるかどうかを確認しながら、

 

「…人が全力で走るより速くは──動かせる、うん」

「よし。ならオッケー。柳サンは2人をお願いしまス。それでオレが先頭…あいや、殿? この場合どっちが良いんだ…?」

 

 ぶつぶつ言いながら作戦を組み立てていく……と、そんな時、男性に抱えられた幼女とふと目があった。

 親とはぐれて不安でしかないだろうに、泣くことを必死に堪えているであろうその様子を見て、徐にそちらへと近づく。

 

「──大丈夫。オレたちに任せて!」

 

 吐き出した声は恐怖で震えていた。優しく頭に伸ばした手は緊張で強張っていた。それでも、こちらをじっと見つめていた彼女はオレの言葉に、小さく頷いてくれる。

 

「くそ、俺が1番最年長だってのにっ。もっと個性が強けりゃ…」

「いいえ、最善なのは戦わないことです。それに、貴方のお陰でこの子は無事なんですから」

 

 悔しげに声を漏らした男性にそう返しながら、視線を柳サンへ。小さく一度、彼女と共に首を縦に振り物陰から身を出す。

 さぁ、ここが正念場だ。覚悟を決めろッ。

 

 意を決し、オレたちは路地裏から躍り出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バサリ、と。

 何かが羽撃(はばた)く音が鼓膜を叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「走───ッ」

 

 もしかしたら他のヒーローかもしれなかったしただの鳥かもしれなかった。しかし直感で動いたオレの体は、焔の灯った拳を背面に向けて放っていた。

 

「───れェッ!!!」

 

 すぐ側に飛来していたその脳無の肉体に、音を立てて拳が着弾する。──が、

 

(ショック、吸収………ッ)

 

 襲撃事件にてプロヒーロー2名を先頭不能にし、尚且つ『あの』オールマイトに苦戦を強いた脳無の複数持った個性の内の1つ。対打撃で部類の強さを誇るであろうその能力が脳裏に過り……、

 

(──じゃ、()()ッ!?)

 

 ぞるぅ! と翼竜の様なその脳無に拳ごと全身を()()()()()()()。液体じみた身体構造に攻撃を無効化されたオレは即座に振り返り──直後、音を聞きつけこちらにやって来たのだろう、付近を徘徊していた脳無によって、コンクリートへと叩き付けられた。

 

 ゴッッッ!! と撃音が炸裂する。

 

「ぶッ」

 

 激痛から絶叫を炸裂させたくなるも、それすら叶わない。

 その怪力に、身動ぐことも出来ない。

 そんな中でも、痛みで、眩み散らばる視界と思考で、柳サンたちへと迫る翼竜の様な脳無の姿を捉える。

 

 …、

 ………、

 ……………、

 

 脳無とは、複数の個性に耐えられる様調整された改造人間だとのことだ。それはつまり、こんな姿の彼或いは彼女も元は普通の人間であったと言うこと。

 ……カルネアデスの舟板だとかそう言った考えが瞬間的に頭の中で暴れ回り、そして。

 

(倫理、観なんて……捨て置けッ!!)

 

 朦朧とする意識で集中し、オレは個性を使う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物体を任意で動かす個性・ポルターガイスト。常人が走る速度と比べて優れたそれでもって逃走をしていた柳たちだったが、現れた翼竜の様な形態の脳無はそれを遥かに上回る。

 男性と幼女。せめて2人をと個性をフルに使い、ほんの少しでも早く遠くへ運びながら、自身の体を脳無の目前へ移す柳。

 

 そして。

 

 

 

 轟ッッッ!!! と、目前に迫った脳無の向こう側の風景が爆炎に呑まれる。

 

 

 

「ひ」

 

 ──それは果たして誰の声だっただろうか。男性か、幼女か、それとも柳自身のものか。

 爆炎の中で動く2つ分の影。片方は黒々とした塊となって斃れる脳無。そうしてもう一方。

 

 ()()()、と。

 ()()()()()()()()()()()、と。

 

 肌が抉れ肉が爛れ、そこから現れるのは1メートルに及ぶ昆虫の肢であったり、或いは巨大な嘴であったり、蟹の鋏であったり触角であったり鱗を持った尾だったり爪だったりバスケットボール大の眼球だったりヒレだったり三角の耳だったり狼の頭だったりナメクジだったり──サキュバスとは本来ならばその姿はとても醜いものと言われていたりするが、それを証明するかの様な有様だった。

 現在の状況に最も適した状態を片っ端から探るかの様に、肉体改造によってその身体がくまなく作り替えられ続ける。

 

 あらゆる生命体を一纏めにしたかの様な、辛うじて一部分に『原型』を保ちつつ、脳無以上に怪物となった姿の肉塊が、音が後から聞こえて来そうな速度で動いた。一瞬で、彼我の距離が縮められる。

 そして。

 

 

 

 

 

 どんっ、と。

 柳の体が突き飛ばされる。

 

 

 

 

 

「わたつ──ッ!!」

 

 発せられたのは悲鳴と呼ぶより、怒号に近かった。

 個性を使う暇も無い。柳の目前で、クラスメートに向け脳無がその膂力の込められた攻撃を放つ。

 残酷に、無慈悲に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放たれた一撃は、文字通りの必殺だ。容赦無くその骨をへし折り、肉を千切り取る。

 

「──一丁前に自己犠牲(プロのまねごと)かァ?」

 

 ただし、放ったのは脳無ではなく──。

 

 ピンと立った耳。褐色の肌。シルクの様な長髪。

 ()()()()()()()()()()()()()

 

「いいぞ、生意気だッ!!」

(ミルコ──)

 

 その姿を最後に、弘原海の意識は断絶した。




で、出たー! 傍迷惑自己犠牲マンだー!!
しかもテンプレどおり意識失ってるー!!



で、話は変わるんですけど、ハーメルンで小大唯でタグ検索すると4件しかヒットしないんですよね。
4 件 し か ヒ ッ ト し な い ん で す よ ね 。

テメェは小大 唯がヒロインもののヒロアカ二次を書きたくねえのかよ? いい加減始めようぜ、お前ら!!

  • ワカリマシタ!^p^
  • お前が書くんやで^^(腹パン)
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