『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
ブレイラウザーの一閃をギャレンラウザーで受け止める。
ブレイドとギャレンに変身して出発前に軽く模擬戦をしている京矢とハジメだが、『オンドゥルギッタンディスカ』とかネタを混ぜたブレイドごっこをやってる二人。
ガチの特撮ヒーローに変身して戦えると言うのは流石に嬉しいのだろう、かなりノリノリでギャレンの真似をやっている。
まあ、この時点での実力ではブレイドの方が上なのでそこまでは遊んで居ないが。
暫く打ち合った結果、ブレイラウザーがギャレンラウザーを弾き切っ先を突きつける事でブレイドの勝利となった。
「またオレの負けかよ」
「へっ、オレの方が経験値は上だぜ、簡単に負けるかよ」
ステータスではハジメの方が上だが、変身後も生身でも一度も勝てたことがない。
京矢曰く、過去四度も死線をくぐった経験は伊達では無いそうだ。
「とは言っても、さっきのは結構マズかったな。及第点くらいは行ってても良いんじゃないのか?」
「あれで及第点かよ……」
「そりゃそうだ。ギャレンが倒した相手の中にはトップクラスの強敵も多いだろう」
主に、ピーコックとかギラファとか。それを怯まずに命がけで打ち倒したのだ。
「ホント、天之川がお前に勝てない理由がよく分かるな」
「当たり前だろ、悪いがあいつと本気で試合したらただのイジメだぜ。経験も上、技術も上、おまけに人格も上ってとこだからな」
最後の一つはどうかと思うが、確実に経験も技術も京矢の方が上だろうとハジメは思う。
まあ、日本に居た頃から四度も命懸けの戦いを経験をした京矢に喧嘩売って返り討ちに会った光輝に対しては本物のバカだと評価を改めて居た。
ハジメの中で光輝=性質の悪い疫病神というのが確定した瞬間である。
少なくとも、小悪党の生き残りと龍太郎はその疫病神に取り憑かれてしまったのだから、後は破滅しか残ってない気がする。
(しかも、あいつのせいで全員が戦争に駆り出されて、この世界に呼ばれる原因でも有りそうなんだよな)
光輝がガチの疫病神とハジメの中で確定した瞬間だった。
「それにしても、そのアーティファクトも便利そうだな」
「ああ」
ハジメの手に入れた便利道具、それが『宝物庫』と言うアーティファクトだ。
これはオスカーが保管して居た指輪型アーティファクトで、指輪に取り付けられている一センチ程の赤い宝石の中に創られた空間に物を保存して置けると言うものだ。
京矢の四次元ポケットと同じような物だ。あらゆる装備や道具、素材を片っ端から詰め込んでも、まだまだ余裕がありそうだから、四次元ほどではないが倉庫一つ分程度の大きさではないだろう。
この指輪に刻まれた魔法陣に魔力を流し込むだけで物の出し入れが可能で、半径1メートル以内なら任意の場所に出せるのは、いちいち手を突っ込まなければならない四次元ポケットにはない利点だろう。
「まっ、最悪は四次元ポケットの予備を貸してやろうかと思ったけどな」
どこからか取り出したカウボーイハットとランプを見せながらそう言う京矢に対して、カウボーイハットを被った自分をちょっと想像してハジメは良いかとも思ってしまってもいる。
そんな物凄く便利なアーティファクトなのだが、ハジメにとっては特に、武装の一つとして非常に役に立っている。
と言うのも、任意の場所に任意の物を転送してくれると言う点から、ハジメはリロードに使えないかと思案したのだ。
ライダーの武装は無制限に撃てるが変身しなければ使えず、一々変身しなくても良い場面や、変身できない状況では自分の作った武器を使うしかない。
その思案の結果、半分成功と言った所だ。流石に、直接弾丸を断層に転送する程の精密な操作はできなかった。
弾丸を揃えて一定範囲に規則的に転送するので限界だった。
もっと転送の扱いに習熟すれば、あるいは出来るようになるかもしれないが。
なので、ハジメは空中に転送した弾丸を己の技術によって弾倉に装填できるように鍛練することにした。
要は空中リロードを行おうとしたのだ。
ドンナーはスイングアウト式(シリンダーが左に外れるタイプ)のリボルバーである。当然、中折れ式のシリンダーに比べてシリンダーの露出は少なくなるので、空中リロードは神業的な技術が必要だ。まして、大道芸ではなく実戦で使えなければならないので、更に困難を極める。
最初は中折式に改造しようかとも思ったハジメだが、試しに改造したところ大幅に強度が下がってしまった為に断念した。
結論から言うと一ヶ月間の猛特訓で見事にハジメは空中リロードを会得した。
