「ん」と「ね」と「(単語)」しか言わないクラスメートの性欲がヤバすぎる件について   作:羽虫の唄

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この作品について、活動報告にてネタやご意見の募集を開始いたしました。
長文、一言でも問題有りませんので、お気軽にコメントをいただけますと幸いです。

それでは雄英体育祭、スタートです。




雄英体育祭 その①

 嘗てのオリンピックに代わる祭典、ヒーローを志す者ならば絶対に外せないイベント……。

 

 いよいよ開催された、雄英体育祭。一般の方も交えた観客席には多くのプロヒーローがスカウト目的で訪れており、自己アピールに臨む生徒は科目問わず、どこかピリついた緊張感に包まれていた。

 

「せんせー。俺が一位になる」

「やると思ったァ!」

 

 そんな中行われた生徒代表による選手宣誓。

 自意識・自信共に過剰と言われても仕方がないその発言に誰かが声を上げ、それに続いて野次や罵詈雑言が次々と飛ばされていく。

 凄いな、あのA組の……何だ、バックフォー見たいな名前の人。一瞬で殆どの生徒のヘイトを集めたぞ……? 

 

(人前でやるってのが凄いよなぁ。オレには一生かかっても無理だ)

 

 ミッドナイト先生から第1種目である障害物競走を告げられ、各々スタート位置に着く周囲に合わせ、跳んだり四肢をブラブラさせたり軽く体を動かしながらオレは思考する。

 

『覚悟しとけよあの野郎……』

『敵はB組にいるってこと教えてやる』

『ふしゅる……。ふしゅ……、ふしゅる……』

『ヒャッヒャ、切り刻んでやるぜェ……!』

 

 B組男子から向けられる殺気を全身で浴びながらオレは天を仰いだ。

 ……本当、どうしてこうなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 選手入場前の、控室でのこと。

 物間クンが何やら、優勝という最終目的を果たすには先ずA組の分析から–––第1競技では敢えて順位を落とさないか、みたいなことを提案している中、オレはと言えば……。

 

 

 

 *小大 唯:性欲 137/100*

 *感度「超高」*

 *状態「発情」*

 

 

 

 控え室の角にて目前の変態女改め、クラスメートの小大サンをひたすら睨みつけていた。心許ないが無いよりはマシだと、サキュバス状態の時に現れる羽を盾代わりにしているオレに対し、彼女は近づきたいがオレが警戒しまくっている為に足踏みしている状態である。

 

 誰が近寄らせるか……! 普通に怖かったからな! 目覚めの一発で見た恍惚の表情トラウマレベルだったからな! 逃げ帰った後、布団の中で震えてたからな! 何ならちょっと泣いてたからな!! 

 

 忘れたくとも忘れられない、先日起きた出来事を思い出し、思わず体が身震いを起こす。

 薬盛られた挙句誘拐されるとか、美人だろうとやったことは犯罪者のソレだ。それは間違いない。…………のだが、彼女が()()()()()()()()原因にオレが関わっている可能性は無いわけではない。もし誰かが客観的にこれ迄を見ているのならば、必ずしもオレの所為では無いと断言してくれるかもしれないが、一方でゼロでは無いとも言うかもしれない。

 

 力には責任が伴う。『問題無く解決出来る』確証がないままオレは独断で決行し、そして失敗したのだ。まぁその後ろめたさからと言うか、小大サンが今回しでかしたことは、誰にも喋るつもりは無い。……いや自分でしたことには最後まで責任持てよと突っ込まれそうだが、そうしたくとも彼女に対する恐怖がオレの中で勝ってしまっている、どうしようもない。

 

 なので、これからは不干渉の姿勢を徹底させてもらう。

 近寄らせん、近寄らせんぞォ……! 

