『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
ネタバレ注意
巨大怪獣と巨大ロボ二体の大決戦の後、京矢への恋心を自覚した言うか、光輝への恋が勘違いだったと自覚したと言うべきかは定かではないが、彼女……中村恵里は頭を抱えていた。
「どうしよう……」
思い返すのは、自分が京矢からどう思われているのかと言う一点。
「僕って、完全にアレの取り巻きじゃないか!?」
そう、京矢からの恵里への認識は光輝の取り巻きの一人である。それが今更、勘違いに気が付いたと言っても旅に連れて行って貰えるだろうか?
そんな奴、自分じゃ絶対に連れて行かないと言う結論に行き着いてしまった。間違いなく罠とかを疑う。
「……本当にどうしよう……」
正に、病む事も出来ぬ絶望。
勘違いしていて京矢に出会ってからも、今の今まで気付かなかった過去の自分を殴りたくなる。もう自分じゃなかったら惨たらしく殺したくなるレベルだ。
好感度ゼロ、最悪はマイナス。そんな状況でどうしろと言う状況なのだ。
「……京矢くん……」
もっと早く気が付いていれば、勘違いして光輝を追いかけていなければ、彼の側にいることが出来たのは自分になれてたかもしれないのに。そんな後悔が心の中に浮かぶが、時間は過去には戻らない。その挙げ句が、最早その相手からは嫌われているかもしれないと言う事実。
自分を助けてくれたのも、特別だからじゃ無い。助けられたから、見捨てたら夢見が悪いから。その程度の理由だ。
……手が届かなかったら見捨てる。悪く言えば、今の自分は彼からはその程度の価値しかない。
「……京矢くん……」
本当に想うべきだった相手の自分の評価を思うと泣きたくなってくる。
どうすれば良いのか分からなくて、涙は自然に溢れてくる。
「あはは〜、恋する乙女の悩み、相談にのりますよ」
「っ!?」
突然聞こえてきた声に反応してそちらの方を見ると、そこにはロープを地球の制服と思われる服の上から纏った少女がいた。
間違いなく魔人族の味方の地球人の一人だろう。恵里が次の行動に迷う前に、彼女は次の言葉を続ける。
「バールクスの味方が増えるのは喜ぶべきことですからね〜」
「え? 京矢くんが……バールクス?」
初めて風魔達に襲われた時、何度も風魔の口から出てきた名前だからよく覚えている。このタイミングでバールクスの名前が出てくるのなら、間違い無くそれは京矢の事だろう。
「そうですよ〜」
目の前の少女は躊躇する事なく恵里のその言葉を肯定する。
「バールクスって言うのは、私達の組織の王の座に着く資格の名前。ソウセイの王にして、
更に笑顔を浮かべながら、
「彼は地球を2回、異世界を2回も救った大英雄であり、闇の王の資格を持つ者と言った所ですね」
サユリから語られる事実に、驚愕する恵里に彼女はブランクのライドウォッチを差し出す。
「彼の側に居たいなら力を得る事。彼の側に立てる力を得る事ですよ」
以前の自分なら迷わずに取っていたであろう、差し出されたそれを手に取る事に躊躇を覚える。
いっそ、覚えて貰っていない方が幸せだった。マイナスからのスタートなんて勝ち目なんてある訳が無い。これ以上、何もしないで嫌われない方が幸せでは無いだろうか?