僅か一ヶ月の特訓で何故神業を会得出来たのか、その秘密は『瞬光』である。瞬光は使用者の知覚能力を引き上げる固有魔法だ。これにより、遅くなった世界で空中リロードが可能になったのである。
瞬光は体への負担が大きいので長時間使用はできないが、リロードに瞬間的に使用する分には問題なかった。
次に、ハジメは『魔力駆動二輪と四輪』を製造した。
京矢から貸してもらって見ていた仮面ライダーシリーズの影響が無いわけではない。変身した後にライダーと名乗るのにバイクが無いのはと考えたから、だけでは無い。
なお、京矢も仮面ライダー用のマシンはガチャで手に入れたものをいくつか持っているが、二人乗りが限界なのでベルファストとエンタープライズとの三人乗りが出来るようにサイドカータイプのバイクを作って貰った。
ライダーマシンの中で唯一のサイドカータイプのサイドバッシャーは持っていないのだ。
さて、魔力駆動二輪と四輪、これは文字通り、魔力を動力とする二輪と四輪である。
二輪の方はアメリカンタイプ、四輪は軍用車両のハマータイプを意識してデザインした。車輪には弾力性抜群のタールザメの革を用い、各パーツはタウル鉱石を基礎に、工房に保管されていたアザンチウム鉱石というオスカーの書物曰く、この世界最高硬度の鉱石で表面をコーティングしてある。
おそらくドンナーの最大出力でも貫けないだろう耐久性だ。エンジンのような複雑な構造のものは一切なく、ハジメ自身の魔力か神結晶の欠片に蓄えられた魔力を直接操作して駆動する。速度は魔力量に比例する。
一度は仮面ライダーのマシンのように変形機能を加えようとしたが、それは京矢から全力で止められた。
ギャレンとブレイドの専用マシンがあるので、ギャレンのを渡す事で満足したと言うのもある。
更に、この2つの魔力駆動車は車底に仕掛けがしてあり、魔力を注いで魔法を起動する地面を錬成し整地することで、ほとんどの悪路を走破することもできる。また、どこぞのスパイのように武装が満載されている。
ハジメも男の子。ミリタリーにはつい熱が入ってしまうのだ。夢中になり過ぎてユエが拗ねてしまい、機嫌を直すのに色々と搾り取られることになったが……。
だが、戦闘力では総合的に京矢からもらったマシンに負けてるのが、ハジメにとっては残念な点であるのは不満な点らしい。
なお、失った片目の代わりになる『魔眼石』と言う物も開発した。
ヒュドラとの戦いで右目を失ったハジメ。極光の熱で眼球の水分が蒸発してしまい、神水を使う前に欠損してしまっていたので治癒しなかったのだ。
それを気にしたユエが考案し、創られたのが魔眼石だ。
京矢の案では目からビームとか打ち出す小型ビーム兵器とか考案されたが即座に却下したハジメだった。
アイディアに心を動かされたが、顔面で、眼球の位置にそんな物は埋め込みたくなかった。
さて、いくら生成魔法でも流石に通常の眼球を創る事はできなかった。
しかし、生成魔法を使い、神結晶に、『魔力感知』『先読』を付与することで通常とは異なる特殊な視界を得る事ができる魔眼を創ることに成功した。
これに義手にも使われている擬似神経の仕組みを取り込むことで、魔眼が捉えた映像を脳に送ることができるようになったのだ。
魔眼では、通常の視界を得ることはできない。その代わりに、魔力の流れや強弱、属性を色で認識できるようになった上、発動した魔法の核が見えるようにもなった。
魔法の核とは、魔法の発動を維持・操作するための物……のようだ。
発動した後の魔法の操作は魔法陣の式によるということは知っていたが、ではその式は遠隔の魔法とどうやってリンクしているのかは考えたこともなかった。
実際、ハジメが利用した書物や教官の教えに、その辺りの話しは一切出てきていない。おそらく、新発見なのではないだろうか。
魔法のエキスパートたるユエも知らなかったことから、その可能性が高い。
なお、それを知った京矢が魔法の核を切れないかと何度か試したが、出来たものの最初から魔法を消す事の出来る剣で切った方が楽だと結論付けた。
通常の〝魔力感知〟では、〝気配感知〟などと同じく、漠然とどれくらいの位置に何体いるかという事しかわからなかった。気配を隠せる魔物に有効といった程度のものだ。しかし、この魔眼により、相手がどんな魔法を、どれくらいの威力で放つかを事前に知ることができる上、発動されても核を撃ち抜くことで魔法を破壊することができるようになった。ただし、核を狙い撃つのは針の穴を通すような精密射撃が必要ではあるが。
神結晶を使用したのは、複数付与が神結晶以外の鉱物では出来なかったからだ。
