『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
時はわずかに遡る。
ガイソーグの姿に変身して見せた京矢はポケットの中から出したそれに声をかける。
「行くぜ、ディノミーゴ」
「任せろディノ!」
なお、元々自我は無かったディノミーゴも何時の間にか京矢達と過ごす内に自我を得て居たりする。
余談だが何気にディノミーゴ、地球に帰還後の魔法騎士達、特に獅堂光には気に入られて居たりする。
巨大化したディノミーゴとその相棒の二体の騎士竜コブラーゴ達が飛び跳ね、
「騎士竜合体!」
ガイソーグの掛け声と共にディノミーゴにコブラーゴとナイトモードのビュービューソウルが合体する事で
「完成、キシリュウジン!」
ハジメ達の前に降り立つトータスにおける初の巨大ロボ、その名はキシリュウジン。
渓谷の入り口で帝国の皆さんが混乱に陥っている真っ最中である。
「うおおおおおおおおおおおお! まじで巨大ロボじゃねえかよぉ! しかも、胸にティラノサウルスってカッコ良すぎるじゃねえか!」
巨大ロボは漢の浪漫。そんな巨大ロボを目の前にしてハジメは大興奮である。
なお、ユエさんはキシリュウジンを前に呆然として居た。
「おう! ちょっと離れててくれよ」
キシリュウジンから聞こえる京矢の声に従って何事かと思って少し離れると、京矢も大迷宮の出口からキシリュウジンを少し離す。
そして、両手に剣を構えてその剣を振り回して型を見せる。
「おぉ……」
目の前で巨大ロボがアクションシーンを見せてくれている。まさに言葉も出ないほどの喜びだった。
なお、
一方、入り口で陣取っている帝国兵の皆さん。
「巨人が剣を取り出したぞ!?」
「剣を振っているだと!?」
既に彼等にしてみれば攻城兵器のような剣を二本も振り回しているキシリュウジンにビビりまくりである。
「何をやってるんだ?」
「あれ、剣の素振りとかじゃないか?」
「巨人の騎士だ……」
「剣の訓練をしているのか、あれは……」
「そう言えば訓練しているように見えるよな、あれ」
間違いなく人間に匹敵する知性がある巨大な巨人に勝手に恐怖する一同。
「誰かこの事を伝えて来い、巨人は武芸も会得しているとぉ!!!」
「は、はいっ!」
取り敢えず、巨人の新情報を急いで連絡させたのだった。
人知を超えた巨人が高い技術力と武芸を持っている。最早知性が有るのは疑いはない。
慌てて巨人の動向を伝える為に伝令を走らせる。
キシリュウジンに手伝って貰えば簡単に渓谷を乗り越える事もできるが……巨大ロボの掌の上に乗ると言うシュチエーションは是非とも体験してみたいが、どうするかと思案するハジメ。
「折角だから道なりに進んで行くか?」
「悪くないな」
ライセン大峡谷と言えば、七大迷宮があると考えられている場所だ。せっかくだし、樹海側に向けて探索でもしながら進むかと考える。
キシリュウジンの巨体なら勝手に魔物も逃げて行くだろう。掌の上に乗って歩いてもらうのも悪くない。
「まさか、テレビの中で見たシュチエーションを自分で体験する機会が訪れるなんてな……」
「……なぜ、樹海側?」
「いや、峡谷抜けて、いきなり砂漠横断とか嫌だろ? 樹海側なら、町にも近そうだし」
「……確かに」
「砂漠横断よりも補給しやすい樹海側の方が良さそうだな」
なお、京矢は終始キシリュウジンの中からの会話で有る。帝国の皆さんには声は届いてないようだが。
キシリュウジンの掌に乗せて貰おうと思った時、崖の向こうから大型の魔物……キシリュウジンに比べれば全然小さいが……が現れた。
双頭のティラノサウルスの様な魔物だ。
だが、真に注目すべきは双頭ティラノではなく、その足元をぴょんぴょんと跳ね回りながら半泣きで逃げ惑うウサミミを生やした少女だろう。
ハジメ達は胡乱な眼差しで今にも喰われそうなウサミミ少女を見やる。
「……何だあれ?」
「……兎人族?」
「なんでこんなトコに? 兎人族って連中はこんな谷底が住処なのか?」
「……聞いたことない」
「なら、あれは犯罪者として落とされたのか? 処刑の方法としてあったよな?」
「……悪ウサギ?」
「でしたら関わらない方が宜しいのでは無いでしょうか?」
京矢達は首を傾げながら、逃げ惑うウサミミ少女を尻目に呑気にお喋りに興じる。助けるという発想はないらしい。
別にライセン大峡谷が処刑方法の1つとして使用されていることからウサミミ少女が犯罪者であることを考慮したわけではない。
