『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝   作:ドラゴンネスト

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「イタッ! い、いやです! イタッ! 今、離したら見捨てるつもりですよね! イタッ!」

 

「当たり前だろう? なぜ、見ず知らずウザウサギを助けなきゃならないんだ」

 

「そ、即答!? イタッ! 何が当たり前ですか! イタッ! あなたにも善意の心はありますでしょう! イタッ! いたいけな美少女を見捨てて良心は痛まないんですか! イタッ!」

 

「そんなもん奈落の底に置いてきたわ。つぅか自分で美少女言うなよ」

 

「な、なら助けてくれたら……イタッ! ……そ、その貴方のお願いを、イタッ! な、何でも一つ聞きますよ? って、さっきからゲシゲシ蹴りすぎです! イタッ!」

 

頬を染めて上目遣いで迫るウサミミ少女。

あざとい、実にあざとい仕草だ。涙とか鼻水とかで汚れてなければ、さぞ魅力的だっただろう。

実際に、近くで見れば汚れてはいるものの自分で美少女と言うだけあって、かなり整った容姿をしているようだ。白髪碧眼の美少女である。並みの男なら、例え汚れていても堕ちたかもしれない。

 

だが、目の前にいるハジメは普通ではなかった。

 

「いらねぇよ。ていうか汚い顔近づけるな、汚れるだろが」

 

どこまでも行く鬼畜道。

 

「き、汚い!? イタッ! 言うにことかいて汚い! イタッ! あんまりです! イタッ! 断固抗議します!」

 

「おい、鳳凰寺、なんとかしてくれ」

 

「悪い、関わり合いになったのが運の尽きだろうな」

 

ハジメから助けを求められた京矢は頭を抱えながらそう返す。

要するに話くらいは聞かないと離れてくれないという事だろう。

ユエが、イラッときたのかウサミミ少女を蹴り飛ばそうとゲシゲシ蹴りをかますが、ウサミミ少女は頬に靴跡を刻まれながら「絶対に離しませぇ~ん!」と死に物狂いでしがみつき引き離せない。

 

「ここで離したら、ダイヘドアが逃げるような巨人に食べられちゃうじゃないですか~ぁ!」

 

「いや、食べないから安心しろよ。…………食べないよな?」

 

「食べないぜ」

 

言い切ったところで疑問に思って京矢に問いかけると片膝ついて見下ろしているキシリュウジンもそうだと言うように頷いている。

序でに、どうでも良いがあの双頭ティラノはダイヘドアと言うらしい。

 

食べないんですかと安堵しているウサミミ少女だが、ユエに引っ張られ、ハジメにしがみついたままである。

さっきから、長いウサミミがハジメの目をペシペシと叩いており、いい加減本気で鬱陶しくなったハジメは脇の下の脳天に肘鉄を打ち下ろした。

 

「へぶぅ!!」

 

呻き声を上げ、「頭がぁ~、頭がぁ~」と叫びながら両手で頭を抱えて地面をのたうち回るウサミミ少女。

それを冷たく一瞥した後、ハジメは何事もなかったように京矢達に向き直り「行こうぜ」と先へ進もうとする。

 

その気配を察したのか、今までゴロゴロ地面を転がっていたくせに物凄い勢いで跳ね起きて、「逃がすかぁ~!」と再びハジメの腰にしがみつくウサミミ少女。やはり、なかなかの打たれ強さだ。

 

「先程は助けて頂きありがとうございました! 私は兎人族ハウリアの1人、シアといいますです! 取り敢えず私の仲間も助けてください!」

 

そして、このウサミミ少女、なかなかに図太かった。

 

ハジメは、しがみついて離れないウサミミ少女を横目に見る。

そして、奈落から脱出して早々に舞い込んだ面倒事にずっと我関せずと眺めて居た京矢とともに深い溜息を吐くのだった。

 

「私の家族も助けて下さい!」

 

峡谷にウサミミ少女改め『シア・ハウリア』の声が響く。

どうやら、このウサギ1人ではないらしい。仲間も同じ様な窮地にあるようだ。

よほど必死なのか、先程から相当強くユエに蹴りを食らっているのだが、頬に靴をめり込ませながらも離す気配がない。

 

「指揮官、引き離した上で縛り上げた方が良いんじゃないか?」

 

「まっ、最悪の場合はそうするかな」

 

エンタープライズからの提案にちょっと同意したくなった京矢だった。

 

それなりに先を急ぐ旅でもあるし余計な寄り道は避けたい所だ。

京矢とエンタープライズの物騒な思考の中での比較的穏やかな発想にベルファストが何処からともなく「ご入用ですか?」と鎖を取り出している。

 

