『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
先ずはハウリア族を隠す為に用意したのは最近ガチャで手に入れたディメンションルームだ。『ガチャを回して仲間を増やす 最強の美少女軍団を作り上げろ』に登場するアイテムでかなりの広さの部屋を用意できるドアノブの様なアイテムだ。
念の為に彼らには其処に一時避難をしていてもらう。こんなところに隠れているなど夢にも思わないだろう。
念の為にエンタープライズにも護衛として着いていてもらう。
「それで、何をする気なんだ?」
「上の帝国の兵士にハウリア族は魔物に襲われて全滅したって伝える。そうすりゃ、帰るだろ?」
テン・コマンドメンツから鎧の魔剣へと取り替え、街に着いたら売れるかと回収しておいたハイベリアの翼を手に取りハジメの言葉にそう答える。
相手が兵士である以上、幾ら何でも目的が果たせなくなれば帰るしか無いだろう。余程暇でもなければこんな所で永遠と野宿を続けたくは無い筈だ。
魔物に食われて全滅したと伝えれば引き上げるか確認の為に谷底の探索を行うだろう。
引き上げてくれるなら良し、探索を行うにしてもその隙にハウリア族を連れて逃げれば良しと言うわけだ。
「で、それを伝えた結果、変な要求をしてきたらどうする気だ?」
「そんな時は斬るしかねえだろ?」
ハジメの問いに京矢が答えるとそれもそうだと、ハジメもまた言葉を返す。
飽くまで京矢は助かる機会だけは与えるが、それを活かすか無駄にするかは当人達次第。目的が無くなって大人しく帰るのならば背中から襲う真似はしない。
「序でに、そんな状況で敵対しようなんて考えてるなら、こっちも心が痛まずに済むからな」
三つ目の可能性については敵対するだろうが、その場合もこっちの精神的負担が少なくて済むと言う利点もある。
盗賊を殺した所で痛む良心などないのと同じ事だ。
「京矢様、お一人では危険ではないですか?」
「いや、寧ろお一人の方が安全だとは思うんだけどな」
ベルファストやユエを連れいっては向こうに余計な欲を湧かせる危険がある。そう主張したのだがベルファストは着いてくると言われてしまった。
まあ、そこは南雲と二人で行く事で納得してもらったのだが、
そんな会話の後に階段を上ると、予想に反した光景が広がっていた。
「「はぁ?」」
そこに居るのは妙にやる気のなさそうな4~5人程度の兵士達。野営の跡からそれなりの人数がいた形跡はあるのだが……
「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~こりゃあ、いい土産ができそうだ」
「しかし、隊長達もビビりすぎだって、もう巨人もいなくなっただろうにな」
野営跡が残っている事からもっと大人数がそこにいたことが伺える。
全員がカーキ色の軍服らしき衣服を纏っており、ヤル気なさ気に先程まで剣や槍、盾等の武装を地面に置いて支給されていた酒でも飲んでいた様子だった。
そんな兵士の一人が京矢達を見るなり驚いた表情を見せた。
それに同意して笑って居る残りの兵士達。それで二人は納得した、ここにいた兵士達の大半はキシリュウジンを見て危機感を覚えて逃げ出したのだろう。(正確には報告かもしれないが)
だが、残された兵士達は階段を登ってきた京矢とハジメを見て怪訝な表情を浮かべる。
「あぁ? お前達は誰だ? 兎人族……じゃあねぇし、冒険者か?」
「一応、冒険者にはなるかな、オレ達は。師匠に修行だって言われて渓谷の中に放り出されて、やっと言われた期限が過ぎて出られたんだよ」
「こんな所でか?」
「ああ、何度死ぬかと思った事か」
内心で京矢の言葉に『嘘つけ』と思うハジメであった。
奈落の魔物でさえ圧倒していたバールクスの力で大半は楽勝で進んで来たお前が死ぬかと思う状況ってなんだよ、とも。
……複製RXの時以外死ぬ気になっていないだろう、と。
「な、なるほど……それは災難だったな」
案の定兵士達も引き攣った顔で驚愕する様な、同情する様な目で二人を見ている。