莫大な魔力を内包できるという性質が原因だとハジメは推測している。
未だ、生成魔法の扱いには未熟の域を出ないので、三つ以上の同時付与は出来なかったが、習熟すれば神結晶のポテンシャルならもっと多くの同時付与が可能となるかもしれない、とハジメは期待している。
なお、この魔眼、神結晶を使用しているだけあって常に薄ぼんやりとではあるが青白い光を放っている。
ハジメの右目は常に光るのである。
こればっかりはどうしようもなかったので仕方なくハジメは薄い黒布を使った眼帯を着けている。
白髪、義手、眼帯、ハジメは完全に厨二キャラとなった。その内、鎮まれ俺の左腕! とか言いそうな姿だ。
鏡で自分の姿を見たハジメが絶望して膝から崩れ落ち四つん這い状態になった挙句、丸一日寝込むことになり、ユエにあの手この手で慰めら……京矢達から呆れた目で見られたのだった。
新兵器について、ヒュドラの極光で破壊された対物ライフル:シュラーゲンも復活した。
アザンチム鉱石を使い強度を増し、バレルの長さも持ち運びの心配がなくなったので三メートルに改良した。
『遠見』の固有魔法を付加させた鉱石を生成し創作したスコープも取り付けられ、最大射程は十キロメートルとなっている。
また、ラプトルの大群に追われた際、手数の足りなさに苦戦したことを思い出し、電磁加速式機関砲:メツェライを開発した。
口径三十ミリ、回転式六砲身で毎分一万二千発という化物だ。
銃身の素材には生成魔法で創作した冷却効果のある鉱石を使っているが、それでも連続で五分しか使用できない。再度使うには十分の冷却期間が必要になる。
さらに、面制圧とハジメの純粋な趣味からロケット&ミサイルランチャー:オルカンも開発した。
長方形の砲身を持ち、後方に十二連式回転弾倉が付いており連射可能。
ロケット弾にも様々な種類がある。
あと、ドンナーの対となるリボルバー式電磁加速銃:シュラークも開発された。
ハジメに義手ができたことで両手が使えるようになったからである。
ハジメの基本戦術はドンナー・シュラークの二丁の電磁加速銃によるガン=カタ(銃による近接格闘術のようなもの)に落ち着いた。
典型的な後衛であるユエとの連携を考慮して接近戦が効率的と考えたからだ。突出した戦力の京矢は遊撃に回るので、連携は完全にユエとの物に限定したのだ。
ハジメは武装すればオールラウンドで動けるのだが。
それから京矢からのライダーシリーズの武装をアーティファクトとして再現した物が幾つも有る。
素材と技術と再現が可能な限り作ったのは半ば暴走気味であったともハジメは自覚している。
時折工房から『ブドウ龍砲』とか聞こえてきたのだからどこまで再現したのかは大体想像できる。
他にも様々な装備・道具を開発した。しかし、装備の充実に反して、神水だけは遂に神結晶が蓄えた魔力を枯渇させたため、試験管型保管容器十二本分でラストになってしまった。京矢がペットボトルに保管した物もあるが其方は別口になる。
枯渇した神結晶に再び魔力を込めてみたのだが、神水は抽出できなかった。
やはり長い年月をかけて濃縮でもしないといけないのかもしれない。
しかし、神結晶を捨てるには勿体無い。
ハジメの命の恩人……ならぬ恩石なのだ。幸運に幸運が重なって、この結晶にたどり着かなければ確実に死んでいた。その為、ハジメには並々ならぬ愛着があった。
それはもう、遭難者が孤独に耐え兼ねて持ち物に顔をペインティングし、名前とか付けちゃって愛でてしまうのと同じくらいに。
そこで、ハジメは、神結晶の膨大な魔力を内包するという特性を利用し、一部を錬成でネックレスやイヤリング、指輪などのアクセサリーに加工した。
そして、それをユエに贈ったのだ。
ユエは強力な魔法を行使できるが、最上級魔法等は魔力消費が激しく、1発で魔力枯渇に追い込まれる。しかし、電池のように外部に魔力をストックしておけば、最上級魔法でも連発出来るし、魔力枯渇で動けなくなるということもなくなる。
元々魔力を使わずに遠距離攻撃にも気を扱う剣士である京矢には縁の無い悩みである。
そう思って、ユエに『魔晶石シリーズ』と名付けたアクセサリー一式を贈ったのだが、そのときのユエの反応は……
「……プロポーズ?」
「なんでやねん」
ユエのぶっ飛んだ第一声に思わず関西弁で突っ込むハジメ。
「おっ、式は地球に帰ってからか?」
「ハジメ様、ご結婚おめでとうございます」
「ああ、結婚おめでとう」
「いや、違えから」
京矢、ベルファスト、エンタープライズと三人揃ってからかわれる始末である。
「それで魔力枯渇を防げるだろ?
