『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝   作:ドラゴンネスト

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最後の部分に加筆を加えました。


011

意識を取り戻した京矢は柔らかな感覚を覚えた。迷宮に落ちて以来久しく感じたことの無いベッドの感覚だ。

 

(あー、そういや、手持ちの道具にそう言うのは無かったよな)

 

安全な別空間を作り出してそこを休憩所に出来る道具は実は京矢のガチャ特典には無かったりする。

いや、正確に言えば無いことはないが一度使うと設置した場所から移動できない為に使い道が無いから使えない。

 

(それにしても、なんでオレはベッドで寝てたんだ?)

 

誰かが運んでくれたと言うのが一番あり得そうな可能性だが、そのあり得そうな可能性を考えると一番恐ろしい。

 

(まあ、南雲達が見つけて運んでくれたんだろう、多分)

 

伸びをしながら周囲を確認するとそこは純白のシーツに天板付きのベッド。どう見ても物凄い高級品である。

暖かな光に満たされた神殿の様な場所に寝かされていたことを疑問に思いながらも現状を確認する為に行動を開始する。

 

 

 

然程時間もかからず同じベッドで寝ていたハジメとユエを見つけて、二人が起きるまで待つかと場所の探索を続ける京矢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いい加減に起きやがれ! この天然エロ吸血姫!』

『!? アババババババアバババ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後、

 

「お、二人とも起きたみたいだな」

 

ハジメの叫びとユエの珍妙な悲鳴を聴きながら、探索の途中で見つけた風呂に入って汗を流して四次元ポケットの中から取り出したコーヒー牛乳を飲みながらそう呟く京矢だった。

 

「南雲、起きたか?」

 

「お前もなんで寛いだんだよ!?」

 

バスローブ姿で顔を出した京矢にツッコミを入れるハジメだった。

 

「ん? 風呂があったから入ってきたからに決まってるだろ? お前ら着替えて汗流してこいよ、ここは安全そうだしな」

 

取り敢えず、そんな京矢の姿に頭を抱えつつも投げ渡された二人分のバスローブを受け取り、勧められた通り風呂に向かうハジメだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、風呂から出たハジメとユエにコーヒー牛乳を勧めつつあれから何があったかを確認した。

ハジメもギャレンキングフォームに変身してヒュドラを倒した後そのまま倒れてしまって意識が無かった為、あまり重要な情報はなかった。

 

なので、ユエ曰くぶっ倒れたハジメの横で魔力枯渇でフラフラのユエか寄り添っていると、突然扉がひとりでに開いたそうだ。

新手かと警戒したもののいつまで待っても何もなく、時間経過で回復したユエが確認しに扉の奥に入った。

 

神水の効果で少しずつ回復はしているがハジメが重傷であることに変わり無く、以前危険な状態であり、強靭な肉体が一命を取り留めているが、極光の毒素がいつ回復力を上回るか分からない。そんな状態で新手が現れたら一巻の終わりだ。その為、確かめずにはいられなかった。

そして、そんな彼女が踏み込んだ先は、

 

「…………反逆者の住処」

 

既に治療が終えられて寝ていた京矢の姿があった事に驚いたが、それで危険がない事を確信したユエは別のベッドルームにハジメを運んで看病していたそうだ。

神水が残り少なくなっていた為、神結晶から最近量が少なくなった神水を摘出して飲ませたりして。

 

京矢については既に治療が終わっていたので手当てを施す必要もなく、また出来る事も無かったそうだ。

 

…………そこで一つ疑問が増えてしまった。京矢をここに運んで治療したのは誰か、と言う。

 

なお、極光の毒素に神水が勝って通常の回復を見せ始めた所でユエも安堵から気が緩み、力尽きてしまったそうだ。

 

その後は先に治療を終えられていた京矢が目を覚まし、改めてこの場所の安全性を確かめる為に探索、その結果治療を終えて力尽きていた二人を発見し、安全を確認できたのでのんびりと風呂で汗を流していたそうだ。

 

「……なるほど、そいつは世話になったな。ありがとな、ユエ」

 

「んっ!」

 

ハジメが感謝の言葉を伝えると、ユエは心底嬉しそうに瞳を輝かせる。無表情ではあるが、その分瞳は雄弁だった。

 

「ところで……オレは何故裸だったんだ?」

 

「いや、オレはナニかしたのかと思ってスルーしてやってたんだけど、違うのか?」

 

命懸けの戦いの後に色々としてたのかと誤解してそっとしておいたのがのんびり風呂に入ってた理由だそうだ。

 

