『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝   作:ドラゴンネスト

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京矢達は、トラップに注意しながら更に奥へと進む。

 

今のところ魔物は一切出てきていない。魔物のいない迷宮とも考えられるが、それは楽観が過ぎるというものだろう。

それこそトラップという形で、いきなり現れてもおかしくない。

 

「気を付けろよ、どんな罠が有るか分からねえからな」

 

「ああ」

 

京矢達は、通路の先にある空間に出た。

その部屋には三つの奥へと続く道がある。取り敢えずマーキングだけしておき、ハジメ達は階下へと続く階段がある一番左の通路を選んだ。

 

「うぅ~、何だか嫌な予感がしますぅ。こう、私のウサミミにビンビンと来るんですよぉ」

 

階段の中程まで進んだ頃、突然、シアがそんなことを言い出した。

言葉通り、シアのウサミミがピンッと立ち、忙しなく右に左にと動いている。

 

「お前、変なフラグ立てるなよ。そういうこと言うと、大抵、直後に何か『ガコン』…ほら見ろっ!」

 

「変な様式美を守ってる迷宮だな、ここは」

 

「わ、私のせいじゃないすぅッ!?」

 

「!? ……フラグウサギッ!」

 

ハジメ達が話している最中に、嫌な音が響いたかと思うと、いきなり階段から段差が消えた。

かなり傾斜のキツイ下り階段だったのだが、その階段の段差が引っ込みスロープになったのだ。しかもご丁寧に地面に空いた小さな無数の穴からタールのようなよく滑る液体が一気に溢れ出してきた。

 

「ッチ! こっちの通路自体がハズレかよ!? エンタープライズ!」

 

「分かっている!」

 

素早くエンタープライズへと指示を出し、彼女が艦載機を出現させるとエンタープライズとベルファストと共にその上に乗り床から離れる。

 

「くっ、このっ!」

 

時間が無かったので京矢達だけしか空中には避難できず、段差が引っ込んで転倒しかけたハジメは靴の底に仕込んだ鉱石を錬成してスパイクにし、義手の指先からもスパイクを出して滑り落ちないように堪える。

ユエは、咄嗟にハジメに飛びついたので滑り落ちることはなかった。ハジメが、踏ん張ることを読んでいたのだろう。この辺りは流石、阿吽の呼吸である。

 

しかし、まだ、そんな連携などできないのが一人。言わずもがな、シアである。

 

「うきゃぁあ!?」

 

段差が消えた段階で悲鳴を上げながら転倒し後頭部を地面に強打。「ぬぅああ!」と身悶えている間に、液体まみれになり滑落。そのまま、M字開脚の状態でハジメの顔面に衝突した。

 

「ぶっ!?」

 

「南雲!」

 

その衝撃で義手のスパイクが外れてしまい、ハジメは、右手にユエを掴んだまま後方にひっくり返った。

足のスパイクも外れてしまい、スロープの下方に頭を向ける形で滑り落ちていく。シアは、そんなハジメの上に逆方向で仰向けに乗っかっている状態だ。

 

「南雲ぉ!!!」

 

安全地帯にいる京矢が滑り落ちていくハジメに手を伸ばすが届く訳もなく、

 

「てめぇ! ドジウサギ! 早くどけ!」

 

「しゅみません~、でも身動きがぁ~」

 

そんな会話を残して坂道の先に消えて行った。

艦載機の上に乗ったまま彼らを追いかけるが三人の滑り落ちる速度の方が早いのか追いつかない。

 

「指揮官、彼らの所にも私の」

 

「いえ、エンタープライズ様。追い付けません」

 

「拙いな。考えられる、この罠の続きは……」

 

この先に有るのがトドメの罠。どんな罠が有るかは分からないが、そう想像すると急いで助けなければならない。

 

「急ぐぞ!」

 

「ああ」

 

エンタープライズの返事を聞き、坂道の先へと急ぐ京矢達。スロープの終わりが見えてくると艦載機に乗ったまま躊躇無くそこに飛び込む。

 

落ちた可能性を考えて下を見て後悔した。

 

『カサカサカサ、ワシャワシャワシャ、キィキィ、カサカサカサ』と、そんな音を立てながらおびただしい数のサソリが蠢いていたのだ。

体長はどれも十センチくらいだろう。かつてのサソリモドキのような脅威は感じないのだが、生理的嫌悪感はこちらの方が圧倒的に上だ。

 

その中にハジメ達の姿は見えない。さそりに飲み込まれたのかと思っていると、

 

「おーい、こっちだ」

 

