『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝   作:ドラゴンネスト

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七大迷宮の一つにして、深部に亜人族の国フェアベルゲンを抱える【ハルツィナ樹海】を前方に見据えて、ハジメと京矢が魔力駆動二輪で牽引する大型馬車二台と数十頭の馬が、それなりに早いペースで平原を進んでいた。

 

二輪には、ハジメ以外にも前にユエが、後ろにシアが乗っている。当初、シアには馬車に乗るように言ったのだが、断固として二輪に乗る旨を主張し言う事を聞かなかった。ユエが何度叩き落としても、ゾンビのように起き上がりヒシッとしがみつくので、遂にユエの方が根負けしたという事情があったりする。

京矢の側にはエンタープライズが後ろに座っている。小柄なユエと違ってエンタープライズとベルファストは前には座れないのでベルファストはハジメが牽引している馬車の側にいる。

二人には魔物などの襲撃に備えての配置だ。接近戦特化の京矢では遠距離への対応が遅れる可能性があるのでエンタープライズと組んだ訳だ。

 

シアとしては、初めて出会った〝同類〟である二人と、もっと色々話がしたいようだった。

ハジメにしがみつき上機嫌な様子のシア。果たして、シアが気に入ったのは二輪の座席かハジメの後ろか……場合によっては手足をふん縛って引きずってやる! とユエは内心決意していた。

 

そんな三人を横目で見ながら前方へと視線を向ける京矢。

京矢の希望でヘルメットまで作ったがそんな京矢を見ながらヘルメットを作った方が便利だったかと思うハジメ。……そして、ヘルメットはヘルメットでカッコいいのだ。

京矢は仮にも仮面ライダーを名乗る以上ライダースタイルにもこだわりがあるのだ。

 

若干不機嫌そうなユエと上機嫌なシアに挟まれたハジメは、二輪を走らせつつも京矢の様にヘルメットを用意したりライダースーツとかも作れば良かったかと思う。

風除けは魔法でなんとかなるかも知れないが他にオートマッピングなどの地図機能などの機能を付ければヘルメットは便利だ。時間を見つけて京矢のヘルメットを元に試作品を作らせて貰おうと思う。

 

(京矢から貰ったバイクの方が性能が良いのは凹むな)

 

だがそれでも仮面ライダーの専用マシンには負けているのは凹むハジメだった。

 

(いつか完成させるか……オートバジンとかサイドバッシャーとか)

 

どうやらバイクはファイズ系が好みの様なハジメであった。なお、京矢の所持の巨大ロボのキシリュウジンを間近で見てロボを作り上げる野望を抱いているのは彼以外知らないことだが。

 

そんなハジメにユエが声をかける。

 

「……ハジメ、どうして二人で戦ったの?」

 

「ん?」

 

 

ユエが言っているのは帝国兵との戦いのことだ。あの時、攻撃をしようとしたユエとベルファストには攻撃しない様に言って、ハジメと京矢は二人で戦うことを選んだ。

誰が参戦しようがすまいが結果は“瞬殺”以外には有り得なかっただろうが、どうも帝国兵を倒した後はハジメも京矢も物思いに耽っているような気がして、ユエとしては気になったのだ。

 

 

「ん~、まぁ、オレも鳳凰寺もちょっと確かめたいことがあってな……」

 

「……確かめたいこと?」

 

ユエが疑問顔で聞き返す。シアも肩越しに興味深そうな眼差しを向けている。

 

「ああ、それはな……」

 

話し始めたハジメの理由を要約するとこういうことだ。

 

ハジメと京矢がユエ達に戦わせずに、自分達で帝国兵五人を相手取った一つ目の理由は〝実験〟である。

万一に備えてハジメは全員頭部を狙っておいたが、実は、鎧部分にも撃ち込んでいたりする。

なぜそんな事をしたかというと、人間と相対する度にレールガンを放っていたのでは完全にオーバーキルであり、街中などでは何処までも貫通してしまい危なっかしくて使えない。

暴漢を木っ端微塵にするのは京矢からは止められるだろうが、ハジメ的には何の問題もないのだが、背後の民家を突き破って団欒中の家族を皆殺し! とか、完全に外道すら通り越した狂人である。特撮ヒーローでは無くどう考えても退治される側だ。