そんな京矢達を他所にあまりに必死に懇願するので、ハジメは仕方なく……『纏雷』をしてやった。

 

「アババババババババババアバババ!?」

 

電圧と電流は調整してあるので死にはしないが、しばらく動けなくなるくらいの威力はある。

シアのウサミミがピンッと立ちウサ毛がゾワッと逆だっている。“纏雷”を解除してやると、ビクンッビクンッと痙攣しながらズルズルと崩れ落ちた。

 

「よし、仕上げに縛り上げとくか」

 

「ああ、頼んだ。全く、非常識なウザウサギだ。ユエ、京矢が縛ったら行くぞ?」

 

「ん……」

 

「……おう」

 

ベルファストから受け取った鎖を手にとってシアを簀巻きにしようとする姿をハジメは冷めた目で見ていた。

 

しかし……

 

「に、にがじませんよ~」

 

「うおっ!」

 

ゾンビの如く起き上がり素早くハジメの脚にしがみつくシア。流石に驚愕した京矢は何も反応できなかった。

 

「お、お前、ゾンビみたいな奴だな。それなりの威力出したんだが……何で動けるんだよ? つーか、ちょっと怖ぇんだけど……」

 

「気色悪いな」

 

「……不気味」

 

「うぅ~何ですか! その物言いは! さっきから、肘鉄とか足蹴とか、ちょっと酷すぎると思います! そちらの殿方も仕上げに縛り上げようとするとか! 断固抗議しますよ! お詫びに家族を助けて下さい!」

 

ぷんすかと怒りながら、さらりと要求を突きつけるシア。

案外余裕そうである。このまま引き摺っていこうかとも考えたハジメだが、何か執念で何処までもしがみついてきそうだと思い直す。

血まみれで引きずられたまま決して離さないウサミミ少女……完全にホラーである。

 

「はぁ。もう話を聞くしかなさそうだぜ」

 

「ったく、何なんだよ。取り敢えず話聞いてやるから離せ。ってさり気なく俺の外套で顔を拭くな!」

 

最早京矢から話を聞くしかないと言われ仕方ないとばかりに頭を抱えながらそういうハジメ。

話を聞いてやると言われパアァと笑顔になったシアは、これまたさり気なくハジメの外套で汚れた顔を綺麗に拭った。本当にいい性格をしている。

イラッと来たハジメが再び肘鉄を食らわせると「はぎゅん!」と奇怪な悲鳴を上げ蹲った。

 

「ま、また殴りましたね! 父様にも殴られたことないのに! よく私のような美少女を、そうポンポンと……もしや殿方同士の恋愛にご興味が……だから先も私の誘惑をあっさりと拒否したんですね! きっとそちらの殿方とッゲフンッ!?」

 

何やら不穏当な発言が遮られシアの姿が消える。ゆっくりとハジメが視線を上に向けるとキシリュウジンに捕獲されて持ち上げられたシアが居た。

 

「おーい、そのままなるべく遠くに投げ捨ててくれ」

 

そこには、額に#マークを浮かばせた京矢が笑顔でキシリュウジンに指示を出していた。流石に京矢も同性愛者と思われるのは心外のようだ。そんな京矢の雰囲気を見て、ハジメとユエは思った。

 

((……うん、こいつだけは怒らせないようにしよう……))

 

こんな風に不自由に空高く舞い上がりたくはない。

 

「誰がホモだ、ウザウサギ。っていうか何でそのネタ知ってんだよ。どっから仕入れてくるんだ…? まぁ、それは取り敢えず置いておくとして、お前の誘惑だがギャグだが知らんが、誘いに乗らないのは、お前より遥かにレベルの高い美少女がすぐ隣にいるからだ。ユエを見て堂々と誘惑できるお前の神経がわからん」

 

そう言ってハジメはチラリと隣のユエを見る。ユエはハジメの言葉に赤く染まった頬を両手で挟み、体をくねらせてイヤンイヤンしていた。腰辺りまで伸びたゆるふわの金髪が太陽の光に反射してキラキラと輝き、ビスクドールの様に整った容姿が今は照れでほんのり赤く染まっていて、見る者を例外なく虜にする魅力を放っている。

 

「こっちはこっちで美女が二人もいるしな」

 

京矢から美女と言われて顔を赤くするエンタープライズとありがとうございますと一礼するベルファスト。

 