上から声が聞こえてくる。其処にはワイヤー一本で天井からぶら下がっているハジメ達の姿があった。アンカーで落下を防がなければ、サソリの海に飛び込んでいたかと思うと、全身に鳥肌が立つ思いである。

 

新たにエンタープライズが呼び出した艦載機の上に立つとハジメ達は安堵の声を上げる。

 

「無事か、南雲?」

 

「ああ……。本当にお前がいてくれて良かったぜ」

 

安心するが下を見たら生理的嫌悪を誘う蠍の群れ。直視したくないと思って上を向くと何やら発光する文字があることに気がついた。既に察しはついているが、つい読んでしまう京矢達。

 

〝彼等に致死性の毒はありません〟

〝でも麻痺はします〟

〝存分に可愛いこの子達との添い寝を堪能して下さい、プギャー!!〟

 

わざわざリン鉱石の比重を高くしてあるのか、薄暗い空間でやたらと目立つその文字。

ここに落ちた者はきっと、サソリに全身を這い回られながら、麻痺する体を必死に動かして、藁にもすがる思いで天に手を伸ばすだろう。そして発見するのだ。このふざけた言葉を。

 

『……』

 

また違う意味で黙り込む京矢達。「相手にするな、相手するな」と自分に言い聞かせ、何とか気を取り直すと周囲を観察する。

 

「……ハジメ、あそこ」

 

「ん?」

 

すると、ユエが何かに気がついたように下方のとある場所を指差した。そこにはぽっかりと横穴が空いている。

 

「横穴か……どうする? このまま落ちてきたところを登るか、あそこに行ってみるか」

 

「先に道が有るならそっちの方を優先しようぜ。また同じ罠を体験するのはごめんだからな」

 

「私達は指揮官の決定に従おう」

 

「わ、私は、ハジメさんの決定に従います。ご迷惑をお掛けしたばかりですし……」

 

「いや、そのお仕置きは迷宮出たらするから気にするな」

 

「逆に気になりますよぉ! そこは『気にするな』だけでいいじゃないですかぁ」

 

「……図々しい。お仕置き二倍」

 

「んなっ、ユエさんも加わると!? うぅ、迷宮を攻略しても未来は暗いです」

 

「そうですね。私も少々お話ししたいごとがございます」

 

「其処にさらにベルファストさんのお説教も追加ですかぁ!?」

 

ハジメとユエに更にベルファストまで加わる未来に絶叫するシア。

 

「はぁ、お前の〝選択未来〟が何度も使えればいいんだがなぁ~」

 

「うっ、それはまだちょっと。練習してはいるのですが……」

 

「まあ、世の中には未来予知をするのに死ななきゃならない不死身の大学生も居るからな。ノーリスクで使えるだけ御の字だろう」

 

「そうだよな……。って、誰だよ、それは!?」

 

「地球の知り合いだぜ」

 

サラリと言ってくる京矢にハジメは改めて思う。既に異世界を救った親戚がいたり、世界の歌姫がいたり、未来予知ができる知り合いが居たり、こいつの交友関係はどうなっているのか? と。

 

「まあ、別にハズレだったとしても、此処を通るのを最小限にできるからな」

 

「だな。ないものねだりしても仕方ない。戻るより、進む方が気分がいいし、横穴を行こう」

 

京矢がサソリ達が蠢いている真下を指差しながら告げる言葉に全力で同意するハジメだった。

流石に何度も通りたい場所ではない。

 

「……ん」

 

「はいです」

 

「ああ」

 

「かしこまりました」

 

ユエ、シア、エンタープライズ、ベルファストも2人の意見に同意する。

 

京矢達を乗せたエンタープライズの艦載機は彼らを無事に横穴へと運ぶ。

 

京矢達は、この先も嫌らしいトラップがあるんだろうなぁとウンザリしながらリン鉱石の照らす通路を進むのだった。

 

「なあ、南雲……手榴弾とか作ってないか? サソリの群れの中に投げ込んだきたいんだけどな」

 

「……無い。…………それを聞いたら作っときゃ良かったって後悔してるよ。………………お前の魔剣の中に無いか? そう言うの?」

 

「有るには幾らでも有るけど、強力過ぎるんだよな」

 

それでもミレディにムカついたのでサソリの駆除くらいはしておきたいと思った京矢だった。

ハジメはハジメで京矢の言葉に、せめてもの腹いせにはなったと思うと作っておけば良かったと思うのだった。

赤城(アズールレーン)はどちらのヒロインに

  • 京矢
  • ハジメ
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