なお、何があったのかは定かではない。妖艶な瞳のユエが何も答えなかったので。

 

「まあ、ちょうどいいんでお前達にも教えとくか。ライダーシステムとかの入手先を」

 

楽しげに笑う京矢の顔に何故今なのかと言う疑問が湧くが、京矢が四次元ポケットの中から取り出したスマホを操作した事で驚きに変わる。

 

突然スマホの中から十個のカプセルが飛び出してきたのだから。

 

その中の二つを手に取ると中には

 

 

 

『エイムズショットライザー+Z-CONバンド』

『シューティングウルフプログライズキー』

 

 

 

 

拳銃型の武器とそれを装着するバックルと何らかのアイテム。

 

「おっ、新しい仮面ライダーの変身アイテムだな。南雲、使うか?」

 

「え!? マジで!? 良いのか!?」

 

「銃ならお前の方が上手いだろ?」

 

そう言って渡された一式をカプセルから取り出すとどうやって入れていたのか分からない大きさの銃とベルトとプログライズキーがハジメの手の中に現れ目を輝かせていた。

 

「理由はわからないけど、オレはこうして色んなものを呼び出せる召喚アプリ見たいな物を持ってるんだよな。武器だけじゃ無くて生き物や、あとは……剪定事象になった平行世界の人間、とかもな」

 

「剪定事象?」

 

転生特典とは言えないのでそう言っておく。

だが、ハジメが気になったのはその言葉だった。

 

「オレもよくわからないけど、オレ達で例えるなら、此処にたどり着けないで死んだオレ達のいた世界みたいなもんで良いだろ?」

 

「説明されてもよく分からないけど、取り敢えず、お前が呼び出せるのは平行世界で死んじまった人間って事で良いのか?」

 

「ああ、そう言うことになる……な?」

 

ふとカプセルの二つを拾うと思わず絶句してしまう京矢。

 

 

 

『クレオン』

『ワイズルー』

 

 

 

 

ガチのヴィランズを引き当ててしまった。

 

「なんだ、そのモンスターみたいなの?」

 

「……ん、見たことない」

 

絶句している京矢を不審に思ったのか、ハジメとユエが彼の手元のカプセルを覗き込んで問いかける。

 

「オレの持ってたガイソーケン、あれが有った世界のヒーローが戦ってたヴィランの幹部」

 

京矢の言葉を聞き危険性を理解したのか、その二つのカプセルは無言のままに隔離しておく。

だが、京矢は知らない……これが彼が大首領と呼ばれることとなる一歩だと言うことに。

 

気を取り直して新たなカプセルを手に取ると、

 

「これは便利そうだな」

 

 

 

 

『魔法のテーブルクロス』

 

 

 

 

魔法陣とナイフとフォーク、箸のような絵が描かれたテーブルクロス。食べたい物を念じれば1日に一回何処からか召喚されるマジックアイテムだ。

異世界、地球のことを知っている京矢達にしてみれば1日に一回は地球の食事に有り付ける。

 

「南雲?」

 

「ああ」

 

一瞬のアイコンタクト、鍋とコンロを四次元ポケットの中から取り出す京矢。そして、二人でテーブルクロスを囲んで心を一つに願う。

 

 

 

『米!』

 

 

 

と。異世界生活で米に飢えていた二人の意思は一致したのだった。

 

テーブルクロスが光り、召喚されるのは俵に入った米。中身を確認して無言のままにハイタッチをする二人。そのテンションについていけないユエは唖然としていたが。

 

取り敢えず、本日の食事は決まった瞬間だった。

 

残りのカプセルの内三つは

何もない空間に挿せば異空間の部屋が出来る『ディメンションルーム』は良いとして、

 

 

 

『薬草』

『ポーション』

 

 

 

単なる回復アイテムだった。まあ、これだけ当たりが続けばこんな物かと思いながら最後の二つのカプセルを手に取ると、

 

 

 

『エンタープライズ(アズールレーン)』

『ベルファスト(アズールレーン)』

 

 

 

 

カプセルの中には女性の絵が描かれた宝石のような物。そこから呼び出せるのはKAN-SENと呼ばれる擬人化された戦艦。少なくともガチのヴィランよりは先に呼び出すべきだろう。

 

もう一回十連は引けるが優先するのはそこではないと、先にすべき事をしてしまおうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呼び出すのは後回しにしてベッドルームから出るとハジメはその光景に圧倒されていた。