そんな可憐なユエと美しいエンタープライズとベルファストを見て、「うっ」と僅かに怯むシア。

しかし、ハジメには身内補正が掛かっていることもあり、ユエと二人の容姿に関しては多分に主観的要素が入り込んでいる。

そういうことに関して客観的に見ている京矢に言わせたら、シアも負けず劣らずの美少女というだろう。

 

少し青みがかったロングストレートの白髪に、蒼穹の瞳。眉やまつ毛まで白く、肌の白さとも相まって黙っていれば神秘的な容姿とも言えるだろう。

手足もスラリと長く、ウサミミやウサ尻尾がふりふりと揺れる様は何とも愛らしい。ケモナー達が見れば感動して思わず滂沱の涙を流すに違いない。

何より……ユエにはないものがある。そう、シアはベルファストにも負けない大変な巨乳の持ち主だった。

ボロボロの布切れのような物を纏っているだけなので殊更強調されてしまっているその凶器は、固定もされていないのだろう。

彼女が動くたびにぶるんぶるんと揺れ、激しく自己を主張している。ぷるんぷるんではなくぶるんぶるんだ。念の為。

 

要するに、彼女が自分の容姿やスタイルに自信を持っていても何らおかしくないのである。

むしろ、普通にウザそうにしているハジメが異常なのだ。変心前なら「ウサミミー!!」とル○ンダイブを決めたかもしれないが……。

 

なお、十分に枯れていない京矢にしても、身内には直葉にマリアにセレナ、セフィーロでの旅やら管理局、更にはバイト先でも美女美少女と関わる事が多かったので慣れて居るという訳だ。

 

それ故に、矜持を傷つけられたシアは言ってしまった。言ってはならない言葉を……

 

「で、でも! そちらの二人は兎も角、胸なら私が勝ってます! そっち女の子はペッタンコじゃないですか!」

 

〝ペッタンコじゃないですか〟〝ペッタンコじゃないですか〟〝ペッタンコじゃないですか〟

 

峡谷に命知らずなウサミミ少女の叫びが木霊こだまする。

恥ずかしげに身をくねらせていたユエがピタリと止まり、前髪で表情を隠したままユラリとシアに近づいていく。

 

ハジメは「あ~あ」と天を仰ぎ、無言で合掌する。

京矢も静かに黙祷していた。ウサミミ少女、安らかに眠れ……。と。

ベルファストとエンタープライズも「あ〜あ」と言う表情だ。

 

ちなみに、ユエは着痩せするが、それなりにあるらしい。断じてライセン大峡谷の如く絶壁ではない。

ベルファストの事を親の仇のように睨んだ事は有ったが。

 

震えるシアのウサミミに、囁くようなユエの声がやけに明瞭に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

―――― ……お祈りは済ませた? 

―――― ……謝ったら許してくれたり

―――― ………… 

―――― 死にたくなぁい! 死にたくなぁい! 

 

 

 

 

 

「『嵐帝』」

 

 

 

 

 

 

―――― アッーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「世の中には命知らずな奴もいたもんだな……」

 

悲鳴をBGMに京矢の静かな言葉がやたらとハッキリ響くのだった。

 

 

 

 

 

突如発生した竜巻に巻き上げられ錐揉みしながら天に打ち上げられるシア。

彼女の悲鳴が峡谷に木霊し、きっかり十秒後、グシャ!という音と共にハジメ達の眼前に墜落した。

 

まるで犬○家のあの人のように頭部を地面に埋もれさせビクンッビクンッと痙攣している。

完全にギャグだった。その神秘的な容姿とは相反する途轍もなく残念な少女である。ただでさえボロボロの衣服?が更にダメージを受けて、もはやただのゴミのようだ。

逆さまなので見えてはいけないものも丸見えである。百年の恋も覚める姿とはこの事だろう。

 

ユエは「いい仕事した!」と言う様に、掻いてもいない汗を拭うフリをするとトコトコとハジメの下へ戻り、その辺の石に腰掛けるハジメを下からジッと見上げた。

 

「……おっきい方が好き?」

 

実に困った質問だった。ハジメとしては「YES!」と答えたい所だったが、それを言えば未だ前方で痙攣している残念ウサギと仲良く犬○家である。それは勘弁して欲しかった。

 

「……ユエ、大きさの問題じゃあない。相手が誰か、それが一番重要だ」

 

「……」

 

「オレは巨乳派だけどな」

 

だが、何一つ空気を読まないように呟かれた京矢の言葉に反応してユエが放った魔法を彼はテン・コマンドメンツの封印の剣(ルーン・セイヴ)で消し去るのだった。

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