「おい、ライセン峡谷で兎人族や巨人を見なかったか?」
「ああ。巨人を見て慌てて隠れたけど、幻か何かみたいに消えて行ったな。それから、巨人の消えたところに行って見たけど、魔物の死体と……巨人に踏み潰された魔物に食いちぎられた死体しか無かったな」
「ちっ、そうなったか」
「ああ、特徴的な耳の生えた死体とか有ったし、間違いないだろう、魔物に襲われて全滅した挙句巨人に踏み潰されたんじゃ無いか?」
「チッ、魔物の餌になるくらいなら大人しく捕まればいいものを」
吐き捨てる様に言う兵士に怒りを覚えるがそこは表に出さず会話を続ける京矢。
「どうする?」
「どうするも何も、兎人族が死んでるなら撤収するしか無いだろう?」
「そうだよな、何時迄もこんな所に居られないしな」
「兎人族が戻って来たら撤収して良いって言われてたしな」
ヤル気の無さそうな兵士達の会話も撤収する様子なので撤収するなら後ろから襲いはしない。だが、不幸にも、
「でも、怒られないか?」
「何かしらの収穫は必要だよな」
不幸にも彼らは自分の前に下がっていた生存への希望を自らの手で振り払ってしまった。
「所で後ろにいるのはお前達の連れか?」
兵士の一人の言葉に後ろを振り向くと此方の様子を伺って居たベルファストとユエが見つかった様だ。
「丁度いい、そこの女達は帝国が引き取るから置いていけ」
「お前、随分と良い剣を持ってるな、それも……」
兵士が言い切る前に鎧の魔剣を振るい、先頭の兵士の顔面にフルスイングで叩きつける。
「ガッ!」
「残念ながら、盗賊と対して変わらない連中みたいだな」
「そうなるな」
だからこそ最後まで残されたのかは知らないが、もはや情けをかけてやる必要がない連中だと言うのは確信できた。
此処にベルファストやユエを連れて来ていたら置いていけとでも言っていただろう。
「てめぇ等、オレ達に逆らってタダで済むと思ってるのか?」
「はっ? タダの兵士崩れの盗賊だろ? 寧ろ、帝国から感謝されるんじゃねえか? 帝国の名を騙る盗賊を退治してくれてありがとう、ってな」
額に青筋を浮かべながら怒りを露わにする兵士達を笑みを浮かべながら挑発する京矢。
ゆっくりと鎧の魔剣を構えて、
「
キーワードを告げる。
それによって巨大な大剣であった鎧の魔剣が京矢の全身を包むフルアーマーの鎧へと変わる。
「ほぉ〜、その剣はアーティファクトだったか? その剣もありがたくいただいてやる。そっちの嬢ちゃん達をてめぇ等の四肢を切り落とした後、目の前で犯して、奴隷商に売っぱらってやるよ」
「つまり」
「敵って事だ」
「あぁ!? まだ状況が理解できてねぇのか! てめぇ等は、震えながら許しをこッ!?」
ドパンッ!!
想像した通りに京矢達が怯えないことに苛立ちを表にして怒鳴る兵士だったが、その言葉が最後まで言い切られることはなかった。
なぜなら、一発の破裂音と共に、その頭部が砕け散ったからだ。眉間に大穴を開けながら後頭部から脳髄を飛び散らせ、そのまま後ろに弾かれる様に倒れる。
斬ッ!!!
何が起きたのかも分からず、呆然と倒れた小隊長を見る兵士たちに追い打ちが掛けられた。
一瞬で距離を詰めた京矢の一閃によって兵士の一人の体が袈裟斬りに斬り捨てられていた。それを成した彼の全身を包み鎧の兜の飾りが消えて京矢の手にはその代わりに一振りの剣が握られて居た。
「人に使うのは気がひけるけど、これが大地斬か」
倒れた兵士を一瞥しつつ京矢は己の手の中の剣を何度か握り直し、先程の技の感覚を忘れない様にする。
剣身一体のスキルで以前の使用者であるヒュンケルの技術、アバン流の技を引き出し、その技を自分の物にできるかと何度か試したが、実践で使うのが矢張り習得の近道だろう。
突然、仲間の頭部が弾け飛び、仲間の体が一太刀で二つに切り裂かれるという異常事態に残された兵士たちが半ばパニックになりながら唖然としている。
この状況に最後まで残されたのは、この辺の不真面目さも原因なのだろう。人格面でも真面目さでも失っても惜しくないと判断されて捨てられた者達。
そんな彼らに同情したくはなるが情けはかける気はない。