赤の他人である以上、単純に面倒だし興味がなかっただけである。
相変わらずの変心ぶり、鬼畜ぶりだった。
ユエの時とは訳が違う。ウサミミ少女にシンパシーなど感じていないし、メリットが見当たらない以上ハジメの心には届かない。
助けを求める声に毎度反応などしていたらキリがないのである。ハジメとユエは既に、この世界自体見捨てているのだから今更だ。
エンタープライズとベルファストは相手が犯罪者なのだから仕方ないと、見捨てている。
京矢は下手に犯罪者を助けても危険なだけと結論づけていた。
京矢達もこんな場所に落とされる重罪を犯した相手を助けるのには流石に躊躇するという事なのだろう。
しかし、そんな呑気な一同をウサミミ少女の方が発見したらしい。
双頭ティラノに吹き飛ばされ岩陰に落ちたあと、四つん這いになりながらほうほうのていで逃げ出し、その格好のままハジメ達を凝視している。
そして、再び双頭ティラノが爪を振い隠れた岩ごと吹き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がると、その勢いを殺さず猛然と逃げ出した。……ハジメ達の方へ。
その瞬間、双頭ティラノが硬直した。キシリュウジンを見てしまったのだ。
自分を見下ろす巨大な影、魔物の本能が警鐘を鳴らし、素直にそれに従って踵を返す。
目の前の餌より自分の命。全力で踵を返して逃げ出して行く。
「だずげでぐだざ~い! ひっーー、死んじゃう! 死んじゃうよぉ! だずけてぇ~、おねがいじますぅ~!」
滂沱の涙を流し顔をぐしゃぐしゃにして必死に駆けてくる。
既に双頭ティラノはキシリュウジンを見て逃げ出していることも気付かずに。目の前にいる巨大なキシリュウジンにも気付かずに。
「うわ、モンスタートレインだよ。勘弁しろよな」
「……迷惑」
「ってか、もう逃げてるぞ、そのモンスター」
一度キョウリュウジンから降りた京矢も合流して三人揃って呆れた声を上げる。揃いも揃って物凄く迷惑そうだった。
そして、京矢の言葉を聞いて立ち止まると必死に逃げている双頭ティラノの後ろ姿しか見えなかった。
何が有ったのかと疑問に思うウサミミ少女。くるっとハジメ達の方に視線を向ける。
ガイソーグの鎧姿の京矢とハジメとユエとエンタープライズとベルファスト。其処までは良い。
視線の先には、彼等の後ろには紫の壁があった。ユックリと壁を見上げて行くと、
片膝をついて自分を見下ろしている完全武装の巨人がいた。
そして、ウサミミ少女は悟った。双頭ティラノはこの巨人から逃げ出したのだと。
「きゃぁああああー! た、助けてくださ~い!」
眼下のハジメに向かって手を伸ばすウサミミ少女。
その格好はボロボロで女の子としては見えてはいけない場所が盛大に見えてしまっている。
たとえ酷い泣き顔でも男なら迷いなく受け止める場面だ。
「アホか、図々しい」
しかし、そこはハジメクオリティー。
横に避けると華麗にウサミミ少女を避けた。
「えぇー!?」
ウサミミ少女は驚愕の悲鳴を上げながらハジメの眼前の地面にベシャと音を立てながら落ちた。
両手両足を広げうつ伏せのままピクピクと痙攣している。気は失っていないが痛みを堪えて動けないようだ。
「……面白い」
「……いや、それはちょっと酷いだろう」
ユエがウサミミ少女の醜態を見て、さらりと酷い感想を述べる。
それを見て、さすがに京矢もウサミミ少女に同情した。
視界に見下ろしているキシリュウジンの目が入るとウサミミ少女が跳ね起きた。
意外に頑丈というか、しぶとい。あたふたと立ち上がったウサミミ少女は、再び涙目になりながら、これまた意外に素早い動きでハジメの後ろに隠れる。
あくまでハジメに頼る気のようだ。
「おい、こら。存在がギャグみたいなウサミミ! 何勝手に盾にしてやがる。ってか、キシリュウジンはオレたちの味方だ!」
ハジメのコートの裾をギュッと掴み、絶対に離しません!としがみつくウサミミ少女を心底ウザったそうに睨むハジメ。
ってか、キシリュウジンを敵だと勘違いしているがキシリュウジンは味方だし、別にウサミミ少女をとって食ったりはしない。
序でにユエが、離せというように足先で小突いている。
そんなコントみたいな姿を京矢は呑気に眺めていた。
もう既に助かっているのだから、ここで放り出しても問題はない。
あとで別の魔物に喰われる可能性もあるが。