まず目に入ったのは太陽だった。当然此処は地下迷宮でありそれは本物ではない。真上には円錐状の物体が天井高く浮かんでおり、その大変に煌々と輝く球体が浮かんでいた。わずかに温かみを感じさせ、蛍光灯のような無機質さを感じない為、思わず太陽と称したのだった。

 

「……夜になると月みたいになる」

 

「マジか……」

 

「そいつは驚きだな……」

 

ユエの言葉にこの隠れ家を作った者の技術の高さに圧倒されてしまう二人だ。

 

「それにしても、お前はどんな相手と戦ったんだ?」

 

「ああ、最強と戦う羽目になった」

 

京矢の言葉の中の最強の名前に疑問を覚えてしまうハジメだったが追求はしなかった。肉体的な欠損はないとは言え京矢が意識を失うほどの相手で、彼が最強などと言うのは想像を絶する化け物なのだろうと思っておくことにした。

 

そんな感じで合流すると一同が次に、注目するのは耳に心地良い水の音。扉の奥のこの部屋はちょっとした球場くらいの大きさがあるのだが、その部屋の奥の壁は一面が滝になっていた。天井近くの壁から大量の水が流れ落ち、川に合流して奥の洞窟へと流れ込んでいく。滝の傍特有のマイナスイオン溢れる清涼な風が心地いい。よく見れば魚も泳いでいるようだ。もしかすると地上の川から魚も一緒に流れ込んでいるのかもしれない。

 

川から少し離れたところには大きな畑もあるようである。今は何も植えられていないようだが……その周囲に広がっているのは、もしかしなくても家畜小屋である。動物の気配はしないのだが、水、魚、肉、野菜と素があれば、ここだけでなんでも自炊できそうだ。緑も豊かで、あちこちに様々な種類の樹が生えている。

 

最後に京矢達は川や畑とは逆方向、ベッドルームに隣接した建築物の方へ歩を勧めた。建築したというより岩壁をそのまま加工して住居にした感じだ。

 

「……少し調べたけど、開かない部屋も多かった……」

 

「そうか……油断せずに行くぞ」

 

「おう」

 

ハジメの言葉に答えて京矢は魔剣目録を開いて一振りの刀を取り出す。

『斬鉄剣』

使い手の技と重なれば切れぬ物のない名刀。その切れ味は魔剣と言っていいだろう。

 

少々乱暴だが、全体を探索しても開かないのなら切ってでも探索すると言う意思で選んだ武器だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡る。

 

京矢から見捨てられた檜山は薄れ行く意識の中でそれを見た。

 

「見つけたよ〜」

 

白い仮面のパーカーの何かが自分の前に現れる。声の感じからして女だろうと檜山は思う。

 

「バールクスの持ち主では無さそうですね」

 

新たに現れた忍者を思わせる奴の声は男だろう。

その後ろには紫の、マゼンタの、オレンジの三人の仮面を着けた奴らがいると思う。

全員が特撮ヒーローみたいな格好をしている事が檜山にそれを死に際の幻覚と誤解させてしまう。

 

「これを助けた所でバールクスへの人質にもなりそうに無いですし、この迷宮の探索も面倒ですし、彼への接触は次の機会にしますか」

 

「残念だね〜。じゃあ、これはどうする?」

 

「要らないでしょう……。いえ、もしかしたら使えるかもしれませんね」

 

忍者のような男の一閃で檜山の視界が揺れ、意識が途切れていく。

 

「彼らへの協力のためにもそれなりの駒は用意してあげないと行けませんからね。テスト素材程度にはなるでしょう」

 

「ああ〜、あれのだね〜?」

 

消える意識の中でそんな会話を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次に意識を取り戻した時、檜山は理解した。

本当の地獄の始まりだったという事に。

 

沢山の視界と様々な情報が彼の中に流し込まれる。体は動かない、それでも情報だけは流れ込んでくる。

分かったのは魔人族の中にそいつらがいる事、

白い仮面の女がダークゴースト

忍者仮面が風魔

その部下らしい仮面の奴らが

紫の仮面が滅

マゼンタの仮面が迅

オレンジの仮面が雷

と言う彼らの呼び名と、自分が奴らの作った人型のロボット兵士達の制御装置にされた事だった。

 

(殺してくれぇ!)

 

機械兵士達の痛みが、苦痛が一斉に流れ込む、逃げようとしても自分の意思では逃げられず痛みと情報だけが檜山には与えられる。

叫ぶ自由だけは与えられていたが、永遠の苦痛から死を懇願しても風魔からは煩いと強制的に苦痛を与えられる。

 

檜山の地獄は此処から始まったのだった。

 

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