そんな考えによって行動を戸惑わせていた。
「大丈夫ですよ。対価はありません。サユリは恋する女の子の味方ですから」
笑顔で渡されたそれを受け取ると、自然とそのスイッチらしき部分に指が伸びる。
『 !』
何かの名前が響くと空白だった絵柄に絵が浮かんだ。
「祝福しますよ、ソウセイの王の側に立つソウセイの姫の候補の誕生を。う〜ん、サユリはウォズさんじゃないから、祝福の口上は浮かびませんけどね」
そう言って恵里の手に握らせたライドウォッチから手を離し、芝居かかった態度で一礼する。
「では、王妃候補様。またお会いしましょうね」
その言葉と共に足元に現れた魔法陣の中にサユリは消えて行った。
夢だったのかと思う恵里だったが、それを否定するように彼女の手の中のライドウォッチは存在感をしめしていた。
「……ちくしょう……」
光輝は夜の月に照らされながら1人項垂れていた。
クラスの中心だった筈の自分が周りから白い目で見られている。龍太郎以外の生徒達が自然と離れていく。
勇者のパーティーにはもう龍太郎しか居なくなってしまった。永山達も恵里や鈴も、もう付き合えきれないと距離を置かれている。
自分は幼馴染を守る為に、無理矢理従わされている人達を助ける為に戦った。
『そっちの馬鹿も含めて何人でも連れて来い、好きな武器でも何でも勝手に用意しろ』
面倒だから早くやれと言う態度で龍太郎達も纏めて相手をすると言った京矢。
その事に怒りを覚えたが、それ以上に京矢の態度に怒ったのは彼の親友の龍太郎だった。
親友が肩を並べてくれているのは心強かった。龍太郎達と共に全力で剣を振るった。今出せる全力を出し切った。今までの光輝ならそこまでやって乗り越えられないことは何一つ存在しなかった。
いや、絶対に乗り越えられない壁として常に京矢がいた事を忘れていた訳では無い。だが、隣には親友が、後ろには仲間達が居るのだ。越えられない訳がない。
だが、龍太郎達は容易く倒され、全力で放った筈の神威を京矢の一撃(アバンストラッシュ)で簡単に引き裂かれ撃ち倒された。
限界突破を使って向かって行っても、魔剣目録とか言うものから取り出した剣を翳した瞬間、効果が消えるどころか体を動かすのも辛い程の負荷が掛かった。(限界突破の副作用)
『限界なんざ越えないために有るんだよ。だから、そんな風になるんだ、阿呆』
そこから先は覚えていないが、激痛と共に意識を失い目を覚ましたら宿で寝かされていた。
そして、宿を飛び出し悔しさに打ち震えていると言う現状だ。そんな彼を目撃して追いかけてきたのが龍太郎というのが、更に哀れな光景だが、それはそれ。
彼に対してどう言葉をかけるか迷っていた龍太郎だが。
『己の無価値さを理解したか?』
そんな二人の目の前に現れたのは風魔だ。何度も殺されかけた相手の出現に慌てる二人だが、
「己の価値を理解してそのまま勇者ごっこで遊んでいろ。彼の邪魔にならない様にな」
何もするな、反抗するな、お前程度の相手をすること自体が無駄だからと言っている風魔の言葉に怒りが湧く。
「寒村の学舎の有名人程度が、既に異世界を2回も救った大英雄に勝てる訳が無いのだからな」
告げられる言葉の意味は分からない。だが、それが本当ならば、あんなに強い力を持っている癖にトータスの人達を救おうともしない。2回も他の世界を救っている癖にトータスの人たちには手を差し伸べもしない身勝手さ。そんな物を許すわけには行かない。
2回も世界を救ったと言っているが、京矢じゃなくて自分ならもっと良い形でその世界を救えてた筈だ。
魔剣目録なんて物も勇者で有る自分が管理すべきだ。あんなに強い武器が他にもたくさん有るなら分け与えていればトータスだって平和になる筈だ。
「価値が示したいのなら使ってみるか?」
そう言って風魔が投げ渡したのは二つのブランクのライドウォッチ。
「それはオレ達の力の源を生み出すための道具だ。資格があるなら力が分け与えられる筈だ」
当て馬でも新しく用意するかと思って目をつけた二人だが、どう転んでも自分に損はないと思いそれを渡したのだが。
『ゾンジス!』
「ほう!」
龍太郎の発言した力は風魔の予想外の物だった。
アナザーではなくオリジナルの力。それも、正史ではバールクスの忠臣の一人となっていたゾンジスの力だ。最高の当て馬が用意出来たと風魔は笑みを浮かべる。
上手く京矢の元に力が渡れば中々に良い結果が出る筈だ。
だが、もう一つ何度も聴こえるスイッチ音に気がついた。
必死な顔をして起動しているのに何時迄も起動しないライドウォッチの姿に呆れてしまう。
ザモナス辺りの力が発動してくれるかと思ったが、そのウォッチの反応に確信した。
オリジナル処かアナザーライダーでさえなる資格が無いと言い放たれている様な物だ。
「うわっ!」
光輝の手の中で爆発して砕け散るウォッチの光景に深くため息を吐く。予想以上の成果の後の予想以下の結果にもはや何も言うことはないとその場を後にする風魔。
英雄処か怪人にさえ否定された光輝の姿を一瞥もせずに。
ハジメに巨大戦力を渡すとしたら?
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