 

 ……あ、そうそう。そう言えば、今回の件でどうやらまた個性がパワーアップしたらしく、内容としてはサキュバス状態のクオリティの上昇と、それから–––

 

 

 

 *欲求:「( °∀°)o彡゜おっぱい! おっぱい!」*

 

 

 

 性的なことが頭に付いてしまうが、酷く限定的であるものの、相手の思考を目視で確認可能となった。そして目の前の美少女の頭の中が男子中学生……下手をすれば、小学生並みの思考回路しか有していないことが分かり、若干視線に憐れみの色が加わり始めてしまっていたりする。

 何がおっぱいか。自分のでも揉んどけ。

 

「–––皆! そろそろ時間だよ!」

 

 物間クンの提案に数名を除き、クラスの大半が乗ったところで拳藤サンの声が響き渡り、オレたちはそのまま会場に入場することとなった。本当は嫌だが、個性を一時的に解除して。

 控え室を後にし、大いに湧き上がる観客から拍手や声援と言った爆音を浴びながら、クラス・科目ごとに別れ–––ある程度–––整列する。

 

「……ん」

 

 にも関わらず、何処ぞの小大サンはあろうことかオレの片腕に体丸ごとで抱き着くと言う行動に移った。瞬間的にクラス内外問わず男子生徒の視線と殺気が集中。

 

「んぐっ」

 

 それを感知し即座に拳を彼女の脇腹に叩き込み引き剥がすが、その所為で今度はクラス内外問わず、女子生徒から視線と殺気が集中した。

 側から見ればただの暴力野郎だろうが、生憎とオレは自分の身を守っているだけである。故にオレに非は一切無い。

 

 ……そんなことを考えたところで事情を知らない周囲のヘイトが下がる訳も無く。

 嗚呼もう、如何してこんなことに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スタァ–––––––トッ!!!』

「「「死ねェエ–––––ッ!!」」」

 

 参加人数に対してメチャクチャ狭いスタート地点。

 3つのランプの点灯と同時に放たれたのは、開始の合図と、オレに向かってくる幾人もの怒号である。

 

 何か、もう、こうね。そこまで包み隠さずに言われると逆に清々しさを覚えるよ……! 

 

 さて、プロヒーローに自己アピールを行うのに最適な場所(タイミング)であるにも関わらず、オレの抹殺を最優先事項とした、一部のB組男子+αたち。残念ながらオレの個性は戦闘向きとはお世辞でも言えないモノだ。なので、必然的に取るべき手段は限られてくる。

 

 個性を発動。飛びかかって来た先頭の1人–––円場クンを、サキュバス状態へと変態し、エロスの権化と化した自身の肉体で優しく受け止める。オマケに彼の耳元でリップ音を奏でてやれば、あ〜ら不思議。

 

『なぁに蹲ってんだ円場ァ……』

『さっさと立てやオイ……』

 

 先程までのヘイトは何処へやら。茹で蛸の様に紅潮し、無言で五体投地に移行した円場クンを数名が取り囲み爪先で小突き始めた。

 仲間割れを始めたその隙をつき、何故かは知らないが凍り付いている地面を慎重に、しかし迅速に駆けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第1関門であったロボ・インフェルノは先頭集団が粗方片付けていた様で、他から出遅れたことで逆にスムーズに進むことが出来た。

 

「ん」

 

 さて第2関門、ザ・フォール。無駄に大げさな名前であるが、要は規模の大きな綱渡りである。

 

「ん!」

「……何ですか、小大サン」

 

 早くも不干渉の決意が無駄になったが、如何して小大サンはオレと一緒になって立ち止まっているのだろうか。早く進めばいいのにと疑問に思っていれば、彼女はこちらの手を取り、次いでもう一方の手で張り巡らされたワイヤーを指差す。

 ……意図が読めないので、サキュバス状態となり彼女の欲求を確認。

 

 

 

 *欲求:「2人一緒、初めての共同作業。……つまり初夜! S○X! Hurry up now!」*

 

 

 

「」

「ん!」

 

 絶句して固まるオレを余所に、表情こそ変動は無いが、意気揚々と駆け出した小大サン。

 ……あああああ、太めのワイヤーだけどそんな勢いつけて行ったら危ない–––。

 

 あまりのことに、一瞬、意識が飛んでいたオレは何とか気力を振り絞り、踏み止まった。しかし、静止する間も無く駆け出していた彼女は案の定、(たわ)んだワイヤーの上で足を滑らせてしまい–––股間に思いっきり一撃を受けることとなった。

 男だったら悶絶必至の出来事に、思わず内股となるオレ。そして小大サンは……。

 

「–––んお゛ぅ……っ♡♡!」

 