今度はきっとユエを守ってくれるだろうと思ってな」
「……やっぱりプロポーズ」
「いや、違ぇから。ただの新装備だから」
「……ハジメ、照れ屋」
「……最近、お前人の話聞かないよな?」
「……ベッドの上でも照れ屋」
「止めてくれます!? そういうのマジで!」
「ハジメ……」
「はぁ~、何だよ?」
「ありがとう……大好き」
「……おう」
本当にもう爆発しちまえよ!と言われそうな雰囲気を醸し出す二人。いろんな意味で準備は万端だった。
そんな二人の様子を呆れと微笑ましさのこもった目で見ている京矢とエンタープライズとベルファスト。
「っと、そうだ」
そこで忘れていた事を思い出した京矢はポケットの中から取り出したそれをハジメへと投げ渡す。
「なんだよ?」
受け取ったのはペンダントの様な物。何故そんな物を自分に渡したのかと言う疑問が湧いてくる。
「オレが昔助けたプレシアって人に改造して貰った神獣鏡のファウストローブをベースにして完成したデバイス仕様のファウストローブだ」
「デバイスって、確か次元世界の魔法の杖みたいなモンだよな?」
「おう、娘さんを生き返らせる代わりに研究と改造を頼んだんだ」
サラリと死者蘇生ができる事を言ってくれた、この友人にリアクションに困るハジメだった。
「条件付きだけど魔剣目録の中には死を切れる刀もあるんだよ。で、このタイム風呂敷で条件の一年以内の状態に戻した後にな」
そう言ってポケットの中から風呂敷を取り出す京矢。ガチャの中には某猫型ロボットの道具もいくつかある。今回のタイムふろしき自体は使い捨てな上に生き返らせることは出来なかったが、その刀の一年以内と言う制限まで戻す事には成功した。
ガイソーグの姿で生き返らせたアリシアを連れて行って手に入れていたファウストローブをデバイスに改造する様に頼んだわけだ。
なお、リインフォースとの別れの時にプレシアとアリシアも二人の希望でフェイトの前に連れて行ってもいる。
これでファウストローブのデータが管理局に渡ったと言う不安はあるが司法取引の材料にでもなれば家族で暮らす事な助けになれば良いと軽く考えているのが問題だが。
「それで、なんでオレにこれを渡したんだ?」
「白崎に会った時にお前に同行するって言ったら渡してやれ、力が無けりゃ足手纏いになるだろうしな」
元々京矢は雫に香織のフォローも頼まれていたのだ。
今までは流石に光輝という超特大の邪魔が入る為にハジメを毎回助けていたのだが、今回は本気で手助けする事にした。
旅に同行するために必要な力が有れば同行も問題ないだろう。神水と言う回復手段も限りがあるのだ、回復役の動向はいずれは必須になるし、その回復役に戦闘手段があれば文句はでない筈だ。
そんな京矢の言葉に怪訝な表情を浮かべながらもそれを宝物庫へと保管するハジメだった。
そんな感じでプロポーズの下りから十日後、遂に五人は地上へ出る。
三階の魔法陣を起動させながら、京矢達はそこにいた。
京矢達三人はオスカーの衣服や魔物の素材で仕立てた服に着替えている。
黒いコートの内側に四次元ポケットをセットして、黒のジーパンとベルトには斬鉄剣、背中には新たに用意したテンコマンドメンツを背中に背負っている。
この世界では其方の方が剣だと分かりやすいだろうと言う判断からだ。
なお、気分によって鎧の魔剣と時折入れ替えようと思っている。
そんなことを思い出しながら、京矢はハジメ達に静かな声で告げる。
「お前ら……オレ達の武器や力は、地上では異端だ。聖教教会や各国が黙っているということはないだろう」
「ああ」
「ん……」
「兵器類やアーティファクトを要求されたり、戦争参加を強制される可能性も極めて大きい」
「はい」
「分かっている」
「教会や国だけならまだしも、バックの神を自称する狂人共も敵対するかもしねえ」
「ん……」
「世界を敵にまわすかもしれないヤバイ旅だ。命がいくつあっても足りないぐらいな」
「何を今更」
「今更……」
「失礼ですが、京矢様は既にその程度の事は経験しているのではないでしょうか?」
ハジメ達の言葉に思わず苦笑いする京矢。確かに愚問だったと思う。
「悪とは言わねえ、敵・即・斬だ。敵を相手するときは切る。そして、互いが互いを守り、それでオレ達は最強だ。全部なぎ倒して、世界を越えようぜ」
「忠義を尽くそう司令官」
「畏まりました、京矢様」
「ああ!」
「……ん」
四人の返事を聴き、
「よっしゃ! 行くぜ!」
高らかにそう宣言する。