ハジメとて、何の関係もない人々を無差別に殺す殺人鬼になるつもりは毛頭ない。

なので、どの程度の炸薬量が適切か実地で計る必要があったのである。実験の甲斐あって結果は上々。威力の微調整にも具体的な見当がついた。

 

もう一つの理由は京矢の理由と共通している。

自分達が殺人に躊躇いを覚えないか確かめるということだ。

すっかり変わってしまったハジメだが、人殺しの経験は未だなかった。四度も世界を救っている京矢も直接命を奪う経験はなかった。

それ故に、二人は殺す前も殺した後も動揺せずにいられるか試したのである。

結果は、京矢は分からないがハジメは〝特に何も感じない〟だった。やはり、敵であれば容赦なく殺すという価値観は強固に染み付いているようである。

 

(戦うと言う罪を背負う覚悟はした、か)

 

二人でライダーシステムの熟練の為の訓練をした時に京矢から言われた言葉を思い出す。

 

殺す以外に救う方法のなかった恋人達を、従姉妹とその友人達に殺させてしまった過去から、その結果一人の少女の抱いてしまった罪悪感の重さを目に見える形で突き付けられた事で芽生えた覚悟だが、それをハジメは知る由は無い。

 

だからこそ、そんな重すぎる罪を悪意なくクラス全員に背負わせようとした光輝のことを京矢は許す事が出来ない。

 

光輝は魔人族を人ではないとでも、単なる獣だとでも思っているのだろう。光輝と龍太郎については真実を突き付けられて、勝手に背負って、勝手に罪の重さに押しつぶされろと、切り捨てているのも京矢にしてみれば当然の事だ。

 

 

「とまぁ、オレも京矢も初の人殺しだったわけだが、特に何も感じなかったから、随分と変わったもんだと、ちょっと感傷に浸ってたんだよ……」

 

「……そう……大丈夫?」

 

「ああ、何の問題もない。これが今の俺だし、これからもちゃんと戦えるってことを確認できて良かったさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ハジメ達と併走している京矢達は

 

「指揮官、大丈夫なのか?」

 

「ああ。不思議と何ともないな。寧ろ、そっちの方が怖いかも知れないけどな」

 

京矢へとそう問いかけるエンタープライズ。その問いかけに苦笑を浮かべながら答える。

殺すと言うのは登ることでは無く堕ちる事。それを理解してしまっている京矢としてはそれをハジメにもさせてしまった事には後悔がある。

 

(本当に、壊れて仕舞え、こんな、世界は)

 

トータスと言う世界に感じた答えは一つ『反吐がでる』の一言しか無い。エヒトと言う神もどきを殺した結果この世界がどうなろうが知ったことでは無い。

例え、エメロード姫の様にエヒトがこの世界の柱だったとしても、この世界が滅んだところで後悔などない。

 

放っておいては間違いなく地球にまで手を伸ばしてくる危険も有るのだ。その為にこの世界を切り捨てたとしても何の後悔もない。京矢にとってトータスとはそんな世界だ。

 

「指揮官、なら私にそう命令すれば良い、私達は人間では無く兵器なのだから」

 

「……それは出来ねえよ」

 

エンタープライズの言葉に京矢はそう返す。

あの時は力がありながらも、魔法騎士達の代わりにエメロード姫を討てなくて後悔したのだ。

 

だから、この世界に召喚されてから真っ先にしたのは『罪を背負う覚悟』だ。

 

(……相手を殺しても罪の意識一つ感じないってのはホント、最悪だぜ)

 

相手が下衆だったから、それとも自分もあの時殺した帝国の兵士達を、人として見て居なかったのか? そんな疑問が湧いてくる。

どっちにしても、今は京矢は罪悪感すら感じて居ない。

 

「戦う事が罪ならオレが背負ってやる。お前の罪を数えろ。……か。背負う罪の重さも、罪とも思ってないのは問題だな」

 

京矢は数えるべき罪としても心が認識してない事にいやな物を感じてしまう。

 

「……ホント、嫌な世界だよ、ここは」

 

そう呟きながら取り出したのはRXのライドウォッチ。

 

(世界を救う為に世界を滅ぼす、か。貴方はそれを後悔したのか……。オレ達はそんな事になったら、どうなってしまうんだろうな?)

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