 もうあの人最強なんじゃないかな。

 

『『『追いついたぞ弘原海ィー!!』』』

 

 後続から聞こえてきた声に、跳躍。羽をバタつかせながら間際に小大サンを引っ掴み、少し手間取ったものの第2関門突破–––。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『–––さぁいよいよ最終関門だァ! 地雷の場所は分かりやすくなってっから、目と脚酷使し(つかっ)て行けェ〜!』

 

 第3関門に辿り着くと同時、プレゼント・マイク先生の声が会場に響き渡る。相変わらずの声量だ。

 最終関門は地雷原。其処彼処で起こり続けている爆発音に身を強張らせつつ、足下を見ながらゆっくり進む。

 

(ちょ、超怖ぇ……! 人間が吹き飛ぶとか結構な威力だな!?)

 

 ボッカンボッカン音が鳴る度、視界のどこかで人が跳ね飛ばされていく様子に恐怖を覚え–––同時に、余りにも遠い先頭集団に焦燥感に駆られていく。

 

(拙い、拙いぞ……! 振るい落とされるのが何位からか分からない以上、なるべく上位を狙わないといけないのに……!)

 

 雄英体育祭は、第1競技・第2競技・第3競技と続いていく中、1競技ごとに参加人数が限られていく。どの程度迄が参加出来るかは事前に伝えられていない為、今の自分の順位が可なのか不可なのか、ハッキリと断言することは不可能だ。

 だがそれでも1つだけ、先頭は()()()()()()()事実が、十二分にオレから冷静さを奪っていく。

 

(どうする、考えろ……!)

 

 地雷原を突っ切ろうにも爆発から即座に体勢を立て直せはしない、結局タイムロスに繋がってしまう。だがそれを理由に今のペースのまま進んでいては、第1競技で脱落してしまう可能性が出て来る……! 

 

「くそッ、先頭のところまで一気に追いつきたいのに……」

 

 –––そんな呟きをオレが零した時であった。

 

「”大”」

 

 傍から聞こえてきた小さな呟き。思わず、そちらへと視線を向けて–––向けて? そこに居たのは? 

 

「–––ばっかオメェ予め調整されてる地雷大きくしたら威力とかも増すだろうがああああ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「–––デ、ク、ゥア!」

 

 地雷の爆風を逆手に取り、先頭へと躍り出た()の背後から、聞き慣れた、苛立った声が聞こえた。

 

「俺の前を、行くんじゃねェッ!!」

 

 両手から、設置された地雷に劣らない爆発を生みながら迫り来るかっちゃん。彼と並んだ位置に居た轟君も、後続を考慮し控えていたであろう地面ごと地雷を凍結させる手段を取り始めた。

 終盤となり加速した2人に対して、僕は既に爆風の勢いも死につつある。くそ、どうにかしないと–––! 

 

 ドグワァアンッ!!

 

「え!?」

「あァ!?」

「……!?」

 

 その時後方から放たれた、特大の爆発音に、三者三様、それぞれの反応を僕らはして……。

 

 

 

「–––……ァァぁあああアアアアあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!!」

 

 

 

「えっ、ちょ、コッチに来る–––っ?!」

 

 瞬間、衝撃–––。

 

 物凄いとしか表現しようが無い速度で飛んできた2人の男女は、僕たち3人を巻き込みながらゴールを通過した。




クッソ今更ながら主人公のステータスです。

弘原海(わたつみ) ありす
Height:165
好きなもの:野菜料理全般

・見た目
ボサ髮で四白眼のヒョロガリ。目の下に隈というかひたすら擦った痕の様なものがあり、ハイライト先輩が絶命していることもあって、伊達眼鏡で隠している。
格好は雄英指定の制服の上に、オーバーサイズのパーカー。制服とパーカーの背にはジッパーが付属しており、変態時に羽が外に出せる仕組みになっている。尻尾はスボンの隙間から出している。

・個性 サキュバス
自分の肉体を改造し、エロいことに特化させることの出来る個性。
中学3年の時に、とある人物より譲渡されたもの。まだ不慣れな部分があり、時々サキュバス状態への変態に失敗してバグる。


「おだればかさしとめ(※ヤバい失敗した)」
「なんて?」


大体こんな感じです。

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